もしも明日が晴れならば



もしも明日が晴れならば

ぱれっと
(C)ぱれっと

もしも明日が晴れならば公式



 こんばんは。YAMAです。
 ようやく今年一発目のプレイ記と言うことで、私の2006年はここから始まります。
 今回プレイするのは、ぱれっともしも明日が晴れならば
 去年、コンプで見た瞬間に購入を決定したんだ!
 動機は原画がDMFのくすくす氏だから。これだけで十分だろう!
 ……うーむ、最近原画家で買うことを決めることが多くなっている気がしてならない。
 あまり良くない傾向だと自覚はしていますが、実際くすくす氏の絵には破壊力があるんだから仕方がありません。
 ストーリーはどうかと言うと……以下公式ページより引用。



 主人公、鳩羽一樹にとって、野乃崎明穂はかけがえのない人だった。
 ずっと、家族同然に暮らしていた居候の女の子。
 夏のはじめに告白をして、一樹の恋人にもなってくれた女の子。
 これからずっと、幸せな思い出を築き上げていく予定だったのだ。
 だが、そんな彼女は病に倒れ、あっけなくこの世を去ってしまう。
 その出来事はあまりに突然で、いなくなった少女はあまりにおきな場所を占めていて…
 残された者達は、泣くことさえも忘れて、ただ途方に暮れるばかりである。

 それから数ヶ月の時間が流れ、彼らがようやく立ち直りかけた季節…
 明穂は何の前触れもなく、この世に舞い戻ってくる。
 「思い残すことがあったから」
 そんな言葉と共に微笑む、ひとりのゆうれいとして。




 非常に微妙です。
 一見お気楽ムードのギャグゲームに見えるが、その一方で超感動泣きゲーの臭いもする……。
 本来なら過去の作品と照らし合わせて判断するところなんですけど、ぱれっとのゲームは初めてなんですよ。
 いや待てよ、ぱれっとってどこかで聞いたことあるな……。
 そう言えばCD-BROS系にもぱれっとと言うブランドがあった気がする。
 ただ、もう会社が無くなっているみたいで、今回のぱれっと公式の製品紹介にカーボナイトなどが無いということは別口なのかな?
 誰か知っている方教えて下さい(^^;

 それでですね、そんな私に「YAMAさん、これは良作よ」と教えてくれたのがデモムービーでございます。
 体験版はしない主義ですが、ムービーは待ちきれずに見てしまうんですよ。
 ゲームの雰囲気を掴むのにも丁度良いですし。
 で、ムービーですが。
 穏やかな歌に、無理の無い丁寧な構成、そして楽しげでいてどこか悲しげな終わり方の素晴らしい出来……。



 ――それを見て古人曰く



リュウ 「これで当たらなければ、
 オメデトウってところだな」



第一回


 帰りに某メロンブックスに行って購入しようと思ったんですが、新作コーナーにこのゲームが無い。
 ポスターは貼ってあるのに何で?――脳内が混乱と焦りのためかスパーク。
 とりあえず店員さんに訊いてみたところ、「ここにありますよ」と普通に出してくれました。
 いつもとは違う場所に隔離されてたみたい。ふいー。
 で、早速インストールしたわけですが。

 約1.9GB必須。ディスクレス不可。最早当然のことながらDVDでごんす。
 今のところ、修正ファイルは出ていません。
 始めると、主人公とヒロインたちの過去の話が始まり、そこから暫らくすると恋人が死にます。
 そして、密やかに葬式などが行われてたりします。
 センチ2かよぉっ!?
 ……と、思ったら突然蘇ったような蘇らなかったような?

 と、そこでOPムービー。
 昨日も書きましたが、大変優しげな歌と丁寧なムービーが流れます。
 何か知りませんけど、主人公が顔割れしてます。
 くすくす氏のクセなんでしょうか、ちょっと可愛い中世的な顔してますね。
 まあ、男などどうでも良い。

