リトルバスターズ! プレイ記



リトルバスターズ!

CUFFS
(C)Key

リトルバスターズ! 公式



 2007年7月28日新宿――

 人ごみの中を亀のようにのろのろと蠢くスーツ姿の男が呟いた。

「Keyのゲームだし、どこも沢山仕入れるだろうから売り切れるようなことはないだろう」

ヨドバシの店員「やー、すみません。先程売切れてしまいまして……

 瞬間、男は風になった。

 ……ということで、予約はしていなかったんですが、何とか無事にビックカメラで購入してきましたよ。
 最近はメロンブックスとかよりアマゾンの方が安いので、どこで買おうか迷うんですが、どうも家電量販店の方がさらに安いようで。
 いずれにしても今日買えて良かった(笑)


 現時点(2007年7月)で、当サイトがおすすめ度10をつけたゲームは7本ありますが、その内2本がKeyのゲーム――すなわちKanonとCLANNAD――です。
 10点の中には入りませんが、AIRやplanetarianや智代アフターも決して悪い作品ではありませんでした。
 私はおすすめ度に関しては比較的厳しくつけているつもりですが、それだけKeyのゲームには「外れ」がないんです。
 個人的にも、今年度の期待度はGardenに次ぐ二番手です。
 ですから、何の前情報も入れてきませんでしたが、安心して「リトルバスターズ!」をプレイ出来ます。
 不安要素があるとすれば何故か延期がなかったことです。
 AIRもCLANNADも幾度もの延期の末に出来上がった作品です。
 CLANNADから3年経っているとは言え、完成度は十分なんだろうか、と。
 それに、最初からフルボイスというのも怪しい
 智代アフターは別として、ここのゲームは移植前は声がないのがディフォルトだったんですけど。
 どちらもユーザーにとっては良いことなんですが、数々の地雷が設置されているこの世界のゲームに油断は禁物……って警戒しすぎか(苦笑)

 戯言はここまでにして……今回は一体どんな奇跡の物語が待っているのか、ページを捲ってみようと思います。




第一回


 空き容量は最大5GB以上必要ですが、最小だと10MBで済むようです。フルインストールしましたがCLANNADの2倍とは。
 初回限定版は、アレンジアルバムと設定資料集が付いています。資料集は127ページとかなり重厚。アルバムはゲームを一周したら聴いてみようと思います。

 ゲーム開始後、しばらくすると画面がRPG調に変わり「戦闘」が始まります。
 しかし、この戦闘がオート進行でプレイヤーが操作出来ないので、まったく意味がない気が……何がしたいんだ一体。
 その後、1日を過ごした辺りでOPムービーが始まります。内容としては、イベントCGを使ったキャラクター紹介。かなりのCGがここで流れていて、ネタバレ的なCGもあったんですが(汗)
 CLANNADのように、ムービー専用の動画などは無く、イベントCGの編集のみで構成されていたので、どうにもチープな感じがしました。何でこんな工夫の無い作りにしたんだろう。ノウハウはあるはずなのに?

 とりあえず、一日目をプレイして気が付いたことがあります。
 それは、これまでのKeyと違い、主人公が無個性テンプレ主人公であること。
 ONEを含めてこれまでのKeyのゲームの主人公は、一頃前に流行ったやんちゃでありながら魅力的な個性溢れる主人公ばかりでした。
 しかし今回の主人公はまったく違って、その辺の純愛エロゲーや恋愛SLGに登場する、意思を持たないプレイヤーの操り人形なのです。
 この違いは、かなり大きいのではないでしょうか。
 主人公の友人がインパクトの大きなタイプばかりなので、主人公の存在感の薄さが余計気になります。

 主人公が個性的であると感情移入しにくくなる面も確かにあるのですが、Keyのゲームの面白さは、主人公に頼る部分が結構大きかったと思うんですよね。
 180度方針を変えたことが吉と出るか凶と出るか、この部分も注目していきたいと思います。




