裏3
やわらかな金の髪にキスを落とし、じっと腕の中にある幸せに
酔いしれる。
そのまま疲れて眠れればよいのだが
余韻に浸り、そこで満足してしまうにはアスランは若すぎた。
少し汗ばんだ肌からほのかに香る女の匂いを吸い込んで思わず眩暈を感じて目を閉じる。
むくむくと欲情の塊がまたも形をなしていきアスランは
あまりにも獣じみた自分をあきれはてる。
(ほんとにどうかしてる。)
想いを通じ合った愛しい女神に。
初めての相手という栄誉を与えられてそれだけで満足なはずなのに。
なお――もっと繋がりたいとおもうなんて。
少し頭を冷やそうと身体を起こす。
「アスラン?」
そばにいると誓ってくれたものの身体を離されると途端に不安になる。
カガリはどこへ行くのか?と目で問う。
「えっと…シャワー浴びてくる。」
欲情したからとりあえず身を離したともいえず
アスランはしどろもどろに応える。
「え?もうシャワー浴びてもいいのか?怪我は?」
「あ…もうほとんど塞がってるし。」
本当はまだ許可はでていないが今までの怪我の経験を考えれば
もう完治の範囲だった。
「そっか、じゃあ私も浴びたい」
「へ?一緒に?」
「ば、ばか!お前のあとでいい」
あわてて顔を赤くしてシーツを引き上げて目元まで隠した。
大胆な発言に一瞬期待を抱くが、あいかわらず天然な受け答えだったと
内心がっかりしながらもさっきの顔をしかめた様子が思い浮かんだ。
1人で歩くにはつらいかもしれない。
(それに女性に先に譲るのが普通だ。)
そう考えながら動く様子のないアスランをシーツからそっとのぞき見るかわいさに、
悪戯心がわく。
「シャワー室までお連れします。カガリ姫」
「!姫?おまえ!」
ニヤニヤしながらアスランはシーツにくるまるカガリをヒョイと抱き上げた。
急にお姫様抱っこをされてもシーツに絡まって身動きができない。
加えてむやみに動けば先ほど貫通された腰がやはり痛む。
「おい!おろせよ!1人で歩ける」
「暴れないでください カガリ姫」
「変な呼び方するなよ!気色悪い」
悪態をつく女神がいつも通りなので持て余していた情欲も萎えるだろうと
アスランは自分自身を見くびっていた。
シャワー室の照明をつけて、カガリをおろす。
絡まるシーツによろけるのを抱きとめて
シーツがはらりと落ちた。
カガリのしなやかな肢体が明るい中アスランの目に晒される。
華奢な鎖骨から白い乳房にかけて自分がつけた印が
花のように咲いているのがいやでも目に入る。
加えてカガリが恥ずかしそうに胸を隠すものだから、
顔に血が上り耳まで赤くなるのが自分でもわかった。
その純情の反面下肢にまで血が集まる。
アスランは思わずカガリに背を向けた。
よろけてささえられて纏うシーツが落ちると
胸が明るい中丸見えでカガリはとっさに手で隠した。
いくらさんざん見られていたとはいえこの明るさで平気でいられるほど鈍感でもない。
そうして上目遣いでアスランを見るとなんと耳まで赤くして
後ろを向いてしまった。加えて上ずった声で
「シャ、ワー お先にど、うぞ」
など言われれば今度はカガリに悪戯心がわく。
「アスラン」
「え」カガリの姿を見ないようにシャワー室を出ようとする
アスランの背に胸を押し付けて抱きつく。
「カ カガリ?」
うろたえる様がおかしくて今まで散々優位にたたれて少し悔しかったので
しかえしとばかりにわざと甘えて言う。
「支えて。一緒にシャワー浴びよう。立ってられない」
「え だって」
「フフ」
ほんの少しだけ、アスランをからかえればよかったのに
カガリは地雷を知らずに踏んでしまったことに気づかない。
楽しそうにわざと甘えるカガリがアスランを揶揄してのことだと
わかっていた。
ふざけてないでといつもの自分なら諌めるようにカガリに言う所だが、
悪魔のようにもう一人の自分が理性を押さえつけて囁く。
受けてたてと。
胸の柔らかさと少し固い蕾の感触を背に受けて
萎えるはずだった情欲は止められない暴徒と化す。
アスランは振り向いてカガリをそのまま片腕に抱きしめた。
