リーザスの女神(下)
「ユリアスめ、遅いのう。あやつがこの辺りの魔物に手を焼くはずはないのだが・・・」
リーザス村の入り口で、トロデがユリアスの帰りが遅いのを案じて、落ち着き無くウロウロしていた。ふと空を見上げると、塔の方角から、流れ星が村のほうに向かって落ちてくる。
「む? なんじゃ?」
その流星はトロデに向かってくる?
「ゲゲ!!」
トロデは慌ててその場を離れ、流星はトロデのいた辺りに落ちた。
「着いたか・・・」
流星の正体は、ルーラでリーザス村まで飛んできたユリアスだった。
「こりゃユリアス! 主の頭の上から落ちてくるやつがあるか!!」
「え? あ! 陛下!! 申し訳ございません!!」
飛び上がって怒っていたトロデは、すばやく神妙な態度で誤るユリアスに、これまたすばやく毒気を抜かれてしまう。
「ま、まぁよい。早くヤンガスとボウズのところへ行ってやれ。心配しとるぞ」
村の宿屋。その前でヤンガスとポルクが待っていた。
「あ、兄貴―待ってたでゲスよー」
「おまえ、おそいじゃないか」
「ごめん」
「ところで、ゼシカねえちゃんは?」
「ゼシカさんは村に帰ってくると言っていたよ。ただ、今は少し一人にして欲しいと言ってたからね」
「そ、そっか…でも、ゼシカねえちゃん、ひとりでだいじょうぶかな…モンスターたちが…」
「塔のモンスターなら、全て追い払ってきたよ。だから、ゼシカさんの帰り道の安全は…」
「え!?」
ポルクの心配を無用と、さらりと返答したユリアスに、ポルクは仰天する。
「兄貴、ひょっとして遅くなったのは、モンスター退治してたからでげすか?」
「退治といっても、戦う前に逃げ出した魔物も結構いたけどね」
二人をポカンと眺めるポルク。
(すげえや!! そんなことサーベルトにいちゃんしかできなかったのに)
ポルクはユリアスが見栄を張るために嘘をつく人間ではないということを、子供の直感で感じ取っていた。
「おまえ、みなおしたぞ!!」
生意気な口ばかりたたくポルクからはじめて聞くほめ言葉に、意外な表情をする二人。
「いろいろとすまなかったな。きょうはもうおそいから、やどやにとまってけよ。おかねはおれたちがはらっとくからさ!そ うとくりゃ、さっそくおばさんとはなししとかなきゃ!!」
ユリアスが何か言う前に、すでに宿屋の中へ入っていってしまった。
「生意気なガキだと思ってたでガスが、結構気の利くところがあるんでガスなぁ。アッシとしたことが、見た目で人を判断するという誤りを犯してたでゲスよ」
ヤンガスは、すまなそうにつぶやいた。
ポルクの勧めで、村の宿屋に泊まることになったが、ユリアスはどうにも気がひけた。いかに本人の意思とはいえ、子供が払ってくれたお金で…
宿にはユリアス達の他に一人、商人風の男が泊まっていた。その男がユリアスに声をかけてきた。
「あなた方も、旅をしておられるのですか?」
人に決して不快感を与えない、穏やかな口調だった。
「はい、トラペッタの方から・・・」
「ほう、トラペッタから・・・あの街は気さくな人が多くてよい街ですな。ところで旅の方、この村のゼシカお嬢様には会われましたか?」
この村に来てから、ゼシカの名は何度となく耳にする。それほどこの村の人々に注目される娘だということか。
「ええ、少しですが」
「私は、昔からこの村には行商でよく来るので、ゼシカお嬢様はよく知っているのですよ。小さい頃からいつもサーベルト坊ちゃんの後ろにくっついて歩いていましてなぁ、大きくなってからもそれが変わらなくて・・・。ちょっと人見知りで気が強いところもありますが、本当は臆病なんですよ、ゼシカお嬢様は。」
ゼシカは気が強いが臆病。相反する表現だが、ユリアスの心には、何の矛盾もなく入っていった。
(強そうでいて脆い・・・か。)