第二回


 今日は参院選ですね。私も投票してきますよ。誤解を恐れずに言うならば、選挙も一つのギャンブル。自分の応援するチームや政策が勝つか負けるかです。最近の選挙は出来レースではなくなりつつありますから、面白くて良いと思います。不謹慎なようだけど、結局どの政党が勝っても一部の金持ち以外の国民は搾取されるだけ。レース気分でやるくらいでないとね……。

 ……と話がそれた。
 一応、全ヒロインと遭遇したので、各ヒロインファーストインプレッションを。


●棗鈴……幼なじみのじゃじゃ馬娘

 言葉使いが悪いわ足癖が悪いわで可愛くないと思いきや、人見知りが激しくて知らない人に遭遇すると隠れてしまうのは可愛いかも。
 一番出番が多そうなヒロインだと思うのですが、公式の順列で小鞠より下に配置されているのが気になります。
 同学年なんですが、どう見ても年下にしか見えない……と言うか女の子っぽくなさすぎ。
 ガサツなヒロインはあまりタイプではないのですが、幼なじみということで相殺。
 とは言え、これじゃただの近所の悪ガキです(……トホホ)

●神北小毬……甘いもの好きなほんわか少女

 常に笑ってるイメージの女の子。
 知能レベルが分からないので今一掴みきれないんですが、悪くないと思います。
 ただ、この娘がメインヒロインのポジションにいるのが理解出来ない。
 これまでのKey作品のメインヒロインと比べると存在感薄いんですよね。
 これと言って特徴もないし、ただいるだけと言うか……。
 何らかの設定はあるんでしょうが、メインヒロインが一番目立たないというゲームも珍しいですな。
 最初声を聞いて絶対まきいづみさんだと思ったんですが、柳瀬なつみさんって誰? 声優詳しくないものでよく分からんのですが同じ人かしら。

●三枝葉留佳……トラブルメーカー

 と言っても悪意があるわけではなく天然っぽいところがあるのかも。
 一番シナリオがどうでも良さそう。
 何か伏線あるんですかね。
 こういう娘と一緒にいると退屈しないでしょうね(笑)
 キャラ的には好きなタイプなので、最初の方で攻略してみようと思います。


●能美クドリャフカ……日本語上手な帰国子女

 苺ましまろのアナちゃんのトゲがなくなった感じです。

 まあ何だ……とりあえず俺の娘ということで。

 いやー、何かこうぎゅっと抱きしめたくなるんですよぎゅっと。
 父性本能をくすぐるんですかね、とにかく可愛い。
 ただ、OPムービーに登場したCGを思い出すと、このゲームで一番の謎を抱えているヒロインであると思うので、攻略は最後の方に回すことになりそうです。
 あーこんな娘が欲しいっ!!<錯乱


●来ヶ谷唯湖……姉御肌の同級生

 ふざけるのが好きなお姉さん(同級生)です。
 クールなのかクールじゃないのかよく分からないんですが、その辺も含めて面白いヒロイン。
 舞が良く喋るようになるとこんな感じになるのではないでしょうか。
 自分で自分のことを「お姉さん」とか言ってますが、嫌味が無いので良しとします。
 クドとセットにすると大変良い感じかもしれません。
 ……別に変な意味で言ってるわけではないですよ?


●西園美魚……孤独な読書家

 いつも一人で本を読んでいるらしい女の子。
 まだ一回しか会っていないのでよく分かりません。
 どうも天然っぽい発言が幾つか見受けられたのが気になりますが……?


 とりあえず、こんなところでしょうか。
 こう見ると変わった漢字の名前ばかりですね。ほとんど一発で変換されませんでしたよ。唯湖とか美魚とか見たことありません。
 後、メガネっ子が一人もいないですね。考えてみるとKeyのゲームでメガネっ子はいなかった気がする。
 ここまでいないとなるとKeyはメガネっ子が苦手なんでしょうか。

 それにしても初期のいたる絵はどこに行ったのか、大分クセがなくなってとっつきやすい絵になっていると思います。
 ただ、若干立ち絵が雑になっているような気もします。
 これまでの絵は髪の毛が非常に細かく描き込まれていたんですよ。
 私がKanonをプレイした時にまず驚いたのが秀逸な髪の毛の出来でしたし。
 それが本作ではかなり髪の毛の線が少なくなっていて、大雑把な印象があります。
 他のゲームであれば普通のレベルなんですが、今までが良かっただけにそこは残念。

