山本武は大胆で、実に妖艶な男である。


『・・ん、オレの中・・気持ちい・・?』

涙を堪え、潤んだ目で見上げられてそんな事を言われれば。
相手を翻弄するために抑えていた理性が切れそうになる。


『なぁ・・もっと奥で、感じて・・くれ、よ・・』


自ら飲み込むように腰を揺らして息を乱した。
唇に浮かぶ笑みはそのままだ。


覆い被さり、両足を開かせて彼の秘部を犯し続けていた。
何度抱いても、抱いても、綺麗な身体は穢れを知らない。



『ゃあっ・・ぁあ・・リボっ・・リボーンっ』


舌っ足らずな声は猫のように甘えていて。
欲しいという衝動を更にかき立てるものだった。


『そ、其処・・ヤっ、ヤなの・・なっ』


拒絶の言葉を言うくせに。
女のように男の肉棒を受け入れた処がもっと、と欲しがって止まない。
その額に浮かんだ汗も。声を上げた時に覗く真っ赤な舌も。
何もかも淫猥で仕方がなかった。



どうすれば手に入る?

どうすれば満たさせる?



(一緒に堕ちれば・・・いいのか?)


この綺麗な生き物が欲しい。

ゴクリ、と唾を飲み込んで。
山本の唇に対し、息さえ奪う勢いで。
リボーンは思い切り噛みついたのだった。






笑ッテ 堕チテ 逝キマショウ






2週間ぶりの逢瀬を楽しむために、ベッドに入ったのはまだ日が沈む前のこと。
西向きの窓から差し込んだオレンジ色の夕日が寝室を染めていく中。
久しぶりの行為に、期待の笑みを浮かべる山本を押し倒した。
待ちきれないとばかりに彼の両腕がリボーンの首に巻きついてくる。
引き寄せられるまま、唇を重ねて遠慮なく互いの舌を絡ませ合った。
唾液も、呼吸さえも奪うように、久しぶりの口付けを味わった。
山本も随分舌の動きに慣れ、時にはリードしようと感情のまま動かそうとするのだが。
経験値では負ける気がしないリボーンは彼の舌技を逆手にし、より激しく咥内を蹂躙していった。



「・・っ・・ん・・くっ・・」



先に音をあげた山本の目尻には涙が滲んで、そこは赤く染まっていた。
その表情を見逃さぬようじっと見つけながら、唾液に濡れた山本の口元を舐め上げていく。
すでに動きを止めた唇を食み、歯列を確かめるようにじっくり舌を動かして楽しんだ。


「・・・ったくー・・・なぁ!・・・なぁってっ」

「ゆっくり味わいてぇだけだぞ。なんせ、2週間ぶりなんだからな」


どちらかというと出張はリボーンの方が多い。
それでも今回は山本がヴァリアーの助っ人として駆り出され、こうして家に帰って来たのは数時間前の話。
興奮ぎみの声で、早くしてくれというように上がった抗議を軽く聞き流す。
殆ど背格好が変わらない山本を押し潰してしまわぬよう、細心の注意を払いながらニヤリと微笑んで見せると。
何も言い返せないのか、大人しく瞼を閉じて山本は再度キスを強請って来た。
相当余裕を失くしている様子の彼が大層可愛らしく、リボーンは早急に山本のシャツのボタンに手をかける。
第2ボタンを外し終えて目に入った首筋。
特に喉仏から鎖骨にかけてのラインが男にしておくのは勿体無いと思うほど、際立って美しい。
無防備に差し出されるそれらを目にすると肉食動物にでもなったような衝動に襲われる。
少しでも早くその肌に吸いつき、時には歯を立てて喰らい付きたくなるのだ。
この時もリボーンはその欲に勝てず、本能の赴くまま首筋に唇を落とした。




「―――ッ、はぁ・・っ・・くすぐってぇ」



そう言いながら吐息を洩らす姿は感じている証拠だ。山本の性感帯の一つであることはお見通し。
むしろ山本の感じるところは全てリボーンが開発したと言っても過言でないと自負しているから。
遠慮なく、無防備な首元に舌を這わせる。
血の動きを確認するよう脈を辿り、皮膚の薄い部分には赤い花を咲かせて。


