Monomania

298氏



まえがき
※ユリエル×バジリオスではなくバジリオス×ユリエルです。
※バジリオス表記だと中の人が萌えないので表記はセシリアになってます。
まあでもぶっちゃけバジリオス。
※実用向きではありません。



――ぎし、となにかが耳障りな音を立てて軋んだ。
同時に手首に覚えた痛みが、彼の意識を急速に浮かび上がらせていく。
「……っ」
どうやら両手は頭の上で拘束されているらしく、動かす度に縄の食い込む嫌な痛みが走る。
転がされた身体の下は、どうやらシーツらしい柔らかな感触。
暗がりの中に、ぼんやりと浮かび上がるのはどこか見たことのある部屋の内装だった。
本当に必要なものしか置かれていない、きちんと整頓された部屋は持ち主の性格をそのまま表している。
「目を覚ましたか」
その部屋の片隅で、ゆらりと影が動いた。
灯されたランプの明かりを、金色の髪が弾く。
首だけをどうにか声の方へ巡らせると、案の定彼の思ったとおりの顔がそこにあった。
「……セシリア」
「こうして二人だけで顔を合わせるのは久しぶりだな。気分はどうだ?」
「さて……良くもなし、悪くもなし……といったところですか」
「ふ……そうか。それは何よりなことだ」
整った口元を笑みに歪め、くつくつと低く笑う美貌の女将軍はいつもの仮面をつけていない。
身に纏っているのもいつもの鎧ではなくかつて彼女が好んで着ていた薄い夜着だが、
彼のよく見知った顔が、彼の知らない冷たい笑みを浮かべている様はまるで別人を見ているようだった。
「お前らしくなかったな、ユリエル。奥の手は最後まで取っておくものだ……とは、
確かお前から教わったような気がしたが?」
「そうですね。少々、油断していたようです」
空母の低いエンジン音が分厚い壁越しに聞こえていた。
先程の戦闘で突然の伏兵に為す術もなく敗れてから、そう時間は経っていないのだろう。
冷静に判断してから、彼は表情を変えることなく彼女を見上げる。
「私の部下達は?」
「あいつらなら、適当に牢へ放り込んである。
心配せずとも、王がいい処分方法を思いつくだろうさ」
「……私ひとりを、部屋にお招きくださった理由を伺っても?」
「過去を取り戻す、と言ったらお前はどうする?」
少し――ほんの少しだけ、ユリエルの顔に狼狽の色が浮かんだ。

どんな冷徹な作戦も笑顔を湛えたままこなしてみせる、
と評された彼の表情を変えたことに満足したのか、セシリアはまた低く笑った。
「そんな顔をするな。あの頃に戻る……ただそれだけの事だろう?」
「本気で言っているのですか、セシリア……」
「ああ、本気だとも」
踵の音も高く、セシリアがゆっくりとベッドの方へ歩み寄っていく。
ぎし、とベッドを軋ませてベッドサイドに腰掛け、ユリエルを見下ろす眼差しはどこか陶然とした色を湛えていた。
「私は母になる……やがて生まれ来る子の父は、お前でなくてはな」
――あのときとおなじように。
音には出さず、セシリアの唇は確かにそう紡いでいた。
「セシリア、あなたは……」
「ふふ……余計なお喋りは、ここまでだ」
言いかけた言葉ごと、重なった唇に塞がれた。
拘束された両腕でははね除けようもなく、滑り込んできた舌に為す術もなく口腔を犯される。
細い指が顎を捉えているので、顔を背けることも許されない。
仕方なくそれに応えてやると、気をよくしたのかセシリアは更に深く口づけを求めてきた。
「……っん……む……」
「っ……ふ……ぁっ」
口づけの間に零れる吐息は既に乱れて熱い。
殆どユリエルにのしかかるようにして身体を預け、セシリアはユリエルの装束に手をかけた。
甲高い音を立てて白い装束の胸元が大きく引き裂かれる。
「っ……お止しなさい、セシリア……」
「無粋な事を言うな。お楽しみは、これからだぞ?」
指が引き締まった胸板を撫で、無惨に引き裂かれた装束を押し広げていく。
そうして露わになっていく肌の上を、ちろちろと舌がなぞっていった。
「く……」

