少し表示の仕方を変えてみました。


チェリー編


部屋に入ると磁力に引き寄せられるように互いの体を抱きしめた。

カガリの髪に顔を埋め甘い香りを吸い込み
アスランは腕の中にいるカガリの温かさに言い知れない恋慕がこみあげてくる。

――これ以上触れていたら何をするかわからない。

今にも崩れ落ちる理性をどうにか留め、なけなしの自制をかきあつめて心に命令する。

アスランはカガリの体を離そうと腕にこもる力をどうにか緩めるがその柔らかな肢体をはなすことがどうしてもできない。

目を合わせるとカガリはそっとアスランの頬に指先をあてた。
金色に近い琥珀は濡れたように艶やかで吸い込まれる。

――そんな目で見られたら…

頬に触れるたおやかな指ごと手を握り締め、
琥珀に吸い寄せられて顔を近づけるとカガリは瞳を閉じた。
そのまま唇を重ねて今まで抑えてきた感情が膨れあがる。
再度きつくカガリを抱きしめると応えるように背に回る腕に力がこもった。
ためらいがちに舌でカガリの下唇をなぞる。
カガリは招くよう唇を開き、舌を忍ばせればおずおずと絡めてきた。
血が逆流していくような感覚にアスランは陥る。
全身が総下立ち、何も考えられなくなった。

唇を何度も捕らえ直し、吸い付いては舌を絡みつけて咥内をかき回す。
いきなり激しくなった口付けにカガリは力が入らず支えられたアスランの腕にその身を委ねる。

力強い腕にまかせればかかえられたままゆっくりとベットに押し倒された。
長い指が金の髪を掻き抱き、貪る唇が名残おしげに離されると頬から耳たぶへ。這うように喉へ吸い付く。
うっとりするような甘い香りと極上の感触。
女性の体がこれほど華奢で柔らかいことにアスランは感動し、
欲望に焦れる自分に驚く。

ラクスと婚約していたとはいえ、挨拶程度に頬にキスをする程度で、それ以上の事をしようとも思わなかった。
そうはいっても年頃の健康な少年特有の体の熱さに眠れず手で処理をする事は人並みにあった。同僚の性体験など聞かされてそれなりに興味もある。
ザフトのTOPエリートであるアスランを誘惑しようと近づいてきた女性は多く、いくらでも経験する機会はあったもののまったくその気になれなかったといった方が当てはまった。清らかな婚約者にも、他の女にも性衝動を感じない。
自分は淡白なのだとアスランは思っていた。

だから殊更今組み敷いている少女にだけ、経験したことのない情欲を感じることに驚いてしまう。
頭の隅で冷静になれと言う自分がいるのに抑止力はまるでない。
吸い付くたびに反応する肢体に、普段なら考えられない狂暴な嗜虐心までわいてでる。
下肢に集まる熱で、はちきれそうに膨張した雄が疼いてまさぐる手は大胆になる一方だった。
カガリのジャケットのボタンを手際よくはずし、シャツの下に手を入れて手触りのよい肌を撫で回す。
荒い息を吐き、耳たぶを甘噛みしながらわき腹からシャツをさらにたくし上げ膨らみに手をかけると
「ア、アスラン」
焦ったようにカガリがアスランの名を呼んだ。

とっさに手が止まった。
肉欲に従順な獣も女神の制止の呪文に逆らうことはできない。
理性が瞬時に表にあらわれて暴走を押さえつける。
それでもその壁を削り落とす勢いで濫妨な想いが吹き荒れる。
苦しさをひた隠してアスランは掠れる声でカガリに聞いた。
「…怖い? 止め…ようか…?」

カガリが止めてと一言いえば、ただうなづくだけでもアスランは自分を押さえ込むことができただろう。
なのにカガリはそうじゃないとばかりに首を振った。
「…カ、ガリ?」
うっすらと涙を浮かべて何かをいおうとしてるのがわかる。

――好き

ふいに頭の中でカガリの声が響いた。
あの爆風と炎にまみれた中、絶望の淵にいた自分を呼んだ、心に響いた声ではない想い。

体の内から気道を焼くように熱い塊がせりあがる。
ずっと心の奥でしたため、我慢できないほどに大きくなった気持ち。それを伝える為にカガリに会って話そうとしていたことをアスランは思い出した。
姿を見て衝動的に先走ってしまったが、まず言葉で伝えなければいけない。
どうしてこんなに欲しいと願うのか。一度も言葉にしたことのない想いは見つけてしまえば簡単な答えだ。
「カガリ…好きだよ。」
ゆらゆらと揺れる強く引き込まれるまなざしにどんなに焦がれたか知れない。
「愛してる。愛してるんだ。」

