「ったく・・・しょうがねぇヤツだなぁ・・・コッチ向けよ」 サンジはゾロの顎を掴み、顔を上向かせると、頬に付いた血をペロリと舌の先で舐めた。 「血生ぐせぇな・・・」 顔をほんの少し離してそうボヤくと、今度は口の端から流れ落ちる血に、ゆっくりと舌を這わ せていった。 生温かいざらついた舌が、顔の上を行き来する感覚に、ゾロの顔が自然と歪む。サンジは、 それを横目で見ながら、舐め上げる舌を唇へと移動させ、硬く閉じられていたソコを、無理やり 抉じ開けていく。差し込んだ舌先に唾液と血を絡ませていると、間近に見えた瞳の中に欲情した 自分の姿が写っていた。 「このまま・・・下の方も舐めてやろうか?」 「・・・・・へぇ・・・随分とサービスがいいじゃねぇか」 鼻先をくすぐる甘い血の香りに酔いしれながら、目の前の男を煽るような素振りをする。 「どうして欲しいか言ってみな」 ピアスと一緒に耳を甘噛みしてきたサンジの後頭部を、ゾロはグっと掴むと、今度は自分から 深い口づけをし始めた。 「血ィ見て興奮するなんて・・・ケモノ以下だぜ・・・」 さて、本日のゾロは、大活躍であった。 とある島に上陸した途端、待ち構えていたように現れた賞金稼ぎ達を、バッタバッタとたった ひとりでなぎ倒したのである。流石は、未来の大剣豪。 しかし、船に被害が及ばぬように島へ上陸し、走り回りながら応戦したのが、彼の運のつきで あった。見事、敵全員を打ち倒した頃には、ものの見事に迷子に成り果てていたのである。 流石は、方向音痴な大剣豪。 だが、こんな時でも、慌てず騒がずが信条の剣豪は、その場でゴロリと横になると、そのまま 眠ってしまったのである。 一方、船の上では、いっこうに帰ってこないゾロを心配しながら、みんなで優雅な午後の一時 をエンジョイしていた。 夕方近くになった頃、さすがにそろそろ迎えに行った方がいいのでは・・・という話が出た ために、心優しいコックが代表して、ゾロを探しに来たのであるが、やっとの思いで見つけた その男は・・・・・・大の字になって高鼾をかいていた。 なので、とりあえず、愛の殺人キックをくりだして、男前な台詞を言ってみる。 「何してんだ、んなトコで!!オロすぞ、オラッ」 だが、蹴り飛ばされた男は、何事もなかったような顔をしてムクリと起き上がると、寝ぼけた 頭を掻きながら、何故か辺りをキョロキョロしていた。そして、ボソっと呟いた。 「・・・・・夢か・・・」 そう、その夢こそが上記の内容だったのである。 「なんの夢だよ?」 問い掛けてきたサンジに、ゾロは非常に真面目な顔を向けると、ハッキリと答えた。 「ナメナメだ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 「だから、ナメナメだ」 「テメェ・・・出血しすぎて、頭変になったんじゃ・・・」 その出血するほどの怪我を負っている剣豪に、更なる追い討ちをかけるような蹴りを繰り出し ておきながら、今頃になって心配するコック。 「だからな・・・お前が、俺の血ィ舐める夢だ」 「なんだとぉ?テメェの血ィ舐めたら、マリモ菌が移るだろがっ!!」 夢の内容を理解した途端、心配という言葉は遥か遠くまで飛んでいき、小さな星へと姿を 変える。しかし、そんな怒る相手を余所に、ゾロはボンヤリと上を見上げながら、再度、夢へと トリップしていく。 「おまけに、下の方へも大サービスだったな」 「なんの話だ!!」 「・・・おい、クソコック」 「なんだよ!」 「俺の希望は、舐め舐め・ちゅぱちゅぱ出血大サービスなDコースだ」 ―――漢・ロロノア 19歳。 実に、正々堂々と包み隠さず夢の続きのリクエストをしてのけた。 「だから、なんの話だ!!マジでオロすぞ、テメェ!!」 「ンだと、てめぇから、言ってきたんじゃねぇか、ナメナメするって」 「夢の話だろうが!夢の!つうか、んな夢見るんじゃねぇよ!!」 「いいだろうが、夢ぐらい見たってよ!!」 「いいわけねぇだろ!!