ぎし、と戒められた両腕の間で縄が軋んだ。
常は滅多に取り乱すことのない端正な顔が、
僅かに眉を寄せて耐える様はセシリアを更に喜ばせるだけでしかない。
胸板に唇を這わせながら、彼女の手が下半身のモノを捉えた。
既にはっきりとした熱さと硬さを感じるそこに、にやりと笑うと服の上からそれをしごき上げる。
「……ッ……ぁ……!」
両の手を戒める縄の辺りで、血が滲んでいた。
その痛みで正気を保とうとでもいうのか、
ユリエルは苦悶の表情を浮かべつつも決して声を上げまいと耐えている。
「ふふ……いい顔、だな……ユリエル。ますます……苛めたくなる」
「セシリ、ア……やめ……っ!」
装束の下に潜り込んだ手が、直接それに触れた。
愛おしげに――いやらしい手つきでことさら焦らすように撫で回す。
「……ぅあ……っ」
「ん……あぁ……ユリエル……」
片手の動きは緩めないまま、セシリアは顔を上げてユリエルの顎先を舐めた。
目線だけで口づけをねだり、うっすら開いた唇を差し出す。
最早、拒むことは許されない。
ユリエルもかろうじて自由になる頭を動かし、望むままに口づけてやる。
舌を絡め、歯列をなぞり、猥らに音が立つのも構わず何度も何度も貪るように口づけを繰り返す内に、
セシリアの手の中でソレはますます硬さを増していく。
そうしてユリエルを苛む事で彼女自身も昂ぶっているのか、挑発的に見上げてくる目が熱を帯びて潤んでいた。
長い口づけからユリエルを解放して尚、名残惜しげに彼の首筋に軽く歯を立てる。
「あ……ん……ふふ……私は構わないぞ……好きにイけばいい……」
譫言のように囁いて、セシリアは手でしごいていたソレを今度は口腔にくわえ込んだ。
手とは違う、ぬめるような唇と舌の感触にユリエルが一瞬息を呑む。

「ふ……っ……んむ……」
「う……く……」
濡れた淫靡な音が、低いエンジン音に紛れて消える。
絶え間なく与えられる刺激は、最早両腕の痛みだけでは誤魔化しようもなく。
ユリエルの噛みしめた唇から、僅かに血が滲んでいた。
己の脚の間に跪き、白い肌を上気させてソレに唇で奉仕を続けるセシリアの姿は
喩えようもなくいやらしく、またどうしようもなく愛おしい。
もう自分が幾らも保たないことを自覚しつつも、ぎりぎりのところで踏みとどまってしまう理性がありがたくも恨めしかった。
最後の抵抗とばかりに、戒められた両腕に力を込める。
「……くっ……いけませ……ん、セシリア……ッ!」
「ん、っ……ふ……いいぞ……ユリエル……イって……っ!」
「っ――く……ァッ……!」
頭の中でなにかが爆ぜるのと同時に、思い切り彼女の口腔に精を放つ。
恍惚とした表情でそれを受け止めたセシリアの喉が、
艶めかしく動いて受け止めたそれを飲み込んだ。
「――っ……はっ……は……ッ」
「ふふ……さあ、今度はお前の番だ」
絶頂の余韻に荒く息をつくユリエルの顔の前で、セシリアは夜着の裾を持ち上げる。
すらりと伸びた脚の間、下着などとうに着けていない。
金色の茂みに透けて、濡れた秘所が蜜を滴らせていた。
「舐めろ」
冷酷な軍人そのままの口調でありながら、そこには戦場ではありえない熱が籠もっている。
命じられるままユリエルは頭を上げ、濡れたそこへ直接口づけた。
「っ……」
そこは、もう十分すぎるほどに濡れていた。
猫がミルクを舐めるように舌先で浅くかき乱してやると、
セシリアは肩をふるりと震わせて吐息を漏らす。