翌朝、ユリアスとヤンガスは、アルバート家の屋敷を再び訪れた。ゼシカのことを報告するためだ。今度は番兵はあっさりと通してくれた。アローザから自分たちが来たら通すように言い含められていたようだ。中に入ると、昨日屋敷の中を案内してくれたメイドがいた。
「奥様がお待ちです。こちらへ・・・」
昨日と同じように、メイドに連れられて階段を上り、二階の広間へ向かう途中…。
「やぁ〜きみたちは〜」
例の軽薄男が昨日と同じようにいた。
(まだいたのか…)
「きみたち昨日も来てたけど、ひょっとしてアルバート家とおつきあいがあるの〜?」
「いえ、そういうわけではありませんが」
「そうか〜い。いや〜今日はまいったよ〜。二階の広間はたいへんさぁ〜。ゼシカがあ〜んな気性の激しいレディだったなんてさぁ〜」
(ゼシカさん、戻ってたのか)
広間に行くと、そこには緊迫感が漂っていた。その場にいるのは、アローザとゼシカ。そして、なぜかポルクとマルクがいた。ゼシカは母・アローザを睨んでいた。
「もう一度言います。ゼシカ、あなたには兄の死を悼む気持ちはないのですか?」
口を開いたのはアローザだった。
「だから何度も言わせないで! 悲しいに決まってるでしょ!? ただお母様とは気持ちの整理のつけ方が違うだけ!! わたしはサーベルト兄さんの敵を討つの!!」
声を荒げないが厳しく娘を叱責するアローザに対し、娘のゼシカは、感情に任せるまま声を荒げて母親に反論する。
「敵討ちですって? ゼシカ、あなたは女でしょう。死んだサーベルトもそんなことは望んでいないはず。サーベルトの死が悲しいのなら、あなたも家訓に従って喪に服しなさい!」
「先祖の教えだの家訓だのって、それが何だと言うの!? お母様には何を言っても無駄でしょうけど、兄さんはわたしに自分の信じた道を進めといってくれたわ! だからわたしは兄さんの敵を討つの!! これがわたしの信じた道だもの!!」
(どちらも妥協するつもりはないな・・・)
ユリアスにはこの二人の口論の結末が見えていた。
「わかりました。そこまで言うのなら、もう何も言いません」
アローザの言葉を聞いたユリアスを除く人間は、この頑固な母もついに折れたのかと思った。
「但し、ゼシカ。あなたをもうアルバート家の人間とは認めません。家訓を守らないというなら、早々に出て行きなさい!」
自分の最後に残った娘に義絶を告げたこの母に、ポルクもマルクもメイドもヤンガスも仰天した。
「言われなくてもこんな家、こっちから出て行きます!!」
最早売り言葉に買い言葉だ。湧き上がる激情と共に母に言い放つと、背を向け、昨日ポルクたちに見張りをさせていた自分の部屋に入っていった。
再び部屋の扉が開いた。ゼシカが出てきたが、服装が今まで着ていた白いブラウスと黒のロングスカートではなかった。肩から胸の上部までを晒した紺の厚い布地の服と、赤いロングスカートをゼシカは身に着けていた。白のブラウスを着ていたときでも、一目見ただけでわかった豊かな胸が、艶かしく揺れている。
「ゼシカねえちゃん、ほんとにでてっちゃうの?」
ポルクとマルクが悲しそうに訪ねると、ゼシカは優しい眼差しを小さな二人に向け、身をかがめる。
「ポルク、マルク、ごめんね・・・ウソついちゃって・・・。でも、わたしは兄さんの敵を討たなきゃいけないの・・・。だから、二人とはしばらくお別れね・・・」
「ねぇちゃん・・・そんなのないよ・・・」
「・・・うぅ・・・・・・・」
二人は泣き出した。ゼシカは、ポルクの頬をそっと手を添える。
「ほら、ポルク、しっかりしなさい!」
次には既に泣き出しているマルクの頭を優しく撫でた。
「マルク、泣いちゃだめ!」
今のゼシカは、小さな弟をあやす姉のように見える。
「サーベルト兄さんは言っていたわ。ポルクとマルクは将来、この村を守る立派な男になるって。だから、くじけちゃダメよ」
「・・・うん・・・」
幼いこの二人には、優しい顔を見せていたが、広間のアローザのほうに向くと、先程の怒った表情に戻ってしまった。
