白黒のボーダーのその服は、まるで囚人のようだ。僕はそんなことをぼんやりと思いつつ、ファルロスをじっと見詰めた。いつもなら意識は眠りの中なのかそれとも現実なのか曖昧な部分にある。だけれど今日はなぜか眠れず、ぼんやりと訪れる影時間に小さな畏怖のようなものを感じていたところだったので、正直ファルロスが現れたのは嬉しかった。
「ど、どうしたの?珍しいね、君がこんな時間に起きているなんて」
驚いたように小首を傾げて、それでも笑うファルロス。僕は普通の友達に対するように片手を挙げて「よう」なんて言ってみた。そして肩を竦める。
「僕も少し驚いてる。……たまには普通に話すのも良いかもな、ほら、ここに座れば」
僕はベッドに腰掛けて、付かないテレビの画面を見つめていたところだったので、その隣を手でばふばふと叩く。ファルロスは何ともいえない微妙な表情を浮かべていたけれど、すぐにちょこんと小さい首を傾げて、にこにこと普通の子供のように笑った。
「ふふ、それじゃあお言葉に甘えて」
ぱふ、と軽い音を立てて、ファルロスは僕の隣に座る。足をぷらぷらと揺らす様子は、どこからどう見ても立派な小学生くらいの子供だ。僕はふと思い立って、その頭に手を置いた。
「うわ?」
「……おお、触れる」
くしゃくしゃとその髪を撫でた手を頬に下ろして、その頬を軽くつねってみる。
「いた!」
「……そうか痛いのか……」
「な、何なのさ?」
腕を組んだ僕が一人でうむうむと頷いていると、小さく頬を膨らましたファルロスが咎めるように唇を尖らせていた。僕はそれに思わず笑ってしまって、悪い悪いとその頭を撫でた。そうするとファルロスが気持ちよさそうに瞳を閉じるので、まるで猫みたいだな、なんて思う。
「いや、君っていつもどこからか現れて急に消えるから、いわゆるユーレー的な物だったらどうしよう、って思って」
「だから触れられるか試したってこと?もう……どう見たって幽霊とかじゃないでしょ」
「だっていつも消えるし」
僕が言うと、それはそういうものなの、とファルロスは笑った。
ファルロスと主人公はお友達