木漏れ日の下で──その後
「なんで起こしてくれなかったんっ!」 「子供じゃねぇんだから、自分で起きろよ」 「どないしてくれんねん、これ〜」 「その内消えるって。別に消えなくても、ある意味斬新でいいんじゃねぇか」 「君、人ごとだと思うて面白がっとるやろ」 「まあな。人ごとだし」 「くっ、この人でなしっ!」 「人でないなら何だって言うんだよ」 「また減らず口たたきくさってっ……。君、実は地獄の番人かなんかやろっ」 「ふ〜ん。そこまで言うか。じゃあ、地獄の番人の作った晩飯はいらないな」 「あほ言うな。誰が作ったって晩飯は晩飯や。食うに決まっとる」 「……お前って。別れた彼女に貰った物とかちゃっかり愛用するタイプだろ」 「当然やん。悪いのは人で晩飯や物やない」 「アリス……、お前、長生きするよ」 「おうっ、君の最後は俺が看取ったるから、覚悟しとき」 「したくねぇよ、そんな覚悟」 「いーや、してもらう。君には俺をこんな身体にした責任がある」 「こんな身体にって……責任は昼間っから3時間も寝こけてたお前にあるに決まってるだろう」 「なら、責任の所在はこの際どうでもいい。これ、なんとかしてや」 「俺にだって出来ることと出来ねぇことがあるんだよ。前にも言ったが、ドラえもんじゃねぇんだから。ああ、そこだけサンオイル塗って他は日焼け止め塗って焼き直すってのはどうだ?」 「そんな器用なことできるかいっ!」 そう、長いお昼寝から目覚めたアリスの左腕は、肘の部分だけバッチリ日に焼けていた。 確かに、ある意味斬新な日焼けではある。 そして、責任が火村にあると主張するアリスの意見も決して間違ってはいないというのは、お互いが知っていて口を噤んでいる事実である── 元々はアンケートに答えてくれた方への冷夏見舞い(笑)でございます。一緒に上げたショートショートで微妙に内容を引っ張ってしまったので、上げることにしました。 |