 ……どうでも良いんですが、公式ページ重過ぎ……。いや、発売日だからとかじゃなくていつも重いんだ……。何とかして_| ̄|○


第ニ回


 このゲーム、章構成なんですね。
 とりあえず第3章まで進めてますけど、どこで分岐するのかさっぱり分からない。
 それはさておき、各ヒロインの印象なんか。



●野乃崎明穂……幼い頃に両親を亡くして主人公の家にやってきた才色兼備の元気っ娘。
 お節介好きで強気でヤキモチ焼きのお約束王道ヒロイン。幼馴染みなのか家族なのか微妙に扱いに困っています。
 押しが強いのは良いとしても説教臭すぎて隙が無いのが何ともはや。
 藤崎詩織だって男にリードさせるんだから良いのであって、こちらが完璧に尻に敷かれていると言うのはどうなんだ……と思ったりもするわけですが。いや、好きだけどね。

●野乃崎つばさ……明穂の妹。甘えっ娘でいつもお兄ちゃん(主人公)を頼りにしている。
 どう見ても俺妹確定です。本当にありがとうございました。

●湊川珠美……男嫌いの神社の巫女。
 This is“Tundere”.

●千早……疫病神の女の子。
 えーと、顔は滅茶苦茶好み。何故ならどこをどう見てもDMFの久城麻衣そのも(以下検閲削除)
 麻衣の顔でロリ声出されると大宇宙の真理に触れた様な気になります。とにかくヤヴァイです。

*久城麻衣:私の脳内で第三のパワーを秘めるヒロイン。私を地獄の底から救った方。

●香坂彩乃……クラスの委員長。やはり世話焼きで王道を地で行く。
 と言うか攻略キャラじゃないな多分。黒髪に八重歯がチャーミングな女の子ですね。



 こんな感じですね。
 何て言うんでしょうね。
 つばささえいれば生きていけるみたいな?
 ボールは友達みたいな?(違
 そんなわけで、当面はつばさを最後に回して、まずは珠美エンドを狙ってみようかと。




第三回


俺は、犠牲の上に成り立つ平和という正義が
本当に正しいか確かめたいだけだ!



そのために俺は……悪になる!



 その時、一人の人物が彼の意見に反論するかのようにちょっと待った<Rールをかけたのであった――A.C.195年

 いやー、つらいっ……!!
 自分に嘘をつくことの何と辛いことか……!!
 だが、ここで挫けてはいけない! 今を絶えればきっと素晴らしい未来が待っているんだから……!!
 と、信じて何とか3章終了。着々とつばさフラグが消滅していきます。
 しかし、これも正義のため。致し方ないことなのです。

 それにしても、珠美が可愛いかもしれない。
 まず、立ち絵が可愛い。横向いた時の絵が最強。
 それと、最初合わないのでは、と思っていた関西弁がかなり合っております。
 女性の関西弁は温かみを感じて好きなので、珠美に合っていて良かったです。
*いえ、男性の関西弁が嫌いなわけではありませんよ(私も子どもの頃大阪に住んでましたし)。

 関西弁に関わらず、方便は感情に訴えかけるパワーが大きいんですよね。
 だからこそ3章で珠美の関西弁が炸裂した……!
 飽くまで私の感想ですが(^^;
 まあ、このゲームの言葉遣いもまだまだ中途半端な面はありますけれどもね。

 また、ツンデレ苦手な私でも良いと思えた理由としては、やはり珠美が後輩と言うところが大きいですな。
 このゲームは年下属性のために作られているのではなかろうかと思えるくらいに主人公が年下及び同年齢の皆から頼りにされているのです。
 とても私好みの設定である……が、まだそれは生かされていないので今後に注目。




第四回




 何と言うことだ……

 私はとんでもない勘違いをしていました……。



 4章で私は、珠美の聖母マリアの如き神聖さと捨てられた子猫の如き脆さに気付きました。
 そのあまりの魅力的な姿に、一時は俺妹つばさですら脳内の片隅に追いやられてしまう程でした。
 しかも、シナリオも良かったです。
 露骨なお涙頂戴シナリオ。だがそれが良い!
 感動出来れば良いでは無いか……! そう勝ち誇ってたんです。

 そして続く謎の4.5章。
 これまでの清潔さが嘘のように乱れ狂うヒロイン達。
 お兄ちゃんは嬉し……いや、悲しいぞ!
 と、つばさに語りかけたり千早に萌え狂ったりしてたんです。



