モドリング
走る事ができた。
飛ぶことができた。
どこまでも、ゆける心があった。
だけれど、私はある日、走ることができなくなった。
飛ぶことができなくなった。
もう、どこへもゆけない心となった。
私はどこへいったのだろう。
私は檻の中。
私は籠の鳥。
もう出られない。
出ることはできない。
もう出る事はない。
白い景色。
白い空。
そして本当は白い地球。
毎日、籠の中にいるのはとても退屈で、それが良かった。
何もできない私は何もしなくていい。
走れなくてよかった。
飛べなくてよかった。
心はどこへもゆかなくてよかった。
そんな時、機械の羽が届いた。機械の足が届いた。
そんなもの、必要ないのに。
私はもう走らないのに。
私はもう飛ばないのに。
私の心はもうどこへもゆこうとしないのに。
私は機械の羽をつけさせられた。機械の足をつけられた。
それでいいんだね、母さん、父さん。
私にはもう二人ともイラナイ物。
でも私は籠の中。
機械の羽はとてもよくできていたのかもしれない。
機械の足はとてもよくできていたのかもしれない。
でも私の心はあゆまない。
そんな時、私は籠の外の鳥達を見た。
飛んでいた。
許せなかった。
私は飛べないのに。
私は走れないというのに。
私の心はあゆまないというのに。
ある時、飛べない鳥をみつけた。
飛ぼうとしていた。
バカだ。
飛ぶ事なんて、
走る事なんて、
心があゆむ事なんて、
疲れるだけだと言うのに。
私には、もう何もないというのに。
なのに、どうして。
どうしてあなたは哀しそうな目をしているの?
私は、飛べない鳥を殺してあげる事にした。
飛ぶものは飛べなくなったら生きる価値はないのだ。
鳥は私がつかんだだけで、嫌に抵抗した。
動物は純粋でバカだ。
私が殺そうとしているのに気付いたのだろう。
私はその些細な抵抗に腹がたった。
飛べないくせに。
私は鳥をアスファルトに叩き付け、
足元に転がっていた石で殴りつけた。
殴りつけた。
殴りつけた。
何度も殴り続けた。
鳥が死んでいるという事は、わかってた。
もうにくの塊だという事は、わかってた。
飛ぼうとする事もできない事さえ、わかっていた。
私はただ、許せなかったんだ。
私は死にたくても死ねないというのに。
飛ばないのに。
走らないのに。
あゆまないのに。
その夜、月が私に語りかけた。
飛べないのか。
顔もないのに、しゃべるのね。
飛ばないのか。
頭もないのに、かんがえるのね。
飛ぼうとしないのか。
生きてもいないのに、疑問をもつのね。
飛びたくないのか。
羽がないのに、飛べるのね。
飛べないのか。飛ばないのか。飛ぼうとしないのか。飛びたくないのか。
白い空は飛べない。
はて、本当に白いのか?
機械の羽では飛べない。
はて、本当に機械なのか?
機械の足が重くて飛べない。
はて、本当に重いのか?
私の心は、もうあゆまない。
はて、本当に飛びたくないのか?
あなたには、わからない。
私はもう寝る時間。
だから、おやすみなさい。
それきり、月は話しかけてこなかった。
次の朝、私は月の事を想いだした。
もしかすると、高い所へのぼれば飛べるかもしれない。
そんな気がした。
こんな機械の羽でもだいじょうぶ。
こんな機械の足でもだいじょうぶ。
心があゆめなくてもだいじょうぶ。
私が高い所へのぼろうとすると、トウサンとカアサンが止めた。
あなた達なんて、私のなんでもないくせに。
どうしてココへ来るの。
私は腹が立った。
トウサンとカアサンも殺してしまおう。
あの飛べない鳥のように。
私は、トウサンを右手に、カアサンを左手に、首をつかんで高い所から落とした。
あの飛べない鳥なんかよりずっと抵抗したけれど、私の邪魔をするのだ。
仕方のない事。
わたしは高い所から、トウサンとカアサンを覗いた。
トオサンとカアサンは血の花壇のようだった。
トオサンとカアサンは殺したけれど、他に止める人が来るかもしれない。
いつも私を見張ってるやつらだ。
今はいないけれど、じきに来るのはわかっていた。
私は、飛ぶことにした。
>>>アトガキング!
多分、一年くらい前の作品(?)
ちょっとサイコテイストッス。でもイマイチ捻りがたりないなー、と今更見て思いました。
てか、しつこい文(詩?)だなぁ…と思いました。
オイラ詩人でもなんでもないので、ショボいのは勘弁アルヨ!
確か、浜崎あゆみのevolution聞いててふと思いついた詩。
一応言い訳しとかなきゃ。
最後に主人公?がとーさんとかーさんをあっさり殺しちゃう事ができたのは、
火事場の馬鹿力ってやつです。
火事場の馬鹿力ってのは普段、人が40%だか50%だかしか使ってない力を100%出す事をいうんだそーです。
でもそれは、火事場…つまり、自分が追い詰められた状況とかで一瞬発揮できるんだそうですが、
精神病の人はそのタガを普段、普通に外したりするらしいんです。
例えば、ベッドに両手両足をしばりつけて寝かされても、
暴れまくって起きあがったりするとか。
怖いね。怖いですね。スゴイですね!
ワーオ。
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