「っ!・・・そこじゃ、見えちまう・・・!」


シャツでは隠せない場所に痕を残すと、また抗議の声が上がった。
しかし、ぶるぶると震えだしている山本の体を襲うものは痛みか、それとも快楽か。
自分自身の体の変化を分かっているはずなのに素直にならないコイツが憎らしいほどだ。
それに構わず、彼の肢体を覆い隠すシャツのボタンを全て外し、邪魔だと言わんばかりにベッドの下へ放り投げた。
いつ見ても無駄な肉が一切ない山本の上半身に目を奪われる。
その長身に見合った筋肉を持ち、鍛え上げられた肉体をリボーンは誰よりも気に入っていた。
女性のような全体的な丸みも柔らかさもないが、体のバランスが美しい。
山本の裸体を見るたび、彼は性別を凌駕した中性的な肉体の持ち主だと何度思ったことだろう。



(・・・たまらねぇな)


まだ幼子のような、性別を感じさせない肌を貪るこの瞬間が好きだ。
穢れを知らない身体を犯して、許しを請うよう喘ぎ続ける姿は堪らなく淫靡である。




「・・・・んっ、なぁ、ちゃんとしてくれ・・よっ」


触れるか触れないか、そんな曖昧な愛撫に業を煮やしたらしい甘い催促。
潤んだ瞳のまま下から睨みつけるような視線を送って来る山本は、きっと今自分がどんな顔をしているか気付いていないだろう。
男の支配欲をかき立てるその表情は昼間の山本とはまったく結びつかない。
コイツのこんな顔を知っているのは自分だけだという優越感。
リボーンの手が肌を掠めるたびに、ヒクリと身体を震わせる山本の姿に満足した。



「乳首、すげぇ立ってるぞ?さすが俺を誘惑する天才だな、山本は」


「―――――ッ、ぁ・・・んッ!!」


それまで一切触れることのなかった両方の突起を一気に掴みあげると、悲鳴のような声が上がった。
背を仰け反らせてその痛みから逃れようとしている姿に酷く興奮する。
そして、顔を近づけると赤く膨れ上がった乳首を口に含み、思う存分舌で転がした。
どちらかというと甘い愛撫を好む山本なので今度は優しく、かつ丁寧に舐め上げていく。
すると、いつの間にか聞こえてくるのは悲鳴ではなく嬌声に変わっていた。


「んんっ・・リボーン、気持ちいい・・イイ・・っ」


そう漏らす声を聞いて、リボーンは早急に山本のズボンと下着を奪い、自身も服を脱いで全裸となった。
されるがまま、山本は快楽に溺れてしまいそうな顔をしている。
そんな表情と言葉が生まれるたびに、昔の彼と比べてしまう自分に内心苦笑がもれた。
山本と身体を繋げるようになった頃、彼はまだ14歳という幼さだった。
性的な知識も経験も乏しいまま、男の肉棒を銜えこまされた山本はただ受け止めるだけで。
行為後、呼吸すらままならず気絶した山本に罪悪感を抱かずにはいられなかった。

それでも、そこはやはり山本だ。




『すっげぇ痛いし怖かったけど、あんな必死そうな小僧が見れて嬉しかったのなっ』


後に初めての夜を振り返り、笑顔でそんな事を言われて思わず脱力してしまったのを覚えている。
どんなに貪り、啼かせ、縋りつかせても山本は綺麗なままだ。
満月の夜に合わせ、月に一度という行為に慣れることはなく、学生だった頃にその羞恥を捨てさることはなかった。
それが少しずつ変わり始めたのはマフィアとなって命の危機を何度も乗り越えていった後だ。
今でも快楽に完全に溺れるまで恥ずかしがることはあるが、特に任務後は娼婦が乗り移ったかのように実に妖しく、リボーンを誘惑する。
自ら快感を得ようと積極的になるその姿は、神々しいまでに艶美だった。