「あ」一瞬声を出すカガリの顎を押さえ持ち上げ
貪るような口付けを施す。
「んーっんん」
カガリを包んでいた落ちかけたシーツをそのまま剥がし取った。
滑らかな肌触りの形のよいヒップを撫で回し
なぞるように太ももへ手を下ろせば下肢に伝うぬめった感触。
たたせたことで流れでてきたのが自分の精だと気がつく。
舌をからめて蹂躙したままシャワーヘッドを片手で持ち起用にコックをひねる。
温度がまだ安定せず冷たい水がカガリにかからないようにしながら
キスに集中した。
息を塞がれる施しにカガリはまたも何も考えられなくなる。
ほんの悪戯心が招いた事態に少し後悔するものの、
こうやってアスランが素直に求めてくれることの方が嬉しくて
抵抗せずなすがままでいる。
このままもう一度あの痛みを再体験することになっても
アスランが望むのならと、けなげに覚悟を決める。
上唇を軽く噛まれてようやく唇を解き放たれると、
身体をくるりと反転させられて足元から湯をあてられた。
ウエスト脇から抱きかかえられて強く密着した腰のあたりに
固くあたる何かがぐりぐりとすりつけられる。
その間もアスランの手は太ももを撫で、粘ついた液はシャワーで流される。
丁寧に洗い落とされた両脚の間にアスランの太ももが割り込む。
軽く開かれた股間にシャワーが当てられる。
「ひゃ」
耳朶をかまれ身体から一瞬力が抜けたわずかの合間に
シャワーを持つ腕に片足を持ち上げられ水圧が直接秘所にあたる。
「や」
片足でバランスのとってられないカガリを支えるもう片方の手で
薄い茂みをこすり割れ目にそって深い洞窟に指を差し入れる。
シャワーを洞奥に向けてあてて、指で丹念に中をかきだした。
「も、いいってば」
手をおさえても一向にひるむ様子もなくただ無言でアスランは指を動かす。
しゃべらないので怒ってるのかと心配になり名前を呼ぶと
熱い息を吐くような掠れた声で
「ダメ。ちゃんと洗わなきゃ」と耳元で囁く。
あまりに艶っぽい音でカガリはゾクっとする。
男の、欲情した声がこれほど色っぽいものなのかと
カガリは驚く。
(それともそれは好きな男だからなのか?)
アスランに触られていると思うだけで自分の中が潤む気がする。
その上時折擦り付けるように膨らみ始めた滑らかなボタンを
刺激されるのでその度ビクンと反応して、
カガリのそこから中々ぬるみはとれない
ぬるぬるとした感触が無くなるまでアスランは執拗にこすりおとした。
湯の勢いでそれでもようやく入り口だけでもさらりとした感触になり
アスランは差し入れていた指を抜く。
「…はぁ」
持ち上げられた片足もおろしてもらってカガリはようやく
自分の足で立つ。
アスランはシャワーを頭上のフックにかけて今度は
カガリの身体をゆっくりと撫で回すように洗う。
後ろから抱きかかえられるように
大好きな長い指を持つ手が自分の身体をなであらうのは
恥ずかしくも気持ちいい。
カガリはうっとりとアスランの手にゆだねた。
肩から首。2の腕から手首。すくうように乳房をもちあげられて
しぼりこむように指で頂をはさまれる。
「ぁあ…」
首筋にはアスランの唇。軽くハむようにキスを続ける。
何もかもされたままではくやしいので
カガリも背の後ろにあるアスランの脇腹を届く範囲で撫でた。
そこで湿った布の感触を手に受け思い出す。
「包帯! 怪我のところぬらしていいのか?」
「ん?平気」
カガリの肩を甘噛みしながらアスランは愛撫ともとれる
手つきでなおも女神の身体をなで洗う。
「ああ、もう!」
無頓着なコーディネーターに腹を立て、身をよじって
カガリはアスランに向かい合う。と振り向いたことを後悔する羽目になる。
均整のとれた美しい筋肉をまとう男に巻かれた包帯の下に
美術書でしかじっくりと見たことのないそれが
へそまで反り返って立ち上がっている。
その大きさに驚愕し思わず見入ってしまう。
急に腕を振りほどいて振り向くカガリに驚いて
つい両手を降参のポーズにしたアスランの目の前で
女神が固まって耳まで真っ赤になるのが見てとれた。
