アメサラサ プレイ記
(C)CUFFS
CUFFSと言えば、私が唯一トップページにリンクを貼っているゲームメーカーであり、唯一メーカー買いすると決めているところであります。
何故なら、CUFFSには、私の愛するCanvasと水月を手掛けた、☆画野朗氏とトノイケダイスケ氏がいるから。
しかし、今回のアメサラサには両氏は関わっていない……つまり、私が期待しているものが得られない可能性があります。
ですから、本作は、トノイケ路線を踏襲するかどうかで今後のCUFFSの方向性を占う作品になるかもしれません。
トノイケ氏が作り上げたCUFFSの作品像は、現実世界に幻想世界を取り入れた御伽噺のような舞台での優しい物語でした。
果たして、アメサラサはどのような世界を見せてくれるのでしょうか?
第一回
空き容量は1.5GB必要となっていますが、本体は865MBです。DVD1枚。ディスクレス可。
初回限定版は主題歌マキシシングル同梱で、予約特典としてイラスト集が付いてきます。
イラストレイターは以下の通り。
カントク、兼清みわ、小沢悠、緋賀ゆかり、KeG、鈴平ひろ、木場智士、☆画野朗、三月まうす、宮坂みゆ、雅樹里、えれっと、和馬村政、ちこたむ、すきま俊悟(イラスト集掲載順、敬称略)
全ページカラーの豪華仕様となっています。
ニューゲームをクリックすると、ムービーが流れずによく分からない夢を見るシーンが始まります。こういうの大好き(笑)
夢から覚めて学校から帰ろうとするところを階段から落ちてしまい、その瞬間に謎のヒロインの顔がフラッシュして何故か何事もなかったように助かり、翌日、その謎のヒロインが転校生として主人公の隣の席にやってくる……という王道のような謎っぽい感じでオープニングムービーに突入します。
ムービーは、イベントCGを使ったキャラクター紹介風のものですが、雨の中で傘がクルクルと回っていたりして綺麗ですし、カット割りも工夫されており、さくらむすびの頃からかなり進化しているように感じられます。デモムービーがダウンロード出来ますので、見てみたい方はそちらへ。
音楽は穏やかでありふれた日常を意識してつくられているのが分かるのですが、謎が隠されている空気が密かに伝わってくるのが良いですね。これまでのCUFFS作品に共通する空気です。
これは、早くも期待を上回ってくれる可能性が出てきたかも……。
第二回
各ヒロインファーストインプレッショォォオオオンンッ!!<何だこのテンション
●千代川霖……謎の幻影となって現れたことのある転校生。
黒髪ロングの何となくミステリアスな雰囲気を放つ霖は、ちょっと目を離すと消えてしまいそうな儚さを持っているような気がします。
ミステリアスとは言っても、青空の文乃やEver17のつぐみんとは違ったミステリアスさで、不思議系と言った方が良いかもしれません。最近のゲームで言えば、To Heart2の草壁さんタイプですね。
シナリオの重要な鍵を握っているのは間違いないので、最後に攻略することにします。
とは言え、ギャルゲーも数をこなすとパターンが読めるようになってくるんですよね。
幻影となって現れた転校生で、世間知らずなお嬢様のように主人公を質問攻めにするヒロイン。
皆さんも、想像がつくような気がしませんか?
うーん、最初の夢に出てきた娘と関係があるのでしょうかね。
とすると、実は昔に主人公のことを好きだった幼馴染の幽霊だったりするとか(みずいろの日和パターン)
突拍子もないところでは、雨の精霊とか<どこのファンタジーだ
……初期段階でシナリオの深読みは良くないですね、はい(^^;
●久美浜光羽……幼馴染のスポーツ少女。
典型的な元気印の幼馴染です。
魔女アラで言えばシルビア。水月で言えば花梨。痕で言えば梓。
スポーツ少女が何故か苦手な私ですが、幼馴染ということで相殺。
まだ、よく分からないのですが、どちらかと言えば素直そうで好きになれそうです。
●三本木倖……内気な後輩。
人付き合いが苦手で、本質的に優しいのに何故か孤立している少女が倖です。
これだ。
思わず守ってあげたくなる恥ずかしがりやの後輩!
