「それ、オレにか?」 ゾロがサンジに問う。 「あん?まさか。てめェの分だと思ってやがるのか?」 「いや、思えねェ。だから、聞いた」 「オレの分に決まってんだろ?」 「それも珍しいと思った。だから、聞いている」 キッチンでのルフィとの食料攻防戦で死守した物の中に何故だかこれが残っていた。 サンジ自身も、何故このプリンが残ったのだろうかと不思議に思った。 ナミやビビにはもちろんデザートを食べてもらった。 その点には、抜かりがない。 何故、このプリンだけが残ったのであろう。 サンジは、いつも量や数をきちんと把握しながら料理やデザートを作っている。 だから、多分、誰かの為のデザートなのだろう。 ルフィとの激しい攻防戦で食べられない者が出たのだろう。 最もサンジにとっては、ナミとビビがデザートを食べたのだから特別問題はない。 サンジは残ったプリンを見て、自分がこれを食べようと決めた。 しかし、キッチンで一人でこれを食べるのはあまりにも空しい気がし、甲板でトレーニングをしているゾロをからかいながら食べようとキッチンを後にした。 甲板にはトレーニング中のゾロが居る。 ゾロは自分の方に向かってくるサンジを見咎めトレーニングの手を止めた。 サンジはゾロの側に近づく。 そして、ゾロから約2メートルぐらい離れた位置に座り込む。 プリンとともに。 「どうした?」 ゾロがサンジに声を掛ける。 「休憩」 「・・・珍しいな」 「休憩がか?」 「いや、オレの側に来るのが珍しい」 「そうか?オレはしょっちゅうてめェと顔突き合わせてる気がするけどな」 「そうじゃねェ。オレのトレーニング中にてめェが近寄って来るのが珍しいって言ってるんだ」 「・・・そっか?そうだな。珍しいかもな」 サンジはプリンに目を移す。 「珍しいといやぁ、こいつも珍しいんだよな」 サンジはプリンをゾロの目の前に突き出す。 そのプリンにゾロは怪訝な顔をする。 そして、冒頭への問いへとなる。 「珍しいか・・・まぁ、妥当な意見だな。余った。何で余ったかは分かんねェ」 「・・・珍しいな。余分に作っちまったのか?」 「まさか」 サンジは即答する。 「オレがそんなヘマするわけねェだろ。ヤローの中で誰か食ってねェ奴がいるんだ。よって、これはオレ様が食うことに決めたんだ」 ゾロは完全にトレーニングをする気が失せたようだ。 彼はサンジの元に歩み寄る。 「何か、今日はお互い珍しいことばっかだな」 サンジは笑いながら言う。 サンジの機嫌は良いらしい。 「まぁ、おめェの顔なんて見飽きてっから、今さら見に来るつもりはなかったんだけどな。キッチンで一人食うのも侘しいから、てめェをからかいながら食おうと思ったんだ」 そんなサンジを見てゾロは思わず彼の肩に腕を掛けていた。 笑いながら。 ゾロの機嫌も良い。 「なぁに、甘えてやがる」 サンジは可笑しそうにゾロに問い掛ける。 甘えたってプリンはやんねェぞという言葉とともに。 |
Ar.NORIKOさんのサイト「ハードラック・ママ」で、カウントの申告して描いていただいたイラストに思い浮かんだままの短文を書いてみました。
イメージ崩しも甚だしいけど・・・ あうっ。 お許しください。 そして、イラストはゾロに差し入れに来たサンジなのですが、私の文の中ではゾロにプリンをあげようとする気が毛頭ないサンジだったりします。 めちゃくちゃ短文っす。 短すぎな感じもしないでもないのですが・・・(汗) イラストのように甘いお話しになったでしょうか。 とっても甘いと思うのですが・・・ Ar.NORIKOさんのイラスト → ■ |