リアルの女性に恋するらしい彼らにとって、二次元の女性と話し合う私は不健全に映るらしいのです。しかしながら、私にそんな説教をする彼らに限って、これまで実際に女性と付き合ったことなど無く、ましてや男女関係を持ったことなど皆無なのです。
ここに、一つのパラドックスが生まれます。
本題に入る前に、ちょっとしたクイズをしてみましょう。
ここに二つの図があります。
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どちらが二次元の物体でどちらが三次元の物体か分かりますか？ 答えは後程。
皆さんは「トリックアート」をご存知かと思います。美術館でスポットに浮かび上がった素晴らしい出来栄えの彫像に感銘を覚えていると、係員に「是非触れてみて下さい」と言われました。言われるままに触れてみると、その彫像は驚いたことに壁に描かれた絵だった……と言うものです。もうお分かりでしょう。先のクイズの答えは、どちらの図も「二次元の物体」です。左の図は正方形の図で二次元の物体。右の図は直方体ですが、画面触れてみると分かるように平面に描かれたイメージ図に過ぎずにこれもまた二次元の物体です。これらの図も簡単ながら実はトリックアートであったと言うことですね。つまり、トリックアートとは二次元世界のものを三次元世界のものと錯覚させる芸術なのです。
※イメージを掴み難いと言う方は伊香保システィーナ美術館のリンク先ページを参照にして下さい。
ところで、二次元と三次元の違いとは何でしょうか？
二次元とは、二つの向きへの広がりをもつもの――例えば壁に描かれた絵――であり、三次元とは三つの向きへの広がりをもつもの――例えばミロのヴィーナスなどの彫像――です。
私の友人達は三次元世界に住んでいるそうです。そして友人達が憧れる女性もまた三次元世界に住んでいるそうです。一方、私の愛してやまない天音たんや雪さんは二次元世界に住んでいるそうです。
しかし、本当にそうなのでしょうか？ 皆さん、ここで先程のトリックアートを思い出して下さい。何が二次元世界の物体で何が三次元世界の物体なのかは、触れてみるまで分からないのです。つまり何を言わんとしているかと言うと、写真に写っている嘗ての同級生や、DVDで鑑賞中のAV女優が二次元物体であるのは勿論のこと、斜め前方に座って食事している美人OLや、電車で目の前に立っている可愛い顔した女子高生も、概念としては触れてみるまでは三次元物体か分からないのです。
さて、最初に述べた様に日々私にありがたい忠告をくれる友人たちは、これまで実際に女性と付き合ったことなどありません。当然、憧れの彼女と肩を寄せ合い抱き合うことはおろか、日常的に手を握ることすらないでしょう。つまり、彼らが密かに想いを寄せているあの娘は、触れるまでは永遠に二次元的存在に過ぎず、彼らのとっている行動は私と何等変わることが無いのです。
……さて、自分は三次元に恋をしていると錯覚しているかもしれない皆さん。皆さんが想いを寄せる彼女（彼）は、本当に三次元的存在でしょうか？ それとも皆さんも、私と同じ二次元世界の住人なのでしょうか？
勇気を出して Touch the body！
大変申し訳ありませんが、訴えられても当方では責任を負いかねますので御了承の程を……。