「山本、足開いてみろ」

「・・・んっ。は、早く・・・くれよっ」

「慌てんな。もっと気持ち良くなりてぇだろ?」

「はっ・・あぁああ!・・あっ・・ん・・っ」


リボーンが見つめる中、自ら膝裏を持たせて震える両足を限界まで開かせた。
明確な愛撫はまだだと言うのに、すっかり勃ち上がり熱を持て余している山本自身を口に含む。
久しぶりに感じる山本の味と匂いにリボーンの興奮が更に増した。
口に含んだまま吸い付き、右手を動かして限界まで膨らましてやると尻のあたりが痙攣してくるのが分かる。



「もうイキそうだな。今日は早いみてぇだが、任務中は1人で抜かなかったのか?」


話す間にもあふれるように液を流す肉棒やその下で震える双玉への愛撫を繰り返した。


「・・・んっ、だって、ヴァリアーの皆といつも温泉、入ってたからっ・・」


部屋もザンザス以外は全員一緒だったのだと、吐息の間に紡がれた言葉はリボーンの機嫌を損ねるものだった。



「お前、何もされなかっただろうな?」



ヴァリアーの一癖も二癖もある変わり者達が何もせずに放っておくとは思えない。
かつては敵だったにもかかわらず、物怖じせず相手と接して相手の警戒心を解くのは山本の得意技なのだ。
すっかり骨抜きにされたヴァリアーの連中が山本を気に入っていることなど周知の事実である。
それは彼らから応援要請が綱吉の元に来るとき、殆どの確率で山本を指定してくる所からでも明らかだった。
仕事な上に、山本本人もスクアーロ達に懐いているため邪魔をすることはできなくて。
リボーンは嬉しげにヴァリアーの元へ向かう彼を何度見送っただろう。



「・・・はは、何、心配してだよ。オレにこんなこと、すんの・・リボーンぐらいだぜ?」


崩壊した涙腺から流れる涙をそのままに、困ったように山本は苦笑した。
相変わらず自分の魅力とその影響力に気付いていない。



「・・あぁぁぁぁ!ちょっ・・待っ・・・」



反論する気持ちを込めてリボーンは隠れたままの山本の蕾に己の舌を突っ込んだ。
普段は排泄器官であるこの場所を舐められる事だけは、いくらトリップした山本でもいつも拒む。
無防備なその場所に唾液を送り、中まで味わいつくせるように山本の腰を更に高く上げさせた。
傷つけないように襞まで丹念に舐め上げ、そっと人差し指と中指で奥への侵入を試みる。



「・・っ・・んん!・・はっ・・無理・・・っ」


「いい締め付けじゃねぇか。浮気はしてねぇみたいだな」


腰を捩じって指から逃れようとする体を押さえつけ、リボーンはニヤリと微笑んだ。
熱い粘膜に包まれる感覚を指に感じながら、体温が上昇していく。
始めは苦しそうに眉を寄せていたが、指の動きに合わせて山本の腰も動いていた。



「・・・・そろそろ挿れるぞ」


「待ッッ・・・・んぁあああ!」



理性を抑えられず、腰を固定してすでに硬く勃ち上がった肉棒を山本の奥に押し込んだ。
浅かった呼吸から深い呼吸へと変化させる山本はやはり性交渉に慣れ、どうすれば楽になれるかを知っている。
すべて教え込んだリボーンとしては満足げにそれを見つめ、奥を抉るように律動を開始した。



「んんっ、んっ、ぅんん!はっ・・リ、ボー・・ン!」


「山本、お前の中すげぇ熱いぞ」



リボーンもその締め付けに息を詰めつつ、久しぶりの感触を味わう。
身体の奥から脳に向かって快感の波が押し寄せ、互いに動きを合わせていった。



(・・・・ハ、たまらねぇ)


山本の体を反転させ、背後から抱き締めるとその奥に向かって更に腰を打ちつける。
変化した体位に山本から高い声が上がり、きゅうきゅうと締め付けられる感覚に息を詰めた。
性感帯である前立腺を中心に攻め立ててやると、互いに限界が近づいてくる。




「・・っ、もぅ・・・出ちゃ・・の・・な!」


「―――あぁ、イッていいぞ」



山本の甲高くなる声に合わせて抉るように腰を沈めていく。


「ヒィ・・っ・・ぃ・・・ぁああああ!!」


背を撓らせて山本が先に限界を迎え、その数秒後にリボーンも中に向かって己を欲を吐きだした。
久しぶりの絶頂を味わい、山本の膝から力が抜けていく。
腰はいまだに痙攣を繰り返して中のリボーンのモノを刺激するから堪らない。



