カナシミブルー


「すげーな光ちゃん!またオリコン1位だな!」

出すたび1位をとる彼らだが、毎回ある男からは必ずこのような電話が入る。

光一の親友である長瀬智也からである。

「ありがとぉ」

光一にとっては嬉しい事だが、剛は素直に喜べない。何故ならそれは、近頃の長瀬は何かあるたびに光一を見つめてそわそわしている様に見えるからである。当の光一はこういうことには鈍感で全く気付いていない。

『明後日さ俺オフなんだけど、光ちゃん仕事いつ頃終わる?』

「うわ−偶然!俺も明後日オフやで、」

『マジで?じゃ久しぶりに光ちゃん家行っていい?』

「ええよ。何時ごろ?」

『じゃあ、朝10時ごろ行くわ。』

「おぉ待ってるでぇ。」

ピッと向き質な音を立てて携帯のスイッチが押される。こんな会話を同じ楽屋に居る剛が聞き逃すはず無い。

「光ちゃん!」

すっと立ちあがって剛が光一の目の前に腰を下ろす。

「なに?」

なんの悪びれも無く答える光一は剛のやるせない気持ちに気付いて楽しんでいるようにも見えなくも無い。

「長瀬と会うん?ずるいわ、俺は明後日仕事やもん。」

「お前かて明日オフやからって夕方から岡田と会うんやろ?」

「そ、そうやけど・・・。」

「あ〜剛ぃもしかしてヤキモチ?」

ニヤニヤと笑いながら光一が剛の頬を両手で包み込む。

「ちゃうわ、ボケ!」

剛が光一の手から逃れようとする。が、光一はそのまま顔を近づけて・・・。唇が軽く重なる。優しすぎるくらい優しいキス。剛の頬が赤く染まる。

「心配せんでも俺にはおまえだけやから。」

にっこりと笑いながら言う光一。剛は紅く染まった顔を隠すように背を向ける。

「浮気したら、許さへんからな!」

照れ隠しに怒鳴ってみるが、光一の極上スマイルにKOされたのは言うまでもない。

くすくすと笑いながら、光一は剛の髪にそっと口付けた。






「光ちゃん、入るよぉ〜。」

間延びした声が聞こえて、長瀬が入ってきた。光一は寝起きのまま。

「光ちゃん、もう10時だよ〜?」

呆れたように言う長瀬。

「うるせ。ええねん、オフなんやで。」

とりあえず服に着替えて顔を洗う。少しは目が覚める気がする。

ちなみにここで解説だが、光一と剛の関係を知っているのはV6の三宅健と井ノ原快彦だけである。したがって、長瀬はまだこの事実を知らない。

「あのさぁ光ちゃん。俺、相談があるんだけど・・・。」

2人でギターを弾きながら歌っている時、突然長瀬が言った。

「何?急に」

「あのさぁ・・・」

「なんやって、言えよ。」

「あのさ・・・俺、剛の事好きみたい。その・・・恋愛対象としてさ・・・。」

やっぱり、と光一は思った。剛は気付いていなかったが、長瀬が剛を見る目が最近明らかに変わってきた事に光一は気付いていた。気が気じゃなかったのも事実である。

「でさ、光ちゃんに協力して欲しいんだけど・・・。気持ち悪い?男同士なのにって・・・。」

「いや、それは思わんけど・・・。」

「けど?」

実は剛は俺と付き合っとるんや。・・・とは言えない雰囲気である。光一自身もこの時は長瀬という親友を失うのが怖かった。

「・・・ええよ。協力するよ。」

「マジで?!やった!じゃあ今度の剛のオフの日とか聞いといてくんない?」

「・・・ええよ。」

光一は我ながら嫌な性格だと思った。今彼は親友と恋人を秤にかけ親友を失いたくないために恋人を売ったも同然なのだから。

その後の長瀬はいつもどうりだった。光一も平然を装ったが長瀬が、暗くなった光一に気付いたかはわからない。ただ、剛を失いたくないという大きな独占欲が光一を支配していった。






「光ちゃん!どうかしたん?今日の光ちゃん変やで。まともに目も合わせへんし。」

後ろめたさでいっぱいで、光一は剛を見る事さえできないまま仕事をこなした。剛が気付かないはずがない。楽屋での問いかけに、光一の心は締め付けられる。

あの後、知っていた剛のオフの日を長瀬に教えてしまったのだ。(これは今月のオフ日はわかるだろ?と長瀬に言われたためである。)

