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主従の関係を越える

 
 結婚式が終わって、その後の披露宴も終わると、トロデ王が「では改めて」と客をもてなす夜の宴が始まった。夜は長い。
 ヤンガスがエイトに近寄り、久しぶりに旅の仲間で飲みあかしたいと誘ったが、トロデ王が彼をひっつまんで去らせた。訳が分からずふくれたヤンガスに、トロデ王がウインクする。
「エイトもミーティアも疲れたじゃろう。今日はもう休みなさい」
 気付いたククールもエイトを押し込むように城へ戻す。キョトンとしているエイトに、ククールはその肩をポンポンと叩いて、色っぽい目で言った。
「頑張れよ」
 トロデ王の気遣いと、彼の言葉の意味を察したエイトは、一気に顔を赤らめた。
 その間に、ミーティアは衣装を着替えて寝る準備をするというので、小間使いに手を取られていった。エイトにも小間使いがやってきたが、「自分でするから」と断ってしまった。着慣れた服に着替えると、小間使いは扉の側で待っており、エイトを案内しはじめる。
 エイトはミーティアの部屋に案内された。ミーティアは、薄いドレスに身を包んで待っていた。普段着で来てしまって良かったのかと、改めて慌てるエイトと見て、ミーティアが微笑む。
 
 
 
 今日から二人は、ミーティアの部屋に共に暮らすことになる。ミーティアの部屋は、衣装棚、化粧台、本棚といった家具の他に、奥に一回り大きくなったベッドがあった。エイトは、「では」と退出した小間使いに曖昧な返事をしつつ、薄暗い部屋の奥にあるそれをポカンと眺めていた。
 二人は無口になってしまった。
 結婚式が終わって、初めて二人で過ごす夜。何が始まるかは、お互いに知っている。しかし、お互いに言い出せない。
 外ではまだ宴会が続いている。何かを叫んでいるヤンガスの声が、聞こえた気がした。エイトは、ククールを思い出す。
 