「夜はこれからだ。覚悟しろよ、山本」


上半身を倒して山本の震える背中に唇を落とす。
離さないという証のように。



「・・・はは、上等!オレも、もっと欲しいのな」



山本は隠さない。
極上の笑みを浮かべ、誘うように腰を揺らす山本の体を仰向けに戻して、リボーンはその唇に吸いついた。











すでに時間の感覚が狂ってしまっている。

行為に突入した頃はまだ夕焼けだった空が、今ではすっかり暮れて闇に包まれる時間になっていた。




「・・ん、オレの中・・気持ちい・・?」


何度熱を吐きだしか分からず、それでも尚飽きることなく互いを貪り続けていた。
山本からは理性が飛び、すでに快楽を追うことしか頭にないようである。



「なぁ・・もっと奥で、感じて・・くれ、よ・・」


誘う言葉は甘く、リボーンに届いた。
本能のままに求めてくれる彼が愛しい。



「ゃあっ・・ぁあ・・リボっ・・リボーンっ」


其処は嫌だと拒絶の言葉を使っても、それはただの建前であることを知っていた。
名前を何度も呼んでくれる山本の声を聞くたびに、快楽とは違う意味で心が震える。

何度抱いても、身体も心も綺麗なまま、この時間<トキ>を生きていく彼を傍で見るたびに。
リボーンを襲うのはどうしようもない虚無感だった。


離してたまるか、と思うたびにどんどん湧き上がる独占欲。


このまま、息を引き取る事が出来たら。
彼を手に入れることができるのだろうか。


一緒に、どこまでも堕ちたい。


そんな気持ちを込めて、山本の唇に噛みついた。




この手を離さず、堕ちていこう。

そのためには。





「・・・・腹上死ってのも悪くねぇな」



最期という瞬間、この腕に彼を抱いて逝けるのならば。

地獄への旅路も悪くない。




「ああっ、んっ・・ふっ、ふくじょう・・し・・って・・?」


動く腰の動きに合わせて声が洩れ、山本の表情は惚けきっている。
呂律が回らなくなってきた彼の視線を受けてリボーンはその顔を覗き込んだ。




「お前とセックスしてる間に死ねたら幸せだ、って意味だぞ」



もちろんお前も道連れだ、と山本の耳元で囁いてみた。

医学的には心臓疾患や成人病の悪化が原因なため、実際に自分がこのまま死ねるとは思っていない。
人間が昔から唱えるそんな死に方は想像するだけで滑稽なものだ。
それでも、山本武という男と共に逝けるならとそれを求めてしまう。
自分はこんなにも現金な男だったのか、とリボーンは新しい自分の一面に驚きを隠せなかった。
何度も、何度も、何度も、欲を注いでいる結合部から濡れた音が響いていた。






「・・・っ・・そりゃ・・っ、イイかも・・・おまえと・・いっしょ、なら・・」




ははは、と笑い声に連動して山本の腹筋が動き、繋がったリボーンのモノを締め付けていく。
それに息を詰めてしまったため、つい律動を止めてしまった。
ここぞとばかりに呼吸を繰り返す山本が可愛くて仕方がない。



「まったく、お前は相変わらず直球だな」


「はは、昔からカーブは苦手、なの、な・・」




連想するのはもちろん野球の話。
それでも2人、こうして汗だくになって繋がったままの姿なので健康的ではない。


「動くぞ」


「・・・っ!・・・ゃあああ!もぅ、中、キツぃ・・・っ」


「くっ・・・・・出すぞっ」



嬌声と共に山本の締まりがどんどん増してくるため、リボーンは達するために弱い部分目がけて腰を揺する。




「イ・・ッちまう・・・リボ・・・ん・・ぁあああ!!」


何回目の射精になるのか分からないまま。
限界だとばかりに何度か挿入を繰り返し、リボーンは山本と2人、達することになった。






愛の交換は終わらない。



魂まで溶け合い、交じり合うまで。



どうか、どうか。



笑って、堕ちて、逝きましょう。





Fin.
2009/02/19

改 2009/09/12

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