目線を追えば自分の雄に目が釘付けになっている。
カガリの身体を洗いながら欲情していましたと
言わずもがな証明しているようなもので、アスランも顔に血が上る。
隠せるものなら隠したいが、そこで急いで隠すのも格好悪いと
居直ってみる。
「あんまり、見るなよ」
「あっごめ…ん」
俯いて目線をそらしてもどうしてもそれが視界に入って気になってしまう。
「そ、そうだ。怪我、怪我」
カガリは自分に言い聞かせるようにして、
アスランの解けかけていた包帯をはずす事に意識を向ける。
包帯をとると傷を覆うガーゼが張り付いていて
カガリはそれをおそるおそる剥がした。
ところどころに縫い込まれた傷アトは痛々しいものの
みるからに回復しているのはあきらかで、
さすがは治癒の早いコーディネーターと感嘆の息をもらす。
「平気だっていったろ?」
「うん」
安堵して頷き、傷のまわりをカガリが撫でる。
そうして迷うように手を止める。
「ア、スラン」
「ん?」
「あの…さわってみても…いい?」
傷ではないそれに目線を移して恥ずかしそうにだが興味津々といったふうにカガリが言う。
「あ…うん」
アスランは喉をごくりと鳴らす。
カガリはアスランの肌に触れていた手をそっと下降させる。
男のそれが行為をする為に怒張するとは知識で知っていたが
イメージと違うのに驚く。グロテスクな形のそれは
猛りを主張してそそり立っていた。
カガリは自分を貫いたアスランのそれが
こんなに大きいとは思わなかった。
そっと反り返る雄を指で触れる。
ピクリと反応するのに思わず手を引くが
触れてみたい誘惑に勝てず撫であげた。
(スゴイ固い。)
こんなモノが自分の中をかき回していたのかと思うと
それを受け入れた自分自身にも驚く。
これじゃ痛いはずだと溜息をもらす。
女性に触られるのが初めてというわけではないが
愛しい相手がそれに触れるだけで血が集まって反り返る。
欲をいえば口で…とそこまで思ってアスランは
恥ずかしい願望を打ち消す。
ほんの少し前に想いを通い合わせたばかりの相手に
それも相手は初めてなのに、そんなことを望んだり出来ない。
これ以上触れられたら何を口走るか。
我慢しようと触れられる手をよける為にカガリの腕を取り抱き寄せる。
それが逆に裏目にでる。
全ての皮膚が感度よく、
カガリの柔らかい胸と尖った蕾がアスランにあたって欲望に拍車をかけた。
(ああ…やっぱり…抱きたい。)
初めての身体に2度も吐き出して尚求めてしまう自分の
性が恨めしい。
それでも欲しい心に勝てずアスランはカガリの耳元でお願いしてみる。
「カガリ…もう1回シテも…いい?」
わざと腰を擦り付けて己の主張をカガリに伝える。
だがアスランの希望空しく、抱きしめる肩から戸惑いの震えが伝わった。
抱きしめられてものすごく色めいた声でシタイと言われて
カガリもイヤだとは思わなかったのだが
今、目にしたモノがまた自分を貫くのだと考えて一瞬躊躇した。
カガリにとってはそれほど衝撃的な大きさだった。
撫で洗われてる時は求められる事が嬉しくて多少の痛みは
我慢しようと思ったのに。
行為の後半は痛みより耐え難い悦楽に意識が弾ける快感が勝り、
なによりアスランと魂の融合ともいえる充足感を味わえたのだが。
貫かれた当初の痛みと今もジンジンと骨にひびく鈍痛が
カガリを迷わせる。
行為の度にあの痛みを伴うのかと思うと少し憂鬱で、
それでも好きな男に抱かれる幸福感の方が勝るとは思うが。
少し回復する時間が欲しいと思うのはワガママだろうか。
押し黙って迷想するカガリの不安を手にとるように感じたアスランは
落胆の長い溜息を吐く。
「ごめん。…無理だよな。」
潔くあきらめ、体を離し、
シャワーのコックを閉めてタオルを取りに外へでた。
ほんの少しだけ迷って押し黙っただけなのに
あっさりとあきらめたアスランにカガリは拍子抜けする。
自分を想ってくれてだろうが、もう少し粘ってもいいんじゃないかと、
身勝手にも怒りに似た思いがわいてくる。
