「よーっす!今日から高三!泣いても笑っても高校最後の年!」
四月、桜の舞い散る中を歩いていると、後ろから順平が声をかけてきた。やたらにテンションが高いのは、きっと今日からチドリさんと同じ学校に通える、と言う事実が作用しているのだろう。
「クラス、一緒になると良いな」
「ん?あー、そうだなー。つうかオレ、なんか今年もゆかりっちと同じクラスのような気がするぜ……」
「良いことじゃないか」
僕が笑うと、順平はまあそうなんだけど、と苦笑して、嘆くように空を仰いだ。
「ただちーっときついんだよなあ。居眠りとかしてみ?その日ずっとぐちぐちぐちぐち……」
うわ言のようにそう言って深々とため息を吐くと、順平はにやりと楽しげに笑う。
「止めとこ、思い出しても良いことなんてねーぜ……。それよりぃ!今日からチドリんがおんなじ学校に通うんだぜ!?」
「あー良かったなー」
「超棒読みじゃねーか!ったく、これだからお前はー!」
順平がわめきながらアッパーを仕掛けようとしてくるのを避けて、僕は「ごめんごめん」と笑う。
「分かれば良いんだよ分かればー」
わざとらしく神妙な顔をして頷く順平は、僕の顔を見ると噴出した。僕も何か楽しくなって、二人して声をあげて笑う。
通行人からの不思議そうな目が痛くなってきたところで、そろそろ時間がやばいことに気がついて、走り出した。
「負けた方がオクトパシーのたこ焼きおごりな!」
「ちょ、お前、走り出してから言うんじゃねーよ!」
じゅんぺと主人公は良いお友達。