あの神官が帰ってきました(氷が融けただけ)。
ここは「続・氷結クリフト」、人生の墓場です。
何度凍らせても性根の直らないアホしか居ませんので、
かっこいい神官が好きな方は、絶望する前にお戻りください。
続・氷結クリフト
その壱 「それたぶん秀吉」
「うー! さむさむー!」
外では雪が降り積もる冬の夜。
仲間との団欒を終えて宿の自室に戻るアリーナ姫は、厳しい寒さに身を小さくして廊下を歩き終えると、側に暖炉の用意されたベッドまで急いで駆け寄りました。
毛布の重ねられたそこに素早く身を入れようと上掛けをめくると、
「姫様!」
「うわっ! クリフト!」
中にはクリフトが寝て待っていました。
「このクリフト、ベッドを温めておきましたのでご安心を!」
クリフトはそう言って半身を起こすと、シーツの上をポンポンと撫でて誇らしげに言いました。
「昔、主君の為に履き物を胸にしまって温めた家臣が居たと聞いておりますが、」
この人は何を言っているのでしょうか。
「私は更に上を行き、寝所を温めておりました!」
「ク、クリフト」(ちょ、迷惑)
「これなら姫様の安眠をお約束できるほか、添い寝もO!K!です!」
クリフトはそう豪語した後、次にはもじもじしながら自身の服のボタンに手をかけました。
「ご、ご希望とあらば直にお肌を温めることも出来ますが……っ!」
「家臣の名を汚すエロ鬼畜は、外で凍えておれいィィッッッ!」
「くれぐれも戸締りはしっかりと」
そうして老魔導師がアリーナ姫の部屋から出て行った後、窓の外には既に雪を被り始めた氷の人柱が闇夜に輝いているのでした。
哀れ、氷結クリフト。
これでも二人は両思い設定です。
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