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Could U whisper in my ear? 僕の耳元で囁いて。 僕の全てが欲しいと。 その甘い吐息で囁いて。 僕が君の感じる全てを味わうために。 こんなにも人を愛することができるなんて。 今までどうして「こうなること」を恐れていたのだろう?「こうなること」に自我を忘れそうだったから? 「ねぇ、エイト。手を繋いでも良いかしら」 「うん」 枕元でミーティアがスルリと手を差し出した。エイトがそれを握る。 エイトとミーティアは積年の想いが叶って、今、こうして二人眠る。本当に想い合った二人が結ばれることは、両国の先祖とて土の中で喜ばしく思っているに違いない。 エイトが運命に翻弄された夫婦の落とし子だったことは、ミーティアもクラビウス王より聞いた。 記憶もなく、素性もしれない自分の出生を知ることが出来たのは幸いだった。それに、今までと変わらぬ待遇で迎えてくれるトロデ王にも感謝せねばならない。 そして、隣に横たわる愛しい人にも。 「ミーティア」 エイトは繋いだ手を引き寄せて、ミーティアを抱きしめた。胸の中に収まるミーティアは、少し驚いたような顔をしたが、すぐに頬を赤らめながら微笑んだ。 「ドキドキして、眠れなさそう…」 下目にミーティアが照れながら言う。 これからはこの愛しい人を、身分や立場にとらわれずに愛していきたい。かつての自分の父がそうであったように、何物にも代えがたいこの愛を貫いていきたい。 「…何を考えているの…?」 不思議そうにミーティアが尋ねる。エイトの唇に触れて、求めるようにその輪郭を指でなぞっていた。 「…君の事」 エイトが笑う。 「ミーティアの事?」 「うん」 全てが溶けてしまいそうな甘い空間で、エイトは胸元のミーティアに囁いた。 「好きだよ」 耳元で聞こえる愛の言葉は、くすぐったいのに心地よくて、ミーティアはとろけそうになる。顔を真っ赤に染めて、ミーティアも囁いた。 「私もエイトが大好きです…」 「ミーティア」 見つめ合った二人の唇がしっとりと重なる。その柔らかい感触は、背筋を突き抜けて甘い刺激を伝えていく。 「…ん…」 お互いに頬や髪を触って、唇以外からも相手を確かめる。エイトはミーティアの細い肩を抱き、それに繋がる心地よい柔肌を撫でていた。まるで陶器のように白くて滑らかなミーティアの腕は、エイトの背中に絡んで、その黒髪を撫でている。 夜はシンとして音もなく、気配のみを漂わせてそこに居る。うっすらと、オレンジ色の蝋燭の灯が二人をほんのり照らしている。 「ん…んん…」 互いの舌が絡み合い、指は愛撫を重ねていく。エイトの手が、ミーティアの胸に滑りこんだ。 「あっ…ん…」 まるで誘うかのようなミーティアの柔らかい胸。上気してほんのりピンクになった肌は、艶やかで、とても触り心地が良い。触れる度にピクンと反応するその身体は、エイトの本能を呼び覚ます。エイトはミーティアの胸に潜り込んで、唇でもその感触を確かめた。 「…あぁっ」 離れた唇から漏れる、深い吐息。甘くて、切なげにエイトを呼ぶ。 「エイト…っ」 鳴くように、強請るように。声とも呼べない荒い吐息で、ミーティアはエイトの理性を破壊する。 「ミーティア」 それは貪る獣のように。胸の突起に、エイトは歯を立てて優しく攻め立てる。ミーティアの細い身体はその度にビクンと波打った。 静まりかえる闇に、仄かな光の中で聞こえるのは、シーツのかすれる音。 深い呼吸。 「はぁ…ぁ…エイト…エイトッ…」 ミーティアのエイトを呼ぶ声。 微かに見えるものは、重なり合う二つの影。 エイトは次第に下へと進み、二人しか知らない秘密の場所へと向かう。己の求めるものが、そこにある。喰らいつくように顔を埋めて、指と舌で味わう。 「や…ぁん…あぁッッッ!」 蜜壷はとめどなく官能を溢れ出し、エイトを求めてヒクヒクとうねった。ミーティアは顔を横に振って快楽に悶えている。シーツの上で美しい肢体をくねらせるその姿は、踊るようだ。 どうにかなってしまいそう。 音を立てて自らの秘部を貪るエイトの姿を伏し目に眺めながら、ミーティアは朧げな思考で考えていた。しかしそれまで奪うように、エイトの指が彼女の中を攻め立てる。悪戯に動いて、核心を執拗に刺激する。 「あっ…んん…っ、エイト…」 呼吸さえ出来ない。もはやミーティアのそれは、吐息か声かさえ分からない。ただ哀願するように、愛しいエイトを呼ぶばかりである。 「もう…だめっ…お願い…」 ガクガクと下半身を震わせて、ミーティアが強請った。大きな瞳に涙を溜めて、締まりない濡れた唇で懇願するその姿は、なんと淫らで魅力的だろう。溜まらずエイトは身を起こし、彼女を抱きしめた。 「ミーティア」 「あぁ…エイト…」 身悶えるミーティアの耳に唇を寄せながら、エイトは静かに言った。 「…入るよ…」 ミーティアが瞳を伏せながら、コクリと頷いた。肩を上下に動かして、荒い呼吸をしている。 「…」 エイトはゆっくりと挿入した。それまで彼女を求めて、痛いほどに突き上げていたそれは、静かに浸入していく。 「あ…ぁ…」 「はぁ…っ」 ミーティアは、熱いエイト自身が分かったし、エイトはミーティアの温かい中を感じた。 「…あぁ…」 極上の心地というべきか。 繋がった悦びは、身体を超えて心まで達したい。 身体という境界線を振り捨てて、全てを繋げたい。 「ミーティア…ミーティア…、」 エイトは無心にミーティアの中で動いていた。愛を訴える為に、何度も何度もミーティアを突き上げる。その度にミーティアからは悦びの声が漏れる。 「あ…あ…っ、エイトっ」 エイトの熱い身体。ミーティアが彼の背中にまわした指は、汗で滑る。ミーティアの身体もまた熱を帯びている。二人の体温で窓が曇る。 貫かれるような強さと、溶けるような甘さ。激しい抽挿に、ミーティアは呼吸すらままならず悶えるのみ。やがて来る絶頂に、お互いがお互いに埋もれていく。登りつめるその時を探して、二人は二人の名前を呼び合う。 どのくらい君を抱いていたのだろう? どのくらい貴女に抱かれていたのでしょう? 本当の声が漏れて、高まるほどに愛おしさは狂おしいほどになり、やがて白く包まれて果てる。 「エイト、エイト…ッ…! あァ…ッ!」 最後の声をエイトの唇に奪われ、微かに開いたミーティアの瞳は、うっすらと雫を乗せて愛しいエイトを捉えていた。 どうしようもない位、貴方を愛している。 そして貴方に愛されているという事実が、己に強い支えをもたらしている。 今の自分は、とても温かい何かに包まれている。 「エイト…」 小さな肩で呼吸を整えながら、ミーティアは微笑んでいた。 「ずっと…、すっと一緒にいて…」 ミーティアの中に自分の全てを注ぎ込んだエイトもまた、荒い呼吸を落ち着かせながら言う。 「…うん。もちろん」 存在を確かめるように、ギュッと抱きしめあう。 二人はもう、離れない。 魂が重なり合っているから。 優しい温もりに満たされて、二人はやわらかな眠りに落ちていった。 |
【あとがき】 短いですね。 省略しすぎです。すみません。 |