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スーパーエルオリオブラザー(ズ)

 
【第1章】
 
 エイトはキノコ王国領に住む町の配管工。
 キノコ城の隣に店を構えているため、王女様であるミーティア姫とは幼馴染の仲良しです。大人になった二人はやがて密かに想い合う仲となり、夜を忍んでは土管を通じて逢引きするようになっていました。
……そうだっけ?」
「兄貴、記憶をなくしてる場合じゃないでげす」
 エイトはハンチング帽を被りながらよくよく思い出そうとしましたが、今しがた熱弁を奮ったキノコ城侍従であるヤンガスの説明を聞いてもサッパリ分かりませんでした。
「難攻不落と言われるサザンビーク城は、世界でも我がキノコ王国と一、二を争う大国じゃ。チャゴス王子め、父王の不在を狙ってやりたい放題をしおってからに……
 その土管からやってきたトロデ王は、侍従でありながら姫を守りきれなかったヤンガスの不始末を呪いながら、エイトにこれからの冒険のアドバイスを授けます。
「嘗て1秒間で16連打を誇った名人のワシも今は隠居の身。エイト、お主にミーティアを任せるぞ」
「高○名人!?」
 エイトは目の前のトロデ王に思わず突っ込んでしまいました。
 
 
 
 
 
「僕はどちらかと言えばRPG専門で、アクションは向かないんです」
 嘗て「ゲームは一日一時間」というコピーで一世を風靡した名人を前に緊張するエイト。彼も幼い頃は名人とその逸話に羨望を抱いていた一人でした。
 そのトロデ王より使命を託されたとなれば、はやりその責務の重さにエイトも慎重になります。その緊張は、呪われた王様と姫を連れて城を出た時くらいのものでした。
「お主が失敗したらククールが行く」
「え」
 彼の弱気な発言を聞いて、トロデ王はジロリとエイトを睨みました。
 すると別の土管から、今ちょうど名前の挙がったククールがひょっこりと姿を現します。
「エイト、陣内○則の逆玉ブームに乗って俺も狙おうと思って」
「そうなの!?」
 見ればククールは自分と色違いの緑のシャツにオーバーオールを着ていて、なんだか「兄弟」的繋がりを思わせるその格好にエイトは内心で遠慮しました。
 しかしそれよりも、今のセリフは聞き捨てなりません。
 彼は確かリーザス・ランドのお転婆姫、ゼシカに気があった筈。
 数日前に行われた皇室テニスに参加した際、勝気な彼女のメラゾーマ球スマッシュを受けてからというもの、ククールの姿を見てはいませんでしたが……ヤンガスは「ターゲットを変えやがったでがす」とエイトにこっそり耳打ちしました。
「あやつはお主より背が高く、ジャンプ力もあるが滑りやすいという性格がある。クリアするのは難しいじゃろうて」
「おっさん、ハッキリ言いやがるぜ」
 ククールはそう言って毒吐きましたが、エイトとて主人公を背負っている自負があります。
「僕が行きます」
 ククールが控えていると知った彼は、普段にはない自尊心を見せて決意を新たに言いました。
 
 こうしてエイトのアクションへの挑戦が始まったのです。
 
(つづく)

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【ワンポイント】 ○橋名人は現在もハ○ソン社員だと聞きましたが。  
 
 
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