過去CLAPH





「山本、今年の誕生日は何が欲しい?」
「はは、もうそんな時期なんだな」
「なんだ。もしかして忘れてたのか?」
「んー、仕方ないだろ?麻薬密売組織のルートを追うのに最近休みナシなんだぜ」




困ったように笑って見せた山本の顔には疲労が滲み出ている。
彼が言うとおり、ボンゴレが治めるシマを荒らす連中が発覚して以降。
綱吉は山本のチームにその組織の壊滅を命じていた。
すでにひと月以上、山本は世界を飛び回って調査をしている。
同じくリボーンも別件でイタリアを離れていたので、こうして会うのは久しぶりだ。


「その分じゃあ、誕生日までに片付きそうもないな」
「はは、とりあえず全力は尽くすぜ」


イベント事が好きなのはお互い様。
それでも仕事ではどうしようもない。
確か昨年も誕生日当日は任務だったので、一緒に祝えたのはその前日だった。
この世界の無情さはリボーンが誰よりもよく知っている。
ただ、何よりも愛しいこの精悍な愛人の誕生日なら話は別だ。



「決めたぞ。今年のお前の誕生日はタヒチにバカンスだ」
「・・・・えっっ?」
「4泊5日で休暇をとる。文句はこの俺が言わせねぇ」
「いや、リボーン。待てって、オレは任務がまだ・・・」



困惑してうるさい唇を無理やり塞ぐ。
久しぶりのキスは熱く、甘く、脳髄まで刺激するように深いものになった。



「・・ッ・・ン・・待っ・・」


舌だけでなく、歯茎や唇まで舐め回して抵抗を封じる。
長身の山本がぐったりと寄りかかってくるのを平然と受け止めて一応満足した。
本当は全然足りないけれど。
それでもこれ以上はまだ残った仕事に支障が出るから。



「お前は黙って調査を続けろ。俺も手伝ってやる」


普段は単独行動が多く、他の幹部と任務を共にする機会は案外少ない。
成長を見守るという点で、リボーンは己の影響力を把握した上で傍観していた。
ただ、今回だけは別である。



(ちょうど、10年だ)


まだ野球少年だった山本をマフィアに巻き込み、リボーンの欲望を受け止めさせて。
10回目の誕生日。奇跡のような数字である。
無邪気に笑っていた山本の笑顔は少し質を変えてしまった。
時に切なく、時に痛々しく。
山本は微笑む。
それでも、己の腕に閉じ込めた時の満足げな笑み。
安心しきった幼子のような、綺麗な笑みを見るたびに。
リボーンは渇望するように強く山本を抱きしめた。


それを繰り返して10年。
お前が生まれてきてくれたこと。
こうして傍で笑ってくれていること。
すべてを神にではなく、お前自身に感謝を捧げよう。
リボーンにとっての絶対的な主は山本、お前なのだと。
今度、囁いてみようと思った。



「リボーンがそう言うなら、期待しとくなー」
「あぁ、本気だからな。楽しみにしておけ」


ニヤリと笑ってみせると、山本も釣られて笑った。
秘密を共有する子供のように。

誕生日当日。2人が何処でどんな誕生日を過ごしたのか。
それは一流の殺し屋だけが知ることであった。



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