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スレイヴ

 
僕は貴女につながれた奴隷。
貴女に心を奪われて、縛られている。
でも、それが僕の密かな悦び。  
 
 
 
 
「エイト、大好きです」
 この言葉で僕は、深い愛に落ちていく。
 貴女が頬を赤らめながら言うたびに、僕の胸の奥は熱くなって、締め付けられて、苦しいのに、喜んでいる。
「僕も…貴女を愛しています」
 慣れない言葉を口にする。
 すると、貴女も更に頬を真っ赤にさせて、俯きながら喜んでくれる。
 愛しい姫。
 貴女の全てを見せてください。
 貴女の全てを、僕にください。
「今夜は…抱いても?」
 僕が囁く言葉に恥ずかしそうに照れて、上目使いに僕を見つめる。
 その瞳に、僕は一瞬にして囚われる。
 そしてコクンと貴女が頷くとき、僕の心は火照ってくるのです。
 貴女という檻に入り込んでしまうのです。
 
 ベッドの上の貴女は、昼の貴女とは違う。
 輝く太陽の下で爽やかに笑う貴女も素敵だけど、差し込む月明かりに照らされて、微かに微笑んでいる夜の貴女は、もっと美しい。
 うっとりとした瞳を見せて、上目の眼差しで魅惑的に誘う貴女は、僕しか知らない秘密のもの。
 誘われるままに僕の手は伸びて、いつのまにか貴女の頬を包んでいる。
 小さな顔は僕の手の中にすっかり入ってしまって、その輪郭を確かめることができる。
 手の中の貴女は、伏し目に微笑して、照れながらも僕を待っているようだ。
「姫…」
「二人だけの、この時は…、“ミーティア”と呼んで」
 気付いたように、少し膨れる貴女もかわいらしい。
 心でそう思いながら、慌てて僕は訂正した。
「…ミーティア」
 僕から呼ばれた貴女は、とても嬉しそうだ。
 僕も、何処かくすぐったくて、嬉しい。
 親指で貴女の唇に触れる。
 ふっくらとしていて瑞々しい、桜色の小さな唇。それに触れたくて堪らない。
「…」
 僕の唇が、貴女のかわいらしいそれと重なる。
 僕は貪るようにそれを覆って、上唇も下唇も、全てを自分の唇で確かめる。
 その柔らかさを味わったら、口の中に入り込んで、中の温かさを感じる。
 歯列を確かめるように舌を這わせて、貴女の舌に絡ませる。
「ん…ん…」
 荒い呼吸を補うように漏れる、貴女の甘い声。
 聞いただけで、とろけそうになる。
 長いキスを解き放てば、貴女は瞳をトロンとさせて、恍惚とした表情で僕を見つめる。
「エイト…」
 この眼差しは僕だけのもの。僕だけに見せてくれる、淫らな瞳。
 でも、もっと見せて欲しいのです。
 再び唇を重ねて、僕は貴女に近づく。
 腕を絡めて、貴女を離さないようにする。すると貴女も僕の背中に細い腕を回して、キュッと抱きしめてくれる。
 愛しい人。
 もっと注ぎたい。
 僕の愛を、僕の全てを。
「ミーティア…」
 僕の手は貴女の首筋を伝って、鎖骨から丁寧におりていく。
 震えるように僕の指を感じてくれているのが、とても嬉しい。
 透き通るような肌の感触を堪能すると、僕は愛のままに、本能のままに、貴女の胸へと向かっていく。
 乳房の膨らみに手を添えて、ゆっくりとそれを動かす。
「んんっ…」
 吸い付くようにきめ細やかな肌と、例えようのない柔らかな感触。手と指が、それを求めている。
「あぁ…あっ…」
 乳房の頂にある突起を指で悪戯する。
 貴女の身体はピクンと震えた。
「…かわいい」
 僕が小さく呟くと、貴女は恥ずかしそうに瞳を伏せて、「いじわる」と言いながら微笑んだ。
 その姿が堪らなく愛しくて、抱きしめたくなる。
 僕は少し笑って、顔を伏せると、舌で先程の感触を堪能した。
「や…エイト…」
 頬を紅潮させて、甘い悦びに呼吸を早くしている。
「あ…あぁ…っん」
 貴女の鳴く声をもっと聞かせてください。
 僕は無性にそんな気になって、益々貴女を責めたてる。舌は乳房を弄び、指は更に下へと潜って、しっとりと湿った茂みへと向かう。
「あ、んっ…エイト…ッ」
 僕だけしか知らない場所。
 貴女の全てを見せて欲しいと、僕の指が懇願している。
