求める先に 〜愛欲旅情〜
何処かのフリーター ◆D5K0PnGiio 氏
にちゃにちゃと粘着質な水音と肌同士がぶつかり合う乾いた音が、熱い吐息と
共に薄暗がりの中で響く。壁に手をついて腰を突き出し、立ったまま後ろから
少女が犯されて喘いでいた。壁についたまま重ねられた無骨な手と、時折甲高く
上がる嬌声が拒否の色を一切含んでいないのが、決して彼女が一方的な欲望の
捌け口にされているのでなく、むしろ進んで犯されているのが伺えた。
「奥にッ! 奥にぃッ!」
突き出された舌を伝った唾液が床へと垂れるのも構わず、少女は自分の中心を
最奥まで貫く肉塊を、自身の肉欲に支配された器官で思う存分受け止め貪る。
やがて間近にまで訪れた限界は、肉塊の持ち主の方のものだった。
「リース…くぅッ!」
「あぅッ、いぃんんッ! く、くださいッ、膣(なか)にくださいッ!!」
限界を感じて身を起こしたデュランが、目の前の汗の浮いた美しい背中に金色の
コントラストが広がっているのを眺めながら、リースの腰を掴む。ガクガクと
震えて崩れ落ちそうなそれとがっちりとひとつに繋がったまま離れぬように、
そしてリースに快楽を与えようとしていた今までの動きから、自身が快楽を得る
ための動きに切り替えるために。
「あッあッあッあッんあッあッあッあッあッんんッ!」
腿の筋肉がリズミカルに柔らかい尻肉を叩いてはリースの艶やかな声が上がる。
一本調子にならないように腰を溜めて深く突いてやると、一際高い声と共に
強く締め付けてくるのが堪らない。それでも射精を堪えるのはできる限り我慢を
重ねた方が、より高い快感を得られるのを知っているから。最後の最後に抜ける
寸前まで腰を引くと、一気に最奥までを貫いた。
「出る…! うぅッッ!!!」
「あひッッ! 来てるッ! 来てるのぉッッッ!!!」
リースの秘肉に包まれたまま、欲望の塊から精が迸って膣内を白く染めていく。
注ぎ込まれる熱さを尚も搾り出そうとするように蠢く肉襞の圧倒的な快感に気を
失いそうになりながらも、歯を食いしばって耐えつつ射精を続ける。壁に涙の
跡を残しながらずり落ちていくリースに、尿道に残った精までも注ぎ込もうと
仰け反ると、天井の隅に染みが見えた。
デュランはフォルセナに恋人がいるのかも知れない。リースがそう思うように
なったのは初めて抱いて貰ってからそれまで―――5度目の挑戦で月読の塔を
突破し、ランプ花の森で最後の精霊ドリアードを仲間にして忘却の島へと。
デュランが引き抜いた聖剣を攫われたフェアリーと引き換えに紅蓮の魔導師に
奪われ、マナストーンに封じ込められていた神獣達との戦いが始まるまでの
数日―――の間、デュランは以前のように優しくはあるが、先を急ぐ旅でそんな
事に耽る暇はなかったとは言え、特に何もしてこようとしなかったからだった。
デュランに対する呼称は常に呼び捨てになり、リースの気分的にデュランは
既に恋人の位置付けにあったのだが、一方のデュランは素っ気無い。
「妙に手馴れてたしねー。」
「え………ッ!?」
相談したフェアリーがあの時デュランの中で黙っていただけで起きていたのには
愕然としたが、言われてみればデュランの手際は初めて女性を抱くという風では
なかった。話に聞いた破瓜もそれほどの痛みを伴わず、そればかりか初めての
絶頂まで導いてくれたのは、彼の手腕による所が大きいだろう。その時の自分を
思い出すだけで耳までが赤くなっていくのが分かる。しかもフェアリーにまで
見られていたという事実に穴を掘って埋まりたい気分に駆られたが、埋まっても
どうしようもないので我慢した。冷静に考えてみれば恋人がいないとは一言も
聞いていない。切羽詰って「好きになってくれなくてもいい」と迫って情けを
貰った手前、それに対して自分は何も言えないのだ。早まったとも思うが後悔は
していないし、したくもない。リース自身、初めての恋を持て余していた。
ついに取り戻す事ができた弟が生まれた時、母は死んだ。母の温もりを知る事の
できぬ弟の母代わりになろうと―――弟のために大人なろうとした幼い少女は、