奥手というか、いやらしい部分は今までまったく見せなかったアスランが
自分を激しく求めてくれたことがカガリには嬉しかった。
なのに今はあっさりと引き下がられて
本当はアスランにとって自分はあまり魅力がないのではないかと
不安までわいてくる。
自分を愛してると言ってくれた気持ちは本当だと思う。
おそらく押し黙ったことで痛みに躊躇したのだと察してくれたのだ。
(だけどそんな簡単にあきらめなくても)
バスローブを羽織ってタオルを持って戻ってきたアスランは
「かぜひくぞ」とぶっきらぼうに言って
カガリの頭にタオルをのせると、ごしごし拭いた。
いつもの潔癖にもみえる品行方正なアスランに戻ってしまった。
上気した肌に欲情しないようにカガリの身体をカガリだと思わないように自分に言い聞かせる。
アスランはまるで物を拭くように手際よく水気をとると
ふわっとカガリの身体を抱き上げた。
「ベットにお運びいたします。姫様」
「変な呼び方するな!」
まるで何事もなかったように振舞うアスランに
おもしろくないカガリはアスランに怒鳴った。
アスランにしてみれば少しでも色っぽい雰囲気を軽くしたかったのだが
カガリの様子に初めての身体に無理を強いるようなことを言って
怒らせてしまったのだと勘違いする。
とりあえず使っていない反対側のベットにカガリをおろして
「ごめん」と素直にあやまった。
アスランの譲歩する姿勢に元は自分が押し黙ったせいで
引いてしまったのだと後ろめたい思いで
カガリはそっぽ向きながらボソっとつぶやく。
「シテ…いい」
「え?」「していいから!」
やけくそのように言われてアスランは苦笑する。まったく人の気も知らないで。
「いいよ。今日は我慢する。カガリ初めてなんだし。
それにずっと一緒にいられるんだから。ゆっくり…」
「いいって言ってるだろ!」
勢いついてしまった虚勢はそう簡単に引き下げられない。
黙って目線を絡ませれば困った顔をしたアスランの表情が
だんだん色を帯びた男の顔に変わっていく。
見慣れないアスランの雄の顔にカガリは今更ながら胸が高鳴る。
タオルはハダけ、なまめかしい姿の好きな女に
潤む琥珀の瞳でシテといわれて断れるほどアスランは我慢強くない。
だが自分の雄を見たあとに躊躇したカガリの気持ちも思いやる。
痛みに顔をゆがめるカガリを見るのはアスランにとってもつらい。
そうは思ってもスラリとした手足が、タオルから垣間見える白いやわらかな素肌が
アスランの欲情を煽り立てて下肢にまた血が集まるのがわかる。
(どうしよう)
迷っているはずなのに手が勝手にカガリの頬を撫でる。
触れれば止めることがもう出来ない。
アスランは煩悩に屈服する。
(痛くしなければ…いいかな)
心の中で理性の自分に言い訳してカガリの肩を抱く。
自分の欲望を満たしつつ女神のご機嫌も損ねない方法で。
抱き寄せたカガリの甘い匂いを深く吸い込み耳元で囁いた。
「じゃあ カガリのイク顔だけ見せて」
またも耳元にぞくぞくするような声音で囁かれて胸の鼓動が
早まるもカガリは言われた意味がわからなかった。
どういう意味だと聞こうと思う間もなく唇を塞がれる。
アスランの舌がすべりこんできて咥内を蹂躙していく。
本格的なキスもSEXも全てアスランとが初めてのカガリだが
何度も深い口付けを受けてだんだんとコツがわかってきた。
息をするタイミングや、舌の絡ませ方、引き込むように巻き取られて相手の咥内へ
おずおずと舌をさしだす。
たっぷりと唾液を交換するように激しくキスを交わす。
アスランの髪に指を差し入れて頭をやさしく抑える。
カガリの反応にアスランは胸がつまる。
痛みに怯える女神が自分を満たそうと拙いながら応えてくれる。
(大丈夫。痛いことは我慢するから)
深く長い口付けを堪能してアスランはカガリの首筋に唇をずらす。
カガリの身体をさするように撫でていた手を膨らみへと移動させる。
キスだけならまだなんとか自分を保てたカガリも
敏感になった飾りを含まれればどうにもならない。
