モルヒネおまけ 「ごめん、もう」 ――我慢できない (今すぐにでも 自己のコントロールなど自在だと奢っていた。 それなのに散々求めてようやく受け入れられた女にだけ、 こうも自制がきかないとは。 想いを通わせて体温を交換してからミリアリアは何度か小さく達したので 実はもう出してもいいかとも思うのだけど。 さすがに、この短い時間では経験豊富を謳う男の見栄が通せない。 なにより前の男よりもたなかったと思われそうで癪だ。 ディアッカはぐっと堪えて少し気分を変えようとミリアリアを抱きかかえる。 裏目にでた。 より深く咥え込むミリアリアの蜜壷は達したせいか奥が浅い。 最初に抱いた時も、2度目にひどくした時も、こんないストロークが短くなることなんてなかった。 女は絶頂を体感すると奥が降りてくるって聞いたことがあるが、 それなのだろうか。 それとも俺がすさまじく膨らんでる? 突き当たるざらついた洞奥が強烈な快感をディアッカに与える。 少しでも動いたらすぐイっちゃいそうな射精感。 多分心の問題なのだとディアッカは思う。 心から欲した相手との行為。男だって気持ちの高揚が限界を近づける。 それはミリアリアも同じだとわかった。 「ヤ、ダメ、」 縋るように抱きついてくる。 ものすごく幸せな気分になってディアッカは我慢するのをやめた。 緩くぐるりと回してから奥の当たる部分にむかって数度突き上げた。 さんざん経験してきた今までがなんだったのかと思えるほどの気持ちよさ。 ミリアリアの絶頂の細い嬌声が脳の中に快感をより引き出す。 一瞬、あの意識が融合した時のように重なった気がした。 神聖で至福といわれる極上の喜悦。 そうしてすぐお互い打ち震えて、弾けた。 強張る体はゆっくりと脱力して ミリアリアはしがみつく腕が力なくほどける。 ディアッカは末端まで抜けた快感に酔いしれながら ミリアリアをゆっくり寝かせた。 横たえて顔中にキスをする。 喘ぐように息を吐くミリアリアの顔を満面の笑顔でディアッカは見る。 藁にも縋る勢いで自分の肩に縋って身悶えたのだ。この少女が。 思い出してディアッカはまた自身が硬くなるのに気づいた。 いまだ蠕動を繰り返す己をおさめたその場所でむくむくと海綿体に血がギュウっと集まり回復していく。 ディアッカは心の中で驚きつつ、笑った。 ああ俺ってほんとケダモノ それはミリアリアに対してだけなのだけど。 このまま欲求にまかせてぐったりとしたミリアリアを追い詰めるといった考えも浮かんだが、 かろうじて理性のある面が勝ってディアッカはミリアリアからゆっくりとその場所から引きずり出す。 白濁の精がこぼれだした。その量が自分が吐き出したとは思えないほどでまた驚く。 秘所から流れでる液を指にすくう。ミリアリアは一瞬ピクリとしたが、 目を瞑ったままもう意識はないように見えた。 また無理をさせてしまったかもしれない。 明日また、熱ださないといいけれど。 ほんの少しの後悔は明日もそばにいられる幸福にすり替えられる。 ――明日 状況が状況なのでいつ、平穏な時間が破られるかわからないが。 何もなければ明日もその次もずっとそばにいられる。 あんなにしょげていらついてたのに、受け入れられればなんてゲンキンなもんだろう。 男が情けなく縋るなど格好悪いと思っていたが。 かえってその方が母性を刺激して、受け入れやすいのかもしれない。 甘えたようにうなづく大の男をミリアリアは優しく慰めるように頬を撫でてくれた。 (偉そうに助言してくれた曹長に感謝しなくちゃな。) 高揚していた気分に心地よい疲労感。 だるい体を叱咤して簡単に後始末を終えると ディアッカはミリアリアを抱きかかえて横になる。 緊張が一気に緩んで、急激に睡魔が訪れた。 甘いミリアリアのにおいを吸い込みながら夢心地でディアッカはふと思いつく。 生まれて初めて次の日が待ちどうしい。見えない未来はミリアリアが一緒なら意味のあるものと変わる。 ――また明日、ミリアリアに沢山キスをしよう。 いたずらをたくらむ子供のようにディアッカは小さく笑い、眠りについた。 その後、甘えることに味を占めたディアッカはことあるごとにミリアリアにヘタレ顔をしてわがままを通すワザを無意識に身につけた。 天性のスケコマシにまたひとつ技術を与えてしまったことをミリアリアは知りもしないのだけど。 (H17.2.9) ディア君力づく押さえ込み泣き落としねばり勝ちなお話でした。 長々お付き合いくださりありがとございました。 <文目次へ戻る> |