 さて、一周目は葉留佳か美魚エンドを目指そう。




第三回




 この二人が何となく好きな今日この頃。
 一応攻略可能なヒロインだけど、ゲームの位置付けとしては、明らかに脇役っぽいところがまた良いのです。
 と言うか、このゲームには主人公以外のツッコミ役がいないのか(苦笑)
 どちらから攻略しようか迷ってるんですが、美魚にしようかな。
 こういうちょっとミステリアスな娘に非常に弱いんですよ。
 それにリトバスのヒロインの中で、一番Keyらしいヒロインだと思いますし。
 何と言いましょうか……私的にKeyのゲームに登場する人物は、常に孤独なイメージがつきまとっているんですよね。
 どこか世界から疎外されたような、いつか消えてなくなってしまうような気がする存在。
 ONEのイメージが強すぎるんだと思われるかもしれませんが、皆さんもそう思ったことはありませんか?
 Kanonの栞や真琴やあゆ、AIRの観鈴やみちる、CLANNADの渚や風子。
 確かに存在しているんだけど、明らかに異質な存在。
 その雰囲気が感じられるのが美魚なんです。
 また、最初はつまらないヤツだと思った主人公も、伏線めいた設定が幾つかあるようなので、今回もファンタジックな展開がありそうですね。

 ところで、ミニゲームとして野球や先に述べた戦闘があるんですが、これが面白くて本編より熱中してます(^^;
 智代アフターではD&Dもどきがあったけれど、こういうのにこだわるようになったんでしょうか。
 一日が結構長いので(ギャルゲーは最初の一週間がやたら長い気がする)、集中力回復には丁度良いですな。




第四回




 バトルランキングが決定! 優勝しました(笑)

 野球もロードを何度か繰り返して、試合に勝利することが出来ましたし。
 そう言えば、ピンチになったら謙吾が出てきて助けてくれるのかと思ってたんですが、最後まで出てこなかったな……。
 と言うか、結局8人チームのままだったし(苦笑)
 フラグ立て損ねたかしら。や、謙吾フラグは立たなくても良いんですけどね。

 少し幾つか気付いたことを。
 テキストがあまり上手くないですね。
 Key作品の前半部分のテキストは毎回下手だと思います。理由ですが、ほとんど状況説明に終始しているから。
 だから、読んでいてつまらない。シーンの様子ぐらい逐一説明しなくても想像できます。
 もう少し、気の利いた心理描写をしてほしいところ。
 音楽は期待通り良いです。
 いつもの折戸氏&まごめ氏の音楽とはかなり違うタイプの音楽ですが、聴いていて飽きません。アップルプロジェクトの人がいそうな気がします。
 システム的には、ショートカットキーがないので、ウィンドウモード、フルスクリーンモードをころころ変える私としては、メニューに入らないと変えられないので少し面倒。それ以外は良好です。




第五回


 な、何ーっ!?

 しまった……完全に裏をかかれた……
 美魚ルート――これ、ただのONEだろと思って、途中からラーメン食べて野球見ながら適当に進めてた。
 こいつがこのタイミングで現れることも予想済みだった。
 でも、こいつには●が無い……?
 え?
 その瞬間、目の前から丼が消滅し、テレビは完全に沈黙したね。
 世界が止まったと言っても過言ではない。
 こいつからは、これまでのKeyにはなかった臭いが漂ってくる。
 そう、これにはおそらく理由がある。
 ただの「奇跡」ではなく、根拠があるはずなんだ。
 だとしたら、これはまさしくミステリー。
 頼む……! 奇跡よ起きるな!




