真実の心

310氏



やわやわと虹の色に変化するランプの花みだれる森。
ただでさえ迷うで有名な森・・・例に違わずホークアイとリースもアンジェラとはぐれてしまった。
アンジェラほどの魔力をもってすれば、独りでもその魔力を駆使し、森を抜けられるかもしれない・・・。
だが二人いてもなお、迷うことになったホークアイとリース。
もううんざりするほど歩きまわった。
「ごめん、リース。俺、方向音痴なのかも・・・。」
俯きながら自嘲気味に笑った。
リースは内心焦っていたけれど、微笑みを浮かべた。
「大丈夫ですよ。落ち着いて道を探しましょう?」
リースはホークアイが好きだった。
思いがけず二人きりになれて嬉しかった。
このまま森を出られなくて、ずっと二人で迷っていたいなと少し思った。
(いや、それはさすがにまずいか・・・。)
リースはクスッと隠れて笑った。
ランプ花が灯り、めまぐるしく次々と色が変化する。
その妖しい森に二人は疲れて、まだランプ花が灯っていない場所を選び休息をとることにした。
ホークアイは花の根元にどっかと腰を下ろした。
「あーっ!!もう疲れた〜!!この花のせいで目も頭もクラクラだよ!」
(ぅ〜、ほんとに疲れたわ・・・。)
二人でずっと迷っていたいだなんて、、、そんなロマンチックに考えてた自分が恥ずかしくなった。
「でもこの森は神秘的です。美しい花もたくさん見ることができましたし・・・あのー、その、確かに早く出る事ができたらいいけど・・・。」
苦笑をホークアイに向けようとした時、横に座る彼の様子がどこかおかしい事に気づいた。
彼の花を見つめる紫色の瞳が、ゆらゆらと潤んでいて、頬もほんのり赤みをおび、お酒に酔っているようにも見えた。
「ホークアイ?どうしたの?」
虚ろな瞳を頼りなく彷徨わせて、リースの瞳をとらえて言った。
「俺は・・・リースが・・・え?なんでもな・・・」
ホークアイはそう言ったきり、ふにゃりとリースの肩にもたれて目を閉じてしまった。
尋常ではないホークアイの様子にリースは焦った。
肩には愛しい人の温かな重みがあるが、酔いしれてる場合ではない。
(少し前までは『あー疲れた』って言ってたし、普通だったわよね?なに?なんかの罠?でも顔が赤いし・・・まさか熱?とか?)
グローブを取り、そっと彼の額に触れてみる。
熱は・・・ない。
どうしたものかと思った時、リースは自分の異変にも気づいた。
(なぁに?なんか急に動悸が・・・)
その時、いつかどこかの町で耳にした噂を思い出した。
『その森は美しいけれど、妖しく色を変えるランプ花によって、人の精神を狂わせる。』
(ただの噂だと思っていたけれど、まさかランプ花の魔力に囚われた・・・?)
だとしたら、このままここに止まるのは危険かもしれない。
「ホークアイ!ねえ!起きて!」
体を揺すって起こそうとしたが、彼の瞳は虚ろなままだ。
その時ふと自らも花の魔力に囚われる感じがした。
先程まで目にしていた美しく妖しい花が目の奥に滲む。
誘われるようにリースの手がホークアイの頬に導かれる。
(ホークアイ、好きなの。ずっと傍にいて。)
リースは切ない瞳でホークアイを見つめた。
そっと頬に触れたその瞬間・・・頬の感触にびくりと反応し目を開けた彼の潤んだ瞳と、彼女の切ない瞳が交錯した。
想いが溢れて、自分の気持ちが筒抜けになったような気がした。
(見透かされる!)
リースは咄嗟に手を引こうとした。
しかし、その手をホークアイが掴み、再び見つめあう格好になってしまった。
「リースの心が見えた。俺は・・・俺の心は・・・」
答えの代わりにホークアイはリースを引き寄せ、花にミツバチが誘われるように優しく口づけを交わした。
口づけを交わし、リースの首筋をホークアイの唇がそっと這う。
首筋に感じる彼の熱い吐息。
「あ・・・」
リースは微かに身じろぎした。
彼の舌が唇を割って挿しいれられる。
リースは今まで愛する人とここまで触れ合ったことはない。
愛する人が自分に触れてくれる、嬉しさと緊張で胸がぎゅっとしめつけられた。
ホークアイは、リースをそっと草の上に横たえた。
肌に触れる部分が冷たく、草と土の匂いがした。
リースの唇に、首筋に、はだけた白い胸元を愛撫しながら、彼女の衣服を脱がし、自分も裸になった。
ホークアイはリースの胸に触れ、その頂きにある敏感な部分を舌で転がした。
「あっ・・・ん、」
リースはホークアイを抱きしめた。
ホークアイの長く結った髪の束が、背中を滑ってリースのお腹にふさっと落ちた。
彼が彼である証拠・・・
「ホークアイ・・・大好き。」
一瞬だが彼の愛撫が止まった。
彼は何かを言おうとしたかのように唇が震えたが、構わずリースの金色の茂みに手を伸ばした。
そこは泉が湧いているかのように潤んでいた。
何度も亀裂を下から撫で上げた。
「きゃぁ!やだ!あんっ!」
リースが甘い声をあげる。
その唇をホークアイは自らの唇でふさいだ。
溢れる愛液を指に纏って、亀裂の一番上にある敏感な所をしごいた。
リースの体がびくりと反り返る。
唇をふさがれているので声を上げられない。
「リース・・・今度は声出して。」
ホークアイはリースの足を開き、いきり立つ自身を泉の中心に押しあてた。
ゆっくりと沈めていくと、先の部分が中に少しめりこんだだけで、リースは声を上げた。
「あっ!あっ!やだ!」
リースは足を閉じようと身を捩った。
しかしそれは、かえって中がぎゅっと締めつけることになった。
「はぁ・・・リース・・・。」
ホークアイは閉じようとするリースの足に膝を掴み、大きく広げ、彼女の一番奥まで突きあげた。
消えていたはずのランプ花が強く光りだした。
「きゃぁ!あっ!んぁあん!」
喘ぐリースの目の端に光りだしたランプ花が映る。
ホークアイの瞳にもまた光るランプ花が映る。
「リース・・・リース・・・俺のものにしたかった・・・ずっと・・・。」
より激しさを増す動きに二人ともこのまま壊れてしまいそうだった。
「ホークアイ、んっ!もうだ・・・め!」
彼女の一番深い所で熱いものが弾けた。


