過去CLAPA






明日は満月だった。



最近、晴れの日が続いている。
夏休みは終わったものの人々は残暑が長引き、真夏のような格好ばかり。
そんな中、黒いスーツに身を包んだ自分は明らかに異質である。

しかし、リボーンは気にせず目的地に向かった。

いつのまにか陽が傾き、辺りは夕焼けに染まっていた。
すでにお馴染みとなった並盛中学の屋上。
そこからは並盛の町並みも、グラウンドで部活に励む生徒の姿もよく見えていた。
リボーンは知らず知らず野球部に目を移し、いるはずもない彼の姿を探した。



(馬鹿か、俺は・・・)

彼がここにいないことは、一番よく分かっているはずなのに。

六道骸率いる黒曜中との戦いがあったのは、つい1週間前の話。
リボーンにとってもその襲撃は予想外で、完全な対策を立てられぬまま。
黒曜ランドに乗り込んで、かろうじてボンゴレ側が勝利を収めた。
ファミリーの結束も、綱吉のレベルアップも叶ったので結果オーライといえるだろう。
しかし、多くの者が傷つき入院を余儀なくされた。

山本武もその1人。
彼は左腕の出血と全身打撲で1週間入院していた。
野球の秋大会を来月に控え、怪我での入院は致命的であるにも関わらず。
何度も謝る綱吉に対して山本は平気だ、と笑う。
その強さはどこからくるのだろうか。


山本は始終リボーンの言葉を信じ、ごっこ遊びのまま戦場にいた。
入院先で目覚めた後も学校対抗のマフィアごっこだと信じていた。
しかし、戦いの最中でも変わらぬ笑みや負けん気の強さ、その粗削りな戦闘力。
すべてがリボーンにとって新鮮だった。
少年でありながらすらりとした体躯。未熟ながら大人びた冷静さと判断力を兼ね備えた男。



「・・・・ヤベェな」

彼のことを考えただけでこんなにも言い知れぬ感情が体内を駆け巡る。

あの笑顔も、真っ直ぐな性格も、穢れのない魂も。

彼の内面に潜むアンバランスさも。




愛しい。
山本が欲しい。
いつまでも自分の傍に置いて。
自分のモノにしてしまいたい。
求めるものは、まるでドロドロに溶けあうような魂の共有。




「この俺が、あんな子供に・・・」


気づけば日が暮れ、周囲は完全に夜を迎えていた。
リボーンには当たり前で、居心地のいい闇。
少し上を向くとほぼ新円に近い月が光を放っている。

リボーンはゆっくりと己の体を見つめた。
小さな手はぷにぷにとした弾力を持ち、高めの体温が忌まわしい。
この体は満足に誰かを抱くことも、支えることもできない。

明日になると変化する身体。
呪われた、アルコバレーノ。

山本を欲しいと求める自分。
光が似合う彼を自分の闇に染めたくないと思う、相反する感情。

この世界最強のヒットマンである自分が。
長い時間を生き続ける、呪われた自分が。
なんてザマだ。


リボーンは知らず自嘲の笑みを浮かべた。
答えは出ぬまま、リボーンはひとり欠けた月を仰ぎ続けたのだった。


改 2009/09/11


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