「今までお世話になりました! さようなら!!」
怒りのままに母に言い放つと、ゼシカはそのまま階段を駆け下りて出て行ってしまった。
「アッシらに気付かずに行っちゃいやしたね。自分で待っててっていったくせに。どうも怒ると周りが見えなくなる性格みたいでゲスね。短期は損気でゲスよ」
ヤンガスはゼシカの方が短気に思っているようだが、ユリアスは、家訓を守らないという理由で娘を勘当するアローザのほうが短気ではないかと思ってしまう。
案内役のメイドがアローザの元へ行き、何かを話す。アローザがユリアス達がいることに気付き、一礼をすると、ユリアスも礼を返す。
「お嬢さんのご報告をと思ったのですが・・・」
ユリアスは丁重な態度でアローザに接する。
「お恥ずかしいところを見せてしまいましたね。せっかくのご足労を無駄にすることになってしまって・・・ごめんなさいね、ユリアスさん」
「いえ・・・」
ユリアスは、それ以上何を言うべきか、思慮に苦しんだ。
「まったくあの子は誰に似たのか・・・どうせすぐに根をあげて帰ってくるに決まってるわ・・・」
(タカをくくっていたのか・・・)
厳格なこの母親の内心を、ユリアスは見た気がした。すぐに帰ってくると思っているなら、ゼシカに言い渡したあの言葉も、本心からのものではない。その奥にある真情は、娘を危険な目に合わせたくないという親心なのだろう。アローザの呟きには、若干の後悔がにじみ出ている気がした。
「赤の他人である僕が申し上げるのは、憚られるのですが・・・」
他人の家のことなので、気が引けるのだが、ユリアスは言わずにはいられなかった。
「お嬢さんも、サーベルトさんの死が、悲しくて仕方がないんです。僕自身、敵を追う身ですから、ゼシカさんが、サーベルトさんの敵を討ちたいという気持ちがわかるのです・・・」
「・・・」
「ゼシカさんは、お兄さんの、サーベルトさんの死に涙を流していました・・・。リーザスの女神像の前で・・・。貴女から、お嬢さんを連れ戻すように依頼されましたが、泣き崩れ、一人にして欲しいという彼女を無理に連れてこようという気にはなれませんでした・・」
アローザは、自分の娘と同年代の、この少年の言葉を、ただじっと聞いていた。
「僕が貴女から、ゼシカさんを連れて戻るように頼まれた事実を伝えると、彼女は村には一度戻ると、僕にそう言いました。・・・彼女は、母親の貴女を嫌っているのでなく、ただ、自分の気持ちを貴女にわかって欲しかったのではないかと・・・そう思うのです・・・」
普段出しゃばる事を嫌うユリアスが、何かに駆られるように、この母と娘が・・・この頑固さが勝って、内面の情の深さをなかなか伝えられないアローザと、気が強いが心根の優しいゼシカが、誤解したまま別れ別れにならないように心を砕いていた。
「…いらぬことをいろいろと口にして申し訳ありません。まことに不躾でした…」
ユリアスの詫びの言葉に、アローザは意外な顔をした。
「お気になさらないでユリアスさん。ゼシカの気持ちを代弁するあなたを見て、サーベルトのことを思い出していたのです…」
「え?」
「サーベルトは、責任感が強いだけでなく、落ち着いて物事を見極めて行動できる子でした…。私とゼシカは、二人きりのときは何故か先程のように衝突してしまうのです。それが行き過ぎになりかけると、あの子は仲裁に入ってくれましたし、ゼシカもあの子の言う事なら素直に聞いていました…。優しい子でした…あの子が……何故………」
必死にこらえて入るようだが、アローザはもう泣き出しそうだった。昨日の状況とまるで同じことが繰り返されようとしていた。ユリアスは、これ以上この場にいることが憚られた。
「あの…ユリアスさん……」
アローザの言いつけで、ユリアスたちの見送りをしてくれているメイドが、ユリアスに話しかけてきた。
「はい、何か?」
「ユリアスさんって、不思議な方ですね」
「?」
