ケヴィン×リース

365 ◆nWGcrqn3AM氏



「……リース、よけろ!!!」

……え?

ケヴィンの声がしたが、反応しきれなくて、気づいたときにはウルフデビルが迫って居て、
その蹴りをおなかに食らってしまい、私は近くの崖にと吹っ飛ばされた。
追い打ちを掛けようと迫るその黒い獣人を見据え……諦めかけていた。避けられない……。けれど。槍を持つ力を強める。
力が入った……私は槍を、目の前の獣人へ向けると敵のスピードも相まって目の前の獣人へ真っ直ぐ槍を突き刺り、
そしてアンジェラの魔法で隕石が降り注ぎ、敵は完全に息の根がとまる。

ふと、私の体を包む、暖かい光。ウィスプの魔法……ヒールライトが私に掛かったんだ。
ケヴィンは敵の攻撃と私へのダメージを予測して、回復の準備をしていたんだと思う。

敵はいなくなった。よか……った。
傷は癒えたと思うのだが……崖に打ち付けられた衝撃が強かったのか。
気を緩めた途端、いきなり力が入らなくなり、地面へに倒れ込んでしまう。
「リースっ!!」
ケヴィンとアンジェラが駆け寄ってきた。私はケヴィンに抱え上げられる。
「しっかりしろ!リース!!」
真剣な、真っ直ぐな瞳でケヴィンに見られてる。
それを追うようにアンジェラの心配そうな声も、私の耳に入ってくる。
「もうっ、リースっ、ここで気絶したら、承知しないんだからっ!」
そう、言われても……私、もうだめ……。瞼が……重たいよ。

私が瞳を閉じようとした、そんなとき、ケヴィンが私の……唇を合わせてきた。舌を差し入れ、口をこじ開けられる。

「んっ……」

ケヴィンと私の唇が一瞬絡み合ったと思うと、
暖かいどろりとした液体が口の中へ流れ込んできて。
そこで意識を、私は失った……。


ケヴィン……

「リースさま!、リースさまっ!」

その声を聞き、私は目を覚ました。

横には、声の主であるアマゾネスの「フランベル」が、体を揺さぶっていたようだった。
「もう、うとうと寝てしまうなんて!……もうちょっとしっかりしてください!」
「えっ、私……眠ってしまっていたの?」

そう驚いて言うと、息を吐き、フランベルは頷いた
「まぁ、最近は国を治める仕事や、アマゾネス達の訓練の事は分かっていました……けど、
平和になったからこそ、気を引き締めねば、と言っていたのは貴方様の言葉ですよ?」
「そ、そうだけどっ、私は……」
といい掛けたところで口ごもった私を見て、彼女はは笑いを堪えて
「まぁ、リースさまらしいといえば、リースさまらしいですけれどね」
と、そういっていた。

どうやら、私は幻惑のジャングルでの出来事を、夢として見ていたようだった。
そう、ケヴィンについて行った私とアンジェラは、ミラージュパレスへ向かう途中、
敵に襲われて……。
結局口で溶かしたぱっくんチョコを口移しでケヴィンから与えられて、私はその数十分後、気がついて。
目が覚めたときは本当にビックリしたし、ケヴィンの顔も、真っ赤だったなぁ。
あの時は、アンジェラが凄い剣幕で私を見ていたような気がする。
ホントに怖かったよ……。

あの旅は、本当に良い旅だと、思った。
内気さと純粋さは本当の弟の様だったけれど、最後にはみんなをしっかり守り抜いてくれたケヴィンと
すこし勝ち気な言動はあったけど、色々と励ましてくれたアンジェラ。
ちょっとおかしな組み合わせだったけど、彼らと旅をした事は……。
そう、マナの私を巡る冒険。私が成長できた冒険……。