「あ、っ……ん……はぁ……あ、……ぅ」
浅いところだけでは嫌だとばかりに、セシリアが腰をくねらせた。
淫らなおねだりに応えて、ユリエルの舌がより深いところを激しく蹂躙する。
「あっ……は……ぁッ……あ、ん……それ、イイ……っ!」
濡れて粘ついた音を立てて秘所を貪り、ぷくりと膨れた肉牙を苛み、その度にセシリアは甘く高く啼いた。
久しく聞いていなかった恋人の、恐らく己しか聞いたことがないだろう甘い声に
ユリエルも抑制が利かなくなってきているのを自覚する。
――もっと声が聞きたい。
どれだけ彼女が乱れるのか――自分が乱されるのか。
その果てを知りたい、冥い誘惑にながされそうになる。
「あぅ……んッ、んんっ……もっと……もっと……ぉ!」
汗ばんだ肌に金の髪を張り付かせ、恍惚に身体を震わせるセシリアは間違いなく美しかった。
夜着を押し上げる豊かな胸元は、やはり下着を着けていないのかくっきりとその頂を浮かび上がらせている。
奉仕する方とされる方、どちらももう、限界だろう。
一気に舌を引き抜くと、セシリアが余韻に浸る間もなくユリエルは肉芽を軽く噛んだ。
「っく……ひ……ああ……ぁぁぁっ!」
びくんっ、とセシリアの身体が大きく震えた。
頽れそうな身体を、ユリエルの胸板に手を突いて支える。
乱れた金髪の向こうに見える美貌は恍惚としていて、目だけが愛おしげにユリエルを見下ろしていた。
「セシリア……」
「っは……は……ふ……ふふ……良い子だ、ユリエル……」
しどけなくユリエルの上に跨り、下腹をまさぐった手で
未だ硬さを保ったソレを確かめてセシリアはとろけるように笑った。
最早用をなさなくなった夜着を脱ぎ捨て、軽く腰を上げる。

「これが……本当にあなたの望みなのですか……?」
「勿論だとも。私はお前が愛しいぞ?お前は……違うのか?」
くちゅり、と音を立ててユリエルのモノが浅くセシリアの中に沈んだ。
互いの感触に深く熱い吐息を漏らし、ユリエルは緩く首を振る。
「いいえ……ですが……っ!」
「ならば、躊躇うこともあるまい……?愛しているぞ、ユリエル……っ!」
熱く濡れた蜜壺が、一気にユリエルを呑み込んだ。
「っは……あぁっ……」
「くっ……セシリアっ……!」
セシリアの胎内はかつて子を一人宿したとは思えないほどきつく、熱く潤っていた。
待ち望んでいた男のモノを、喜んできゅうきゅうと締め上げる。
「は……ぁんっ……いい……ぞ、ユリエル……ふふ……」
自ら腰を動かし、胎内にくわえ込んだモノの感触に酔いしれるセシリア。
眉根を寄せ、快楽に耐えようとするユリエルの青い髪に指を絡ませ、唇に滲んだ血を舌先で舐め取る。
鉄錆めいた血の味すら、快楽を高める材料にしかならない。
「あっ、あ、あ……はっ……」
くたり、としどけなくユリエルに寄りかかり、そのまま深く口づける。
繋がった箇所同様、濡れて熱い口腔を互いに犯すその行為は、余計に繋がっている事を強く意識させた。
繋がる場所、触れる箇所全てが否応なしに快感を高めていく。
「はぁ……あ、んっ……ん……ユリエル……ユリエル……ぅ」
「は……ッく……セシリア……いけないっ……!」
「や……だ……いや……ぁ、ユリエル……のッ……私の、なかに……っ」
譫言のように互いの名を呼びながら、腰を振り立てる。
乱れた吐息も、低いエンジン音も二人の耳には届かない。
お互いの声に更に煽られ、高まり――……そして。
「あ……っあ……ぁぁっ、だめ……だめぇっ……イっちゃ……ッ」
「ぅく……ッ、セシリアっ……!」
「っ……ひぅ……っああああっ!」
セシリアの胎内、一番深いところでユリエルが爆ぜた。
子宮にまで届く熱い奔流に、一際高い声を上げてセシリアも絶頂を迎える。

「あ……っ……ん……ふふ……届いているぞ……奥まで……お前のが……」
「はっ……は……ッ……セシリア……あなたは一体、何を……?」
「言っただろう……?私は……母になる」
快楽の余韻に浸るように、ユリエルの胸にもたれかかりセシリアは低く呟いた。
その静謐な狂気に、ユリエルが視線を落とすとセシリアもまた、彼を見上げている。
ユリエルの碧い瞳を覗き込み、婉然と笑うその様は邪悪というにはあまりに純粋で、
清らかというにはあまりに汚れすぎていた。
「世界は、新しく生まれ変わる。私とお前は……その種子だ」
久しぶりに男を受け入れた疲れか、とろん、とセシリアの瞳が眠たげに濁る。
微睡みながら語るその夢は、果たして本当に夢か、はたまた狂気の産物か。
「これは……二年前、失ったものの償い……今度こそ……」
「セシリア……」
「だから……もう、逃がさない」
愛おしげにユリエルの胸板に頬をすり寄せ、セシリアは満足げに息をついて囁いた。
それは、最早それ以外に道はないのだと告げる無慈悲な宣告であり、
かつて彼らが互いに囁きあったのと同じ、愛の言葉。

――お前は、わたしのものだ。



戻る

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル