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からめた こゆび

 
 小指を絡めて、秘密の約束。
 この仕草がすきなのは、
 約束をしたいわけじゃなくて
 秘密という小さな“罪”を分かち合いたいから?
 
 
 
 
 
 皆の前にいるエイトももちろん好きよ。
 少しぼーっとしてるというか、あどけない顔でテクテク歩いているのを見ると、ついつい笑顔がこぼれちゃう。いつも穏やかで、皆を優しい瞳で見てる。
 だから、時折真剣な顔になると、ミーティア、ドキッてしてしまうの。戦うときのエイトの真っ直ぐな瞳、今でも忘れられないわ。
「…どうしたの?」
 エイトが不思議そうに見つめてくれる。そう、そのキョトンとした顔もミーティアの好きな顔のひとつ。
「ミーティアと二人きりの時のエイトって、いつもと違うのね」
 あんまり可愛い顔だから、エイトがまともに見れないわ。エイトの胸のあたりばかり見て。きっと私、照れているのね。頬が赤いんだろうって、もう分かってる。
 エイトは聞いて軽く微笑んでくれた。
「君の前でしか見せれない顔だってあるよ」
 そう、今の顔。
 その微笑みは、皆の前では出ないもの。
 ミーティアにしか見せない、色っぽい微笑。少し瞳を細めて、結んだ口元に微笑みをためて。何処となく大人びている、ミーティアを包み込むような優しい笑顔。
 エイトって、素敵ね。
 まっすぐに見つめる瞳が、とっても綺麗。
「…こんなエイト、他の人には見せたくないわ」
「見せないよ」
 ミーティアだけの、秘密のエイト。
 独り占めできるのね。
 そう思うと、ドキン、って心臓が締め付けられる。すごく嬉しいのに、なんだか切なくて、もどかしくて。
 やっぱりエイトを真っ直ぐに見れなくて、チラっと上目で盗み見てしまうの。お父様には、ちゃんと相手の顔を見るように!って教わったのに。だめね。
「ミーティア、好きだよ」
 恥ずかしそうに、でもとても甘い声で囁いてくれて。その一言で、ミーティア、魔法にかかったみたいにポーッとしてエイトを見てしまう。
 エイトがこんな事を言ってくれるなんて、少し前までは考えもつかなかったわ。とっても嬉しくて、心が弾けそう。
「ミーティアも、エイトの事…大好き…」
 何回言っても照れてしまうの。結ばれた今だって、こうしてエイトと居るだけでミーティアの頬は熱ってくるんだから。
 エイトの大きな手が、私の顔を包み込む。大きくて、温かい手。
 エイトに触れられると、ミーティア、ビクンって震えてしまうの。
 触れられた肌も、心も、魂も。
「エイト、愛しています」
 その手に自分の手も添えて、反芻するように瞳を閉じる。この瞬間が大好き。堪らなくいとおしい。
「…僕もだ。ミーティア、愛してる」
 エイトはゆっくりと近付いてきて、ミーティアに口付けしてくれる。瞳を閉じたエイトの顔が好きだって感じるのは、ミーティア、きっと目が開いているんだわ。
「‥‥‥ん」
 しっとりとした、厚みのある唇。痺れるようなキス。
 ずうっとしていたいの。
 エイトを感じていたいの。
 口付けで想いが伝わるなら、どうかミーティアのこの「好き」を届けて。どんなにエイトに恋しているか、どんなにエイトを愛しているか、この全てを。
「…んっ…ん」
 エイトがミーティアの肩を掴んで、ギュッて抱き寄せてくれる。そのまま身体を預けて、更に唇を交し合って。
 あまりに甘いキスをするから、ミーティア、溶けてしまいそう。
「…はぁ…っ」
 呼吸が苦しくなると、唇から吐息が漏れてしまって。
 頭がクラクラしちゃうわ。
「ミーティア」
 唇から開放されると、エイトは力強く抱きしめてくれた。嬉しい。
 エイトの胸の中は、ミーティアのお気に入りの場所なのよ。
 ドクン、ドクンって、暖かい心臓の音がするの。それを聞いていると、ミーティアの心臓もドクン、ドクンって脈打っているのが分かるわ。
「…ずっとこうしていたい」
 エイトは耳元で擽るように言って、首筋にキスを落としてくれる。この時は、いつもビクビクッて驚いてしまうの。ミーティアの首、こんなに敏感だったなんて。
「…かわいい」
 ミーティアの肩に蹲りながら、エイトが微笑んでる。優しい笑みを含んだその唇は、そのまま鎖骨を下って、キスの雨を降らせてくれる。
「あっ…」
 黒い前髪の間から見える瞳。真っ黒の長い睫。
 ドキドキしてしまうわ。
 ミーティアの胸の中に居るエイトって、とっても色っぽくて。
 そう見惚れている間に、エイトは寝着のホックをプチプチ外して、ミーティアを裸にしていくの。いつもこの時は恥ずかしくて、なんだか苦手。
 多分、分かってる。
 ミーティア、身体に自信がないからなんだわ。
「…寒くない?」
 俯いて大人しくなるのは、寒いからじゃないのよ、エイト。
 でも何も言えなくて、コクンと顎だけで返事してしまう。
 全てを見せるのは、いつになっても慣れない。
 エイトは綺麗だって言ってくれるけど、ミーティア、そんな事思ったことないわ。お胸もないし…。身体もそうだけど…顔だって、そんな綺麗じゃないわ。
 それに旅の途中では、エイトと仲良く話しているゼシカさんにだってヤキモチしてしまったのよ。
「エイト、ごめんなさい」
「…どうしたの?」
 申し訳ない気持ちがいっぱい。
「ボンッ、キュッ、ボーン、じゃなくって…」
 ミーティアの言葉を聞いて、エイト、吹き出したみたい。ブラを外す手が止まってる。
「だ、誰に聞いたの…?…そんな言葉…」
「ククールさん」
「…」
 エイトはガクッと頭を落として、暫くうな垂れていたけど、上目にミーティアを見つめて、
「ミーティアは十分、ボンッ、キュッ、ボーン、だよ」
 って。胸に顔を埋めて抱きしめてくれた。
「いつだって僕は君にクラクラしてる」
「…エイト」
 エイトはどんな不安も取り去ってくれる。なんて素敵な人。
 慰めてくれるの?すごく優しくミーティアに触れてくれるのね。
 肌も髪も、全てエイトに包まれるような感じ。
 ミーティアも、エイトの着ている服を脱がせる。ボタンをひとつひとつ、ゆっくり外していくの。たどたどしい手つきでも、エイトは待っててくれる。
 少しずつ現れるエイトの四肢に、いつものことながら釘付けになってしまうわ。
 エイトは脱がされるままミーティアの胸に顔を埋めて、指と唇で愛してくれる。
 ミーティアの膨らみを弄ぶエイト。うっすらと閉じた瞳に映るその姿が、ますます身体を火照らせて。
「あっ…エイト…」
 こんな声が出るなんて。ミーティア、最初はとても驚いたのよ。本当はこんな声、恥ずかしくてあまり出せないんだけど、
「もっと、声…聞かせて…ミーティア」
 エイトがそう言うからなんだから。
 恥ずかしがらずに、正直に声を出してって、そう言ってくれるからよ。
「…ん」
 でもまだ恥ずかしくって、「では思いきり」とはいかないわ。そう言われた瞬間は、何も言えなくなっちゃう。
 ミーティアが黙っていたら、エイトの唇が急かすようにミーティアの弱いところを責めたてて。
「…あっ、…」
 本当はね、声の他にも正直に言いたいことはあるの。
 もっと触れて欲しいって。もっと抱いて欲しいって。
 こんなこと、恥ずかしくて言えないわ。だからミーティア、こんな声で訴えてるのかもしれないわね。
「ミーティア、もっと鳴いてごらん」
 エイトの指が優しく、でも少し意地悪に動いて、ミーティアを責めてくる。
 痺れるような甘い刺激。これが官能っていうものかしら。
「…あっ、ん…あぁ…」
 どうか嫌いにならないで。この悦びを知ったミーティアを。
 どうか深く深く愛して。エイトを求める淫らな身体を。
「はぁ…っ、…あっ…ァ!」
 エイトの指がミーティアの茂みの中へ入っていっちゃう。もうエイトを感じて濡れきっていたから、恥じらいが込み上げてきて。
「…もうだいぶん濡れてるね」
 そんな事言わないで。ミーティア、エイトの顔が見れなくって、真っ赤になった顔をそむけしまうの。
 エイトはそんなミーティアを見て穏やかな微笑を見せて。でも、そんな笑顔とは全く逆に、エイトの指はしっかりミーティア自身を攻めてきて。
「あァ…っ、い…や…ッ」
 あまりの官能に顎があがってしまう。全身が震えて、立てないくらい感じているのに、エイトは指の動きを止めなくて。
 熟れて膨らんだミーティアの蕾を、イヤというほど愛撫するエイト。身体中に蜜のような甘い刺激が走り抜けていくの。
 どうにかなってしまいそう。
「ミーティア、感じているの…?」
 顎が上がって露になった喉元。エイトは軽く唇を滑らせて、耳に近付いて囁く。こんなエイトに、ミーティアの身体がまた反応してる。
 息ができなくて、コクン、とだけ頷くの。
 でも本当は、「感じてる」って口では言えないだけかしら?
 狡い私。
 甘美で満たされて、全身で呼吸をしているミーティア。
 でも、エイトはまだ。
「…もっと感じて…」
 淫靡な水音を立てていたそこへ、エイトの指が滑るように入り込んでいく。
「…アッ‥‥ッ!」
 ミーティアの中でエイトの指が悪戯してる。指の腹はミーティアの壁をつっついて、何度も出たり入ったり。
「あぁっ…エイト…ッ」
 お願い、許して。
 …でも何に?
 官能に溺れながら、微かな思考でそう考えているの。
「ミーティア…」
 エイトは色っぽい眼差しで、ずっとミーティアを見てる。
 あぁ、そんな瞳で見ないで。背中からゾクゾクとした官能が走って、ミーティア、もう戻れなくなりそう。
 荒い吐息で、淫らな声で、叫んでしまいそう。
「あァ、エイトッ…」
 エイトが欲しいって言いたいの。貴方を頂戴って。
 こんなになってもまだ照れがあって、ミーティア、なかなか言えないの。
 だから。
「あっ」
 これが欲しいのって、触れてみる。
 エイトがミーティアにしてくれたように、ミーティアもエイト自身に触れて愛撫する。触れた一瞬、エイトがビクンって震えたわ。
 かわいい。
「…ミーティアッ…」
 色っぽい瞳でミーティアの手の動きを見てるエイト。息遣いが荒くなって、悶えてる。
 先端から湿りを帯びてくるのって、気持ちが良いから?ミーティアと同じだと思っていいかしら?
「…僕のが欲しいの…っ?」
 触れてまで、そんなに?って、エイトが言う。ミーティア、淫らな瞳で見つめるエイトに魅了されて、コクンって頷いてしまったわ。
 そのままじゃ、何だか恥ずかしいから、またキスをするの。
 相手の全てを味わうような、激しいキス。
 
 恍惚の中で気付いたら、エイトはミーティアを寝かせて、脚を抱えていて…
「ミーティア…」
 ググッと押されるような感覚。エイトがミーティアの中に入ってくる。
 切ないくらいによく分かるの。エイトが熱くなって、ミーティアを求めてることが。
「あぁっ…、エイト…ッ」
 とても一緒になったって実感するの。凄く嬉しくて、何かに感謝したくて。
 ミーティアを見下ろすエイトを見ながら、悦びがこみ上げてくる。
「…繋がったね」
 伏し目のエイトがとても魅惑的。「好き」で心が詰まりそう。
 エイトになら、何をされても構わないわ。ミーティアの全てを見せても恥ずかしくない。
 そう思いながらエイトの胸に触れていたら、エイトはミーティアのその手を握って、ゆっくりと腰を動かし始めたの。
「…んっ…ん…」
 深くエイトが入り込むたび、ミーティアの中が貫かれるような感覚が走っていく。その激しさに、頭を左右に振ってしまう。
「あぁあ…っん…」
「ミーティア…」
 ミーティアが声を出すと、エイトの動きはだんだん早くなって、ミーティアの声を求めるように、突き上げてくるの。  深い息を漏らしながら、強請るように。
「やっ、あン‥‥すごい…ッ」
 エイトは瞳を閉じて腰を送り出してる。前髪が汗で濡れて、束になって雫を溜めていて、その姿にさらに胸が締められるの。
 身体はもう耐えられない程に熱くなって、呼吸もできないくらい激しくて、身体中に走る快感が頭まで痺れさせてる。
 肌と肌の触れ合う音。ミーティアとエイトが交じり合う音。
 ベッドの軋む音。二人の荒い吐息。
 全てがミーティアを昂ぶらせていくの。
「あん…っ、…あぁ‥‥はぁっ、ン…」
 ミーティアの声はもう官能に悶える声じゃなくなって、快感を求め彷徨う声になってる。
 自分でも分かるの。エイトが連れて行ってくれるこの先に、ミーティアも行きたいって思ってるって。
「ミー、ティア…ッ」
 エイトがくぐもった声で名前を呼んで、ミーティアの中が震える。
 この瞬間。
 いま、物凄く大きな悦楽の波が押し寄せてくるわ。
「アァッ……ッ!」
 繋がった所から駆け抜けるような、でもじんわりとするような果てしない甘さが広がっていく。
 感じるの。エイトがミーティアの中でドクン、ドクンって震えてる。心臓と同じように、エイトが波打ってる。
 エイト。エイトを全部、ミーティアに頂戴。
 そしたらミーティア、とっても深い所に沈んでいけそうなの。
 限りなく優しい漣に溶けていけるの。
 
 
 
 今、ミーティアはエイトがくれた幸せの中にゆったりと居ます。
 少し前までは、ただ単純に「エイトのお嫁さんになりたいな」って思ってたけど、そう、結ばれるって、こういう事なのね。
 底のない深い愛に身を委ねて、支えあっている。それはとても素敵なこと。
「エイト」
 ミーティア、肩で息をするエイトに微笑みながら小指をさし出すの。
「…どうしたの?」
「…約束して欲しいのです」
 汗の引いてきた身体が、冷たくて気持ちいい。
「ミーティアを、ずっと愛して」
 エイトが、何を今更、って顔をするの。それがとても嬉しくて。でも、それでもミーティアに付き合ってくれるの。エイトって本当に優しい。
「約束するよ」
 布団の中で、絡まる小指。ミーティア、ゆびきりが大好き。
 
 二人は、ずっと繋がっているのよね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【あとがき】
多分、ミーティア姫はもっとかわいい筈。
一人称、撃沈でございます。
 
 
 
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