私が今、このローランドへ戻る事ができたのも、ケヴィン達のおかげだった。
でも、何か、物足りない。

何が、物足りないんだろう……。

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用事があって、獣人王から受け取った手紙をローランドの国王、エリオットに渡す。
それが今回の自分の目的だ。フラミーから降り立ったそこは、天かける道。
少し強い風が吹く道ではあったが、を通るのはそんなに苦じゃなかった。
モンスターだって今では片手であいて出来るような相手になってしまったし、
第一、自分が通ると、逃げ出してしまうのだ。好戦的だった彼らが、懐かしく思える。

歩きながら、横目でカールを見る。
こいつときたら、だめだと止めようとしても付いてきてしまうのだ。
獣人王の元で修行をしていたら、いつの間にか月日は通り過ぎ、見た目だえけはすっかりカールも大人の「狼」として、立派に成長していた。それでも自分へ甘えてくるカールは、昔のままではあるけど。
そんな所を見ていると、ふと、こう言いたくなる。
「おいら、成長したのかな?」

そう、カールに聞いてみる。カールが一吠えして「そうだよ」と言ってくれた。
……でも、変りたい、と思ったことは、そんなにない。

変りたくない、そう思っても、鏡の向こうでいつの間にか青年になっている自分が居た。
こんな自分を、彼女はケヴィンであると、想い出してくれるか。
そろそろ、ローランドの入り口が見えてくる。


リース……。

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アマゾネスの一人「アルディエ」が、私の所へやって来た。息を切らせて、相当大切な事なのだろうか。
顔が自然と引き締まり、私はまっすぐ彼女の方へ視線をやる。アルディエは槍を下ろすと膝ついた。
「どうしたの?そんなに急いで」
「ビーストキングダムのケヴィン様が参られました」
「そう。ケヴィンね……」

そうケヴィン……あれ?。ケヴィンて……
ケヴィンが……ここへ……来、来た?

ケヴィンが キタ━━━(゜∀゜)━━━!!??。

「何ですって!!?」
私はつい、立ち上がって、大声を張り上げてしまった。
その声にアルディエはヒッ、と驚いてしまったらしい。
「ご、ごめんなさい……」
つい、恥ずかしくなってしまい、椅子へ腰を下ろした。
にっこりと微笑むアルティエは話を続ける。
「獣人王の遣いで来たそうで。一応お聞きしますが、いかがなさいましょう」
「そんなの、きまっているでしょう?お通ししてあげて」
私は有無を言わせず即答すると、彼女もとても嬉しい顔をして
「はいっ」
と元気の良い返事をすると、すぐさま私の視界から姿を消してしまった。
「……ケヴィン……」

格好良くなってたら、どうしよう……。
一緒に冒険している頃の笑うケヴィンの顔を想い出して、私は考えた。

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先に現国王である、弟のエリオットへの謁見があったようで、少し待たされた。
そして、アマゾネス達に案内され私もエリオットが居る王室へ通される。

「リース。よく来ました」
「はい。国王陛下」
「こちらに」

「ひさしぶり……」
久しぶりに見たケヴィンは、凄く立派に成長していたと思う。
クラスチェンジしたときに感じた「ちょっと大人になった」のとは違う……。
多分、顔は、獣人王を若くした……ってそのままか。
男らしいワイルドさの中にも端正さがあって……凄い素敵なの(言い過ぎかな?)
体格もすごくしっかりしているし、私の背は、彼に追い越されてしまったのではないだろうか。
いつの間にか、私の知っていたケヴィンとはすこし違う様な気がした。

けれど、彼が微笑んだとき、それは私の勘違いだったんだと、思い知らされて。
とても優しい、暖かい微笑みが私に向けられ、私は少し、顔を緩めてしまっていた。

その後、すこしエリオットを交えて、3人で話をした後、ケヴィンを客間へ案内することになった。
どうして他のアマゾネス達に案内させず、私を案内させたのか?。頼んだのはエリオットだったし、
弟としての心遣い……だったのかな?。ちょっと悔しいけど。ありがとうって後でお礼言わなきゃね。