 しかし、私は5章で思いっ切りやられましたね。
 何といえば伝わるでしょうか。そう、例えば鈍器のような物で頭をぶん殴られた感触と言いますか。
 とにかく、電流が脳内を駆け巡りましたね。
 一体この主人公は……いや、私は明穂を放って何をやってたのかと
 明穂のあまりの説教臭さとお姉さんぶった態度にいささか鬱陶しさを感じていたのは事実。
 しかし……この5章で私は今まで目をそらしていたものと直面してしまう。
 そう、さっぱり忘れていたがそもそも明穂って彼女じゃないか
 明穂のあり余るほどの元気な姿はすべて不安と寂しさの裏返し。
 明穂が一人で寂しそうにしている姿を見て、やっと私はそのことに気付いたのです。
 明穂はいつだって私を求めて待っていたんだと……!
 嗚呼、今回ばかりは自分のアンテナの性能の悪さを呪うばかり。
 あんなシーンを見ても尚、珠美を選ばなくてはいけないのが辛い。
 何と言いましょうか、懺悔するしかありません。
 明穂……ごめん。
 あまりにもこの章は辛すぎます……。



*それにしても音楽が良いです。この上品なクラシックな曲調は樋口氏かな?




第五回

 珠美編クリアー。

 かなり良かったですよ。
 珠美の魅力もさることながら、何と言っても明穂が……。
 彼女の健気な態度がじわっじわっと心を締め付けてくるんですよね。
 後半に近付くにつれてボロボロになって明穂の弱さが一気に露呈していくのは見ていて辛いものがありました……。
 機械的な評価はしたくないですが、いつも元気な娘が笑っていてくれないという、日常と非日常のギャップの見せ方が上手い。
 珠美よりも明穂が目立ってしまった感すらあるのは、明穂が正ヒロインと言う私の意識のせいかな。
 随所で見受けられる女同士のバトルも熱い。
 特につばさのお兄ちゃんに対する愛の波動はガッチリ受け取りましたのでしばし待て。
 また、途中で視点が主人公だけでなく、ヒロイン視点にも変わるんですよね。
 これは「僕と、僕らの夏」の手法に似てますね。
 ヒロインの失恋の様子を描くところもそっくりです。
 ただ、問題は主人公の感情描写が今一つ足りなかったかなーと。
 クールすぎるきらいがあるので、もう少し熱くなっても良い気がしました。

 問題点……長い。一周に20時間近くかかった気がします(音声ノーカット、オートメッセージ最速)。

*音楽はやはり樋口氏でした。

 さて、次は千早を狙っていこうかしら。




第六回

 千早編クリアー。

 千早編で私は、大宇宙の真理を垣間見た
 いやー、いくらなんでもあのロリヴォイスはヤヴァイね。
 前にも言ったけど、麻衣たんの顔でロリヴォイスやるのは人道に反していると思います。
 しかも純粋無垢な千早がロリヴォイスで「せーえき」とか喋るなんて……





Excellent!!



 Hシーンの最中、自分がいたいけな女の子にいたずらする悪いおじさんみたいな気がしてならなかったけれども仕方が無い。
 そうだ。これぞ大宇宙の真理なのだから……。


















 ……ってこんなんで終わったら駄目だろ。
 ストーリーは少々だるかった気がします(^^;
 疫病神である千早を罪の意識から解放してあげること(←ほんの少しネタバレかもしれないので反転。多分見ても問題ないと思いますが一応)が目的なわけですが、あまりにも千早が頑固なので同じことの繰り返しになるのがだるかったですなあ。
 以前も使いましたが、只の意地の張り合いです。
 会社帰りに一杯やって、
「課長、今日は私が払いますよ」
「いやいや、何を言っとるんだ、ここは私が持とう」
「いえいえ、ここは私に任せて下さい!」
……と言ったやり取りを延々と繰り返しているに過ぎませんので、段々だるくなるんですよね。

 それにしても、千早編でも明穂が大活躍。
 主人公の我が儘に付き合わされているだけなのに、それでも健気に主人公を支え続ける明穂……。
  「何と鬱陶しい奴だ」と思っていた当初の気分は既に掻き消えました。
 むしろ逆にいかに明穂に救われていることかと……。
 シナリオを進める度に明穂に対する評価が上がっていきます。
 これは攻略順をつばさと入れ替えて最後に回した方が良さそうだな。

 システムについてはまた次に。




第七回












嗚呼、明穂とつばさ……何と純粋で可哀相な姉妹……!!