常に現実を見据えていようとした。同年代の子供の遊びも楽しみも知らず、ただ
ひたすら大人になろうとした現実主義者の少女―――リースが初めて抱いた
ロマンチシズムとも言うべきものが、デュランへの想いだった。なまじ経験が
ないだけに持て余すのも当然と言えよう。で、それについて進退をフェアリーに
(アンジェラ抜きで)相談してみれば
「どうしたらいいって……寝取れば?」
略奪愛を勧められたりした。その時のリースの表情は筆舌に尽くし難い、と
フェアリーが後世に語ったかどうかは不明である。
その日と翌日は休みで、いわゆる連休だった。
神獣が復活し各地を転戦するも、世界を滅ぼす力を秘めた存在は圧倒的だった。
軍事力を備えていた主な各国は聖剣をめぐる騒乱で疲弊しており、神獣に対して
対策が講じられない現状の今、実質的に世界の命運はデュラン達に委ねられて
いるも同然だったのである。自分達が斃れれば世界は終わる。負けの許されない
戦いを慎重に進める戦略の一環として、八体いる神獣との戦いの翌日には休日を
設け、疲れを癒してから次の神獣との戦いに臨めるようにしたのだった。何体か
神獣を倒す内、神獣の力が曜日によっては弱まる事も分かり、それを考慮に
入れると連休さえも幾つかできた。その内のひとつ。それを利用したリースの
アプローチが進んでいた。
「一緒に寝てもいいですか?」
話もあるし、と枕を持ってデュランの部屋を訪ねたのは、フェアリーの入れ知恵
である。部屋が取れないなどの場合を除けば、基本的に宿での部屋は男女別に
取っている。一人部屋で寝ようとしていたデュランに、リースが奇襲を掛けた
形になった。女性陣にはちゃんと二人部屋を取ったのだからと、至極真っ当な
論説でそれを退けようとしたデュランだったが
「私の事、嫌いになりましたか?」
「論点がスリ代わってる気もするが、そうじゃなくってな…。」
女神の知恵仕込のやや眼を潤ませての台詞で、あっさりと突破されてしまった。
半ば無理矢理同衾と相成ったが、デュランはリースに背を向けている。二人で
寝るには狭いシングルベッドで、むしろこれ幸いとばかりに身体を擦り寄せて
背中に張り付いてくるリースに正体不明の危機感を覚えながら尋ねた。
「そ、そういや話ってのは?」
「別に、特に何かを話したい訳じゃないんです。」
「?」
「明後日にはどうなるか判らないから、一緒に…居たくて。」
本来なら弟のエリオットを取り戻した時点で、リースは旅の目的を達している。
しかし、リースはデュラン達と共に旅を続ける事を選んだ。世界の危機という
事もあったが、想い人と一緒に居られる上にその力にもなれる。自然とその
仲を深める事もできようとなれば、最近になって思春期を迎えたと言っても
いい少女に、これ以上の理由はなかろう。
「だから…ごめんなさい。」
「え…うぉ!?」
リースが抱きついてきたかと思えば、デュランは自身の身体が不意に重くなった
ように感じた。それよりも驚いたのは、リースの細い指がズボンの上から股間の
逸物を捉えた事だった。慌てるも身体は思うように反応しない。全身に何かが
纏わり付くような、それでいて重しを着けられたような感覚。
「魔法を…うッ!」
スピードダウンとパワーダウンを併用して使われたらしい。その上達振りを
素晴らしく思うも、目的が夜這いを掛けるためというのにやや苦笑する。そんな
デュランの内心は、仰向けにされてリースから唇を塞がれる内に掻き乱され、
股ぐらをさすられながら舌を絡め取られる頃には消えていた。服を脱がされて
いくのも、身体が自由に動かない今は抵抗を諦めざるを得ない。
「えっと…。」
「ほら。」
もっとも、リースに抱かれる(?)のが嫌な訳ではない。ズボンを脱がそうとした
リースに協力して腰を浮かせてやる。デュランの思わぬ協力で少しだけリースの
頭が冷えた。部屋に入る前は恋人の有無を尋ねようとも思っていたし、ちゃんと
お願いして抱いて貰おうとも思っていた。恋人がいるという回答をされたり、
拒絶されるのを怖れる余りにこちらから押し倒す形になってしまい、一体何を
