昔々あるところにGM号があったとさ。 GM号は山に芝刈りに・・・もとい、GM号はグランドラインをどんぶらこっこと流されていました。 もとい、グランドラインを航海していました。 GM号にはマリモが生息しておりました。 マリモはいつもいつも寝てばかり。 今日もマリモは甲板で惰眠を貪っていました。 とある昼食時。 寝ているマリモをウソップという鼻の長い人物が起こしに来ました。 「ゾロ」 「・・・ウソップか」 「起きたな。起きたなら昼食いに来いよ」 「おい、ウソップ。てめェ何か疲れてねぇか?」 ゾロはウソップ見てそう言いました。 ウソップの姿は48時間を全力疾走で走りきった後のように疲れて切っておりました。 ウソップが48時間もの長い間、走り続けられるかという疑問はこの際置いておきましょう。 目の下には隈。 おまけに肩で息をし、加えて汗だくです。 本当に疲労困憊という見本が出来上がっていました。 「・・・ゾロ」 ウソップが力なく呟きます。 「オレは金輪際、今後、おめェを起こさねェ」 ウソップは弱々しく、しかし、ピシッと男らしくゾロに一指し指を突き出しました。 ウソップが屍になっている理由は下記の通りでございます。 彼は寝ているマリモことゾロを起こしにやってまいりました。 彼は一生懸命一生懸命一生懸命、本当に一生懸命マリモを起こしました。 しかし、彼がどんなに頑張ってもマリモはなかなか起きてくれません。 やっとマリモが目が覚めた時には悲壮感漂う風貌になっていました。 「おい、ウソップ。クソコックはどうした?」 マリモはウソップの風体を気にするでもなく、そんなことを言い出します。 そうです。 いつもマリモを起こしに来るのはこの船のコックさんなのです。 コックさんの素晴らしく破壊力のある蹴りでいつもマリモは蹴り起こされます。 普通の人間ならば全治1年の重症でしょう。 ひょっとしたら命がないかもしれません。 しかし、マリモである彼は怪我の一つもしません。 怪我の1つや2つ、いえ、10ぐらいしているかもしれませんが、マリモの彼は気づきません。 「・・・サンジはキッチンだ」 「何であいつが起こしに来ねェ?サボりか?」 「・・・ちげェよ。おい、ゾロ。今日が何の日か知ってっか?」 マリモは1秒考えました。 「知らねェ」 ほぼ、即答です。 「あ〜、お前に聞いたオレが馬鹿だった。今日はサンジの誕生日だ。流石のサンジも自分の誕生日に凝った料理なんて作らねェ。だかな、胃袋魔人のルフィにそいつは通用しねェ。誕生日イコール豪華料理だ。サンジ本人の誕生日だって容赦ねェ。ゆえにヤツは自分の為に、や、ルフィの為に豪華料理を作る羽目になっちまった。で、いつもみてェに前準備なんてしてねェから、サンジはまだキッチンで料理中だ。昼食にすっかり遅くなっちまったし、料理が終わりそうだったから、サンジの手を煩わせるのも何だったし、オレ様がお前を起こしに来た」 「何だ。クソコックの誕生日か。オレはてっきりクソコックがサボったのかと思っちまったぜ」 と、大あくびをしながらゾロは答えました。 「や、自分で起きてください」 ウソップは尽かさず突っ込んでいました。 「とにかく起きたな!なら、早くキッチンに来い」 そう言うと彼は踵を返しキッチンに向かいました。 「ああっ、分かった」 そう答えるゾロは眠そうです。 ウソップはキッチンへの歩数を進めました。 しかし、背後にゾロが来る気配を感じません。 そうです。 ゾロはまたもやマリモに退化していました。 彼は再び寝てしまったのでした。 それを見たウソップは真っ白になってしまいました。 そして、灰になってしまいました。 そして、暫しの時間が経ちました。 あまりに遅いウソップとゾロの到着にコックのサンジが痺れを切らして甲板にやってまいりました。 コックが最初に目にしたのは鼻の長い人物ウソップの灰でした。 次に目にしたのは深い眠りについているマリモでした。 彼はとても幸せそうに寝ています。 コックのサンジはいつものように素晴らしく破壊力のある蹴りでマリモを起こしました。 「いってェ!」 蹴り起こされたゾロは大声で怒鳴りました。 怒っています。 そんなゾロを無視しサンジはキッチンに戻ります。 ゾロはサンジを追いかけます。 そして、ご想像通りの喧嘩になります。 しかし、喧嘩はキッチンまでの距離。 キッチンの扉をサンジが開けるのが喧嘩の終了の合図。 喧嘩が終わります。 一方。 すっかり忘れ去られた灰になったウソップはどうなっているのでしょうか。 復活するでもなく、彼は相変わらず灰のままです。 「今度一切二度とゾロは起こさねェ」 固く固く心に誓うウソップでした。 教訓。 慣れないことはするな。 もしくは、骨折り損のくたびれもうけ。 それとも、人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られて・・・もとい、マリモの恋路(?)を邪魔するヤツは灰になるぞと。 以上、正解はどれでしょう。 作者にも分かりません。 |
かなりのアホアホ話になってしまいました。
誕生日なのにサンジが主役じゃない・・・(汗) |