神よ……何故二人にこれ程過酷な試練を与えるのです!?

私など見ているだけで、もう苦しくて切なくて……うっうっ









……………………








!?




キリコ

んだ。




*ネタが分からなかったらすみません(^^;.




第八回

 つばさ編クリアー。

 良かったよぉ……うっ……うっ……
 これまでの珠美編と千早編と違って、とても納得出来ました。
 前者が納得できなかったわけでは無いのですが、つばさ編は「好き」と言う言葉にとても説得力を感じました。
 二人を同じだけ好きになると言うことはやはり無理なんです。
 心の中では認めたくなくても必ずどちらか好きな方があるはずなんです。
 つばさ編ではそれを誤魔化さずに言葉にして表した。
 偉い。
 大変難しいことだと思いますが、本人を前にしてきっちり選んだことを明確にしたこのシナリオはとても好感が持てました。
 つばさの様な娘の場合、はっきりと言わなければ伝わらない。
 ここをきっちりと理解して作り上げたとても丁寧なシナリオを、素直に賞賛したいと思います。

 キャラクターが可愛いと、どうしてもそのキャラの綺麗なところだけをピックアップしてテーマを明確にせずに落ち着いてしまうゲームが多いですが、本作は違った。
 千早編では粗が目立った明穂の使い方の上手さが、つばさの頑固さを生かしましたね。

 主人公は良いんだか悪いんだか悩みどころです。
 決めるところは決めてくれるし、男気溢れてるんですけど、クールマン過ぎる……と思いきや、H後は子供が出来ないか心配していたりと情けないのか格好良いのか。
 まあ、最後の最後は良いところ見せてましたけどね。

 そして、何と言っても明穂。
 人は何故ここまで優しくなれるのでしょう……。
 本当に一人クリアーする毎に明穂が好きになっていく。
 ここまで、ヒロインを心から好きになれたのは久々です。
 キャラクターの素材を非常に丁寧に調理している証拠ですね。
 原画だけに頼っていない、絵とキャラ付けとシナリオの融合……。これこそ美少女アドベンチャーゲームの真髄ですな。



■システムについて■

 少しだけ使いにくい。
 オートメッセージ、スキップ、クイックセーブ、オートセーブ、音量調節など、必要な機能は殆ど揃っています。
 しかしながら、微妙にキーボードに対応してないーっ!!
 バックログ表示は対応しているのに、バックログ画面からゲームに戻る時にはマウスを使うしかないなど融通が利きません。
 それと、細かいことなんですけど、バックログから戻った時にオートメッセージが解除されるのも何とかならないかなあ。




第九回

 満を持しての明穂編突入です。イエーイ。
 ……イエーイって。

 明穂編になって、途端に主人公が格好良く見えるんだから面白いものですね。
 やはり一樹は明穂一筋なんだなぁ……。
 明穂に説教されつつもそれを心地よく受け止めている二人の学園生活に思わず心が温まります。
 何ですかねえ……。この空気は。
 途中で「明穂は母さん代わり」なんてセリフがありましたけど、ああその通りだな、と。
 そうなんです。明穂の会話は常に母性愛溢れるものなんですよね。だから違和感を感じつつもいつもほっとしてしまう。
 懐かしいなぁ――そんな気分にさせられるのはそんな明穂の性格からだったんですね。
 それと、声優の西田こむぎさんがとても上手いんです。
「カズちゃん、〜しなさいね」とか毎回言ってくるわけですけど、女子高生と言うよりどこかおばさんくさい感じなんです。
 しかし、そのおばさんくさいところが凄く合ってるんですよね。
 そんな母親の様な明穂が、実はいつでも主人公を頼りにしていると言うこのギャップ。
 何と言うか、言葉に出来ないくすぐったさがあります。
 あー、久々だな〜こう言うヒロイン。
 最近、主人公にべったり甘えてくる妹キャラとか元気な幼馴染みとかツンデレとかにはよく遭遇するんですけど。
 小うるさくいつも心配してくる反面、いつも主人公を頼りにしているヒロインって割とスタンダートなはずなんですけどね。
 ONEの瑞佳とかTo Heartのあかりとか。
 いや、私がスタンダートなゲームをあまり買っていないせいかもしれませんけれども(^^;<そんなことないかな
 何はともあれ、明穂がたまらなく愛しいというわけでございます。



■Hシーン■

 純愛ものにしては、結構頑張っている方だと思います。
 各キャラ3回ずつ。
 必ず着衣プレイがあります。
 そして、千早以外全員ニーソつけたまましてます。<千早は和服なので止む無し
 クリエイターのを感じますね。
 私もニーソは大好きですので嬉しい悲鳴。やはりニーソは白が良いと思う……!