「おっそーい!あんたら何してたらこんなに遅くなるわけ!?迷ったって・・・ホークアイあんた盗賊じゃないの!
リースもっ!こんな奴にのこのこ付いてったら駄目よ!まったく!あたしはこの超絶なる魔力を持っていたからいいものの・・・」


まだまだアンジェラのお説教は続く。
何してたらって、まさか本当にナニしてたとは言えず、二人とも黙って聞き流していた。
「・・・すいません。」
「・・・ご、ごめんね?」
ランプ花の魔力に囚われてあんなこと・・・。
ホークアイとリースはなんとなくバツが悪くて、目を合わせられなかった。

アンジェラはそんな二人をみて、ランプ花のせいだと確信した。
ぎこちない二人を和ませるために、慰めになるだろうか。
(でもこの二人は前から・・・)
アンジェラは面倒くさげに言った。
「ランプ花は人の心を狂わせるっていわれてるけど、ちょっと違っててさ。実際は真実の心が見える花なんだよ。」
『真実の心?』
ホークアイとリースは目を合わせ、恥ずかしげにまた逸らした。
アンジェラがニヤリと笑った。


(ホークアイ、好きなの。ずっと傍にいて。)

(リース・・・俺のものにしたかった・・・ずっと・・・。)
〜おわり〜



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