このクソマリモ!!」 「どんな夢見ようが、俺の勝手だ!文句言われる筋合いはねぇ!!大体、今日一日頑張った 俺に対して、それぐらいのことしてくれてもいいんじゃねぇのか?!どうせ、テメェは船で女達 相手にのんびりしてたんだろがっ!!」 息を切らしながら怒鳴り散らしたゾロを、サンジは何故だか驚いた様な顔つきで見ていた。 それをみたゾロが不思議な顔をすると、サンジはクルリと後ろを向き、しばらく項垂れていた。 ようやく、顔を上げてコチラを振り返ると、真剣な面持ちでゾロに言った。 「いいぜ、クソ剣士。ヤッてやる」 「・・・ホントか?」 「ああ・・・・・但し、条件がある」 「条件?」 「この島一周して、ちゃんとココに戻って来れたら、ヤッてやる」 「ぁあ?!ふざけんなっ、なんで、んなことしなきゃならねぇんだよ!」 「心の準備ってのが、必要なんだよ。待っててやるから、とっとと行け」 「何が心の準備だ!んなこと、俺はやらねぇぞ」 「フッ・・・そんなこと言っていいのか?もし、無事に帰って来れたら舐め舐め・ちゅぱちゅぱ 出血大サービスなDコースの他に、お医者さんごっこの特典も付けてやる・・・これでどうだ?」 途端にゾロの目の色がキラーンと変わった。 「本当だな・・・・・約束だぞ」 「ああ・・・男に二言はねぇ」 サンジのその言葉を聞くと、ゾロはものすごい勢いでその場から、走り去っていった。 空に綺麗な星が輝く頃―――。 ゾロは未だに、島中を駈けずり廻っていた。戻るべき場所がわからないまま、帰巣本能だけを 頼りに、走り続けていたのだ。その先には、まさに、ナースな姿をして、口を開けて待っている コックの姿がハッキリと浮かんでいた。しかし、目的地は、今もって不明。 それでも、ゾロは走るのを止めなかった。 走れ、ゾロ!走るんだ、ゾロ!!その息が続く限り、走り続けるんだ、ゾロ!!! そんな言葉を胸に、走り続けていると、ふいに目の前によく知ってる長い鼻が見えた。 土煙を上げながら踏みとどまり、長っ鼻のウソップを呼び止めた。 「おい!ウソップ!!」 「あ?ゾロ?」 呼び止められたウソップが振り向いたその先には、万年流血男がダラダラと血を流しながら 立っていた。 「うおっ?!ど・ど・ど・どうしたんだよ、それ?」 「ぁあ?これか、なんでもねぇよ。おい、それより聞きてぇことがある」 「な・なんだよ?」 「クソコックがいる場所だ。確か、デカイ木があったような・・・そんな場所だったはずだ。知って たら今すぐ教えろ」 「はあ?サンジ?サンジだったら・・・船にいるぜ」 「なにーーーーーー?!」 「いや・・・それが聞いてくれよ。サンジにさ、ナミのヤツと二人っきりにさせろとかなんとか 言われて、船追い出されたんだよ。ルフィとチョッパーは、探検がどうとか言って嬉しそうに 出てったけどよ、俺様とすれば、夜なんて危険きわまりねぇから嫌なんだよなぁ。それを、 無理やり蹴りだされて・・・ハァァ・・・なんでこんな目に」 「・・・・・・・」 「あっ・・・そういえば、ゾロはどうしたんだって聞いたら、朝まで戻ってこないだろうって言ってた けどよ、一体何してたんだ?というか、それ、早くチョッパーに診てもらった方がいいんじゃ・・・ すげェ血だぞ、おい」 「・・・・・・・」 「おーい?ゾロ?どうしたんだ、固まって」 ・・・バタッ 「おい?!」 急に地面に倒れ伏したゾロをみて、慌てるウソップ。 大丈夫か?と心配するウソップの声を聞きながら、夢にまで描いたサンジに向ってヒタ走る 自分の姿が脳裏に浮かんだ。 方向音痴な自分を呪うべきなのか、諦めの悪さを誉めるべきなのか、それともそれを見越して いたコックを憎むべきかなのか・・・。 握り締めた拳の上に流れ落ちた血の悔し涙をバネに、強く生きようと心に誓う剣豪であった。 頑張れロロノア。未来は君の手の中に、きっとある。 |
私が描いた流血ゾロのイラストから小説を書いてくれました。
ありがとうございました♪ 私の絵 → ■ |