第六回


 美魚編クリアー。

 うーん、期待とは違った方向に話が進んでいって、最終的にはいつものKeyらしいお話に落ち着いてました。
 いやまあ、Keyらしい御伽噺調の物語は好きなんですが。
 でもなぁ……どうしても永遠の世界とダブって見えるんですよ。
 この際だからはっきり言おうかな。
 いい加減にこの手法は飽きました
 丸っきりONEと同じかと言えば違って、アプローチは変えてありますが、やりたいことは同じでしょう。

 とは言え、良いところもありました。
 美魚編のキーパーソンは間違いなく途中から登場する某人物です。
 主人公への謎かけ部分は演出も相まって一瞬ゾッとするものがありました。
 あれは過去の美魚とのデ・ジャブの話と絡んでいて非常に良かったです。
 その人の誕生〜消滅についての部分も、現実と非現実が良い感じでミックスされていました。
 また、クライマックスで美魚が出て行く(苦しい表現)シーンでは、現実的に考えると理解不能な展開が待っているのですが、流れるように自然に進んでいくのは評価出来ます。
 CLANNADで言えば風子編クラスの無茶苦茶なことをしているシナリオだと思いますが、そこがまた良いところなのかな、と。

 それにしても、美魚ってかなりオタクっぽい設定ですな。
 進行していくうちに最初のイメージがかなり崩れたと言うか。
 あそこまでボーイズラブ好きにしなくても……と思わんでもない。
 シナリオに活用されていないし、あからさまに余計な設定としか思えないのですがどうか。
 絵や性格は好きなので、そこだけ改善を要求する!(←誰に)


 しかし、一人攻略するだけでもう六回とは攻略ペース遅すぎ(^^;
 次回は葉留佳か来ヶ谷さん攻略予定で。




第七回



葉留佳を泣かす奴は、
この俺が許さん……!


 しっかし二木とかいう風紀委員長、見事なまでに腹立たしいキャラクターですな!
 ほとんど葉留佳と同じ顔してるのに、性格だけでこうも違ってくるとは。
 やはりキャラクターを見るときは、原画だけではなく性格設定も重要であることを改めて強く意識した瞬間。
 この学校の風紀委員というのは、本当に血も涙もない奴らの集まりですな。
 いやはや、すっかり熱くなってしまいましたよ。

 話は変わりますが、謙吾が狂った(笑)
 選択次第では、謙吾も野球に参加するんですねー。
 これで9人揃ったにもかかわらず、試合には負けましたけど(^^;
 あの試合は、ポジション決めにコツとかあるんでしょうかね。ただの運な気がする……。




第八回


 葉留佳編クリアー。

 何か違う。
 このゲームで見たかったのは目明し編じゃない。
 ましてや、魁トリックなど通用するわけがない。
 Keyのゲームは、現実の中で冷静に心理分析をしてキャラクターが解答を導き出してはいけないんですよ。
 葉留佳編は、プレイヤーが考える(というか妄想にふける)余地が残されていない。
 確かに完成されているけれど、美しくない。
 これはKeyのシナリオではない。
 KeyにはKeyにしか出来ないシナリオがあるんです。
 美魚編で私は違うものを求めてしまいましたが、あれは間違いでした。
 美魚編はまさにKeyにしか出来ないものだったんだと。
 ここまで私のKeyというブランドに対するイメージが固まっていることが問題ではあるんですが、とにかく、期待が外れてしまったシナリオでした。
 リトバスがKeyのゲームでなければ、それなりに評価したかもしれないけれど……。
 それと、やはり同じ手は通用しませんよ。
 もう少し新鮮味のあるアイデアを見せてほしかったですね。大減点。

 話は変わりますが、ひとつ認識したことが。
 やはりいたる氏のキス絵ドキドキしますね(^^;
 キスの瞬間のへっぽこな顔が逆に現実味を帯びているというか、非常に可愛いんですわ。
 美魚の絵を含め、綺麗な顔に纏めてしまう他の原画家さんには真似出来ない素晴らしい特徴だと思います。
 昔のクセの強さはかなり鳴りを潜めたいたる氏ですが、ここは変わってほしくないな〜。


 次は、来ヶ谷さんを攻略予定。




第九回


 来ヶ谷ルート進行中。
 付き合うことになった来ヶ谷さんが可愛くて可愛くて(笑)
 こういう姉御肌のヒロインが恋に落ちていく様子を見るのはたまらなく好きだったりします。