何だかよくわからないけれど、完全に我輩のツボであります。
うん、倖ちゃんの気持ちは友達の少ない私にもよーく分かるよ!
さあ、安心してお兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!――スカッ
●藤森花香……男性恐怖症の図書委員(メガネっ子)
実にテンプレ的な設定のヒロインですが、私は基本的にメガネっ子があまり好きではないのですよ……。
メガネが外れない限り本命になるのは厳しいです。
絵と声が良いのに勿体無い(とか言うと怒られそうですが)。
※読んでいて納得いかなかったので記述を変更。
全体的に☆画野朗風味が漂う絵ですが、絵そのものは上手いし可愛いのでOK。
まずは後輩から狙っていくことにします。
第三回
皆さん、私のようにエロゲーでゴールデンウィークが終わってませんか?
たまには外に出ましょうね<特に自分
倖編クリアー。
一周目がバッドエンドなのはいつものことですが、グッドエンドまで四周かかるというのもどうなんだと。
つくづくゲームの才能がありませんな。
単なるストーカーでは駄目で、霖のことも気にかけなくてはいけないようです。次回から生かしていこう。
それにしても、ここまで「予想通り」というのもなあ……。
ありがちな奇跡系の話。もう少しひねってもばちは当たらないと思うのですよ。
まだ一人しかクリアーしてませんし、結構謎も残されているようには思うので今後に期待出来なくもないのですが、核心部分をついてしまった気も。
うーむ。これは、霖から攻略した方が良かったかもしれません。
そんなわけで、シナリオは現状を鑑みるに激しく微妙なのですが、雰囲気作りは良いです。
ふと振り返ると、霖が隣にいるのが当たり前になっている自分に気付くあたり、テキストとマッチしてるよなあ、と思います。
音楽もいつもの安瀬氏とは違うんですが、終始穏やかで落ち着きます。
プレイ時間は3〜4時間ほどと短いのですが、その短時間にお約束がしっかり詰め込まれていて、倖を何となく好きになってしまえるのが良いのです。
この「何となく」が味噌でして、熱々ベタベタなバカップルにならないところがプレイ時間に見合っていて良い感じ。
やたらと「好き」をアピールするのではなくて、気付いたら「この娘って何か良いな」と感じている……そんなところから恋が始まる辺りを、丁寧に描いていると思います。
次は光羽攻略予定。
第四回
色々忙しくてかなり時間が空きましたが、放棄したわけではありません。
今月中にはコンプリートする予定ですので(^^;
花香編クリアー。
光羽を攻略する予定でしたが、変更してメガネっ子の方を攻略しました。
はっきり言って期待していなかったのですが、思ったより良いヒロインでした。
メガネっ子は、得てしてクセが強いパターンが多い気がします。
例えば、正義感が強い委員長やガリ勉タイプのヒロイン、もしくは完全なギャグ担当。
今回のメガネをかけていて図書委員とくれば、パターン的には読書好きで非常に内向性の強いヒロインを連想させます。
しかし、花ちゃんはそうではなくて超★普通でした。
さっぱりクセがなく、メガネをかけているだけの女の子なんです。
攻略していて、いつもメガネっ子に感じる違和感がなかったんですよ。
私、気付きました。
考えてみれば、メガネなんて誰もがかけているではないかと。
言ってみれば服やズボンと同じではないかと。
うーん……奇妙なキャラ付けがなければ、メガネっ子はそれほど悪いものではないのかもしれません。
いや、それは少し語弊があって、メガネっ子ではなくメガネをかけているヒロインは悪くないのかもしれません。
要するに、私はメガネを好きになるのではなく、メガネをかけているヒロインを好きになる
のだから。
……って、何を熱く語ってるんでしょうかこの人は。
さて、シナリオですが超★普通を通り越して、超★無個性です。
と言うか、これは駄目だろ。
シナリオの基本中の基本は起承転結がしっかりしていることだと思います。
稀にこれを意図的にはっきりさせない構成をしたシナリオから素晴らしい良作が出ることがありますが、それは本当にごく一部。
ましてや、起承転結のどれか一つでも欠けているシナリオは論外です。
それで、花香編の何が駄目かと言うと、起承転結の「転」がないのです。
ただでさえ眠くなる学園物で、一番プレイヤーを惹き付ける部分を取っ払ってどうするんだー!!