先ほど経験したとはいえ、慣れない快感が身体中かけぬけて
背をそらしてアスランの腕に体重をあずければゆっくりと押し倒された。
アスランの長い指がもう片方の尖った先を摘むようにはさんで手の平でふくらみをもみ上げる。
「ふ… ぁあ」
あられのない声がどうしても洩れてしまう。
嬲るような舌の動きにあわせて息があがり軽く噛まれてついトーンがあがる。
こんな声を自分が発しているのが恥ずかしくて
指を噛んで耐えようとするとアスランの指が絡んできてシーツに
縫いとめられてしまった。
「ぁ、やだ」と更に反対の指をくわえようとするカガリの腕を開いてる手でおさえる。
アスランは唇に含んだ飾りを放し耳元へと唇を寄せる。
「カガリの感じてる声聞きたい。」
正直にいえば素直に聞かせるかといえば逆に意固地になって聞かせまいとするだろうと
今までつきあってきた日々の性格から予想できた。
「ばか 恥ずかしい」プイと顔をそむける仕草まで思い描いたとおりなので、
アスランは口の端で笑みをこぼす。
いつもの自分ならそこで譲ってしまうところだが
最後の行為をせず女神のイク顔だけで満足しようと我慢する自分に
せめてその位は譲ってほしいと少々強引な手段をとる。
「じゃあしょうがない」とアスランは身体をおこす。
不思議そうにアスランをみていると護り石がついたネックレスを
はずして不適な笑いをカガリにみせる。
嫌な予感がしてカガリが身を引こうとしても馬乗りになられて
動くことができない。
じたばたと身体をおこそうとするカガリの両手首をとり
アスランは楽しそうに護り石の紐でくくりあげた。
「エ?」
あまりの手際のよさにあっけにとられてカガリにさける時間は
なかった。
きがつけば両手首をくくられて動かそうにも細い紐が切れそうであまり力がいれられない。
「おい、こんなことして、切れるだろ」
むっとしてアスランに言えば、わかっているとばかり満面の笑顔が返ってきた。
「俺を護ってくれる大事なものだから切らないでくれ」
「!」
絶句するカガリをよそに美しい悪魔は妖艶な笑みを浮かべて愛撫を再開した。
固い蕾のまわりを縁取る肌より濃い色の部分を丹念に舐める。
一くくりになったカガリの手を押さえたまま開いた手で白い胸を
揉みしだく。
ところどころにつけた刻印を舐めては違う場所に新たに花を咲かす。
アスランの思惑通りカガリは愉悦を噛み殺せず甘い声を聞かせ続ける。
膨らみを押し上げたすぐ下にも、滑らせて柔らかい腹にもてんてんと赤い花を咲かす。
熱い息とざらついた舌の感触が身体中を蝕むようにカガリを犯していく。
閉じていた脚の間に腕をいれられて力をいれて抵抗しても
拘束された腕をおさえていた手が器用に頂だけつまみ
「ん」
刺激に反応する一瞬のすきをついて開かれてしまった。
片足を腕にかかえ身体でもう片方を押さえこまれれば
洗い落としたはずの粘りが戻り始めた秘所がアスランの目に
晒される。
一度征服したせいでアスランにも余裕が多少生まれる。
蜜を熟む花にむしゃぶりつきたいのをぐっとこらえて
まずはしなやかな脚を堪能する。
カガリの足は細く、締まって綺麗だ。
膝の内側からふくらはぎにかけてやわらかな曲線を描く筋肉を食む。
太陽に愛された少女。輝くオーラを放つ勝利の女神。
調整されたコーディネーターにはない
飾ってあるだけの美しさではなく生きている美しさ。
その愛しい人を自分だけが触れられる栄誉の至福にアスランは酔う。
カガリの足首をもって膝をおりまげさせ甲に舌を這わす。
「くすぐったい」カガリが文句を言う。
口の端で笑みをこぼし足指を口に含む。
「ちょっ やめろ」カガリが思い切り足を引くので
おしゃぶりをとりあげられたコーディネーターは
少し乱暴に太ももの裏を押さえ
「じゃあこっちで我慢する」とももの付け根に吸い付いた。
「ぁっや」
お預けしていた花の蜜をぺロリと舐める。
少し潤む入り口を唇で押し開けて柔肉を舌でなぞり啜った。
「…ァス…ラ…」
カガリの縛られた手首に力が入り紐が食い込む。
カガリの手がさらりとした青い髪をつかむ。
