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 このような時間に女性の部屋に押し入る自分の愚かしさなどは全く頭にない。クリフトが急いでドアノブに手を掛けると、幸いにして入り口のすぐ側にアリ−ナが茫然としたまま突っ立っていた。
「クリフト」
「姫様」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 彼女の脳内ではどのような思考が巡っているだろう。扉を開けて飛び込んできたのは、クリフトをベッドに組み敷いた裸のソロ。薄暗い部屋で彼女の白い四肢が妖艶に浮かび上がっており、そこから先の秘め事を知らぬアリーナとて、如何わしい雰囲気に包まれた室内であったことは直感として理解できた筈だ。
「相談しに行こうと思ったの」
 クリフトは一体二人で何をしていたのかと問い詰められると覚悟していたが、暫くの後に切り出されたアリーナの第一声は意外なものだった。
「ソロが女の子になって、私と同じくらい動けるだけじゃなく、剣も魔法も使えるなら、私なんて要らないんじゃないかって不安になって」
「姫様」
 戸惑いの表情を見せたままのクリフトに、アリーナは静かに言っていた。
「クリフトとも息が合ってたし……なんかショックで」
 己はどこかでクリフトに期待していたのだと、アリーナは言を発しながら自覚した。彼ならばきっと柔らかな口調で「そんなことはありません」と励ましてくれると、そう思い込んで部屋を訪ねたのだ。
「でも、なんかそれどころじゃなかったね」
 クリフトとソロが男同士ということでじゃれ合う光景はこれまで何度も見てきており、その友情に幾許かの距離感と羨望を抱いていたのは確かであるが、片方が女性となった今はどうも落ち着かないというのが本音である。
 先程、二人は風呂を共にしていたくらいなのだ。つまりクリフトは今しがた自分が見たように、ソロの艶めかしい裸を見ていることになる。アリーナが抱えていた不安と幾許の期待は、部屋の中の光景を見た瞬間、別のものに変わっていた。
「クリフトはソロが好きなの?」
「姫様、それは誤解です」
 最悪の結論が出た瞬間、クリフトは漸く彼女の言を遮るように否定した。間違っても彼女にそのような誤った解を与えてはならない。
「断じてそのような」
「だってクリフト、」
 彼が言葉を重ねたことで、アリーナは勢い付いて口を開く。
「ソロのおっぱい触ってた……
「それはその」
 やや焦りに押されながらも恥らうように言を発したアリーナの表情を見て、クリフトは「見られた」と内心ギクリとした。己の掌が乳房の弾力に触れたのはほんの僅かの時間であったが、アリーナの余程良い視力は最悪の瞬間を逃さなかったのだ。
「あれはほんの間違いで、私達がそのような関係では決して」
「じゃ、ソロが好きじゃないなら、おっぱいが好きなの?」
「姫様」
 彼女との問答には幾度となく返答に困らされたことがあったが、これほど言葉に窮したことはない。ソロが肉体関係は勿論のこと、恋愛対象として見ていないことにはキッパリと断言できるが、後半の問いには些か迷うところがある。今の発言の全てを否定するのは、やはり本能が邪魔をするのだ。
 クリフトは混乱する思考をどうにか駆使して弁明を考えていると、その様子を見つめていたアリーナは、手をギュッと握り締めて言った。
「私、戦闘で役立たずになるのは我慢できるけど」
 何もソロの戦闘勘に類稀なる才能があるのは女体になってからのことではない。同じ女性となったことで土俵を奪われた焦りは確かにあるが、アリーナにはマーニャに指摘された通り、戦闘だけでないポジションの危機を感じずにはいられなかった。
「クリフトの視野から外れちゃうのはイヤ……
 アリーナも様々な動揺と混乱の中で言が浮ついているだろう。事実、彼女からこのような科白を聞くのは初めてのことだった。
「姫様」
 アリーナは嫉妬していたというのか。クリフトは、どさくさに紛れて大変な事を聞いてしまったような感覚に見舞われる。その言葉の真意は何なのかと、より多くの気持ちを知りたくて焦燥するが、まずは一連の誤解を解いておかなくてはならない。
「ソロさんを好きになるような事は今後ともありません」
「そうなの?」
「彼は男ですから」
 ならば女性なら誰でも良いのかと問われれば、既に心に決めた一人の女性が存在する故にそれもないと、アリーナが問えば包み隠さずそう答えるつもりだったが、これまでの会話で落ち着いてきた空気は、またもや覆された。
「じゃあ」とアリーナが予想通り口を開き、クリフトの心臓がトクンと音を立てた瞬間、扉を蹴破るほど大きな衝撃が夜の宿に響いた。
 
 
「すまん、アリーナ! あれは誤解だ!」
 
 
「ソロさん!」
「きゃー!!」
 部屋から走り去った彼女を追って来たのはクリフトだけではなかったらしい。ソロはあまりに急いだ為に裸で廊下を走って来たのだが、その途中に魔法が解けてしまったらしく、アリーナの前であられもない裸体を曝していた。
「男に戻っていますよ!」
「あっ、本当だ」
「いやー!!」
 アリーナの優れた動体視力では邪悪なそれを瞳に写してしまったかもしれない。クリフトはあまりの衝撃と驚きに、収集つかぬこの場を収めようと、本来仲間に唱えてはいけない呪文で勇者の意識を奪っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ソロが悪戯に唱えた天変地異の呪文の代償は、
 このように償われたのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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【あとがき】 実はプレイヤーが間違えて女勇のセーブで始めたとか。
女勇者のエピソードを書きたいのに、
名前が分からなくて書けないからこんなカタチに。
(女勇者かわいいよね。かわいいよ。)
 
 
 
       

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