彼女は11歳も年下で、教え子。 テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
にも関わらず、この胸の奥に込み上げてくる感情は、一体・・・・・・。
「それって、デートですか?」
問われる度、私は憂鬱になる。
「・・・社会見学だ。」
何が社会見学だと、心の中で自ら発した言葉に苛立つ。
辛うじて教師と生徒という絆で、繋ごうとする浅ましさが情けない。
「社会見学ねぇ・・・。」
いつもの店。
カウンターの向こうの悪友が、ニヤニヤ笑っている。
不慮の事態とはいえ、ここへ彼女を連れてきたのは間違いだったようだ。
「生徒だ。」
グラスの中身を呷りながら、ニヤケ面を睨み付け言い捨てる。
「あっそ。」
拭き終わったグラスをかざしながら、悪友は未だに口端に笑みを残したままだ。
それがまるで、全てを見透かすようで居心地が悪い。
「ちゃんと捕まえないと、無くすぞ。」
戸棚にグラスをしまいながら、ヤツはぼそりとつぶやく。
「何がだ。」
「若さが怖いか?」
真面目な表情に、私はすぐに返事を返せなかった。
怖い。そうだ。
11という歳の差は、思うより大きい。
これから段々、彼女の世界は広がってゆく。
逆に私は、世界が狭まってゆく。
彼女が少なからず私に対して好意を抱いてくれている事は、何となく感じ取れる。
だが彼女の年頃ともなれば、憧れと恋愛を混同しやすいだろう。
「氷室先生の“好きなタイプ”って、どんなコですか?」
帰りの車中、あれこれ色々質問してきていたが、段々質問がエスカレートしてくる。
距離が縮まったという喜びと同時に、言い表せない不安が芽生えていた。
そこで、こんな質問が来た。
一瞬私は絶句する。
「そんなことはどうでもよろしい。」
辛うじて発した言葉は、口癖に近いものだった。
「……でも、ものすご〜く気になって授業が手につかないんです!」
「………………。まったく君は……もう少し有意義な質問は無いのか?」
藤井の悪戯より、彼女の質問は性質が悪い。
「ありません!どんなタイプが?」
痛いほど感じる真剣な眼差し。
そこにあるのは、堅物教師への興味か、それとも・・・。
「……答えれば、明日から授業に集中できるんだな?」
あくまで教師の仮面を被り、必死で受け答えをする。
「も、もちろんです!」
「私の好きなタイプは……。」
君だ・・・と言えればどんなに楽だろう。
「……好きなタイプは?」
微かに唾を飲むような音を、耳が捉える。
それが、私に微弱ながら余裕を与えた。
「つまらない質問などせず、予習復習を怠らない向学心旺盛な女子生徒だ。」
「あ、ズルイ!」
君の頬が鮮やかに染まる。
それは・・・何故だ?
「・・・氷室先生!」
彼女が慌てた様子で駆け寄ってくる。
歩みを止め、彼女の到着を待った。
「・・・嘘です。」
「何?」
嘘というのが何を指すのか、思考を巡らせる。
「予定があるなんて、嘘です。何だか私・・・悔しくって。」
・・・さっきの誘いの答えが嘘であると知り、気持ちが和む。
同時に、『悔しい』の意味が解らず私は思わず顔をしかめた。
「悔しい?」
私の問いかけに、彼女は困ったような表情で視線を寄越す。
「先生・・・私・・・解らないです。」
「何が解らない?」
「社会見学の意味とか、他にも社会見学をしている人がいるのか、とか・・・。」
逃げ場のない問いかけに、私は更に顔が険しくなるのが解った。
観念すると、私は大きく息を吸い込み、彼女をじっと見つめた。
「君の他に、社会見学を行っているものは居ない。それと・・・」
冴えない声が、教師である立場を放棄しかけているのを象徴している。
それでも私は、抗う。
「君にのみ社会見学を行うのは・・・君が予習復習を怠らない、向学心旺盛な女子生徒だからだ。」
「・・・はぁ。」
遠まわしな言い方に、彼女は納得していない様子だ。
「全く・・・君は。」
・・・この言い回しで気づくなら、俺の気持ちなどとっくに解っているか。
「・・・鈍いな。」
観念して、彼女を抱き寄せる。
ふわりと、彼女のまとう香りが鼻腔をくすぐった。
「え!?」
「君の“好きなタイプ”が気になって、夜も眠れない。
・・・教えてくれないだろうか?」
『お前も、あの子も鈍いな。』
彼女の質問責めを聞いたアイツが、馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに言った一言が、耳の奥に蘇った。
私は軽く苦笑すると、絶句する腕の中の温もりを強く抱きしめた。
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