重なった唇は、中々離れなかった。 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円]
緊張で固まっている私の唇を、窘めるようにゆっくり解してゆく。
目を閉じて、肩の力を抜く。
全てをせんせいに預けると、胸の奥がじわりと温かくなる感じがした。
―何が必要か、アナタ自身もうわかってるんじゃないかしら?
唇を一旦離すと、私を抱きとめる腕の持ち主の顔を直視する。
その男性(ひと)はスケッチブックに向かう時の様に、真剣な表情だった。
この男性へ淡い想いを抱くだけで満たされる程、私は幼くない。
だから・・・。
「・・・せんせい。」
私の視線に応えるように、再び唇が重ねられる。
歯列を割り潜りこんで来た舌に応えると、首に巻いていたスカーフがするりと抜き取られた。
暫く忘れていた高揚感が、身体を熱くする。
せんせいの首に腕を回すと、せんせいの腕が私の腰を抱き寄せた。
ぴったりと身体が寄り添うと、身体の芯が発する熱は更に上がる。
それを彼に伝えるように、口内を貪る舌へ執拗に応えた。
せんせいの手がブラウスを潜り、背中を駆け上がる。
それだけで、私の身体はピクリと反応を示した。
うっとりとした気分の中、ツイと唇が離された。
「こっちへ・・・いらっしゃい。」
促されるまま、せんせいの寝室へと歩みを進める。
豪奢なベットに腰を下すと、耳元にせんせいの唇が寄せられた。
そして柔らかな声色で、こう囁いた。
「・・・本当に、いいのネ?」
・・・先の事は解らない。
でも今は、こんなに花椿吾郎というヒトが欲しい。
今、私に必要なのは・・・。
黙って私が頷くと、せんせいは浴室へと向かっていった。
私はその背中を見つめながら、ブラウスのボタンに手をかけた。
さらさらと心地よい絹のシーツに身を包んで、彼を待つ。
欲しいと願う男性に抱かれる。
私は今、どうしようもなく恥ずかしくて、緊張している。
でも・・・それが、堪らなく嬉しい。
浴室のドアが開く音がした。
鼓動が急に跳ね上がる。
彼から注がれる眼差しは、この世界に入ってからずっと憧れていた眼差し。
その先に自分が居る事が、この上なく幸せに思う。
足音が近づいて来るのを耳が捉えると、私の心臓が激しく脈打つ。
緊張に耐え切れず、私は目深にシーツを被った。
「怖いの?」
シーツに潜ったまま首を横に振ると、シーツ越しに右の頬をそっと包まれる。
「そのままじっとしてて。」
上質の生地に触れるように、せんせいの手が私の身体を撫でる。
絹の滑らかな感触が、私の感覚を鋭くさせた。
「・・・んっ・・・・。」
胸元の膨らみを登りその頂上に指が触れると、私は思わず声を上げた。
「・・・ここ?」
反応を確かめるように、せんせいの指が隆起し始めた先端を緩く撫でる。
息が苦しくなりはじめてシーツから抜け出すと、せんせいの意地悪な微笑みに会った。
「せんせ・・・。」
訴えかけると、それを妨げるように軽く摘み上げられた。
「ひゃ・・・。」
せんせいの空いた手が、下肢へと伸びる。
まだ隆起していない胸の先端に、せんせいが軽く口付けた。
身体を震わせる暇も無く、舌が絡み付いてくる。
唾液で布地が張り付く感触に、肌が粟立つ感じがした。
それに加えて内腿をゆるゆると撫で上げられ、更に深い快感が湧き上がってくる。
思わず身体をよじり、それから逃れようとした。
「あら・・・イヤなのね?」
唇が離れて、唾液で湿っていた場所が急速に冷えてゆく。
「イヤじゃ・・・ないです。」
「ふーん、そう・・・。」
問い掛けの答えへのご褒美のように、せんせいの指が布越しに秘裂を撫で上げた。
「は・・・んっ。」
探るように弱い愛撫を施され、じわじわとそこが潤むのを感じた。
胸元の冷えた場所には指先があてがわれ、逆の先端が唾液に濡れる。
「ココを、どうして欲しいのかしら?」
溢れ出す蜜を布地に吸わせながら、せんせいは緩やかに指先を繰る。
絹の貼り付く感触が、私を追い詰める。
「せんせ・・・んっ・・・もっと・・・。」
「もっと?」
「ちゃんと・・・触って下さいっ・・・。」
言葉にする恥ずかしさに、耳まで熱くなるのを感じた。
「エ・ッ・チ。」
せんせいは耳元で意地悪く囁くと、するりとシーツに潜りこんで来た。
肌の温もりを確かめるようにせんせいに抱きつくと、強く抱き返される。
「・・・好きです。せんせ・・・い・・・。」
胸板に顔を埋めて、聞こえないように囁く。
聞こえては、せんせいが困ってしまう。
