HERO
 
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JESSICA
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パルミド

 
 無法者の街、パルミド。乞食や泥棒、あらくれ者の集まる不可思議に入り組んだ町並みは、ゼシカの好奇心を刺激する。貧困と絶望、暴力が漂う通りでも、彼女は構えることなくエイトに先立って駆け回った。
「エイト! お店が並んでる!」
「あっ、うん」
 エイトは急かされるようについていく。武器屋の前に立つと、ゼシカが早速店主に品物を見せるように催促した。エイトも武器や防具を見るのは好きな方だ。彼女の隣に立って、その様子を見ている。
「私向きの武器はないかしら?」
「このナイフなんてどうだい?」
 この荒んだ街にかくも気品ある少女が訪れることなどもはや今生ないだろうと、店主は張り切ってゼシカに応対した。
 エイトはその隣で、店の奥にある槍に目をとめている。ゼシカとのやりとりを少々すると、店主はそんなエイトに気付いた。
「兄さん、いいのに目が止まったようだね。その槍はこの店で一番の品だよ」
 声を掛けられたエイトは、気恥ずかしそうに微笑んだ。確かにその槍の作りは良いが、今は自分の武器を買う予定はない。トロデ王にも指摘を受けたとおり、ゼシカの守りを固める防具を揃えようと思っていた。
「今日はやめておくよ」
 エイトはそう言って、隣の防具屋へ移った。慌ててゼシカが彼の後を追う。
「あ、ちょっと待ってよ! エイト!」
「こんな可愛い娘よりも、目に映るものがあるなんてなぁ」
 店主がエイトをからかうように言ったので、ゼシカは内心ムッとした。真剣なエイトを茶化した店主にも少し腹が立ったが、店主の言うとおり、自分よりも武器や防具に興味を持っているエイト自身にも腹が立った。
「もう!」
 エイトは既に防具屋で品を出してもらっている。ゼシカは彼の隣に立つと腕組みをし、少しふて腐れた表情で彼を見た。その視線に気付かないエイトが余計に腹立たしい。
 ふと店に陳列してある服を見つける。ゼシカの顔がパッと明るくなった。
「エイト! あれ買って!」
「え? あれって?」
 気付いたエイトがゼシカの指先を見つめる。上下に分かれた露出の多い踊り子の服。
「あぁ、踊り子の衣装は魅惑的で守備力も高いから、ウチでは一番の人気商品さ」
 防具屋の店主がゼシカを見て言った。彼女の身体つきを見て、是非とも装備して欲しいと思っているようだ。
「オススメだよ」
「ふぅん……
 これを着たら、エイトはどう思うのだろう。そんな好奇心がよぎり、ゼシカはクスリと笑う。
「エイト、あれ着たいな」
「え?」
 にこにこと微笑んでお願いするゼシカと、目の前にある服を見ながら、エイトは顔を赤らめて迷っていた。
「ちょっと……きわどいんじゃない?」
 エイトは下を向いて、小さな声で言った。
「何言ってるのよ! 全然たいしたことないわ!」
「そうさお客さん! この程度できわどいなんて!」
「守備力だって高いってさ」
「そう、そしてこの軽さとエロさが自慢だよ!」
 店主とゼシカが何故か仲間になってエイトの財布の紐を緩めようとしている。ゼシカはエイトの腕に身を絡めて、甘えるように頼む。
「ね、エイト。お願い!」
 こうされてはエイトも敵わない。腕に感じる柔らかく温かい胸の感触と、ゼシカの甘い懇願から自分を振り払うには、彼女の望みをきくこと以外ほかはない。そもそもトロデ王にも言われていたように、ゼシカの装備を固める事が必要だったのだから、と自分の中で念をおす。
……今回だけだよ?」
 
 
 
……似合う?」
 早速着替えたゼシカがエイトの前で一回転してみた。フワリと舞い上がるパレオの間から、チラリと下着が覗いた。併せて瑞々しい太股も露に見える。
……似合うよ……
 エイトはほとんど見れなかった。何処に視線を遣れば良いのか分からず、彼女の足元ばかり見ている。
「見てよ!」
 ふくれるゼシカも可愛らしい。怒ったゼシカはエイトに近づいて、俯く彼を覗き込むように見た。艶やかな肌に、豊満な胸。加えて上目のゼシカは誘っているように卑猥に感じる。彼女にそんな気はないかもしれないが、男のエイトはそわそわしてしまう。
「み、見たよ……
 エイトが照れているのはゼシカも承知していた。しかし、このようにエイトをからかうのは楽しい。照れたエイトは面白いし、愛らしい。そして何よりも自分の姿に「女」を意識している事が嬉しい。
「しばらくはコレで行こうかな」
 ゼシカは嬉々として服を眺め、裾や作りを確かめている。
「あ、でもこれからもっともっと強い敵に会ったら、凌ぎきれるか不安ね」
 冗談っぽくゼシカが言った。隣のエイトの反応を窺っている。エイトは彼女の魅惑的な姿に慣れずに戸惑っていたが、この言葉には真摯に返事をした。それはやはり、パーティーのバランスを考えているリーダーに相応しい言葉である。
「その時は、ゼシカの前で僕が守るから」
 ゼシカは聞いてエイトを見た。
「エイト」
 エイトは言い放った瞬間は真剣だったが、ゼシカの姿を見ると気付いたように再び頬を紅く染める。彼はまだそれを直視できない。ゼシカは彼の言葉に満面の笑みを作った。飛びつくようにエイトの腕に絡まる。
「ね! あの井戸あやしいよ! 入ってみようよ!」
 ゼシカが嬉しそうにじゃれた。驚いたエイトは前より数倍露になった豊満な胸をチラと見てしまい、真っ赤になりながら身体を強張らせて彼女についていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【あとがき】 この後はバニースーツやビスチェになっていくんですね。
エロキャラ、ゼシカ!
どんどん主人公(&プレイヤー)を惑わせて欲しいのです。
この点でDQ8は大人向けですよね。  
 
 
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