目を閉じて、そこにいるのは・・・・ 華〜瞳を閉じて見るものは〜 今日は忍足の気遣いで早退をした。 まだ昼なのに帰ってきた我が子に驚いて理由を聞いてくる母 「また吐いちゃった」と言うとややこしい事になるので、「気分が悪くなったから」ただそう言った。 心配する母を横目に、あたしは自分の部屋に行った。 自分の部屋・・・といっていいのだろうか。 自分達の部屋。 と言った方が正解かもしれない。 ドアを空けてもそこにはもう「おかえり」と言ってくれる妹はいない。 明かりをつけて鞄を机の上に置く。 自分の机の横にはもう1つの机。 もう使われる事はない、使用者無しの可哀想な机。 その机には、まだ色々な物が当時より残されている。 その中に2つの写真立て 1つはあたしと、が中学の入学式に撮った写真。 同じ顔が2つ。仲良く笑っている もう1つはと、跡部。 何処かの遊園地にでも行ったのだろう。 テーマパークの前で2人は並んで写真に写っている。 そのの顔はとても幸せそうで、この半年後にはその幸せが崩れるなんて誰が予測していたであろうか。 「ねぇねぇちゃん!私ねぇ、跡部君と付き合える事になったの!!」 「よかったじゃん!ずっと好きだったんだもんね」 「うん!もう今が夢みたいなの。」 「そっか・・・・」 「ちゃん?」 「なんでもないよ。捨てられるなよ?」 からかって言った言葉をは笑ってこたえた 「大丈夫だよ」 馬鹿・・・・ 何が大丈夫だよ。 全然・・・大丈夫じゃないじゃんかよ・・・・ 写真立てを手にとって、昔を思い出す 写真立てをみつめていると、そこにはどこから落ちてくるのか水が落ちてきた。 自然と流されていた涙に、あたしは慌てて空いている手で拭った 持っていたハンカチで写真立ても拭いて。 そんな時、玄関のチャイムが鳴った お母さんが対応して、そしたら足音が部屋に近づいてきた コンコン、とドアをノックされて「どうぞ」と言うと入ってきたのは忍足だった。 「なに?自分起きてて大丈夫なん?」 「大丈夫だよ。それよりあんた学校は?まだ終ってないでしょ」 時計を見ると時刻は2時半 まだ6時間目の授業中のはず・・・・ 「サボリに決まってるやん♪大事なの事が気になって仕方なくてな」 「あっそ・・・・」 「本気やで?」 「あんたが言うと冗談にしか聞こえない」 「そうか?」 クスクス笑う忍足を見て、ホッとした自分がいる がいなくなってからなにかと心配してくれていた忍足は今となっては性別をこえた大事な、大事な親友となっていた。 「忍足はさぁ」 「なんや?」 「とあたし、1回も見間違えた事なかったよね」 「あぁ」 「皆間違えるのに・・・なんで?」 「なんでって、簡単やん」 興味ありげな顔をしてあたしは忍足をみつめる 親だってあたし達を見間違えるのに、忍足は(あと1名いるが)見間違えなかった。 あたしはそれだけで嬉しかった。 見間違えないという事で、あたしのわだかまりは軽くなる気がした。 双子だったから・・・・しかも一卵性だから見違える人は多かった。 「全然ちがうやん。とちゃん」 「え・・・・」 「名前呼んで振り返る時の仕草とか、声だって微妙にちがうし。 表情にだってそれぞれの個性がでてたしなぁ」 「ふ〜ん」 「なに突然こんな事聞くん」 「別に。ちょっとした今までの疑問を聞いてみただけ」 「そぉか?」 そう言ってあたしの髪をクシャクシャ撫でる その行為があたしは好きだった どこか安心できるような、不思議な感じ。 忍足だから、忍足だったから安心できたのかもしれない。 「・・・・跡部・・・」 「ん?」 「跡部なんか言ってた?」 「いや、べつにこれといっては言ってなかったで」 「そう」 「・・・めずらしいな。が自分から跡部の名前だすなんて」 「別に、あの時見てたから・・・」 それから他愛のない会話をして、忍足は帰っていった また1人になった部屋を見渡し、ベットに倒れこみ瞳をつぶる 「また・・・今日も夢をみるのかな・・・・」 誰に話すわけでもなく、自分自身に話しかける 「の夢を・・・・」 そう言って、瞳をギュッと閉じる。 眠るのは、あまり好きではありません。 あの子の夢を見るから 私の双子の片割れの夢をみてしまうから・・・・ ------------------------------------------------ 2話目、です・・・・ なんか忍足しかでてきませんね。 もうちょっと待っててください。 景吾とか、他もだしますから・・・・・!! 片桐茜 |