紅ア

360氏



シェイドの翼が世界を覆う、真夜中。
竜の城と呼ばれる洞窟の入り口で、あたしは一人立っていた。
長旅を共にしてきた連れ2人は、
来るべき最後の戦いを前に静かな眠りについているだろう。

あたしは漆黒の翼を抱いた小さな杖だけを握り締め、
硝子の砂漠を睨むように見つめていた。

「お友達はどうした、お姫様。
 それともお一人で私の首でも狙いにきましたか」

唐突に赤いマントの魔導師が闇の中から現れる。
闇夜に煌く星の砂漠に音もなく、
からかうような声とは裏腹に、仮面のように無表情のまま。
アルテナの凍てつく永久氷壁のような、深く澄んだ青い瞳があたしを射抜く。

「お忍びよ。 あんたこそ取り巻きの竜はどこいったのよ。
 よわっちいくせに一人でふらふらしてるとまたいじめられるわよ」

言い終わる前に、思いがけず伸びてきた腕に抱きしめられる。
懐かしい匂い、温かさに息が止まる。

「脆弱で無力な過去の私はもう居ない。私は望むものをこの手にしている」

魔導師はその形良い唇に、夜風に凍えるあたしの指を一本ずつ含んだ。
舌の温かさと、艶めかしい感覚に、小さく呻くあたしの腰を
彼は片手で引き寄せてそのマントの中に包み込む。
見上げた端整な顔に、ほんの少し笑みを見つけた気がして
あたしは唇を唇にねだった。
彼の頭に腕を回し、強引に舌を絡め、ちゅぷちゅぷと音を立てて唾液を舐めあう。
呼吸のために離れるたびに、二人の間に糸がひく。
ときおりぶつかる視線が熱を帯びてきて、
あたしたちは無言のまま砂漠に倒れこんだ。
彼のしなやかな指があたしのちっぽけな衣装を絡め取る。
挑戦的に突き出した胸の当て布をぐいと引くと、
仰向けになってもなお双丘を描くあたしの乳房がまろびでた。
彼はそれをぐにぐにと揉みしだきながら先端に吸い付く。
下半身を隠すささやかな布は取り払われ、
あたしは全裸のまま月の無い夜空の下で組み敷かれる。
彼の指は早くも濡れはじめたあたしの割れ目をなぞる。

「あっ…んっ…」

割れ目に侵入した指によって、反射的に嬌声が漏れる。
のけぞるあたしの身体を抑えつけるように、魔導師が体重をかけてくる。
彼はあたしの脚を自らの足で引っ掛けて押し広げ、月夜の下に大きく開脚させると
そのいやらしい蜜で溢れた壷を長い指で掻き混ぜ始めた。
ぶちゅぐちゅと卑猥な水音をたて、あたしの膣が彼の指にまとわりつく。
彼の硬さがあたしの下腹にぐいぐいと当たり、
涼やかな顔との対称にあたしの膣はじゅくじゅくと蜜を吐く。
あたしは身体をくねらせながら彼の名を呼んだ。

「あんたが…欲しかったのはっ…力なの…」

彼の身体の下で、途切れ途切れに、喘ぎながら問いかける。
しかし魔導師は何も答えぬまま、あたしの脚を持ち上げると一気に貫いた。

「ゃっ…ぁああああっ!」

あたしは予期せぬ挿入に思わず叫んだ。
反り返る硬く太いものが、じゅぶじゅぶと音をたてて柔らかな肉壁を擦り上げる。
真夜中のアルテナの、図書室で、あたしの部屋で、花壇で、玉座で。
数え切れないほど体を重ねた、甘く狂おしい快感があたしを貫く。

「あんっ…あっあっああっ!!」

夢中で彼の身体にしがみつく。
子宮を犯される感覚に、思わず腰が逃げるのを
彼の腕に捕まえられ再び突き入れられる。

「はぁぁんっ!おっきいっ…!あぁぁんっ!」

喘ぎ声も、ぐちゅぐちゅの淫音も、ぱんぱんと肉の打ち合う音もどうでもよかった。
まだ幼い蕾だった頃から、あたしたちのセックスはいつもこうだった。
互いを喰らい、貪り合う、貪欲な獣の性交。
ずちゅずちゅと出入りする巨大な肉棒を性器でくわえ込み、膣で締め付け、
自ら腰を振って快感に溺れる。

「いやぁ!壊れちゃうっ、壊してぇぇ!」

魔導師の肉棒がひときわ深く突きささった瞬間、
あたしの絶叫とともに、のたうつ膣の最奥目がけて彼の熱い迸りが吐き出された。
搾り出すような強引な腰の動きとともに、肉棒がどくどくと脈打っているのを感じる。

「あっ…あふっ…イイよぉ…」

あたしのあごにだらしなく垂れた唾液に、彼が舌を這わす。

「んっ…ここも舐めて」

自慢のよく育った乳房はたぷんたぷんと扇情的に揺れる。
あたしの乳首からは、興奮したときに白い液体がにじむ。
魔導師の頭を乳房に押しつけ、両手でぐいぐい乳房を搾り上げると
そのはちみつ色の髪に乳白色の飛沫が散った。

「いやらしい王女さまだな…孕んでもいないのに、まるで雌牛のようだ」

彼のかすれたテノールの声があたしの膣を勝手に痙攣させた。
あたしは彼の声で発情する。肉棒をくわえ込んだまま、笑顔で。

「いっそ…孕ませてみせなさいよっ…」

彼の青い瞳が笑う。

「上等だ」

魔導師があたしの中から肉棒を引き抜く。
そして砂漠の岩に手をついて尻を突き出したあたしに、後ろから強引に挿入する。
あたしたちは再び獣になる。
中に放たれた魔導師の精液と、あたしの愛液が混ざり合い、泡立って
抜き差しされる肉棒にまとわりついた。

「あんっ、ああんっ!はぁぁんっ!あぁぁ!」

くねるあたしに容赦なく腰を打ち付ける。
あたしが自ら掴んでしごいた乳房から
白い液体が迸り、砂漠に染み込んだ。

「ああっ、おっぱい出てるぅっ…!おっぱい出てるの見てぇっ!」

ぐぷぐぷといやらしい音を立て、そそり立つ巨根が繰り返し突き立てられる。
ぱんぱんと肉の打ち合う乾いた音と共に、ただの牝と化したあたしの嬌声が響く。
一突きごとに子宮から彼に染められていくような感覚に、あたしは震えた。
いっそそうできたら、全部放り出して彼の傍へ駆け寄る事ができたら。

「なかにっ…なかに出してぇぇっ…!」

もう戻れない。そんなこと初めからわかってる。

女を主張する扇情的な衣服も、真っ赤なルージュも、
全てアイツのためだったのに。

嘘も欺瞞もない、清らかな液体があたしのなかに注がれる。
変わってしまった世界の中で、唯一つ変わらないもの。


東の夜が薄っすらと白むまで、
あたしたちは狂った発情期の獣のように、何度も交わり続けた。
何も言葉にしなかった。
お互いの立場のことも、過去のことも、明日のことも。
ただひたすら魔導師は精を吐き、あたしはそれを貪った。


「それじゃあ…またね」


ウィスプが眠りから覚める前に決別しなければ、あたしはきっと戦えなくなるだろう。



立ち去る。
何事も無かったかのように。

次に逢う時がどっちかの最期だなんて、一片たりとも気づかぬふりをして。



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