廊下を進む間。少し話をした。ビーストキングダムは月のマナが消失したため、
朝と夜が生まれたと言うことだ。朝の清々しい森がとても好きだって、ケヴィンは嬉しそうに言っていた。
それに、あれから少しずつではあるけど、人を理解しようと思う獣人達が増えてきたらしい……。
「なかよしになること、とても良いことだな!」って。本当に嬉しそうだから……私も嬉しいよ。ケヴィン。

客間は、風景のよく見える窓がある部屋にした。
本当はエリオットが昔使ってた部屋が良かったのだけれど、
だって、私の部屋からとても近い場所にある……って、やっぱり駄目か。


部屋に入るなり、私とケヴィンはいつの間にかベットの上で座っていて……
私は無意識に、ケヴィンの顔に……見入ってしまっていた。
「リース」
「はい?」
「じっと見ていたけど、おいら、何かおかしい?」
不思議そうに彼が聞いてきたから、私は必死に首を横に振った。
「ううん、違うの。大きくなったなぁ、って」
「そう、か」
ケヴィンは俯いて、小さく言った。

「ご、ごめんなさい、何か嫌な事でも、言ったかな」
「違う、リースが言ったこと、おかしくない……でも」
「でも?」

少し、間をおいて。

「おいらが、大きくなると……おいらでは無くなる、そんな、気がする。
おいらは、おいらで無くなってしまうのが、怖い」
自分が自分で無くなる事……成長するのが、怖いというのかな。彼は。
もしそうだとしたら、それは違うことだよ
「大丈夫、ケヴィンは、ケヴィンだから、ね?」
一回り大きくなった目の前のケヴィンに、腕を回す。

ケヴィンに触れた時の暖かさが……父に抱きついた時のぬくもりととてもよく似ていた。
頼りになる、しっかりとしていて、とても優しい暖かさに。

「私は……ケヴィンは、変ってないと思うよ、だって、こんなに暖かいんだもの
最後に自分の国へそれぞれ戻るとき……別れた時から、変ってないよ?」
「りっ、リース……?」

ケヴィンの声が上ずってる……多分顔も赤いんだろうな……。
ケヴィンだけが、ドキドキしてるんじゃない。私だって、ドキドキしてるよ?
だって、こんな事、君以外の他の人だったら、恥ずかしくて言えないしね。
ああ……なんか。ケヴィンを抱いてると、落ち着いちゃうな……。

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リースが自分に抱きついて来た。暖かいんだもん、と言われて……
自分はリースもとても暖かい、とそう思う。母さんに抱かれた時の、そんな暖かさ。
彼女も、最初見た頃より、すこし大人になっていた。母さんのような、そんな感じがする。
とても、良いにおい……女の人の……良いにおい……。

しばらく、そうして居たのだけれど。
だめだ……このままじゃ……。
ぁ、うー。段々履き物が、きつくなってきた。
特に、リースのことを想う、と……。
しかも今日は目の前に本物のリースがいる。

「リッ、リース」
「ん?」
「ちょっと……きつい」
「え、でも、私は、もう少しこうしていたいな」v 「ぅー」

そんなことしていたら、我慢できなくなる……どうにかして、やめさせなきゃ
でも……どうやって

「や、やっぱり、ど」
「ど」
リースは少し顔を曇らせてしまう……リースは、もっとこのままで居たいのかな?
だったら、それをやめるのは悪いことだし……でも

「ど……」
言葉が前に進まない。どうしようかと、いろんな事を考えてた、その時に


ガチャ
「ケヴィンさま、リースさまはこちらn……」

「え?」
「う?」

扉がいきなり開き、目の前にアマゾネスが入ってきて、時は、止まったかのように固まった。

ア→「きゃぁぁぁああああああああああああああああああ」
             「あああああああああああああああああゃき」←リ
             「ああああああああああああああああああう」←ケ