 特に顔を赤くして恥ずかしがる来ヶ谷さんが良いですな。

 それにしても、このルートの理樹は情けなさ過ぎ。
 言いたいことも言うべきときにビシッと言えないし、何だか暗い。
 来ヶ谷さんが格好よいというより、理樹が格好悪すぎます。もう少し男らしさが欲しいよな〜。
 セリフも「いや、それ〜じゃないから」とかばかりであまり面白くないし……。
 やはり、もう使い古されたタイプかもしれないですが、主人公は恭介タイプの方が良かったです。


 しかし来ヶ谷ルート、ただの恋愛コメディーかと思いきや侮れないものがあります。
 大掛かりな謎解きと言いましょうか、この感覚はどこかで感じたことがあるぞ……そうだパンドラの夢だ。
 これまで少しずつ堆積し続けていた「一体、この世界はどうなっているんだろう?」という不安感、それが一気に爆発したような気がします。
 CLANNADの智代ルートのように、本編に対する仕掛けとしての役割はたいしたことないと思っていたんですが、意外と重要そうな感じです。
 世界の構造を追求するタイプのシナリオは非常に好きなので、これは期待して良さそうかも。




第十回


 来ヶ谷編クリアー。

 この終わり方は反則だぁあーっ!?
※悪い意味ではないです。

 期待していた方向とは違った結果だったのですが……と言うか今回はこればかりですな。
 一体私がこのゲームに何を期待してるのか自分でも分からなくなってきました。
 そもそもKeyに理論的な構造解析を求めるのが間違っているわけで、パンドラの夢に似ていると感じたのも結局は勘違い。

 ……と、それはとりあえず置いておきまして。

 来ヶ谷編、あまりに来ヶ谷さんと理樹の二人がかわいそうな結末で心にぽっかりと穴が開いたような気分にさせられました。
 何故なら、エンディングの差出人に対するセリフから推測するに、(ややネタバレかもしれないので反転→)どうもこの世界は完全にエンディングの世界とは違う(むしろ存在しない?)ようで、来ヶ谷さんの夢は叶うことがないのでは……と感じたため。
 それに、人によっては謎が多くて納得のいかない終わり方かもしれませんね。
 私は綺麗であれば解答が出ないままの終わり方でも納得する方なんですが、世界が世界だけに何とも言い難いですな。
 最後にきっちり説明されるのかな?
 謎と言えば葉留佳編でチラシをばら撒いた犯人も分かっていないままですな。流石に二木委員長ではないでしょうし。
 話が逸れました。いずれにしても、来ヶ谷編は面白かったですよ。


 次回は小毬編攻略予定。




第十一回


 小毬編クリアー。

 さっくりとクリアーしてしまったんですが、まずまず面白いトラウマ解消系の話でした。
 メインヒロインの位置にある割には、短めだった気もしますが。
 ただ、この世界の構造の一つが明かされつつあるという節はありましたね。
 私は、主人公と他の人々が住む世界は別で、世界を分断するトリガーが理樹の眠り病の発病なのだろうと考えていますが、真相は如何に?
 ただ、小毬編も謎がかなり残されているんですよね。
 あのじいさんは何者だったんだろう?
 それと、こまりって誰?
 まったく本編と関わりがない可能性もありますが、あそこまでやっておいてそれはないよなあ……。
 エピローグが中途半端に終わっているのでその辺りが謎だらけ。
 おそらくは後々にアフターストーリー的な形で一気に明らかになるんだろうとは思いますが、そうでなければ何処かに分岐があったのかな?


 話は変わりますが、ここまで四人クリアーしてきて一つも琴線に触れるシナリオがなかったというのは一体どうしたことなんだろう。
 私は結構感動しやすい方だと思っているんですけれどおかしいな……。
 シナリオのパワー不足以外に原因として考えられるのは音楽が弱いこと。
 これはもう個人的な感覚でしかないのですが、やはりKanon、AIR、CLANNADと比べると後一歩心に響かない。
 退屈させない良い曲ではあるんですが、泣かせるほどのパワーがない。
 これまでのKeyの曲は、シナリオを凌駕していた部分があると思うんですよ。
 シナリオがいまいちでも音楽で無理矢理感動させるような、最早BGMの領域を超えた力があったと思うんです。
 Key作品において音楽はバックでゲームを支えている裏方ではなくて私にとっては主役の一つだったんですよね。
 それが、今回は「BGM」に徹している感があるんですよ。
 やはり折戸&まごめコンビでやってほしかったかも。