それでも強くひっぱるのにためらわれて結局かき抱く。
カガリの過敏な反応がアスランの嗜虐欲をそそり
逃げる腰を押さえつけて指で花弁をはさみつねる。
「!んん」
下肢を逃がすことをあきらめせめてもの抵抗と
口に指をかみ声を抑える。
心地よい調べが途絶えて多少不満はあるが
かわりに聞こえる息を詰めて漏れ出す喘ぎも悪くない。
舌で花弁と入り口を嬲りつつ
指の腹で奥に潜む滑らかな官能のボタンを擦りあげては
その奥まで指を埋めてかき回す。
ひくひくと戦慄く洞奥はアスランの指を取り込むように蠢く
「やぁ――もう――」
カガリは耐え切れず噛む指を放つ。
「アス――ッダメ――」
何をいってるかわからなくなる。
悦楽の痺れに全身をかけぬけて、
与えつづけられる快楽の奔流にまきこまれたように
すがるものを探して身体をはねさせる事しかできない。
蜜の量が増えて啼くようにあがる嬌声にアスランはうっとりと聞き入る。
充血してせり出した花芯を吸い出せば
指に絡みつくヒダが生き物のように収縮する。
一際細く高く声にならない声。指に伝う水のような蜜。
細い足に力が入り膝を閉じようと腰をよじる。
指に痙攣のような纏わり付きを感じてアスランは身を起こし、
眉を顰め目を強く瞑るカガリの顔を伺い見る。
額に浮かぶ汗と張り付く金の髪。半開きの唇から洩れる早い呼吸の音。
雫を含む睫が揺れて金を弾く琥珀があらわれる。
悦楽に屈服した恍惚の表情。
――もっと 魅せて
アスランの声が頭の中で響く。
高みに押し上げられた意識がその声に引き戻された。
気がつけば艶麗なエメラルドが自分を映し出している。
唇に重なる湿った感触。下唇を優しく噛まれ舌が差し入れられると
海の味がした。
――もっと魅せて もっと求めて
――カガリ
触れる場所からアスランの想いがカガリに流れ込む。
――あいしてる。
カガリの心に響く声ではない想い。
いったいこの感覚をなんていえばいいのだろう。
自分の中にアスランがいるような、それは逆に
自分がアスランの中に溶け込んだような不思議な世界。
――あいしてる。
繰り返し響く声に呼応してカガリも強く想う。
――あいしてる アスラン わたしを もっと求めて
ゆったりとした口付けが急に激しくなる。
挿し入れられたままの指がゆっくりと動きはじめる。
一度達した体に快楽を呼び戻すのに時間はかからず
アスランのキスに応える余裕などなくなってカガリは顔をそむけ
声を上げる。
「ぁあっ――やっ」にじる身体を抑えるべくアスランは
また顔を白い胸に埋める。
胸を、尖りを、洞奥を、あらゆる刺激を同時に受けて
カガリは官能のメビウスに閉じ込められる。
快楽の波を喘ぎ泳ぐも渦に巻き取られて天地がわからなくなる。
果てしなく続く愛撫は陵辱にもまさる苦痛にみちて
カガリは何度もアスランの名前を呼ぶ。
自分を呼ぶ女神の懇願にアスランの横暴な征服欲は満たされる事を拒絶する。
アスランにしてみればとにかくイク顔を何度でも見たかった。
猛りは獰猛な意思を主張してそれを押さえ込むには
せめて心を満たすしかないとばかりに
何度も震えるカガリの身体を攻めあげる。
蜜壷から絶え間なく湧き出た狂喜を促す媚薬をアスランは啜り続ける。
――足りない もっと 魅せて カガリ
強欲な攻めとゆるやかな労わりと交互に繰り返される中
カガリに与えられる愉悦は身体を心をぎりぎりに追い詰める。
絶えず同調する意識の中で懇願する想いを
アスランはきっとわかってるはずなのに
はぐらかすようにキスだけをかえされて。
心だけ絡みとられてどこか違う場所で愛でられている。
透明なベールのようなものに包み込まれ高い場所へ
連れ去られ、何度も意識を飛ばしかける。
そうしてまた引き戻す声が聞こえ全身を這う愛撫が繰り返された。
涙が自然と目の端から流れ落ちる。
――もう…ゆるして
体力的にカガリはもう反応する力を使い果たしたかに見えた。
ひくりと反射は起こすものの、ぐったりとして気を失ったように見える。
