hiccups-しゃっくり-
「ひっっく!」
「あれミリィしゃっくり?」
「そうなのっっっく!」
昼の休憩時間食事をとりおえたサイがトレーを置きながら聞いた。
「さっきからずっと止まらなっっくてっ」
しゃっくりにつっかえながらミリアリアがトレーにこれからとる食事をのせている。
そこにディアッカがやってきた。
「ラッキー!ミリアリアと昼飯!」
眉を顰めながらミリアリアはディアッカを無視する。
ディアッカがミリアリアにつきまとっているのはAAの中ではもうすでに見慣れた光景だった。
やたら馴れ馴れしくつきまとうディアッカにミリアリアはちょっと冷たい態度をとる。
だがそれがまわりを意識してのポーズだという事位つきあいの長いサイは見抜いていた。
ディアッカがミリアリアに好意を持っている事は誰もが見ればわかる事で、
それは恋人を亡くしたばかりのミリアリアにとって対応に困る展開だったのだと思う。
最初のうちはきっとそうだった。今はちょっと違う。
多分、いやおそらくミリアリアはディアッカに惹かれているのだとサイは思っていた。
ディアッカに対して過度に冷たいのだ。普通は暴言を吐かれて常軌を逸した行動を
取った事を思えば冷たい態度は納得のいくものだろう。
だがトールが一番大切にしていた女の子なのだ。
素直で思いやりのあるミリアリア。コーディネーターだからと偏見を持たず、
キラを励まし庇って朗らかに笑っていたトールを
愛していたミリアリア。
その彼女が恋人を亡くしたばかりとはいえ、捕虜を傷つけてしまった事をとても後悔していた。
そしてその後解放した彼がなぜかオーブ軍に交じって自分達と戦い
共に宇宙に来て平和を望んで一緒にいるとなればサイの知ってるミリアリアなら
とっくに先の暴言は許して
仲間として受け入れているだろう。
そうしないのは何か理由があるからとしか思えないのだ。
トールとの事を知っている自分やキラの前ではよけいにディアッカに冷たくあたるとサイは気づいた。
恋人を亡くしたばかりの女が他の男に惹かれるなど律儀で真面目な彼女にとって自分で許せないのだろう。
だから気づかない振りをサイ達もしていた。
(バレバレだけどね)
ディアッカに対して冷たい態度を振舞うがいざ何かあると誰よりも気遣い心配してる事もサイは知っていた。
「頑張れよ」
トレーを片手に食事をのせているディアッカの肩をポンと軽く叩きサイは言った。
その言葉にミリアリアがまたも眉を顰めたのを見てサイがごまかすように続けた。
「ミリィ。しゃっくりは水一気飲みがいいってよ」
「ミリアリア、しゃっくりでてんの?」
ディアッカがすぐ反応してくるのを一瞥して無視しながら
「ありがとう」
と複雑な顔をしてトレーをもって端の席へ歩いていった。
(結構似合ってるよ、2人)
慌てておいかけるディアッカの背を目の端で追いながらサイは思った。
しかしサイが思っている以上に2人が微妙に深い関係だとは彼は知らない。
「ミリアリアしゃっくりでてんの?」
ミリアリアは向かいの席に座ったディアッカを無視しながら食事を続ける。
「俺即効止まる止め方知ってるよ。やってあげようか」
にやにやしながら自分を見る男に彼女は睨みを聞かせて言った。
「馴れ馴れっひくっしく、しないでってっひくっ言ったでしょ」
しゃっくりをしながらなので様にならない。
「特にサイとキラの前では?」
彼は口の端をあげて切り返す。
「…そうっひくっよ」
気まずそうに彼女が答えると、彼は急に寂しそうに俯いた。
「わかった。気をつけるよ」
いつになく愁傷に言うので反応に困るミリアリアを上目使いに見上げて
「気をつけるから昼飯終わったら…くる?」
それは残りの休憩時間を自分の部屋に来て一緒にいてという意味で。
普段人前で冷たくする事に後ろめたさをもつミリアリアはディアッカのこのへたれ顔に妙に弱い。
(またこの顔!)