 とりあえず、次回はクド攻略予定。




第十二回


 クド編クリアー。

 難解だ……。

 今回はクド編をクリアーまたはプレイしていないと意味が分からないかもしれません。
 ネタバレは出来うる限りしないようにしていますが、気になる方は飛ばして下さい。
 まず、忘れそうなので幾つかクド編に出てきた用語について書いておきます。
 途中でスプートニクの話が出てきたので、そこからとったと分かったのですが、クドリャフカというのは、スプートニク2号に乗って初めて衛星軌道上を回った生物(犬)の名前。
 ところで、クドリャフカには別名があって――むしろこちらの方が知られているかもしれません――その名前がライカです(少し前にこのフラッシュが流行りましたよね)。
 途中で「ライカはここにいるわよ」とクドの母親がクドに言っていましたが、これはそういうことでしょう。
 テヴアの象徴の13頭とは、ソ連がロケットに乗せて打ち上げたライカを含む13頭の犬のことでしょう。
 ちなみにクドが仲の良い二頭の犬、ストレルカとベルカは、この13頭の中で初めて宇宙から生還した犬の名前です。
 話の最後でストレルカが子どもを生む話が出ていましたが、実際にストレルカは6頭の子どもを生んでおり、1匹がケネディーに贈られたという逸話があります。
 クドが言っていた「C(エス)トゥーワナ」なる単語がありましたが、Cはおそらくスプートニク(Спутник)のことで、トゥーワナが何を指すのかは不明。
 グラフコスモスというのはソ連の宇宙総局のこと。
 コロリョフとはライカを宇宙に打ち上げたソ連の宇宙技術者セルゲイ・コロリョフ大佐。
 グラフコスモスの大佐たちとは彼を指しているのでしょう。
 エフトゥシェンコはユダヤ人の迫害についての詩である「バビ・ヤール」を書いた詩人。
 一番肝心な気がするクドが話していたロシア語に関してはまったく分かりません。辞書でも買って来なくては無理。
 ブラックホワイトは一瞬何のことか分かりませんでしたが、告白(こくはく→黒白→ブラックホワイト)のことでしょう(笑)

 とりあえず用語に関してはこんなところですが、分からないのは認識票。
 あそこに書かれていたのがクドの母親の名前とすると、時間軸が合わないのです。
 しかし、話からすると彼女の母親のものとしか思えない……。一体どういうこと?
 もしかして理樹は観測者だったりするんでしょうか。
 ラストは感動するところなんでしょうけど、とにかく謎が多くてそっちに思考を持っていかれてぽかーんとしてました。
 謎と言えば、タイトル画面を右クリックすると出てくる光の玉が一人クリアーする毎に減っていって残り三個に。
 これはCLANNADで増えていく光の玉の逆パターンだと思いますが、これが無くなるとアフターが出現するんですかね。
 いやー、分からない。分からないと言ったら分からない。

※考えたら感想を書いていなかったので追加。
 この話、非常に幻想的なんですよね。
 最後の理樹がクドに話しかけるシーンもそうですが、それ以上にソ連の宇宙開発時代との関連が上手いんですよ。
 私は、クドが宇宙犬ライカそのものだったのではないかとすら感じています。
 クドが見た空は、本来ライカが見るはずだった宇宙をイメージしたのではないかと。
 そんな不思議な一体感がクドルートには現れていたと思います。
 ただ、気になるのはバッドエンドとトゥルーエンドで辻褄が合わない点。
 バッドエンドではトゥルーエンドと違って箱の中身は分からないので、厳密には辻褄が合わないわけではないとはいえ……。
 すると、プレイヤーはトゥルールートとバッドルートではまったく異なる世界を歩む……いや、観測していることになります。
 あぁ……やはりリトバスをパンドラの夢に似ていると感じたのは間違いではなかったのか。
 むしろこれはinfinityシリーズだ。
 こういう謎解きはたまらなく好きでして、これまでのKey作品とは別の感動を味わっている自分がここに。
 方向性が違いますが、リトバスはひょっとするととんでもないゲームになるかもしれません。


 次回、鈴攻略ですべてが解決する?