 以下は私の独白。
 どうでも良いことなんですが、これまた久々に普通のHシーンをじっくり鑑賞しました。
 最近、普通のHシーンにはまったく興味が無くなってしまった私ですが、今回はとても愛を感じるHが多く感動して見入ることが出来ました。
*とは言え、特殊なHシーンが好きなわけではありませんが……。
 Hシーンに感動した純愛ものは久々。
 もしやこれがニーソ効果……!?(違




第十回

 何で!? 何でそうなるんだよ!? 今までのは一体何だったんだよ!? ほら……明穂が呼んでるってば。お前を頼って待ってるんだよ。動けっ! お願いだから動いてくれよっ!!



 一樹ぃいいいいいいっ!!



 頼むよ……本当に……何でこんなことに……
 嘘でも良いから、返事を……
 お願いだから……
 お願い……




最終回

 明穂編クリアー――コンプリートしました。







 ……………………っ







 ぐぉおおおぅううわああああああんっ……!
<YAMA魂の号泣

 泣くもんか泣くもんかと思っていましたが、やはりラストに涙腺が圧壊。
 液体と言う液体を垂れ流しつつ、エンディングソングでまた涙腺が圧壊。
 あんなラストシーンは反則です。ぐすん。
 エピローグで持ち直して、「こんなエピローグ、はっきり言って蛇足だろ。無いほうが良いって」と冷め始めたは良いものの、最後にCGがセピア色になって音楽がフェイドアウトして「Fin」の文字が現れた時、またしても涙腺が圧壊。
「良かったね……本当に良かったね……」
 そんな風に思えたのは明穂に感情移入しすぎたからか。
 本当に良い話でした……。
 参りました。
 これだから、ギャルゲーは止められない。



 軽く各項目をまとめてみよう。

 キャラクター。
 材料に負けない素晴らしい料理。
 くすくす氏の絵は、シナリオを飲み込む魔力を秘めていると言っても過言ではありません。
 ですが、本作はそんな素晴らしい絵に飲まれることなく、キャラをきっちりと設定してシナリオに組み込んできました。
 良いところも悪いところもしっかりと見せるから、そのキャラが好きになれる。感情移入出来る。
 絵、性格付けともに満点クラスです。

 声優。
 かなり上手い。<いつも私の声優に対する評価は甘いんですが(^^;  全員違和感なくキャラに合った声になっております。
 本作ではヒロインが泣くシーンが多かったですが、その中でも明穂の泣き声には心を揺さぶられるものがありました。
 関西弁の珠美も良かった。千早のロリ声も良かった。つばさの甘え声も良かった。
 でも、やはり明穂だろうな。
 あれだけ、キャラ付けと合った母性愛溢れる声はなかなか無いなあ。
 ただの萌えボイスだけではない演技力が光った一作だと思います。

 音楽。
 樋口氏の音楽は今回も芸術品そのもの。
 ここぞと言う時にピタリ感動の音楽が流れます。
 特に、「秋の空、微風」は流れるたびに心に染み渡る何かがありました……。
 ボーカルとの相性も抜群です。
 今回もWhite Lipsさんと組んでおられますが、エンディングの素晴らしさときたら。
 優しい空気で心が満たされますね。
 挿入歌も反則的なパワーあり。「雛鳥」が流れた瞬間思わず涙が……。
 初回特典でサントラが付いてきて本当に良かったと思います。

 グラフィック。
 背景は草薙なので、心配無しの良い出来です。
 イベントCGも綺麗。
 立ち絵の数はそこそこですが、イベントCGの数が若干少なめなのが残念。

 演出。
 私はあまり演出を重視しない人間ですが、本作の演出はかなり良かったと思います。
 特に、各キャラの後ろ向きの立ち絵があることが新鮮でした。
 後ろ向き絵とキャラのアップ絵を利用しての距離感の表現にも高得点を与えたいところ。
 地味ですが、これまであまり出来ていなかったギャルゲーの「穴」が埋められています。
 また、エフェクトも豊富で、ため息をついたり汗が飛んだり火の玉が浮いたり(公式参照)、見ていて飽きさせない工夫がなされています。