「なんでもあらへん。」

「なんでもないわけないやろ?!ちゃんと俺の目見て言ってや。」

「・・・・・・俺にはお前だけやから・・・。」

顔を見られないように剛を抱きしめて光一は言った。

「こ、光ちゃん?どうかしたん?」

「剛、俺の事好きか?」

「うん。好きやで。」

「俺だけ?」

「うん。・・・光ちゃんだけや。」

徐々に力が抜けていき、少しずつ抱き返してくる剛が、光一は愛しくてたまらなかった。だからこそ、今は剛といることが苦しくてたまらなかった。






「つ〜よしっ♪」

「な・長瀬?」

二人揃って久々のオフなので、剛は光一の家に行こうと家を出た。すると、突然長瀬が出現したのだ。剛は当然驚いた。

「なぁ、今日オフだろ?一緒に買物行かね?」

「え、そーゆーのって光一と行くんちゃうの?」

「今日は剛と行きたいんだよ!な?いいだろ?」

「う・・え・ええけど・・・。」

「よっしゃ!行こ行こ!」

強引な長瀬に気圧されながらも剛はついていくことになってしまった。






一通り服などを買い、少し遅い昼食を取るために2人はファミレスに入った。

「なぁ、長瀬。なんで今日俺がオフやって知ってたん?」

「あ、それは・・・」

突然の質問に長瀬は口篭もる。剛にとっては当然の疑問だが。

「俺が・・・剛のこと好きだから協力してくれって光ちゃんに言ったら教えてくれたんだよ。」

剛の顔に絶望の色が走る。

「ホンマに?!ホンマに光ちゃんが教えたん?!」

「あ?ああ。」

「・・・っく・・・」

剛が突然走り出した。勿論行き先は光一の家。

「剛?!」

長瀬は突然の剛の行動についていけず、一人ファミレスに取り残された。告白して走り去られるなんて、長瀬智也人生でおそらく最初で最後だろう。あわれ・・・。






「光ちゃん!!」

突然剛が入ってきた。鍵は以前渡した合い鍵を使ったらしい。長瀬と今ごろ何してるやろ・・・と考えていた光一は驚いた。すぐ目の前に、涙の溢れ出る剛の顔があったから。

「俺のこと長瀬に渡したん?もう俺の事嫌いになったん?」

剛はただ悲しそうに、縋りつくような瞳で光一を見つめた。その視線がココロに痛い。

「そ・・んなわけないやろ。」

「ならなんでオフの日長瀬に教えたん?協力なんかしたん?」

「・・・。」

「おれ、光一だけやから・・・。好きなのは光一だけやのに・・・。」

止めど無く流れる涙が、剛の白い頬を濡らしていく。

「つ・・よし・・・」

光一は剛を抱きしめた。

「俺どんだけ剛が大切やったか、長瀬が剛のこと好きって聞いた時初めて気付いた。けど、俺言えんかってん。剛は俺のもんやって。俺サイテ―や・・・。剛を俺だけのもんにしたいって言って思ったのに、俺剛のこと好きなのに、世界で一番大切なのに、長瀬を失う事が怖くなって・・・サイテ―や・・・。」

「光一・・・」

剛は、光一が苦しんでいるのに自分には何もしてやれないというもどかしい気持ちでいっぱいだった。剛は、光一が隠しもせずに気持ちのままの涙を流すのを初めて見た。

「サイテ―でも、俺は光一が好きや。世界で一番愛してるのは光一だけやから・・・。せやから泣かんといて・・・。」

剛は光一の頬に口付けて流れる涙を吸い取った。

「俺、長瀬にちゃんと言うよ。光一も、長瀬にちゃんとあやまらなあかんで。」

光一は頷いた。剛が包み込むように光一を抱いた。

「光ちゃん、俺のこと好き?」

「・・・うん。」

「俺が一番?」

「うん・・・。剛が一番。」

「愛してるって言って・・・。」

「愛してる・・・。」

「もっと・・・。何十回でも何百回でも聞きたいねん。」

「剛・・・ごめんな・・・」

「もうええから・・・。な、言って・・・」

「剛を愛してる・・・」

「もっと・・・。」

「剛が一番好き・・・。ずっと剛だけを愛したい・・・。」

「俺も・・・。」

ゆっくり唇が重なる。何度も何度も唇だけが触れ合う。お互いの存在を確かめるように。抱き締め合って。まだ震えたままの光一を剛が優しく抱いて。その優しさに応えるように光一も必死で剛の温もりを求めて抱き締めた。何度も唇が重なる。腕が絡み合ってお互いの存在を求めて触れ合いつづける。






夕日が静かに2人を照らしていた・・・。











後日、長瀬は今健に恋をしていると、謝りに行った2人は本人から聞いた。井ノ原にでも協力してもらおう、と張り切る長瀬をリーダー城島は寂しそうに見つめていた。











END











長瀬えぇ〜っ!!って感じですね。あの二人を引き離さないで!と思ってしまいましたが最も不憫なのは彼なので(苦笑)智光だったら好きな私ですが、いかんよ。剛くんを巻き込んでは。にしてもリーダー…大変だね…。
勉強大変なのに新作書いてるのが凄いです。私の場合は勉強しないで書いていたんで(苦笑)勉強もして、新作も書いて、と両立してる彼女を尊敬します。でもできれば今は勉強の方に専念して下さい〜☆

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