彼女はぐっと詰まるのをこらえて小さく溜息をついた。
溜息を吐くミリアリアを承諾したととったディアッカは一転して満面の笑みを浮かべる。
「じゃ待ってるからね」
そういってかきこむように食事を取るとさっさと席を立っていった。
残されたミリアリアがしゃっくりをしながら深くうなだれたのはいうまでもない。
「おっそいー!」
部屋に行くとディアッカは待ち焦がれたようにミリアリアを抱きしめた。
その抱擁を彼女はほんのちょっと顔を赤らめて黙って受ける。
「ヒック」
しゃっくりの振動が胸を通して彼に伝わった。
「しゃっくりなおらない?」
「水一気に飲んだんだけどっひくっ。そのうち治るわ」
「俺即効治る治し方知ってるよ。やってあげようか」
「どうやっひくっるの?」
「怒るなよ」
そう言ってディアッカは嬉しそうにミリアリアを抱きかかえて
ベットにすばやく寝かせた。
「ちょっちょっとっひくっ」
靴をぬがせスカートを剥ぎ取りあっという間に下着に手をかける。
見事というしかない手際のよさにあっけにとられていたミリアリアもさすがに
下着をとりさろうとする手を押さえた。
「やっっひくっ何するのよ!」
「何ってしゃっくり止めるの」
いけしゃあしゃあと言ってのける彼の笑顔は悪戯っこのようにかわいく見えて
ミリアリアは一瞬見惚れてしまう。
力が緩んだその隙にディアッカは残りの布を取り去ってしまった。
「ちょっっひくっと」
「昨日会えなかったし。ね?」そう言って自分のズボンの中から自身をとりだすと
彼女のそこにあてがう。
「ちょっひくっやっっっっ――っ」
乾いたままの彼女の入り口を固い淫楔が容赦なく突き入れられた。
「っん――っ」「っく」
彼が低く呻きながらそれは一番深いところまで入っていく。
彼女は痛みに涙目になりながら「ひどっひくっい!」しゃくりあげながらなじった。
「ごめんーってあれ?止まらない?」
「止まらっひくっないわよ」
「おっかしいなー」
にやにやしながら彼は深く突き挿したまま動かず彼女の軍服の上着のジップを下げる。
そうしてアンダーシャツをまくしあげブラをたくしあげ
白い胸を掌におさめて揉みしだく。
「すげーエロイ格好ー」
嬉しそうに胸を弄りながら顔を近づけ涙ぐんだ目元を舐めた。
「っひくっ悪魔!」
「お褒めにあずかり光栄」
彼は艶のある声で耳元に囁き腰を少しグラインドさせながらゆるく突き始める。
首筋に舌を這わし褐色の骨ばった長い指が飾りを摘み色のついた部分を撫で摩り。
開いた手は白い柔らかな膨らみを自在に揉みしだく。
「んんっひくっ」
彼女のしゃくりあげる息に甘い声が混じりだす。
「濡れてきたね」
彼はその様子にいたく満足した笑みを浮かべる。
そして低く淫猥に笑った。
「くっくっ しゃっくりすると中がしまる」
あんまり楽しそうに言うのであきらめの溜息をつきそうになるのを堪え
彼女は彼を睨みつけた。
「ごめんごめんホントウに今止めてあげる…この感触はもったいないけど」
名残惜しそうに言いながら途中まで引き抜き強く深く突き上げると
「ぁっ」
愉悦に背を反り返す彼女の唇を塞ぎ吸い尽くした。
息ができないように覆い舌を絡めるとずっと吸い上げる。
腰は小刻みに律動し快楽を与え続け、
塞がれた唇の激しさで鼻から十分に酸素を取り入れることもできず彼女は意識が朦朧としてきた。
(…落ちちゃう…)
あと少しで意識が途切れそうという所で彼は唇を離した。
彼女は大きく深く息を吸い込む。
もう一度深く息を吸い込もうとする彼女に彼は激しい抽挿を開始した。
「――ふっっ」