しているのだろうとも思ったが、今更走り出した激情を止める事もできない。
静かにズボンと下着を下ろすと、硬度を伴いつつあるそれに突然口付けた。
「ッうぁ、リース。」
「ん……んん…。」
粘膜に包まれ一気にそそり立った剛直に拙い愛撫が施される。まずリースが
抱いた感慨は幹の硬さと雄の匂い。そして亀頭の柔らかさと鈴口から染み出す
先走りの苦味だった。フェアリーの教えてくれたように舌を雁首に巻きつけ、
唾液を塗しながら擦り、吸い付き、締め付け、舐っていく。『どこが感じるか
探り出すのが重要』そう教えられたのを思い出し、デュランの様子を伺いながら
舌先を這わせていく。
「リ、リース…ぅッ!」
咥えたままデュランの顔を覗くと自然と上目遣いとなった。その仕草も男心を
くすぐる刺激のひとつとなっている事には気付かず、丹念に奉仕を続ける。
幹を伝わった唾液が草むらを濡らす頃、慣れない行為に顎が疲れたのだろう。
一度口内から剛直を開放すると何度か熱い息を吐いた。
「…唇でくびれてる所をしごくんだ。」
再び口での奉仕を再開しようとしたリースにデュランのアドバイス。
「舌で先の穴を」と付け加えられてリースが実行してみる。
「ん…! そうだ、あぁ…。」
デュランが自分の愛撫で心地良さそうにしているのが嬉しくて、より一層奉仕は
丹念になっていく。デュランの方も自分がどうされると気持ちいいかを次々に
リースに教えていった。指で、舌で、唇で、時には歯で、亀頭を、雁首を、
幹を、袋までを そうされる内に限界が近付いていく。
「そろそろ、出るぞ…!」
「んっ、んッんんんっンッ。」
裏筋に這わせた舌、そして上顎でぎっちりと口内の空間を極力減らすよう剛直を
挟み込んで吸い付きつつ、頭を上下に振って全体を愛撫する。初めてという事も
あって駆け引きもペースもない全力疾走での行為に、間もなく噴火が始まった。
「出るッ〜〜〜ッくぁッ!!」
デュランが限界まで堪えてもリースは咥えたまま、その迸りを口内で受けた。
何度も放たれる熱くて形容し難い味の粘液、それに伴って口に広がる濃厚な
雄の匂いに夢中で喉を鳴らした。喉に引っ掛かる奇妙な味わいの体液が愛しい
人の身体から湧き出た物だと思えば、そしてそれが自分の一部となって自身が
相手の色に染まっていくようにも思え、ただただ嚥下を続ける。更に言えば、
デュランを快楽の果てへと導ける口唇での奉仕は、既にリースの中で辛苦から
至福の行為へと昇華されていた。
「………ん。」
魔法の効果が切れたのかデュランの身体に自由が戻ったのは、リースが率先して
精を放ったばかりの剛直を舌で清めている時だった。身体を起こしたかと思えば
リースが声を上げる間もなく、逆に彼女をベッドに組み敷いていた。
「随分と好き勝手してくれたな。」
意図した低めの声と、肩を掴む手の力にリースの身体が強張るのが分かる。
「今度は俺が好きにさせてもらうぜ。嫌だって言ってもやめねぇぞ。いいな。」
有無を言わせぬ口調で迫る。今回のリースの半ば一方的な行為には、デュランも
それなりに思う所はあった。確かに初めてリースを抱いてから何もしようとは
しなかったが、世界存亡の危機にあってそれどころでなかったのも確かで。
二人の関係をどうするかは、できれば全ての事が落着してからにしたかったのが
本音だ。(途中から受け入れてたようにも思うが、欺瞞と思いつつも無視する)
そして関係を繋ぎ止めるだけに身体を重ねるなどというのは、デュランにとって
唾棄すべき行為のひとつである。もしもリースがそのために身体を許すつもり
だったとして、強引に迫られた上でそんな素振りを少しでも見せようものなら、
部屋から叩き出すつもりでさえいた。が、当のリースには
「はい、好きにしてくださいッ!」
あっさりと、そして本当に嬉しそうにそれを受け入れられてしまった。関係を
繋ぎ止めるとか、そんな打算などその笑顔にはなかった。好きな人が自分を
望んでくれる、そんな無上の歓喜だけがそこにあった。逆に毒気を抜かれたのは
デュラン。凄んで見せた分、これで自分に向けられている純粋な歓喜と期待に
応えざるを得なくなってしまい、苦笑するしかなかった。