「いや…恥ずかしい…」
 僕を求めて溢れるそこは、唾液で補わなくても十分に濡れていた。
「感じる所を、教えて下さい」
 僕はそう言って、貴女の敏感なところを彷徨い探し始める。
 指が茂みの中を探る度に、ビクンと貴女が波打った。
「…アッ…」
 貴女のかわいい口は締まりなく開いて、なすがままに荒い吐息を漏らしている。
 綺麗だ。
 改めてそう思う。
 淫靡に歪む顔も、快楽に悶える声も。溢れる官能に眉をひそめて、懸命に理性と繋がろうとするその姿も。
「…ミーティア、…どうにかなってしまいそう…」
 瞳を潤ませながら、うっすらと瞼を開いて言う貴女。
 僕はそうなって欲しいのです。
 最高の快楽へと至り、果てたその顔が見たいのです。
「もっと…見せて…」
 胸に蹲っていた顔を上げて、僕は耳元で再び囁く。
 僕も息が上がっていて、掠れた声は吐息ほどしかない。
 貴女は僕の顔を薄目で見て、火照らせた顔をしていた。
「力を…抜いて下さい…」
 僕は貴女の中に指を入れた。
「あぁ…っ…!」
 つっぷりと浸入した指に、貴女の中が確かに震えた。
 細くて美しい顎が上がる。
「気持ちいいですか…?」
 耳を齧るように僕が囁く。
 貴女は瞳を閉じて、長い睫を見せて、恥ずかしそうにコクリと頷いた。
 あぁ、なんていとおしい。
 貴女のその快楽に困惑する表情が、僕を捕らえて離さない。
 それは無性に僕を掻きたてる。僕の欲望は更に高まって、指の動きが自然と速くなる。
「あっ…あっ…ん」
 その度に貴女は身をくねらせて、官能に踊り舞う。
「もうっ…、駄目…っ」
 貴女はうっすらと開いた璧色の瞳を震わせて、お願いするように僕に言う。
 瞳は少し潤んでいて、ひそめた眉とともに淫らに見える。
「僕も、もう…」
 貴女への想いがいっぱいになって、僕の欲求は限界になる。
「…入らせてください…」
 貴女を求めてやまない僕自身を、力ない貴女の足をくぐって送り出す。
 十分に滑らかになったそこは、すんなり僕を受け止めてくれた。
「あぁ…エイト…」
 貴女の中は、僕をどう感じてくれますか?
 繋がった瞬間に伝わるこの温かさを、同じく貴女も感じますか?
「ミーティア、」
 僕はそのまま、無心に僕自身を送り出していた。
 貴女が離れないように、確りと肩を抱いて、奥まで押し込む。
 狭い中を突かれて、貴女は首を横に振る。
「んん…、はっ…あぁ…」
 貴女は苦しいのか、気持ちよいのか、朦朧として僕の首に腕を絡める。
 その姿は、この世で一番美しい。
 抽挿を繰り返す度にじわじわと走る快感を、貴女も味わってくれているのですか?
「…愛して、います…っ」
 呟くように、僕はそんな言葉を何度も言っていた。
「ミーティアも、エイトの事、大好き…」
 声も身体も弾ませて、鳴くように貴女が応えてくれる。
 そんな貴女がたまらなく愛しくて。
 そんな想いが、僕の腰の動きを一層速くした。
「ぁぁあっ…っ!」
 貴女の嬌声とともに、貴女の中がビクンと大きく震えた。
 僕の全てを吸い取るように、僕自身を絡めとる。
 そう、今、最高潮に達した貴女を、僕にください。
「…っ、はっ」
 心の中で湧きあがる貴女への愛欲と、身体から伝わる官能が達する。
 全身の血流が貴女に注ぎ込まれるような感覚。
 僕の全てが貴女へ流れる。
 満たされた悦楽の中で、僕は貴女に溶けていく。
 
 
 
「…エイト…」
 恍惚とした瞳で、うっすらと僕を見つめる貴女。
「ミーティア」
 朧げな貴女を腕に抱き寄せて、僕も愛を込めて見つめ返す。
 きっとこの顔は、他の誰にも見せられない。
 
 今の僕は、貴女を守る騎士ではなく、
 貴女に繋がれた愛の奴隷だから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【あとがき】
ここまでくると、敬語タイプが
別の意味でとてもいやらしいです(笑)。
エイトが意地悪に見えてくるから余計に、えぇ。
 
 
 
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