指に纏いつくヒダは痙攣を起こしたように震えていた。
カガリの懇願する声が頭の中で聞こえてアスランは我に返る。
びしょぬれの指を引き抜き押さえ込んでいた体をずらす。
「カガリ…」
首をなでて女神の様子を探る。
涙のあとをそっとなぞれば金を弾く瞳がゆるりと開かれた。
「ごめん…つい夢中になって…」
申し訳なさそうに謝る恋人に女神は拗ねるようににらむ。
――ずるい
熱に浮かされる頭で追い詰められるのが自分だけだと気づいた。
イク顔だけ見せてといった意味がようやくわかってそれじゃイヤだと
訴える暇も与えてくれなかった。
手首を拘束する紐は細く無理して引きちぎれば腕は自由になるのに
それがどうしても出来ず、知っていてわざと護り石を
使うアスランの知能犯にも腹がたつ。
「カガリ?」
(ああ、やりすぎた)
ずっとにらんだままのカガリにアスランは罪悪感にかられて素直にあやまる。
「ごめん…もうやめる」
カガリの細い手首にまかれた護り石を解く。
うっすらと紐のあとがついて、解かれた手首のそのあとを
カガリはさすりながらぺろりと舐めて言った。
「…ずるい」
「え?」
「私だけ… 許さない」
それだけのことをしたとはいえストレートな怒りの言葉にアスランは怯む。
カガリは顔をそむけて小さな声で命令した。
「私にも 見せろ。アスランの…顔」
「え」まぬけな声をだしてしまったとアスランは自分を情けなく思うが
意外なカガリのうれしい命令に動揺してのことだから仕方がない。
カガリの紅潮した頬がより赤く染まっている。
「それって…だけどカガリ…まだ痛いんじゃ…?」
「これだけのことをしておいて終わりにするなんて…
絶対許さないから」
顔を真っ赤にしてカガリは真正面にアスランを捕らえる。
恐れも不安も呑み込んでカガリは求めてくれる。
その気持ちが嬉しくて、恋しくて、欲しくて
箍の外れた淫欲のまま、身体が勝手に動く。
吸い寄せられるようにアスランは唇を重ねる。
触れるだけのキスを落とし膝を割って体をカガリの中心に滑らせる。
痛みに耐えるカガリを見るのはいやだと思ったのに、
我慢していた激情はいとも容易く自制を砕破した。
露をしたたらせた雄はそれ自身に意思があるように
女神の蜜壷に己を擦り付ける。
カガリは熱い塊がそこにあてられるのを感じて震える。
神経が全て中心に集まったようでこれから起こるべく融合に
中がヒクリとした。
互いの粘液を混ぜあうように先端がゆっくりと進入してくる。
途中まで入ってアスランはカガリの膝を腕に抱え上げ腰を少し持ち上げる。
最初のような拒むきつさはなかった。
激しく貫きたい思いをどうにか押さえゆっくりと奥へ腰を押し進める。
狭い中心は柔らかくほぐれ、きつめだがあつらえたようにアスランを受け入れる。
深く自分の中を満たす猛りにカガリは言い知れぬ充足を感じる。
脳髄を焼くような快感が身体中を駆け抜けて嬌声と共に背をそらす。
アスランはたまらず喉を鳴らす。
何度もカガリのイク顔を見て満足したのに
今、己を受け入れるカガリはまた違った妖しさで。
愛しい人の中へ。
繋がる部分から染み込むように広がる悦に眩暈が起こる。
戦慄くヒダのざらついた粘膜が包み込んで
熱楔を更に怒張させて弾けさそうと蠢いている。
全てを女神の身に納めアスランは深い息を吐く。
目下に唇を半分あけて喘ぐ息をするカガリを見る。
眉を顰める瞼にそっとキスを落とす。
「カガリ…痛い?つらい?」
欲情に濡れた翠玉が労わるように問えば
女神は目を瞑ったまま首をふる。
そうして開かれる琥珀色の揺れる瞳が
焦点をアスランにあわせ、ふっと微笑んだ。
狂気に近い恋慕がこみ上げてアスランを駆り立てる。
せき止められない愛欲が己を極みに導けと。
耐え切れずアスランは女神に懇願する。
「…動いても…いい?」
掠れた色欲にまみれた声。いやらしくも艶のあるその声が
カガリの中の女を刺激する。
「好きにして…いい。私は…お前のもの…だ」
その言葉に胸が詰まり、頭の中を渦雷が駆け抜ける。
湧き上がる慕情が凶暴な姿に形をかえアスランを獣に変えた。