「好きにしてください…早く。」
「そうさせてもらう。」
焦れたようにせがまれてデュランも覚悟を決める。手始めに互いの口元を唾液
塗れにするぐらいの濃厚な口付けを見舞おうと唇を寄せた。
最低限の気遣いを残しつつも、デュランは望むままにリースを幾度も抱いた。
まず足を指先から丹念にしゃぶり尽くす搦め手から入り主導権を奪い返すと、
初めてと同じように正面から、壁に手をつかせ後ろから犯すのは冒頭の通りで、
自分が横になってリースに自分から跨がらせたりもした。一方的に搾り出された
お返しとばかりに剛直を咥え込む膣内の具合を実況し、羞恥を煽ったりもする。
「内側のひだひだが絡み付いてきて…エロいなぁ、リースのマ○コは。」
デュランとて男であり、女性に対する従属願望も持ち合わせている。わざと
下卑た言葉を選ぶ事で恥じらいに滲んだリースの顔が拝めた。そうしていく内に
今回はアンジェラに気を使う必要がない事もあって、リースも大胆になっていく。
教えられた奉仕のやり方を復習しようという意味も含めて、精を放ったばかりの
デュランを舌で清め、再び隆々と勃ち上がるまで―――時にそのまま喉に精を
放つまで丁寧に奉仕し続ける事さえあった。回数を重ねる毎に相手の身体への
理解は自然と深まり、半ば一方的な駆け引きを伴って濃密な愉悦で二人は何度も
満たされる。
「ほらッ、どうした? 届かないぞ?」
「はッ…あぁ…あひッ!」
立ったままリースを正面から抱え上げて繋がり、そう広くない部屋を歩きつつ
突き上げる。フェアリーがデュランの中で『今度は駅弁とは…結構多彩ねー。
それにしても何気に絶倫だし。』と、密かに眺めているのは余談としても、
リースはそうやって焦らされていた。最初は抵抗があったが、後ろから膣奥を
突かれるのも悪くはなかったと思う。顔を見られないのは難点だが、容易に
奥までデュランが届くし、背中に厚くて熱い胸板がぴったり張り付く一体感も
良いと思う。それでもやはり敵わないと思うのだ。正面から抱き締められ、
ひとつになって舌を絡め合うのには、と。初めて達した時のそれが癖にでも
なったのかもしれない。限りなくデュランとの境界がゼロに近づくからなのかも
しれない。それだけで、それだけでリースは堪え切れずあえなく絶頂へと―――
半ば強制的とも言えるまでに―――登り詰めるようになってしまっていた。
今も、デュランの首に回した手で自分の身体を引き寄せるようにして舌を伸ばし
絡めようとするのだが、身体を起こすようになるのでそれに併せて自分の膣奥を
穿つ剛直が、奥まで拡張するように突き立てられてしまう。しかもあと少しで
届きそうになると、デュランが身体ごと揺さぶりを掛けるのだ。膣奥を突かれる
快楽に力が抜けて、また元の位置に戻されるのを繰り返すのは既に数え切れない
回数になっていた。更に、普通に膣奥を突かれる事で絶頂に達しそうになると
今度は歩く事すらやめてしまう。リースの内で盛る情欲の炎は、燃え尽きずとも
消えぬよう燻らされ続ける焦らされ具合だった。
「もッ、おかしく…ッ、んッ! おか、しくなりそッう…ああッ……!!」
デュランが腰と脚を止め、リースはまた登り詰める直前で足元を崩された。鈍い
快感に全身を蕩かされながらも決定的な快絶へと至れず、精神は既に満たされぬ
獣欲に蝕まれている。同時に、もしこのまま限界まで溜め込んだ快感を一気に
解き放つほどの絶頂へ撃ち上げられてしまったら、とも思う。それこそ二度と
戻れない場所へと運ばれ、どうにかなってしまうのではあるまいか。それでも
怖れはない。デュランが望んで自分をどうにかしようとする全てを、できる限り
この身で受け入れられるのが誇らしくも嬉しく思えて、与えられ奪われるままに
全てを甘受していた。
「…どうされたい?」
頃合を見てデュランが尋ねた。
「はぁ…はぁ…デュランの、好きに…ぁくぅッ!」
「こんなに俺を離そうとしないのにか?」
この期に及んでリースは従順な姿勢を崩さない。だがそれが最後まで残った
恥じらいの一欠片である事をデュランは見抜いていた。既に自分では鎮める事の
