リース

O氏



「今日、何が食べたいですか・・・?」
無愛想な濡れになんでこんな優しくしてくれるんだ?この女。
たかが仕事上で7日間一緒に暮らすだけなのに。
「いいよ、濡れは」
「え・・・?でも」
「少し先に商店があるからそこで済ませる。」
こういう女は嫌いだからな。人に干渉ばかりしやがって。
何様だ。
「そう・・・ですか。でも、商店は7時にしまってしまいますよ?」
「あ・・・」
今6時40分じゃないか。走っていけるか?
「やっぱりここで食べませんか?好きなもの、言ってください」
「・・・料理得意なのか?」
「少し。故郷にいるとき色々な料理を母上に教えられました。だから、
何か作るのはとても楽しくて」
へぇ。この女、風のある地域からきたエルフだったけ。
確かナバールに占拠されたって聞いてるけど。
「さ、何か食べたいものいってくださいな」
そんな満面の笑顔よく人前で出せるな。
「・・・・シ・・・」
「シ・・?なんですかぁ?」
「いいよ、パン食べるから。オレは外で食べるから」
「え・・・」

こうやっていれば少なくとももう余計な節介はしないだろ。
濡れは一人で充分だ。誰の力も借りるか。あの女は仕事でとことん利用してやる。

朝が来た。またモンスター狩りか。まぁ濡れが生きていくにはこれしかない。出来るも事もこれだけだ。
「あ、おはようございます。」
「ああ、おはよう。今日から宜しくリースさん。」
そう、今日から利用させてもらうから宜しくね。
リースは槍を駆りモンスターを退治する仕事(バイト)をしている。他に楽で金も入る仕事もあるだろうに、物好きだな。
「私、これから村長さんに{リスト}もらってきます。ゴハン、テーブルに用意しておきましたから・・・」
「・・・食べてくださいね」
「そいつはどうも」
朝食を済ませ、濡れは軽く縄跳び、ストレッチで体をほぐす。続いて腕立てと剣の素振りだ。常に鍛えておかないとお払い箱になってしまう。
軽く汗を流したのでとても気持ちいい。お、来たな。
「{リスト}です。最初は南エリアから行きましょうか?」
「オレが南に行く。君は北だ。」
「一人では危ないですよ。」
この女・・・。
「大丈夫だよ。これでもA級だから。北のモンスターならレベルも低い。君でも大丈夫だし、なによりこちらの方が早く済ませる」
「・・・・・」
そんな顔するなよ。黙らないでくれ。
「不服なら・・・・」
「いえ。私はアナタに従います。アナタにとって私は部下の様な
ものでしょう?」
よく分かってるな。部下じゃない、下僕さ。
「じゃあ、お互いの狩りが終わったらひとまずここに。」
「はい。・・・・あの」
モジモジして、なんだ?
「もう少し、私の事頼りしてくださいね。頼ってくださいね」
頼りに・・・って頼りにしていいのかよ。
なるのかよ、お姫様。



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