3人は部屋中を響かせるような(自分を含め)悲鳴を上げる。

「ケ、ケヴィンさまって……大胆」
「ち、ちがうっ、これはっ」
「そうよ!リエラ、これはー……」
「なんですかっ!?こんなにしっかりと抱き合っておいて」

「うー」
何も言えなくなる……だって

「すっ、スキンシップです!」
「スキン……シップ?」
「そうですっ!馴れ合いですっ」

「リースさま、それは……」

「だって、ケヴィンは弟……エリオットみたいな物よ!?、ねっ?、ケヴィン?」
「え?……うー……」

「まぁ……、リースさまったら」

リエラというアマゾネスとともに、ただただ苦笑するしかなかった……


……すぐにフラミーを呼んで帰るはずだったのに、
エリオット国王の誘いで、一泊することになった。
食事をして、リースやアマゾネスの皆と軽く話し込んでしまったら
いつの間にか……夜は更けていた。

客間の窓から飛び降りて、風の通る道の見晴らしの良い場所まで来ると、
空を見上げ、ボサボサした自分の髪をなでつけて、色々考えた
たしか……リースと初めて逢って仲間になったのは……。
滝の洞窟の前だ

正確に言えば、牢獄で助けてもらった時だけど、
ちゃんと仲間になったのは、滝の洞窟の前だった。
『私も昨夜、森の中で光を見たんです。追いかけようとしたんですけど、
獣人達がおろついてて…。もし、ご迷惑でなければ、ごいっしょさせてください。
じつは…』
そのときは、あまり実感沸かなかったけれど、この国が襲撃され、
父は暗殺、弟は誘拐という……。悲惨な状況を淡々と話していた。

はじめは、凄くしっかりした良い「お姉さん」だとおもったんだ……。

その後、滝の洞窟に入ってから、変身するところを見せた。
ちょうど洞窟に入る直前に、シェイドの刻に突入したばかりだったし、
それに、リースは女の子だったから……。
はじめは少し驚いていたけど、敵を倒した後、一段落すると
『うわぁ……柔らかそう……なでても良いですか?』
と聞いてきて、あまりに目を煌めかせてるものだから、つい頷いてしまっていた。
『柔らかい……ぬいぐるみみたい……』
にこにこしながら、自分の頭をなでているリースは、どこか「母さん」を想いださせて
少しだけ、泣きそうになった。

色々考えながら、ぼんやり空を見つめる。

……今日は月がキレイだ……。
吸い込まれそうになって、胸がドキドキして……
今にでも[あの姿]になってしまおうかと思ってしまうけど
冒険が始まった、あの日より、かなり立派になった自分の胸に手を当てて、
瞳を閉じ、耳を澄ます。
ローランドの風の音と、心臓の音だけが、耳に入ってきた。


ふと、誰かの気配がして、さっ、と振り向く。
ちょうど、うしろの洞窟の方へ入る入り口のほうから、
あのときと同じように少し驚いたようなリースが立っていた。
……自然と警戒してしまっていたから、鋭い目でリースを射抜いてしまったのか……
すこしやるせない気持ちに駆られ、消え入りそうな声で
「……ごめん」
と言った。


「私こそ……ごめんなさい、聞いたらケヴィンが部屋にいない、
って、アマゾネス達が言っていたものですから」
「うう……」

そんなに時間がたっていたのか……?
申し訳ない気持ちで心がいっぱいになってくる。
……つい

「……つい、風が、気持ち、良かったから……」
そういって、リースの顔を見ると、優しく笑って
「そう……珍しいね。こんなに風が穏やかな夜は」
そういって、彼女は自分の隣へと来て、ゆっくりと腰を下ろしていた。
「夜は、私たちを守るかのように、強い強い風が吹くの」
髪をかき上げながら……風を感じるように
「だから私たちは安心して眠れる……あ。そうか」
今度はこちらをみて、言った。
「きっと、今日と明日は風より強いモンクさんが助けてくれるもんね」
「っ……えっ…?」

みるみる内に顔が赤くなってるのがわかる……。
や、やばいよ……このままじゃ……。

そのまましゃがんで……唇をリースの頬に……近づけてた。



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