できないほど燃え盛った炎を消して―――否、全て燃え尽きるまで休む事なく
自分を責め続けて欲しい事を。子宮口を小突いてやれば裏付けは簡単に取れた。
「…くださいッ! デュランが欲しいのぉッ!!」
「よし…そろそろいくぞッ!」
「あはッ! あッあッあぁあッ!!」
しばらく前からデュラン自身が収まったままの蜜壷は、溢れるほど幾度も放った
精汁でぬかるんでいるにもかかわらず、健気に締め付けてくるのが心地良い。
それだけすれば流石に種も尽きんばかりで、すぐには達せられようはずもなく、
どうせなら焦らすだけ焦らして締め括りに最も激しい快絶を味わい、味わわせ
ようとも思っていた。猛然とリースを揺さぶり、このまま終極へ到達しようと
動き続ける。散々焦らされ膣奥を突かれる度に軽い絶頂に引き上げられての
リースの締め付けがそれに拍車を掛ける。涙で頬を濡らし揺さぶられるだけで
艶かしい声を上げる金髪の獣を抱えるための尻肉に喰い込ませた指が、そのまま
柔らかい感触を愉しむために蠢くと、首に回されたいた手に力が戻っていくのを
感じた。むしろそれが最後の力だったのだろう。快楽の果てに辿り着こうとする
浅ましくも純粋な衝動が、情欲に炙られるリースの身体を引き起こしていく。
「デュラ…ンッ!」
それに漸く応えたデュランの舌先と舌先が触れ合った瞬間、それが起こった。
「あはぁぁーーーーッッッッ!!」
「くッ…ああッ!!」
溜まりに溜まったものに点けられた小さな種火が、一気に爆裂と化す。限界まで
仰け反って上げられた甲高い歓喜の声が部屋を満たし、絶頂へと押し上げられた
リースに呼応するように、デュランも子宮を満たさんばかりの精を解き放った。
「うッ! うッ! んッ!」
最後の一滴までを貪欲に搾り出そうとするかのように、快絶のままの締め付けを
保った膣内に白く濁った粘液が何度も吐き出される。我慢に我慢を重ねた末に
得られた凄まじい快感と、ありったけの精を放出した事により立ち眩みが起こり
倒れそうになったのを何とか堪えた。一方のリースは完全に力尽きてしまい、
手を離してぐったりと倒れてしまうところを危うく支えてベッドに寝かされる。
そうしてからデュランもそのままベッドに倒れこんだ。精も根も半ば尽き果て、
体液に塗れた身体を清める余裕すら残っていない。ここまで全力を尽くせるのも
明日も休養日だからなのだが、休養日に疲れてたら意味が無いなと思いつつ、
リースの方を見やる。
「どうしたんだ?」
「こんなに注がれたら…流石に授かってしまうかもしれませんね。」
「ん…。」
荒い息を整えながら下腹を撫でていたリースがどことなく嬉しそうに呟いた。
ローラントはマナの影響か、男性よりも女性の方が多く産まれる土地である。
国の守り手は自然と女性がアマゾネスとして務める事となり、有事の際に国を
守るための女性が身籠っていては不都合な場合が多い。それ故に、こと妊娠に
関わる性知識は他国よりも一歩抜きん出ていた。女性が大体どの生理周期で性交
すると孕むかの計算式も存在しており、それによればリースが孕むとすればもう
少し先のはずだが、個人差もあるし、あくまで大体でしかないのも事実だった。
リースの言う大丈夫はこの辺りから来ているのだが、何事にも例外はある訳で。
「俺としちゃ、元気に産んでくれさえすれば文句ないんだけどな。」
周りからは色々言われそうだけど、とデュランは続ける。少し驚かされたのが
リース。仮に身籠っていたとして、認めてもらうのは自分でも半ば無理だろうと
諦めていた子供を、まさか産んでも良いも同然の事を言われるとは予測の範疇に
なかった。
「恋人がいるんじゃ、ないんですか?」
「え?」
思わず尋ねてしまってから僅かに後悔。仕方なく、フェアリーと相談した時の
事を話していく。全てを聞き終えたデュランがぽつりと漏らした。
「…あれがそう言えるんだろうかな。」
「?」
「旅が終わったら、話す。」
そう断じてから、優しくリースの髪を撫でた。
続くの?
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