第十三回


 ここ数日体調が悪くてゲームどころではありませんでして(汗)
 今も調子が良くないので今週は更新速度が鈍るかもしれません。

 とりあえず、鈴編クリアー

 非常に後味の悪いエンディングと言いますか……。
 二種類ほどバッドエンドを見せられ、最後にたどり着いたエンディングもとてもグッドエンドとは言い難いものでした。
 と言うか何ですかね、これは。
 鈴編はこの世界に秘められた謎を解き明かすためのピースとしての役割しか持たず、それ単体では意味を成さないものなんですかね。
 強制で二周させたにもかかわらずグッドエンドの一つも用意しないとは何というトラップ。
 鈴編をクリアーしたことで「リフレイン」とかいう項目が現れたので、これですべてが明らかになるんでしょうけど、鈴編のグッドも用意しておいて欲しいな。
 それにしても思い切ったことをするものです。
 これまでの作品は家族愛を表現するために謎めいた世界観を構築していましたが、今回は逆。
 世界構造を解き明かすためにプレイヤーがゲームをしているのです。
 選択肢は少ないけれど、コンセプトは昔のアドベンチャーゲームのようで面白い。
 リフレインに大いに期待したいところ。




最終回


 リフレイン編クリアー。

 更新が遅れましたが、真人編含めて全員クリアーです。
 世界の秘密が科学というよりは、やはりファンタジーに近い形での説明になってしまうところがKeyだなーと思います。
 感動させるところはきっちり感動させていますし、良い話には違いないです。
 個人的には謙吾が一番グッときました。
 あー……何と言えば良いのか……このゲームの登場人物たち。
 彼らは本当に良い奴で、友人でありながらも家族なんだな、と。
 特に恭介、真人、謙吾の野郎三人組にはそう感じざるを得ません。
 プレイしてみると分かるかと思うんですが、彼らには常に見守られて大切に育てられているような感覚なんですね。
 まるで彼らが、初めて出来た子どもに接する父親であるかのような感覚。
 実際にその感覚は正しかったとも言えたことが分かりましたし。
 それと、エンディングを二つ用意したのは正解だと思います。
 わざとらしさを感じさせはしますが、あれをしなければ主人公の成長度が半分しか伝わってきませんよね。
 まあ、そう考えると一回目のエンディングは「世界の秘密」的には破綻していますし、必要性が無いともとれますが、ああ言う悲しいエンディングも個人的には好きなので(^^;
 むしろ小毬視点で見ると、言葉は悪いですが全滅の方が美しいとすら感じます。


 最後に簡単に全体的な感想を。

 ムービー感想でCGが公開され過ぎていてネタバレではないのか、と心配した私でしたが、実際は謎だらけでこのゲームは一体何なのかと思わされました(だが、ムービーの構成は上手くない)。
 それだけ、リトルバスターズはこれまでのKeyの作風と異なる点が目立っていました。
 閉鎖・隔絶されているように見えたこれまでの作品と、実際に閉ざされた今回の作品。
 一人のヒロインや家族愛を追及するのではなく「世界の秘密」と言う構造を追求するゲームの性格の変化が一番のポイントだと思います。
 ファンタジー要素が多く、ジュブナイル的なイメージがまだまだ強く残っている点は変わらない良さですが、これまでのキャラクター性を強く意識した「ギャルゲー」臭さが消えつつあるのかな、と。
 それが、リトルバスターズとKeyに私が感じたものです。
 麻枝氏は本作でシナリオから去ってしまうそうで、心配ではあるのですが、これだけガラリと作風が変わっても一つの作品として成り立っているところを見ると、次回も期待して良さそうですね。

 気が付いたら時間が過ぎているような楽しさと謎を秘めているゲームなので、ほとんどの人におすすめ出来ます。
 ただし、Kanon、AIR、CLANNAD程の「泣ける」感動はないかもしれません。「泣き」要素を求める方は注意。




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