「あの厳しい奥様が、貴方には随分気を許していたみたいですから…わたし、初めて見たんです。アローザ様が初対面の方にあんな風に心の内を話される姿を…わたしたち、屋敷の人間にさえ、滅多になされないのに…」
「…」
「奥様は厳しい方で、ちょっと近寄り難い方なんです。ゼシカお嬢様も気の強い人で、わたしたちメイドともあまり仲良くしてくれませんでした…。でも、サーベルト様は気取ったりせず、わたしたち使用人や村の人々に対しても、暖かく接して下さる方でした。あんな優しいお方が殺されるなんて…わたし、悲しくてくやしくて…」
「…本当に、サーベルトさんはこの村の人たちに愛されていたのですね…」
改めて聞くまでも無いことだった。ユリアスは彼の死を悲しむリーザス村の人々を幾人も見てきた。村全体が、彼の死を悲しんでいるかのようだったのだから。
「えぇ…奥様は、私たちの前では気丈に振舞っておられますが、私は聞いてしまったのです…夜、寝室ですすり泣く奥様の声を…。ゼシカお嬢様の悲しみ方は、もう見て入られませんでした…。わたし、お嬢様が苦手でした。でも、こんな今だから分かる気がします…。ゼシカお嬢様の一番の理解者はサーベルト様で、本当は心根が優しくて脆いお嬢様を護ってこられたのだと…」
「…」
「だから、アローザ様が弱音を見せたり、ゼシカお嬢様を一度は説得して村に戻らせた貴方が、わたしにはとても不思議なんです」
「不思議…とおっしゃられても…」
なぜかじっと自分の顔をじっと見つめて話してくる彼女に、ユリアスは少し当惑している。
「…ユリアスさんって、ちょっとですけど、サーベルト様に似ておられますね…」
「?…サーベルト…さんに…?」
「覚えておられますか? 貴方の顔を見たとき、アローザ様が一瞬、驚いた表情をなさったことを」
(成程…)
少しとはいえ、死んだ息子に似た人間を見れば、驚きもするだろう。
「ただ、ユリアスさんは、サーベルト様を少し幼くした感じなのですが」
自分の幼さが抜け切らない顔を気にしているユリアスにとって、眉を曇らせるメイドの言葉だが、彼女に悪気はない。彼女自身、思ったことが口に出てしまう性質なのか、すでにユリアスに気を許しているのかは分からない。
「ユリアスにいちゃん!」
屋敷の玄関までメイドに送られてきた二人は、駆けつけてきたポルクの声に足を止める。ポルクの後ろにはマルクもいる。
(このボウズ、昨日まで兄貴をお前って呼んでたのに、今日は兄ちゃん?)
「どうした? ポルク」
「…これから、どうするんだ…」
「サーベルトさんを殺した奴を討ちにいくよ」
「え!?」
「君には言ってなかったけど、サーベルトさんを殺した男の正体がわかったんだ。その男は、僕の師匠の仇なんだ」
「な……」
ポルクはあまりに意外なことを耳にして、言葉を失った。
「だから、サーベルトさんの仇も討つことになる。ゼシカさんにはすまないけど、僕もあの男を討たなければならない。許すわけにはいかないんだ」
「…そっか…それじゃ、ユリアスにいちゃん、ひとつたのみたいことがあるんだ」
「頼み?」
「……ゼシカねえちゃんよりさきに、サーベルトにいちゃんをころしたやつをたおしてほしいんだ」
この頼みごとにユリアスは一瞬驚いたが、ポルクの真意がなんとなく推測できた。
「サーベルトにいちゃんでさえやられちゃったんだ…。ゼシカねえちゃんがどうにかできるやつとはおもえないんだ…だから、ねえちゃんがみつけるまえに…」
これは、ユリアスが抱いていた危惧でもあった。
「・・ポルク、君にとってゼシカさんは大切な人なんだね」
「うん…ほんとうのねえちゃんみたいにおもってる…サーベルトにいちゃんだって…」
「おれもそうおもってるぞ…」
ポルクの隣のマルクもその心情を口にした。
「マルク…よし、わかった。君たちの願い、確かに聞き届けた」
二人の肩に手を乗せて、ユリアスはポルクたちの願いを叶える約束をした。
(ポルクたちまで…もう彼に懐いてるの?)
メイドはあらためて、ユリアスという少年に驚かされる。昨日、リーザス村に来たばかりのこの少年に、やんちゃなポルクたちが、既に懐いているのだ。ユリアスのことを兄ちゃんと付けて呼んでいるのが何よりの証だった。そして、メイド自身からしてユリアスに気を許していた。
「ユリアスさん、これからどこに向かわれますか?」
「何処というあてはありません。犯人を追跡しようにも、手がかりが女神像の塔から先はつかめていないので…」
「それでしたら、ポルトリンクに向かわれることをお勧めしますわ」
「ポルトリンク?」
「アルバート家が所有する港町です。大陸間を行き来する船が出ているので、サーベルト様を殺した犯人が、その船に乗って逃げる可能性もあります。ゼシカお嬢様も向かわれたかもしれませんが…」
「そうですか。色々とありがとうございます。それでは…」
ユリアスとヤンガスは、ポルクとマルク、メイドに見送られてアルバート家をあとにした。
「ポルトリンクへ?」
「はい、この村のアルバート家の当主を殺害したのは、間違いなくドルマゲスです。奴が女神像の塔で凶行に及んだあとの手がかりはつかめませんが、逃走のために船を使う可能性は少なからずあります」
「むぅ…奴め、ちょろちょろと逃げ回りおって卑怯者めが…。見つけたらこのワシが畳んで丸めてくれるわ!」
「オッサン…オッサンじゃ逆に畳んで丸められるでガスよ」
アルバート家の屋敷ではほとんど口を開かなかったヤンガスが、早速トロデとの口げんかの口火を切った。
「むぅ、いちいち突っ込むでないワイ! このボケ!」
「ボ…ボケ? アッシは頭は悪いがボケてはいないでガス!」
「意味がわからんぞ! バカモン!!」
「へ…陛下、ヤンガス」
あいかわらずすぐ喧嘩になる二人に、ユリアスは手を焼く思いだったが、なぜか仲がよいようにも見えるこの二人が面白かった。
つづく
小説目次へもどる
○
あとがき:
リーザスの女神三部作、ここで完結です。この作品の題名が意味するもの。「リーザスの女神」とは、一つは女神像の塔の最上階にある、アルバート家の祖先・シャマル・クランバートルが作った女神像。
そしてもう一つは、ゼシカをさしています。
ゼシカの母・アローザについては、原作の、リーザス村の人たちの証言をさらに深読みして書いています。強情な母親というイメージが強い人だから、この作品の、弱さが少なからず出ている彼女に違和感を覚えるかもしれませんが。
それとヤンガス君…この作品内での出番が少ないですね(笑)。原作では主人公と一緒に女神像の塔に突入するのに、この作品ではその出番も奪われています。一応、村に帰るポルクの護衛という理由をユリアスの口から語らせていますが、本音は筆者が塔の最上階で、ユリアスとゼシカが二人きりで出会うシーンを書きたかっただけであり、そのためにヤンガスには引っ込んでもらいました(ヒドイ!)。
アルバート家の屋敷でヤンガスの台詞がほとんどありませんが、これはヤンガス自身があえてそうしているからです。原作をみてみると、マイエラ修道院やサヴェッラ大聖堂みたいに、お堅くて品のある場所がかなり苦手みたいです。彼は客観的に見て自分の第一印象が良くないということを認識しています。原作でゼシカに、一度盗賊稼業から足を洗おうとしたが、人相の悪さが災いして、結局もとの稼業を再開しようとした矢先に主人公に出会ったと語っています。そういう経験を踏まえているから、アルバート家みたいにお堅い屋敷内では、必要なやり取りは礼儀正しいユリアスに任せて、自分はおとなしくしているのです。
|
|