脚をかかえあげられ深く浅く角度を変え、えぐり突かれ、リズムを変えて。
先ほどまでの途切れそうになった意識が今度は官能の雷撃に撃たれて麻痺していく。
彼が腕に抱えた脚を片方膝裏から持ち上げ肩にかける。
ふくらはぎに歯を立ててキスをする。
より感じる部分に深く、擦り合わされ愉悦が駆け抜ける。
上り詰めていく感覚に縋るように彼の腕を掴み爪をたてた。
「――っっんんっ――」
声を立てないように自分の指をきつく噛み締めて焼ききれそうな神経に意識をのせる。
「――ぁ…っ…」
頭の中が真っ白にスパークして詰めていた力を脱力した。
それにあわせるように彼も一際深く突き入れると彼女の胸に倒れ込む。
過敏になった繋がった場所にお互いの脈がうちあうのがわかった。
肩で息をするミリアリアに先に呼吸を整えたディアッカが今度はやさしくキスをする。
「時間ないから急いじゃったけど。あんまり気持ちよくさせてあげれなくてごめんね」
「…休憩時間にしようと思う事がおかしいと思う…」
そう言ってミリアリアが軽く睨むのでディアッカがへたれ顔で答えた。
「だってしゃっくりしてるミリアリアがあんまりかわいいからさ。」
そういえばとミリアリアは息をひそめる。
「しゃっくり…止まった…」
「ねっ即効止まるでしょ?」
悪戯っ子の笑みに密かにまたもかわいいと見惚れるのを気がつかれないように
頬を赤らめてミリアリアは顔をそむけて言った。
「ありがとう」
「…そんな風に言われると心が痛むんだけど…どういたしまして…」
どこか申し訳なさそうにするディアッカに不思議そうにミリアリアは問う。
「…なんで?」
「…なんとなく…」
その訳を知るのに時間はかからなかった。
休憩にならない休憩だったと少し疲れた体を引きずってブリッジに戻ると
サイが明るく出迎えてくれた。
「ミリィ、しゃっくり治った?」
「あっうん。」
どうやって治ったか聞かれたらどうしようと顔を赤らめて途中であった仕事をてにとって俯く。
「なんだ、今いい方法聞いたんだよ。試して欲しかったのに」
奥の方からノイマン少尉が言った。
「息止めると治るらしいよ」「え?」
「横隔膜の痙攣だからリラックスする事で治るって言われてるけど
息を詰めて痙攣を意識するだけで簡単に治るんだって。」
「ふーん、よく水一気に飲めとかいうけどね」
「おれんところはゆっくり飲めとか言うよ」
「それも全部息詰めるってのにつながるかなー」
「そうだね、喉の奥が反射しそう」
「…ふーん」と皆で感心した中にミリアリアも交じっていたのだけど
次に言ったノイマン少尉の言葉に絶句した。
「プラントでは息止めろって言われるってあいつが言ってたよ」
「あいつ?」
「バスターのパイロット」
「へー」
「前に俺がしゃっくり止まらなかった時急に鼻と口つままれてびっくりしたけど
止まったんだよそれで。」
「…つまり息止めればよかっただけだったのね」
強張った声が聞こえてサイが振り向くと
ミリアリアの顔が青白く怒りが篭るのがみえた。
その夜ディアッカがミリアリアに完全に拒否されたのはいうまでもない。
end.
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すみませんすみませんすみません…クリスマスなのに全然無関係物で…
もっと甘いのをめざしたのですが…
私の技量じゃこんなんが精一パイでござんす _| ̄|○
(H15.12.24)
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