もう少し考えてシナリオを作るべきでしょう……。
主人公がヒロインを好きになって、告白して、それが受け入れられて終わりなんて小学生でも出来るんですから。
次のヒロインはそうでないことを願おう……。
ところで、まったく関係ありませんが、ハナチャンと言われるとこちらの方を思い浮かべてしまったり(笑)
第五回
光羽編クリアー。
「何かね……結局は花香編と同じ感じだよね」
「そうだよな。ぱっとしないと言うか無個性と言うか」
「今ひとつ、盛り上がりにかけるんだよ」
「なあ、YAMAさんもそう思うだろ?」
「………………」
「そう言えば光羽は幼なじみキャラだったっけ」
「例によって、幼なじみフィルター発動か」
「こりゃ、何を言っても無駄だね。帰ろ帰ろ」
と言うことで、すみません。
私も「泣く子と幼なじみには勝てぬ」と言いますか「妹と幼なじみには勝てぬ」と言いますか(^^;
やはり、花香編で書いたようなあっさり感は否めないのですが、そこは幼なじみ。
どんなにプレイ時間が短かろうと、どんなにシナリオが薄味であろうと、脳内で二人の過去が補完されます。
以前に日記でもだらだらと書きましたが、幼なじみキャラは、キャラクターが過ごしていないはずの時間をプレイヤーに認識させる魔力を持っているから仕方がないのです。
薄味なのは確かですが、幼なじみから恋人への階段を上るお約束通りの展開はきっちり作られていました。
雰囲気作りが上手いので、シナリオの出来以上にキャラクターに感情移入出来るんですよ。
考えてみるとこのゲームは非常に行動範囲が狭く、イベントらしいイベントは祭りが一回あるだけ。
だからと言って日常が冗長ということもなく、あっさりと過ぎていきます。
それなのに主人公に比較的感情移入出来るのは、変にヒロインとベタベタしないからなのかもしれません。
唐突にヒロインを愛しまくる展開になるのではなく「何となく」ヒロインが好きな状態であっさり終わるので、無理がないんです。
言ってみれば、「身の丈にあった」内容で収まっているんです。
その分、プレイ時間が短くて時間に見合った内容しかないので、非常に物足りないのも事実。
光羽は幼なじみなんだから、もう少し突っ込んでラブラブな展開まで持っていっても良い気がするんですよね。
その辺が勿体無い。
話は変わって、光羽編はバッドエンド含めて三つのエンディングを見たのですが、ようやく円町先輩が絡む動きがあったのでほっとしています。
重たい話が飛び出そうな臭いがしていて、少し楽しみなんですが、円町先輩の使われ方次第ですな。
次回でおそらく最終回ですが、まだまだ幾つか謎が残っている……と言うよりも、ここまで三人を攻略してきてほとんど謎が解決されていないので、もしかすると、とんでもないことを起こしてくれるかもしれませんね。
■Tea Time with 雪さん■
YAMA「ぐほぁあっ!?」
雪さん「ど、どうかなさったんですか? はい、温かい紅茶が入りましたよ」
YAMA「ありがとう。……いつも雪さんの入れてくれる紅茶は美味しいなあ」
雪さん「うふふ。ありがとうございます。アメサラサもいよいよ最後の一人ですね」
YAMA「ようやくね。それにしても、霖がこんな反応を示すなんて予想外だ……」
雪さん「どういうことですか?」
YAMA「現在攻略中の霖は、つい最近知り合った関係なのに、いつも一緒にいたかのような感覚がする不思議なヒロインなんだよ」
雪さん「なるほど」
YAMA「それでいて、天然っぽい感じで何でも直球で話すタイプでね。一緒にいて楽しいんだけど、いかにも友達止まりの関係で終わりそうな感じなんだよね」
雪さん「それが、違ったと言うことですか?」
YAMA「そうなんだよ。霖ならこんなこと気にしないで普通に話すだろうな〜と思っていた会話で、突然、顔を赤くして恥ずかしがるとは……」
雪さん「千代川さんも女の子だったと言うことですね」
YAMA「その通り。ヒロインの気持ちを先読み出来ないとは不覚だ……」
雪さん「学園物で退屈しそうだったようですから、良かったではないですか」
YAMA「うーむ。考えてみると、天然キャラと恋におちる展開は、これまであまり見ていなかったかもしれないなあ」
雪さん「まだまだこの世界も侮れませんね」
YAMA「恥ずかしながらそうみたいだ。思えば、雪さんと出会った時もこんな感じだったなあ……」