『頑張れよ』
 
 エイトは再び顔を赤らめた。彼はさらに黙ってしまう。
 沈黙を突き破るように、突然、ミーティアがエイトを見た。
「エイト」
 驚いた顔でエイトはミーティアを見つめ返す。彼は確かに動揺していた。
「はい」
「…エイト、」
 ミーティアが静かに口を開いた。
「私は、貴方を前から本当に愛していました。今は、貴方の妻になりたいと心から思っています」
「…」
 エイトは、緊張で気持ちが上ずっていたが、ミーティアにこれ以上の事を言わせてはならないと思い、気を改めた。エイトはしっかりと自分を見つめる愛しい女の瞳を、まっすぐ受け止めた。
「姫」
 彼は息を呑んだ。
「…僕と一緒になって下さい」
 ミーティアは照れながら首を縦にする。
「はい。ずっと一緒に…」
 エイトは、今宵より主従の関係を越える覚悟を決めた。
 ミーティアの細い肩を抱き寄せ、そっと口づける。やわらかな感触。互いの唇を確かめ合うように、甘噛みする長いキス。
 エイトは暫くすると、ミーティアを腰から抱きかかえ、ベッドに運んだ。ミーティアの細い四肢が、ベッドに横たわる。
 薄闇に、ミーティアの白い肌が妖艶に光る。恋しそうに自分を見つめる、悩ましげな瞳。それだけでエイトの理性は吹っ飛びそうだった。
「それから、エイト」
 呼ばれてエイトは猛る本能を抑えた。
「はい」
「私を、ミーティアと呼んで」
「…」
 火照らせた頬で、愛くるしい眼差しで、微かに微笑みながら言うミーティアに、エイトは心が弾けそうになった。
「…ミーティア」
 エイトは初めて名前を呼んだ。
 畏れ多いと、言葉はつっかかりそうだったが、今は愛を込めて、自然に言えた。目の前には、満足そうにミーティアが微笑んでいる。
 ミーティアの細い腕が、エイトの項に回されたのを合図に、お互いの唇が再び重なる。激しく愛情を伝える唇。エイトの舌が、唇を割って入り込む。歯列を確かめるように、舌が動く。ミーティアは呼吸が整えられなくなって、口が半開きになった。乱れた呼吸で、いとおしそうに名前を呼ぶ。
「…エイト」
 普段は温厚で、優しい兄のような彼が、こんなにも強いキスをするのか。薄目に目を合わすと、いつもにはない彼の魅力を感じる。
 ミーティアの頬を摩っていたエイトの手が、首筋を辿る。細い首。絡みつく髪を優しく払いながら、鎖骨をつたい、胸に触れる。ミーティアは、あっ、と微かな声を漏らしたが、それ以上の抵抗はしなかった。キスをしながら、エイトの大きな手がミーティアを包み込む。長いキスで呼吸が難しくなってきたのか、興奮のせいか、二人は口で息をするまでになっていた。
「ミーティア」
 エイトは彼女の瞳を見つめながら、その手で服を取り払っていく。ミーティアは恥ずかしさのあまりに手で胸を隠していたが、エイトは優しい笑みを見せて、それを静かに払った。微かな光に反射した、輝くばかりの白い肌。
「…綺麗だ…」
 エイトは思わず口にした。
 まだ誰にも汚されていない、美しく滑らかな肌。自分には遠い存在だと思っていた彼女が、今、裸になって自分を見つめている。恥ずかしそうに目を伏せているが、閉じた瞼の長い睫は、淫猥に自分を誘っているようでもある。
 エイトは見惚れてしまって、暫く声が出なかった。
「恥ずかしい…」
 身体を隠すように、ミーティアは布団に包まったので、エイトは気付いて自分の服も脱いだ。
 今度はミーティアが彼の四肢に釘付けになる。
「…」
 自分とは全く造りの違う肉体。エイトの四肢は細かったが、諸所にしなやかな筋肉がのぞく。
 世界の運命を背負った肩、多くの闇を払った腕、世界を救った手。その逞しさに加えて、垂れた前髪の奥から下目に穏やかな視線を送るエイトは、男の色気がある。
 エイトは布団に隠れたミーティアに近寄り、腕の中に包み込む。互いの肌が触れ合うと、仄かに感じる体温。布団の中で二人は更に温まる。今度は直にミーティアの胸に触れた。
 ビクン、とミーティアの身体が震える。短く、か細い声が漏れた。
「あっ…」
 いとおしい声。
 恥じらいと快楽に悶えるミーティアを、堪らなく愛しいと思った。エイトは唇に軽くキスすると、首筋から胸にキスの雨を降らせた。
 エイトは、夢心地か自我の限界か、次第に貪るようにミーティアを愛撫した。ミーティアの嗚咽に似た甘い吐息が漏れる度に、それは激しくなっていく。
 指で、舌で。
 彼女の声を求めるからか、自らの欲求の為にか、エイトは本能のままに白い柔肌を喰らう。
 獣のように自分を求めるエイトを、薄めに見つめていたミーティアの瞳から、一筋の涙が伝った。気付いてエイトが顔を覗き込む。
「…どうしましたか」
 我に返ったかのようなエイトが、心配そうに見つめた。その表情はいつも見せる可愛らしい彼である。
「すいません、痛かったですか」
「いいえ、いいえ」
 ミーティアは顔をぶんぶんと横に振った。涙を溜めた新緑の瞳は切なげにエイトを見つめる。
「…嬉しくて」
 吐息の合間に声が漏れた。
「エイトが、私を…愛してくれるなんて」
 ミーティアは、この夜で知った甘美な笑顔をエイトに見せた。冬でも花が咲くような、美しい姫。清らかなかつての姫は、今日一晩でこの上ない雌になる。エイトは、頭が真っ白になるような芳しいその雌の匂いで、本能を解き放つ。
「…ミーティア」