口にだしてしまえばそれが全てだった。カガリの琥珀色の瞳から涙が溢れ出す。
しゃくりあげながらも気持ちを伝える。
「…アスラン…私も、私だって」
「…分かってるよ」
アスランは流れ出る涙を指ですくいとりながら瞼に頬に触れるだけのキスをおとす。
カガリはアスランの想いが唇から触れる肌に染み込む気がした。

――あいしてる

カガリの頭の中に流れ込んでくるアスランの想い。
空気を触れさせる音ではなく心で感じる不思議な声。

――あいしてる

返すようにカガリの想いがアスランにも流れ込む。
お互いの強い想いが伝わる事にアスランもカガリも訝しむ事はなかった。
息をしている事が自然なように、想いを感じる事が必然に感じた。
あの時、炎の中、お互いの存在を感じたように。

アスランは柔らかな唇に自分を触れさせた。頭の奥が痺れていく。
触れるだけの優しいキスを何度も繰り返し、触れるだけが唇を食むようにと、勢いがまして何度も捕らえ直してだんだんと深くなっていく。
想いを通わせる心は本能を解放する力へと変わっていった。
たまらずカガリの体の線を確かめるようにシャツの上から撫でる。今度は怖がらせないように慎重に。ゆっくりとシャツの下に手を入れて、脇のラインを触れるだけで上下させる。
撫でているだけなのに、アスランの体の中心は熱くなり、その熱は毛細血管の隅々まで走り抜け、全て焼けつくように感じる。
原始的な欲行動だけが支配していた。

――欲しい

強烈な情欲を感じて思わずカガリの体がびくっと痙攣した。
ほんの少しこおばる体も構わず、アスランは撫で回す。


舌で咥内をかき回されて、激しい口付けと相反する手の優しさが余計淫靡に思えてカガリは震えた。
――全部 俺のものにしたい。
絶えず流れ込むアスランの激情。
求められていることに今度はカガリの血が熱くなる。ぐるぐると眩暈がした。

ずっと塞がれた唇は呼吸がうまくできず、息があがる。酸素を求めて顔を背けるとアスランはそのまま喉元に吸い付く。
そうして唇が下降していくのと同時にシャツの下に入れた手が上がってきて膨らみをすくい上げるように覆う。
手に掴まれた膨らみをアスランはシャツの上から歯をたてて食んだ。シャツとブラと2重になった布の上から的確に頂を探り当てる。
アスランは先端を布地の上から軽く噛んだ。
今まで感じたことのない何かがカガリの背筋を駆け抜けた。
「ぁっ」
もう片方の手がシャツの下に入れられると胸の谷間から反対の膨らみに布をずりさげて直にもみしだく。
「んんっぁ」
声が出る。カガリが自分でも恥ずかしくなるほど呆けた声だった。
こんな声を今までだしたことがない。
「や、恥ずか、しい」
たまらずアスランの頭を手で押しのける。そうしてカガリは「ぁ」と後悔の声をだした。このまま引き返せなくても構わないと思ったのに羞恥と恐怖からつい手が動いた。このまま引いてしまうだろうか。
不安なカガリにアスランは体を起こし、妖艶に微笑んだ。

男の妖気がカガリを魅了する。金縛りにあったようにその笑みから目が離せない。
アスランは照明のレベルを落とした。そうして自分の上着とシャツを脱ぐ。
アンダーシャツの下からあらわれる体にカガリは思わず目をみはる。
包帯に巻かれた隙間から見える男の体は細いながらも無駄のない筋肉に包まれて美しい。
レジスタンスにまぎれこんだり、MS部隊で練習に参加したりと、カガリは男の体を見ることに慣れてはいたが、目の前に晒された少年の華奢さと鍛え上げられた軍人の逞しさをあわせもつアスランの体に、心臓が早鐘のように脈をうつ。