雪さん「うふふ……懐かしいですね」
YAMA「うん。でも、あの頃は良かった……とか老け込むのはまだ早いみたいだ。よし、再開するかな」
雪さん「頑張って下さいね」
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最終回
霖編クリアー。
これで全員クリアーですね。
うーん……予想通りのファンタジーでした。
だからと言って悪いわけではないんですが。
エンディングはこれまでの三人と同じで二つありました。
一つはハッピーエンドで、もう一つはバッドエンド(バッドとまではいかないのかもしれませんが)。
ハッピーエンドとバッドエンドで、重要な設定が食い違っており「ハ?」と思わせられましたが、綺麗にしめてきたという印象です。
個人的にはバッドエンドの方が好きですが、設定の違いがあるので素直に納得出来ないのが残念。
霖編に関しては、起承転結がしっかりしており、長さもまずまずあったのでこの点は評価しておきます。
それにしても、この霖というヒロイン……と言うかこの手の消えてしまいそうなヒロインに私は弱い。
そうした印象をプレイヤーに与えることに成功しているのは、ところどころに散りばめられた霖のある種の異常な行動と、オープニングの強烈なファーストコンタクトに起因しているのでしょう。
この点で霖は、ゲームの中で明確な位置づけがなされていて、且つ微妙な雰囲気の描写がしっかり出来ていたヒロインでした。
惜しむらくは、立ち絵の表情が不安定なこと。
イベントCGでは上手いのに、立ち絵になると目線や口元が途端に安定感を失い、不自然な絵が目立ちます。
オープニングムービーの段階で不安を覚えていたのですが、やっぱりかと言う感じです。勿体無いですね。
さて、最後に簡単に全体的な感想を(細かくは批評で書きます)。
私は、本作をプレイする前に「本作はCUFFSの方向性を占う作品になるかもしれません」と書きました。
結論から書くと、アメサラサは、さくらむすびとワンコとリリーでトノイケ氏と☆画野朗氏が築いてきたCUFFSのイメージを守るものでした。
優しい御伽噺のような日常世界――これが本作にも当てはまると思います。
しかし、そこにプレイヤーに訴えかけるものがない……シナリオライターの主張が見えないのです。
世界や人や物語は確かに存在していますが、それらが生きていないのです。
言うなれば、黄身の入っていない卵です。
最近のアドベンチャーゲームは、一時期の音声付紙芝居ブーム期に比べるとまたゲーム性が上がってきましたが、結局のところ、ライターの主義・主張を表現するための道具となっている感があります。
何故なら、最早売れると考えられているストーリーが出尽くしてしまった(と考えられている)から。
そこで、ストーリーにライター自身の主張を強く反映させることで、何とか他作品との違いをアピールしているわけです(売れるものを目指すならば、ストーリーとライター自身の内的な主張は、多くの場合、別物であるはずです)。
ダブルキャストやYU-NOおよびEver17のように、シナリオの構造で勝負しているゲームはほとんどありません。特に学園物はこの傾向が顕著です。
ですから、プレイヤーはストーリーに何かを感じると言うよりは、ライターに共感出来るか否かが運命の分かれ道となることが多いはずです。
ところが、本作はこれらのどれでもない。出し尽くされて有り触れたストーリーを用意しつつも、そこにはライターの主張がない。
こんな空っぽの作品は久々に見ました。
誤解しないでほしいのですが、悪いということではありません。
作りこみは少々甘いですが、音楽も絵もシナリオも必要条件は満たしています。
このゲームは、プレイヤーに対する悪意の目を向けるものではないのです。何も訴えてこないだけです。
社説がない新聞でも立派な新聞だとすれば、本作は立派な「現代の」アドベンチャーゲームですからね(笑)
毒にも薬にもならないとは本作のためにあるようなもので、初心者の方にはお勧め出来る内容となっていますが、ベテランの方にはお勧めしません。
作中に流れる雰囲気は良かったので、CUFFSファンとして甘口ですが及第点としておきます(^^;
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