 ゲーム性。
 難易度はかなり低いですので、攻略で苦労することは無いでしょう。
 しかし、やたらと共通ルートが長いのが問題。
 1章はプロローグと同等の扱いで2周目以降は飛ばせますが、それでも長い。
 スキップ速度が遅いので余計長く感じる。
 個別ルートも量があるので配分的には問題無いのですが……。

 システム、Hシーンは前に述べていますので割愛。

 シナリオの粗など。
 奇跡が重要な箇所で何度も起こりますが、これについては言及してはいけません。
 そもそも幽霊がいること事態が奇跡ですから。
 奇跡を受け付けない方は買わない方が良いかも。
 ご都合主義的な面も多々見受けられますが、ゲーム中、開き直ってすらいますので問題ないでしょう。
 ただし、明穂編のエピローグは微妙に蛇足だった気が。
 露骨なハッピーエンドはどうかと思う……けど、それが良いとも言える(^^;
 他、ヒロインや主人公がやけに頑固であったり優柔不断なので、何度も同じことを繰り返している様に感じますが、これは彼らが純粋で不器用だから。
 私はややだるく感じてイラつきましたが、感情表現の一つとして見ておくべきでしょうね。

 ザッピングについて。
 本作では先にも述べましたが、主人公だけではなく、ヒロイン視点からも物語が語られます。
 使い方によっては感情移入がしにくくなってしまうのが難点なのですが、本作では上手く使われていますので、逆にヒロインに対して感情移入しやすくなっています。
 ただし、やや使いすぎの感もあり、重要な場面でうっかり使って後半の展開を読みやすくし過ぎている気もします。
 これは、全ヒロインを常に「良い人間」である様に見せるためにわざとしていることであるとは思いますけれど。

 最後に彩花エンドについて。
 実は、あれが一番私的には納得の行く終わり方だったかもしれない……。
 以下ネタバレにつき反転。
 珠美編にせよつばさ編にせよ、明穂は学園祭で成仏するのが一番“綺麗”にしまると思う。まあ、綺麗さだけを求めればの話ですが。
 悲劇的ではあるものの、その方が自分の力で困難を乗り越えていくストーリーになるはず。
 明穂の死を受け止め、現実を見つめて生きていく……そんな最も普通且つ強固なエンディングが彩花エンドだと思います。
 そうしたエンディングを、おまけもしくはバッドエンド扱いだとしても用意しておいたのは正解だと思います。




 総評。
 明穂の明穂による明穂のためのゲーム
 私にとって、本作「もしも明日が晴れならば」は超良作です。
 ですが、明穂が好きになれない人は本作を好きにはなれないことでしょう。
 何故なら、話の根幹には常に明穂が存在し、主人公の心から明穂が消えることは無く、いつでも明穂が良い人として描かれているのだから。
 しかし、私はこうも思うのです。
 明穂を嫌いになれる人などいるのだろうか?と。
 つばさが好きな人、千早が好きな人、珠美が好きな人、様々でしょう。
 そして、つばさ一筋な人、千早一筋な人、珠美一筋な人にとって、明穂は邪魔者でしか無いかもしれません。
 だから、彼女たちのシナリオでは常に明穂は身を引くのです。
 それどころか、彼女たちに助力すら惜しみません。
 そこでは明穂は主人公を想う「良い人」であります。
 しかし、明穂も一人の女の子。勿論、ただの良い人ではあるはずがありません。
 それが明穂編で描かれるわけですが……。
 その明穂編をプレイして、明穂を嫌いになれる人などいるのだろうか?と私は思ってしまったわけです。
 明穂がどうでも良い人にとっては明穂はさぞかし都合の良い女でありましょう。
 しかし、一つ明穂を好きになったつもりで明穂編をプレイした瞬間(とき)、明穂の本当の姿を見た瞬間、何かが変わる。
 それこそが本作の真髄。
 皆、明穂編をプレイしよう!
 一人の女の子の想いが心に何かを残してくれることでしょう。



*テーマや幽霊の意義などについて述べていませんが、それについては批評にて後程。



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