 その手はミーティアの太股を割り、柔らかい彼女自身へと向かう。
「い、や…」
 眉間に皺を寄せ、恍惚と理性の狭間で身悶えるミーティアを、エイトは更に味わうように口付ける。息を荒げながら交わすキス。唇と唇に糸が引く。苦しそうに細い腰を捻り、ミーティアから声が漏れる。
「…エ、イト…っん」
 時折、エイトの指が核心に触れるのか、ミーティアの身体はビクンと波打つ。泣くような甘い声を伴って、瞳は潤み、それはエイトを更に昂ぶらせる。 「…いい、ですか…」
 エイトが、息を弾ませながら静かに言った。ミーティアは、何の事か分かった。心の準備は出来ている。
 コクン、と頷く。
 エイトはミーティアの足を跨ぎ、彼女の脇下に手を付くと、ゆっくりと腰を送り出す。ミーティアは、これから自身へ入るそれを恐る恐る見た。ミーティアを求めていきり立つそれを、自分は受け入れられるのだろうか。ミーティアは緊張と恐怖で肩を強張らせていた。エイトも緊張した。
 ゆっくりと、ゆっくりと挿入する。
「は…っ…」
「…あぁ、」
 エイトがミーティア自身の体温を捉えた瞬間、ミーティアの顔が苦痛で歪んだ。
「うっ、っつ…」
「大丈夫…ですか?」
 心配そうにエイトが言った。彼の顔は不安に満ちている。ミーティアは、腰を引いた彼の前髪を両手で掻き分けて、笑顔を振り絞った。
「続けて…お願い…」
 震える声が聞こえた。
「エイトを受け止めたい…」
 破瓜の痛みに耐えながらも、自分を受け入れようとしてくれる。エイトは心が震えそうになった。
 エイトは彼女の決意を無駄にしないよう、再び腰を押し付ける。ミーティアの身体は、エイト自身が入り込む度に大きく震えた。彼に掴まっていた彼女の腕は、か細くその胸を掻きむしった。ミーティアの痛みは、爪を通じてエイトの胸に刻まれる。エイトはその手を握り締めた。
「ミーティア…!」
「エイト…。分かります、今…ひとつになった…」
 息も絶え絶えに、ミーティアは苦痛の中からも、嬉しそうにエイトを見つめた。その微笑みは眩く神々しい。エイトは改めてミーティアに恋をした。
「痛い…ですよね」
 まだ眉を歪め、懸命に痛みに耐えているミーティアに額には、じんわりと汗が出ていた。
「もう少し、このままで…」
 正直、エイトはあまりの心地よさに果ててしまいそうだった。初めて男を迎えた子宮は、ヒクヒクとうねってエイト自身を締め付ける。この世のものとは思えない程の恍惚。エイトは全身を抱きしめられる感覚に浸かりながら、ミーティアに繋がってキスをした。
 痛みが緩和したのか、それとも痛みを超えて麻痺したのか、感覚的な苦痛は次第になくなってきた。ミーティアは、エイトがしたい事が分かっていたので、暫くして言った。
「エイト…、平気です。…だから…好きなように…」
 彼女の口から、こんな事を言わせるなんて。
 エイトは繋がった感激と、ミーティアの深さに感動が溢れた。思い切って、口にする。
「動いていいですか…」
 ミーティアはコクンと頷いた。エイトがゆっくりと腰を動かすと、再び痛みが襲うのか、彼女の顎が上がった。細くて美しい首筋が露になる。そんな姿にエイトは益々興奮していく。抽挿が次第に激しくなっていく。
「あっ…ん、はぁっ…」
 エイトが動く度に、ミーティアから悲鳴に似たような切ない声が漏れる。淫靡な声は、エイトを更なる恍惚の世界へと誘う。
「はぁっ…はっ…」
 エイトの呼吸がかなり荒々しくなってきた。やがて来る絶頂に、身体が最高潮に熱くなる。前髪から汗が滴って、ミーティアの胸に一滴ずつ落ちる。快楽に踏み込んでいく伏し目のエイト。その姿を薄目に見て、ミーティアも甘美に心を奪われる。 「は…っ」  瞬間、エイトがビクンと震えた。
「ぁ…」
 ミーティアの中で、ドクドクと波打って頂点に達したエイト自身が分かる。エイトから溢れた愛液は、じんわりとミーティアの中に融けていく。
 不思議な感覚。
 ミーティアの手を掴んだまま、エイトは肩を上下させながら、うっすらと瞳を開く。その姿の何と色っぽいことか。
 全てを吐き出して今は萎えたエイト自身を、ズルリと抜き出す。ミーティアの中から、トロリとした血液が流れた。それを見たエイトは、心が一杯になって詰まりそうだった。
「…痛かったでしょう…」
 まだ荒い呼吸を整えながら、ミーティアは輝かんばかりの笑顔で答える。
「いいえ。私、エイトを受け止めることができて…本当に嬉しい」
「…ミーティア」
 痛くない筈がない。エイトはミーティアを抱き寄せて、ギュッと腕で包み込んだ。汗が引いてひんやりとした体。少し寒くなって、二人は布団に潜り込む。
 
 
 
 遠くでは、まだ酒宴が続いている。笛や太鼓の音が僅かながらに部屋に届いた。
 見つめ合う二人。初めて繋がった体。明日からは、今までとは全く違った二人の生活が始まる。だから、明日までの今日は、特別な日。  
 
 
 エイトとミーティアは、手を繋いだまま、ずっと宴の音を聞いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【あとがき】
はじめて。はじめてです。はじめてなんです。
主姫もですけど、何より私の処女作です(笑)。  
 
 
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