でも言わずには居られなかった。
「え?」
「・・・独り言です・・・。」
何か言いたげなせんせいの唇を強引に塞ぐと、積極的に舌を絡める。
せんせいの手を掴み蜜の滴る場所へと導くと、指先が蜜を絡め取り花芯へと伸びる。
身体の芯から広がる疼きが脳まで広がり、私のネガティブな思考は綺麗に消し飛んだ。
「・・・やっ・・ぁ・はんっっ・・・」
潤みきっていた秘裂は、せんせいの指を易々と飲み込んだ。
下半身は快楽に浸されて、他の感覚を失い始めていた。
「・・んっ・・・くぅ・・・。」
差し入れられた指の本数を増やされ、一瞬息が詰まる。
二本の指がゆっくりと別々に蠢いて、肝心な場所を避けてゆく。
「せんせ・・・そこじゃなくって・・・っ・・・。」
せんせいの作為的な焦らしに、思わず腰が揺れる。
「・・・欲張りネ。」
せんせいはゆるゆると内壁を撫でるだけで、肝心な刺激をくれない。
それでも身体は、蓄積されている快感で潤みきっていた。
「せ・・んせ・・・。」
差し入れられた指先の一つが、敏感な場所を軽くつつく。
「・・あっ・・・ああぁっ・・・。」
涙が一筋、流れ落ちる。
私の口から飛び出す喘ぎが断続的になり、指先の奏でる淫らな水音が激しくなった。
心地よい眩暈を感じながら、私はせんせいをねだる。
「セッカチ。」
せんせいの親指が、花芯を押しつぶさんばかりに弄る。
「・・・せん・・せい、や・・・いやあああああっ・・・。」
押し寄せる快感に耐え切れず、私は身体を大きく震わせるとやっと掴んでいた意識を手放した。
肩を大きく動かしながら、貪欲に体内へ酸素を取り込む。
「あ・・・んっ・・・。」
指を引き抜かれて惜しむような声を上げる私に、せんせいはまた耳元で『欲張り』と囁いた。
ぼんやりと宙を眺めたまま、腕だけでせんせいを探す。
ふわふわと彷徨う腕を掴れ、身体を引き寄起こされる。
「く・・・ふんっ・・・・。」
動く事もままならず、呆けたまませんせいの首筋に腕を絡めると、空虚だった部位に熱い肉塊が与えられた。
身体も心も。全ての深淵から込み上げてくるような快感に、私は嬌声を上げる。
自分の声すら、遠くから聞こえてきた。
ただ感じ取れるのは、繋がる場所から広がる快感と、せんせいの心音だけ。
タトエ ヒトヨ カギリデモ・・・。
激しく身体を揺さぶられ、得られる快感に溺れながらふと浮かんだ悲しい言葉。
それを振り切るように、私は埋められた彼自身を貪るように強く締め付ける。
せんせいの腕が、私を今までよりずっときつく抱きしめた。
互いの温度が溶け合って、幸福感が込み上げてくる。
耳で捕らえる彼の心音が、激しい。
翻弄されながらも無我夢中で、せんせいが壊れないようにと願いを込めて、せんせいの逞しい胸元へ唇を寄せる。
やがて目の前が真っ白になり全身の力が抜けおちると、身体の中で彼自身が激しく脈打つのを感じた。
眠るせんせいを起こさないように、ベッドを抜け出る。
今、顔を合わせたらきっと気まずくなってしまう。
せんせいは行き詰った私に、今一番必要なものを与えてくれた。
そのせいで、私は少しだけ欲張りになってしまった。
・・・ずっと、せんせいの傍に居たい。
例え、今までどおりの師弟という間柄のままでも。
その答えに辿り着けただけで、昨夜まで不可能だった事が簡単に思えた。
頭の中でデザインを描きながら手早く身支度を整え、深い眠りにつくせんせいに丁寧に頭を下げる。
「ずっと、お傍に置いて下さいネ。」
せんせいの耳元で微かにそう囁くと、音を立てないようにそっと、せんせいの寝室を後にした。
最愛のパートナーが部屋を出たのを確かめると、狸寝入りを決め込んでいた花椿氏はさっと目を開いた。
「まさかこのアタシまで、天然小悪魔ちゃんに惹かれちゃうなんて・・・ね。」
気だるい体を起こしながら、誰に言うでもなくそう呟く。
これから彼女がスケッチブックに向かって描くデザインは、最高のものになるだろう。ということが彼には容易に想像がついた。
そしてそれを、大喜びで自分の所へ持ってくる姿を想像して、彼は思わずニンマリと笑う。
近い将来、2人で世界の頂点を極められた時。
それまで、アナタの気持ちが変わらずにいてくれたなら。
・・・その時、今胸に閉じ込めた想いを・・・君に伝える・・・ワ♪
それまでは、アタシも辛いケド・・・オ・ア・ズ・ケ♪
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