ふいに下腹部にあった熱が消える。やるせない寂しさにカガリは
甘えた息を漏らす。
その直後に深く突き入れるように際奥まで楔が打ち込まれた。
「ゃぁああ――」
跳ねる背に押さえつけるように胸に顔を埋め
また入り口ぎりぎりまでひいてはその奥をえぐるように打ち込まれ
律動は激しく繰り返される。
抱えられた膝を折り畳められて角度を変えて
熱楔は容赦なくヒダを摩りあげては打ち付けられる。
カガリはもう声が出せないほど憔悴していた。
痛みはもうなかった。何度も指でイかされて、解された秘苑は
目にして驚愕した猛りを難なく受け入れている。
代わりに与えられた愉悦に神経は削られて
望んだとはいえ更に極みへと追い詰められた。
薄く目をあけて男の顔を見る。
苦しげに吐かれる荒い息と愛欲にまみれた妖艶な表情に心奪われて
欲望を受け入れた蜜壷は溢れるばかり。
ぬちゃぬちゃと水音をさせた行為も耳を刺激して
中は雄に絡みつき動きを鈍らせようと収縮を始める。
もっていかれそうな意識をかろうじて留めて
カガリは心の中で想いを叫ぶしかなかった。
――アスラン お願い 私を離さないで
流れ込む意識にアスランはつかまる。
我慢する必要などない。高く昇りつめようとする想いに
身をまかせる。
カガリの膝を離し身体を密着させて腰だけは律動を続ける。
抱きしめて唇を重ねれば互いの想いは全身を駆け抜けて
極みをめざして昇り始めた。
――あいしてる
一際深くうちつけて奥をえぐればカガリの高く細い叫びと共に
戦慄く洞奥は急激にアスランを締め付けた。
真っ白な閃光が意識をベールに包んで高く引き上げる。
同時にアスランの熱がカガリの中で開放された。
カガリはゆっくりと消え行く意識の片隅で
あまりの快感に目を瞑り耐えることしかできず
アスランのイク顔がみれなかったことを残念に思った。
翻弄されるばかりで悔しくて、いつかアスランを追い詰めたいと
心の中でささやかに思う。
それも自分と共にいてくれると誓ってくれたからこそ
味わえる幸せな悔しさだと気づき
アスランがそばにいてくれる事の至福に浸りながら
意識を手放した。
カガリの中で欲望を吐き出したアスランは
ようやく意識が地に戻り粗い息を整える。
半身を起こしぐったりとしたカガリの額に張り付く金糸の前髪を
指でつまんで横によけ、おでこに触れるキスをする。
じっと女神の顔に魅入るがその目を開く様子はない。
そのうち寝息のような規則正しい呼吸が聞こえて
カガリが意識を落としてそのまま眠ってしまったのだと気づく。
ようやくおさまってきた自身を引き抜くとカガリがふるっと震えたが
目を覚ます気配はなく、
アスランはもう一度事後の処理をと身体を起こす。
カガリの股間をきれいに拭い、
次に起きた時はシャワーはつらくても1人で浴びてもらわないと、と苦笑をもらす
滑らかな肌にキスを落とし、時計をみれば
ずいぶんと無理をさせてしまったと今更ながら後悔する。
想いを通い合わせて肌をあわせ、幸せな事後の余韻にひたる。
白い胸に耳をそっとあてればとくとくとカガリの生きている音が
聞こえる。
――生きている。
こみ上げる喜び。共に生きていける未来をおもいアスランは
命あることに感謝した。
生きることを教えてくれたカガリ。
かたわらに置かれたハウメアの護り石を身につけて
カガリの身体の横にもぐりこむ。
抱きしめる形にカガリを抱えて目を瞑る。
――ずっと一緒に
あらためて心に誓う。
この愛しい存在を奪うものがいるのならこの身が朽ち果てるまで戦おう。
全てを捧げるに値する女神。目が覚めたらもう一度カガリに言おう。
ハウメアの神に誓った言葉を。
――ずっと一緒に。共に生きることを。
アスランは共に歩む未来を誓い、眠りに落ちた。
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(H16.8.1)
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