無人島で怪我をした体を手当てした時にはこんな事を思わなかった。
好きな相手だから。

そう意識すると顔から火がでる位恥ずかしくてカガリは思わず手で顔を覆う。
そんな事を考えている間にアスランは衣服を全て脱ぎ捨ててカガリのベルトをはずしてズボンを脱がせ始めた。
されるがまま腰をあげて自分が何をされているかハっと気がつきあわてて目をあけるとまた秀麗な男と目があい、微笑まれる。
いつも見る穏やかさとは違う男の妖艶な笑みにカガリの背筋をまた何かが走る。
(ナンだろう、背中に何かが走るたびにどんどん体が熱くなる。)

背を少し起こし顔が近づけて瞼のすぐ上にキスをしながらアスランは上着を脱がした。
カガリは力は入らずなすがままにシャツを脱がされて背にとどまるホックもはずされる。
アスランはゆっくりとカガリをベットにまた寝かせて胸を覆う布をとりはずした。
はずしたそばから腕を交差してカガリが胸を隠す。
フイと顔を横にそむけ頬をバラ色に染める姿は、男の征服欲を煽るだけとわからないだろう。

「あまり見るな」

ボソっと文句のようにこぼした声も色を帯びてアスランには聞こえた。
いつも粗雑で少年のような振る舞いをするカガリがみせた女の声に、
奥底にあるドロリとした部分がさらに沸き立つ。


ふとした瞬間にみられる慈愛に満ちた優しさ。
輝くように引き付ける強いまなざし。
全て独占したい気持ちをひた隠してきたように思う。
優等生で清潔感にあふれるイメージを崩しまいと色欲の目でカガリを見ないように努力した。
夢に見た焦がれる相手は今腕の中にいる。 狂おしい激情がふつふつとアスランを焼夷していく。
それでもわずかに残った理性がやさしくあろうとセーブをかける。
せめぎあう2つの感情は激しくぶつかりアスランは黒く荒れ狂うものだけをどうにか押さえ込んだ。
なりふり構わずがっついてカガリに怖い思いをさせるのだけは避けたかった。


薄明かりに中に見えるカガリの体は萌芽する女の色を発しているようだ。
隠す手をとり白い胸をうっとりと見る。
尚恥ずかしそうに俯くカガリの耳元でアスランは囁く。
「きれいだよ」

耳元で囁かれた艶のある声にカガリはまた背筋がぞくぞくした。
「あいしてる…カガリ」
続けて息を吐くように囁かれた掠れ声に全身の血が沸騰するように熱くなる。
首筋を唇が這い、胸をそっとつつむ手に力が入る。
膨らみを下からすくうようにもみ、指に頂点を挟みこむと腹でクリっとすられる。
「ぁあ」
触れられたどこもかしこもカガリの神経を鋭敏に磨いだ。
アスランの手によって与えられる愛撫に喉の奥から喘ぎが次々と耐え切れずあふれ出す。
幼いカガリの体が女へと変化していく。
声に、愛撫に、何度も背筋を何かが走りぬけて脳に命令を伝えた。立て続けに与えられる刺激が愉悦へと変わり、中心からジンワリと熱が広がっていく。

膨らみの飾りは硬くしこってアスランは思わず口に含む。
舌で弾くように吸い弄べば面白いほどカガリの体が跳ねる。
もう片方も硬く立ち上がって指でつまむように刺激する。
「っや…ああ」
カガリの指がアスランの青い髪をかき乱す。
喘ぐ反応はアスランを助長するものでしかない。
痺れるような甘美な酔いにアスランは次第に麻痺していった。
優しくあろうとした最後の良心も強欲な嗜虐心の前にはなすすべもなく全てを奪いたい欲求だけが心を凌駕していく。
怒張した雄が股慄して早くとせがむように反り返る。
性知識も興味のなさから大して記憶にないが手が勝手に動いた。
狂気に突き動かされるようにアスランはカガリを侵食していく。

胸をまさぐる手も、指も、食らいつく唇も、カガリの肌に与えられる刺激すべてが快楽へと変わった。アスランに求められていると思うだけで体の内側がじわりと熱を帯びて潤むのがわかる。
初めての感覚にカガリは戸惑う。
アスランの愛撫する手が下降していく。

その場所にたどり着くと1枚だけ残した布はくぼみに沿う部分がしっとりとしている。
なでていた指を布の端からしのばせようとするとカガリの声が制した。
「っやっ」

羞恥と愉悦のむず痒さにカガリがアスランの手を押さえる。
普段ならその様子に怯んでしまうところだが今はただ欲望に従順な雄でしかない。
逆にそそられてアスランは乱暴に手をとった。
反対側の手でその手首をつかみ頭の上に押さえ込んでからもう一度やり直しとばかりゆっくりと布の上をなぞる。
そうして隙間から指をいれ親指で布を押し上げ残りの指の腹でさわさわとした恥丘を撫でた。
「ゃ…」小さく洩れる制止の声。アスランはカガリの顔を覗き込む。

艶麗な笑みを浮かべるアスランに見つめられてカガリは今更ながら胸が逸る。
ぼんやりとした灯りに長い睫の影が彼の容貌をよけい妖しくみせた。
思わず目をそらすと頬に唇が触れる。
カガリは目を瞑り抑え込まれた手首から力を抜いた。

アスランはカガリのもう片方の腕を胸で抑えるようにして少し身を起こしカガリの膨らみに唇を触れさせた。
唾液で胸をぬらすように舌で這いまわす。
その一方で恥丘を撫で回した手を完全に布の下にもぐりこませ、すぐそばの割れ目へと中指をすべらせた。
「っああっ」
柔らかな毛の奥にある割れ目を指で左右に開く。
指はゆっくりと奥へと差し入れられた。
知識だけで探る女のその場所は思いもかけず熱い。入り口を割って指を這わすとその奥がひくつくのが振動でわかった。

カガリの体もびくついていた。唇で胸を押さえつけるように吸い付きながら指は薄い花びらをなぞる。湿った感触のそこがだんだんとぬるぬるとしてくる。
どこから蜜があふれるのか確かめるように花弁の奥に指をずらす。

辿りついた入り口はぬめっとした愛液にまみれて蜜壷となっていた。
アスランは喉を鳴らした。
飾りを唇に含み舌で嘗め回しながら肉を割れ目にそって指を挿れる。更に熱いヒダが指をとりこむように纏わりついてきた。
そのまま奥へとすすめるときつく拒むように締め付けられる。
アスランは飾りを軽く噛んで深く指を埋める。

「ひ」
内部に侵入してきた指にカガリの体が震える。
怖くなって首をふるふると振った。
「や…アス…ラン」
胸をしゃぶっていたアスランが体をずらし諌めるようにカガリにキスをした。
――あいしてる
恐怖を包み込むように慈しむ声が聞こえた。
カガリはすがるようにキスに応える。
――あいしてる
キスが深くなればなるほどアスランの声が近くになる気がして
夢中で舌を絡める。

不安に震えるカガリと裏腹にアスランは指を締め上げるヒダの感触に高揚していた。
拒む硬さがキスを繰り返すうちに緩やかになり、ほんの少しぬるみが増えた。
受け入れだした中心を解すように、押し広げるようにまわす。
重ねた唇からカガリの息の詰める様子が伝わる。アスランはカガリの咥内を舌でなぞる。
舌と同じように埋め込んだ指で肉壁をなぞる。カガリのヒダだけが応えるように収縮する。
蜜がだんだんとあふれ出して手のひらに伝う。
熱く柔らかく洞奥はざらついて細胞がそのつど形を変えて包み込むようだった。

アスランは指を増やす。奥のざらついた部分を丹念に指の腹で擦り探った。
少し抜いてはまた擦るように奥へ。

優しい口付けを受けながら器用に動く指をカガリは意識で追った。
背筋に電流のようなものが走る場所が何箇所かあってその場所を摩られるたびに息が詰まった。
女性の体が初めてのアスランもその様子に気づいた。
無意識にその場所を記憶して指を更に増やして確かめるように摩りあげる。
唇を塞がれたままカガリが喉の奥から嬌声を小さくあげる。

入り口手前にある肉片がせり出して硬さをましたように手のひらに当たる。
試しに親指でそっと撫でるとカガリの体が魚のように跳ねた。
「んん!」
顔を背け体が跳ねた事よりも、急にヒダが生き物のように指に絡みつくように蠢く事に驚いた。 その収縮はすぐに治まり中から潤みがどんどん溢れでてきた。
もう一度柔らかな肉の中で指を動かすとくちゅくちゅと淫猥な音とたてた。

音は雄の猛りを暴力的に助長させた。

――我慢できない

アスランは指を抜く。
カガリがほっと息を吐いた。びちゃびちゃになった下着を脱がすと透明な蜜が糸を引いていた。
細い足から下着を抜き取り、膝を折り曲げて肘にかかえこむ。
アスランはへそまで反り返った雄を軽くしごいた。
雄の先はカガリのように蜜を吐いて濡れている。
腰を近づけて片方の手でカガリの場所を確かめるように触るとカガリの蜜はますますあふれ出ていた。
この中に自分を埋め込むのだと思った途端もうたまらなくなった。
先端を擦り付けるようにあてがう。


カガリは敏感になったその部分に指とは桁の違う質量のものがあてがわれた事に気づいた。
これから起こる事を覚悟して目を瞑る。

潤んだ入り口にすんなりと柔らかな先まではスムーズに入った。
だがその先がギチギチに狭い。
膝を少しかかえあげてアスランは腰を強く推し進めた。
「っぁあ!」
悲鳴に近い声があがった。
目をぎゅっと瞑るカガリが指を噛み、痛みに耐えるようにシーツを掴んでいる。
それでもアスランはもう止めることなど考えられない。
欲望のまま深く雄をその中へ突き入れた。

「ぁぁぁ!」
背を反りあげて悲痛な声をカガリが上げた。
深く全てを納めきってアスランはカガリの膝を下ろし反り返る背に腕を回し、胸を密着させるように抱きしめた。
シーツを掴む手を背に回してカガリもしがみつく。


しばらく繋がったままアスランはカガリを抱きしめてじっとしていた。
想像以上の感触にアスランは驚愕した。
それでも他の女ではここまで気持ちよくならないとアスランは思う。
――カガリだから
密着させたカガリの胸は柔らかく先端の尖りだけが肌に硬く当たる。
アスランは自分ががっつくように荒い息をたててるのに気がつき息を整えようと目を瞑る。
下肢に集まった血が脈うつのがわかる。狭い洞奥はあいかわらずきつく雄を締め上げる。
多分あまりもたないだろう。動かせばすぐ達してしまいそうだった。
自分を諌める為に深く息を吸う。そうして速度の違う鼓動にようやく気がつく。カガリは浅く喘ぐように呼吸を繰り返していた。

自分を埋め込むそれだけに囚われて半ば無理やりねじ込んだことを思い出す。
アスランは罪悪感を感じた。
肉がさけるような感触が一瞬あったが躊躇する良心など吹き飛んでいたのだ。
今も熱く締め上げるように纏いつくす洞奥。
肘をたてて顔が見えるように体を少しおこす。
ほんの少し下肢に力がはいった。
「っん」
カガリが息を少し詰めた。雄に纏うヒダがニュルリと反応する。
カガリは目をぎゅっと瞑ったままで端から幾重も涙のあとがあった。
(痛いんだろうな)
初めてが女にとって痛むものだとは知識では知っている。
アスランは痛いかと聞いてみようと思ったが、肯定されたらと考えて思い留まる。
もう今更止めることなどとてもできない。めちゃくちゃに動きたいのを必死に堪えるのが精一杯な状態だ。
ヒドイ奴だと思うが初めてのカガリを壊したいほど欲する自分が理性を狂わせる。
それでも涙のアトがちくりと良心を刺す。
――ごめん
心の中であやまりながらアスランはカガリの目の端にたまる雫を舐めとる。
ちゅっと音をたてて額と頬にキスをした。
――でも欲しい カガリがどうしても
想いはカガリに流れ込む。力の入った瞼が少し緩んだ。
唇で頬の肉を食むようにしてずらし、カガリの唇にとどくと、下唇を軽く噛んで舌でなぞった。一寸離して今度は上唇を噛み 舐める。
戯れるようなキスに強張ったカガリの体から徐々に力がぬける。
――好きだから欲しい。あいしてる
強く激しい想いにカガリは中心が熱くなる。
アスランはあふれ出す想いを声にだしてみる。
「…あいしてる」
唇に触れる位置で告げると背に回る腕に力がこもった。
カガリは頷いてまた涙を零れ落とした。

アスランはカガリの何度も唇を軽く噛んだあと、薄く開いた隙間から舌をねじ込んで強く吸い上げた。カガリの舌が応えて絡み付いてくる。
しばらくキスに没頭した。唾液を交換するようにお互いの舌を吸い上げる。
歯列をなぞり、上あごを舌で舐めあげては絡め引き合う。
苦しくなると息を吸うために少し離し、角度を変えて深く口付ける。
唇を捕らえ直す度にほんの少し繋がる部分が擦れる。
最初は痛みにカガリが一瞬息を詰めるのがわかった。
だがキスを繰り返すうちにだんだんと雄を絞り上げるような洞奥が緩んできたように思う。
あつらえたような、ほどよいキツサにジンワリと悦が広がる。
濫妨な雄がひくひくと戦慄き、アスランを急かす。
ほんの少し腰をずらすように動かした。カガリの舌の動きがとまる。
キスに気取られるようにアスランは自分の舌を絡めて吸い上げて引き込み軽く噛む。
その間にゆっくりと腰を横にグラインドさせた。
合わさる唇の隙間からカガリが息に混じる声をあげる。
押し広げるように動くと息を詰めながらカガリが
「ん」と眉を顰めるのがわかった。
その様子がひどくせつなげで艶帯びてアスランにしたらそそられる。
大きく回してから縦の動きを少し加えると雄を包み込むようにヒダは蠢いて背筋をぞわりと喜悦が走り抜ける。
一度動き出すと悦を求めて勝手に腰が動いた。縦に加えた幅を少しずつ大きくしていく。

「…んっ…っんん」
漏れ出す声に耳から刺激されてさらに横に縦にとランダムに動くとたまらずカガリは顔を背けた。
「ぁあ!や」
そういわれてももうアスランには止められない。せめて痛みから気をそらそうともう一度唇を追いかける。

カガリはまた唇を塞がれる。今度はアスランの口付けに応える余裕はなかった。
「んっぁ、ぁ――」喉の奥から驚くほど淫猥な声が洩れる。

カガリの体はアスランの愛撫によって急激に変化をとげた。
挿入してからも、アスランは初めてにしては辛抱強く待った。
何度も口付けを受けてカガリは心から満たされる。

女は心が満たされると体が愉悦を求めて開かれる。
あいしてると言ってゆっくりと動くアスランに解かされた。
雄の大きさに馴染むように愛蜜が染み出て、強張った中心は柔らかくほぐされた。
頭の芯を突き抜けるような痛みはもうなかった。
痛みがうすれると今度は不思議な気持ちよさが打ち寄せてくる。
繰り返される口付けに心が高揚してくのがわかる。


アスランが自分を求めてくれている。
不器用で奥手でおよそ色事に興味のないような潔癖さをいつも装っているのに。
今自分を欲しいと激しい想いが伝わってくる。

愛する男に求められることにカガリの胸は熱くなる。
「…ア、ス…ラン」

掠れた声で名前を呼ばれてアスランの頭に血が上る。
半開きになった下唇を食みながら緩い動きを本格的な抽挿に変える。
「ぁっっぁ」
声に触発されて恋慕が膨れ上がる。
「カガリ あいしてる」

唇が離れてアスランは体をおこしカガリの膝をかかえる。
丸見えの繋がる秘所からどろりとした赤黒い筋が何本も太ももに伝いおちていた。
ふいに鼻腔をつく鉄の匂いにアスランは眩暈にもにた至福を覚える。
熱楔を入り口ぎりぎりまでひいて深く最奥まで突き入れた。
「っぁぅ!」カガリの背が反り返り、シーツに爪をたてる。
貫いたそれがまた波が引くように離れてまた戻ってくる。
繰り返される抽挿はお互いの官能を刺激してより深い世界へと導く。
先に導火したのはカガリだった。脳髄を焼くような快感が瞬時に全身に広がって高みへと引き上げられる。

それはアスランの意識も絡めとった。頭の奥でカガリを感じると心に浸透して一体となり、そのまま高く上り詰める。
射精感にも似た強烈な快感が神経を痺れさせる。意識だけ肉体を離れ異空間に吸い込まれたようだった。
魂の融合。融けあう意識が爆発する。
同時に雄は急激な収縮を受けて膨れ上がり一気に暴発した。

洞奥で暴れ狂うように熱を吐く塊はカガリに肉体的快感を加えた。
昇り詰めた意識は閃光に近いきらめきのように弾けたまま
更に真っ白な無の空間は脈打つようにどくどくと震えた。



H16.9.10



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