…なにもないと思えることが幸せだということ。
       なんでもないあたり前の日々こそが二度とは戻れない幸せ…


3ヶ月前、僕は彼女を失った、彼女の名は黒須 奈々、僕は彼女を心から愛した…
なのに……。僕は部屋の天井を見つめながら、あの時のことを思い出していた。

セミの鳴き声が少しうっとおしく感じる8月、俺は奈々と一緒に学校の帰り道を歩いていた。
時刻はもう、6時、あたりは少し薄暗かった。
「奈々、今日はどうする?うち寄ってくか?」
奈々はいつも、帰り際に少し僕の家に寄ってから帰っていた。
「ん?もちろん寄っていくよ。ほ〜ら、ぼさっとしてないで急ぐぞぉ〜!」
「こらこら、こけるぞ。そんなに急ぐと」
「平気だよぉ〜だ……キャ!」
「ほら、言ってるそばから…」
「えへへ…」
そう言って、彼女は照れ笑いを浮かべた。
それから十分ぐらい歩いて家にたどり着いた。
部屋の鍵を開けて、奈々を部屋へと招き入れる。
「おぉ!いつもより綺麗じゃないかぁ〜、偉いじゃ〜ん」
そう言って、部屋中をうろちょろと見てまわる。
「誰かさんが綺麗にしろしろうっせぇからな。」
僕がそう言うと奈々は笑顔でこちらに近づいてきた。
「そっかそっか。よし、偉い偉い和也くんにご褒美だよぉ」
僕がそう言うと奈々は笑顔でこちらに近づいて僕の頭をなぜてくる。
「やめろよ、恥ずかしいから。」
「あ!和也、照れてるぅ〜。可愛い〜」
そんな風にじゃれあってしばらくすると、急に喉が渇いたので、冷蔵庫へ向かった
中にはちょうど、飲み物がきれていた。
「悪い、奈々、飲み物きれてるからそこのコンビニまで行ってくるわ。」
「いいよいいよ、私が行くから。」
「え、悪いよ。」
遠慮がちに僕が言うと、奈々は財布をもって立ち上がった。
「いいからいいから、座って待っててよ。」
「わかった、気をつけろよ。」
「うん、わかった。行ってくるね。」
奈々はそう言って、部屋を出て行った。それが僕の見た最後の奈々の姿だった…。

…30分後
奈々はまだコンビニから帰ってきてはいなかった。
コンビニにしては30分は長すぎる。僕は時間が経つにつれ不安になってきた。
なにかとてつもなく、嫌な予感を感じた俺は、コンビニへの道を急いだ。
その道の途中……。。。道路は赤い血に染まっていた。すぐ側には女の子が…奈々が
小さな子犬を抱え倒れていた。
「嘘、だろ…嘘だよな…おい!!奈々!!奈々!!」
僕は道路に倒れている奈々を姿を見て、周りの大人の目も気にせず大粒の涙をこぼして泣いた。
しばらくして救急車が到着し、奈々は病院に運ばれた。。。。。

病室にいる僕の目の前には、悲しい光景が飛び込んできた。
今、病室のベットで寝ているのは……白い着物を着た奈々…
奈々のいつもの赤みを帯びたかわいらしい肌は青白い冷たいものとなり、無表情で目をつぶっていた……
また、涙が溢れた……止まらなかった……。
そして、自分への罪の意識も同時にどっと溢れてきた……。
もし、奈々を部屋へ招かなければ。あの時、自分が飲み物を買いに行っていれば。
色々な事を考えて、僕はその場に崩れ落ちた。
近所の人の話だと、奈々は車に引かれそうな子犬をかばって車にひかれたそうだ…。
奈々らしい…僕はこの時はそう思った。

葬式の時、僕はもうこれ以上涙はでないというほどに泣き続けた。
いろんな人が声をかけてくれたが、なにも覚えていない。
最後の最後、僕は奈々にこう言った。
「奈々…ごめんな…僕が馬鹿だから、奈々をこんな目に合わせてしまったんだ。
 どれだけ、あやまっても…奈々は戻ってこないけど、ごめん…ほんとにごめんな。
 それから…今まで本当にありがとう。」

最後に奈々にキスをした…。サヨナラとアリガトウの意味を込めて。

あれから僕は、奈々の助けた犬と暮らしている。名前は「ナナ」
僕は今でも、奈々を愛している。…そしてこれからも。
ふと気づくと、もうセミの鳴き声はもう聞こえなくなっていた。

…なにもないと思えることが幸せだということ。
       なんでもないあたり前の日々こそが二度とは戻れない幸せ…


End

〜あとがき〜
とある歌を聴いて、死というテーマで小説を書いてみようと思いました。
愛する人が死ぬという事、これを読んでくれた貴方はもしこういう状況になった時も
その恋人をそれから先も愛し続けることができますか?
B A C K ?

C o p y r i g h t (C) 2 0 0 3 P u r e A l l R i g h t s R e s e r v e d

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル