トールは私がはじめて好きになった男の子

やさしくて、友達思いで
ちょっと子供っぽく甘える事もあってかわいくて
でも肝心な時は凛々しくて

ヘリオポリスの工科で出会って
私達は自然に仲良くなった。

お互い意識していたけど
特別な関係にならなくても一緒にいられればよかった。
隣にいることがとても自然で
同じ専攻で同じゼミで同じようなことに興味があったから
キャンパスでも休みの日でも必ず会って。
いつも一緒にいた。

木星の衛星エウロパでみつかった「Evidence01」
地球外生命体の真相やら
科学的な物から怪しげな裏論文まで
集まって騒いで遊んで勉強した学生生活。
一緒にいるだけで楽しくて幸せだった。

そんな奥手な私たちが
友達から一歩進んだのは
知り合ってから1年もすぎた頃だった。

「彼女になってくれる?」

すごく嬉しくて恥ずかしくて返事のかわりにうなづく事しかできなくて。

それから急にトールが男の人なんだって思うようになった。
手を繋ぐだけでドキドキして
はじめて2人っきりで出かけたデートの帰りに
キスされてその夜は眠れなかった。

そうして
私達はクリスマスの日に結ばれた。
偶然彼の両親が出かけて2人きりになって
なんとなく雰囲気になって。

求められて体を重ねて。
私もトールも初めて同士で余裕なくて痛くて。

まわりにはそういう関係にまですすんでる子達が沢山いて
まだそうなってないの?とか驚かれたりしてたから
そうなる事は覚悟してたけど。
雑誌や女友達との情報で男の子の性欲とか
抑えられない衝動とか色々耳年増になってたから
どんな気分なんだろうって好奇心もあったし、期待もあったけど。
思ったよりそんな気持ちいいものではなかった。

大好きなトールだったから
応えてあげたいと思ったから 
我慢できたけど。
もうしたくないな てのが終わったあとの私の本音だった。
子供だったの。わたしにはまだ早かったのかなって思った。

そのあと2人きりになる事が何度かあったけど
体が硬くなっちゃって全然濡れなくて。
トールの事大好きなのに体がついていかなくて
きらわれちゃうかなって悲しくて。

でもトールは優しくて
ゆっくりつきあっていこうって言ってくれた。

トールを好きになってよかったって思った。
トールに応えてあげたいって思った。
ずっと一緒にいたいって思った。

ヘリオポリスが崩壊して
AAに乗り込むことになってその想いはもっとずっと強くなった。

キラがコーディネーターだから戦わされて
トールはいつもキラの事心配してた。
俺達も何かしなきゃって
ブリッジの手伝いをかってでる事をいいだしたのはトールだった。

思いやりの塊みたいなトールが大好きで本当に心配で。
トールが残るって言ったから私も残ったの。
お調子者みたいな所あったから私がついていなきゃって。

戦争なんて別世界のことだと思ってた。
戦闘中は本当はすごく怖くて不安で。
でもトールがいるから頑張れた。

トールは見た目よりずっとしっかりしていて
男の人だった。
私が不安な時、肩を抱き寄せてくれた。

「俺の前では強がんなくていいよ。何にもできないかもしれないけど
こうやってそばにいることはできるから」

私が素直に甘えられる初めての男の人
私の方が支えられてた。

眠れないときはこっそりトールのベットにもぐりこんで
抱きしめてもらった。
お互いの体を触りあって
私が痛くてあまりしたくないのを察してくれて
最後まですることはなかったけど。

我慢してくれる事が嬉しくて
何かしてあげたくて
口で
してあげた。



2月17日
私は16歳の誕生日を迎えた。
攻撃がいつはじまるかわからない戦艦で
緊張の毎日で疲れてて。
自分の誕生日って事も忘れてたのに
トールがおめでとうって
小さな包みをくれたの。

中をあけると
ペンダントトップだった。
羽をつけた鯨の形

「Evidence01のつもり」
鉄板を加工しただけのイビツなものだったけど。
買い物できるようになったら鎖も買ってあげるねって
優しい笑顔でキスしてくれてすごく嬉しかった。

だからトールの誕生日には何あげようかって
戦闘続きで毎日忙しくてそんな悠長な事考えてたら怒られそうだったけど
一生懸命考えてた。

結局手作りするにも買い物にも行けないから
同じように鉄板を加工しただけのトップをつけたキーリングを
作ることにしたの。
キラやサイに工具の使い方聞いて
我ながらうまくできたと思う。

トールと私の密かな夢だった木星探査にいつか一緒にいけるように
ジョージグレンが乗った宇宙船「Tsiolkovskii」

(喜んでくれるかな。)

トールの笑顔が私は大好きだった。
屈託のないあの笑顔を見るのが楽しみで
早く誕生日がこないかなって思う反面
シュミレーションの練習入れ込みすぎる事に
不安に駆られてた。
予感は当たってしまった。

私の大好きな笑顔で トールは言った。

「スカイグラスパーのパイロットに志願しようと思うんだ。」



  パイロットなんて無理よ。すぐ落とされて死んでしまう。
  トールはキラと違ってナチュラルなんだから
  ザフトなんかと交戦になったら


「後方支援だから大丈夫だよ。キラを少しでも助けてやりたいんだ。」
泣きそうな私に真剣な眼差しで。
友達思いのトール。一度決めたら絶対やめない。
無理しないで って言うしかなかった。


4月11日 トールの誕生日 
正式にスカイグラスパー2号機パイロットになることが決まって

夜 私は自分からトールに触れた。
固くなった彼を口に含んで不安な気持ちを振り払うようにした。
偶然なのか故意なのか その夜同じ部屋に寝泊りしてたはずの人が
いなくて2人だけだったから
トールは私にねだった。
「ミリィの中でイってもいい?」

避妊具もなくてあまりしたくなかった行為だったけど
黙ってうなずいた。
トールは潤んだ目で私をやさしく抱いた。

人がくるかもしれないとドキドキしながら触られて
前よりすんなりと受け入れられたけど
やっぱり痛くて。2回目なのにつらくて。
でもトールに悪くて感じるフリをした。
痛みで不安を消してしまいたかった。

  トール 無理しないでね
  出航まであと数日
  トールがいなくなってしまう事がありませんように

祈る気持ちで
トールを抱きしめた。

終わって
トールが眠そうに、でも満足そうに私を抱きしめた。
私の髪を指ですきながら
「ミリィ 大好きだよ」

「私も」
トールの胸元に顔を埋めて心臓の音を聞いていた。

不安で怖くなるといつもそうやって抱きしめてもらった。
いつもいつもずっとこれからもずっと
(大丈夫。きっと大丈夫。ずっと一緒)
だんだんとゆっくり規則正しくなる呼吸
トールを見上げると
スヤスヤあどけない顔でもう眠ってた。
(人の気も知らないで。)

軽く頬をつついて自分が作った「Tsiolkovskii」が入った包みを
枕元においた。
「16歳のお誕生日おめでとう
 来年も再来年もそのあともずっとずっと一緒にお祝いしようね。」


  大好きなトール

  戦争が終わったら
  研究室で皆で話してたみたいに
  いつか木星へ エヴィデンスの調査に行こう。
  そしてもっと遠くに。

  外宇宙の星に私たちのような生き物がいると見つける事ができたら
  その知的生命体と交信できるようになったら
  私たち地球はコーディネーターもナチュラルも関係なく
  地球人として誇れるようにきっと手を繋いでいくよって
  トールが言ってたんだよね。

  本当にそうなるといいね。
  私たちは隔てのない素晴らしい星に生まれてよかったと
  思えるような世界になるといいね。



眠っているトールの唇に自分の唇を重ねて

涙が零れた。



----------------------------------------------------------

(H16.04.11)(H16.10.15改稿)
4月に書いたあたりではSEED年表ヨク見てなかったせいで
トルミリはAA内で17歳となっていたのだと勘違い。
キラ君と同じ年なんでC.E55生まれとしたらどー考えても16歳なんですね…
思い込んでました。
とにかく4月11日トール君永遠の16歳のお誕生日おめでとう
16歳と6日 守りたい一心で出撃・消えた命に追悼

  文目次に戻る

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!