Disturbance |
その日、俺は朝から頭がボーっとしていた。今日はVVV6のロケで剛と一緒だなぁ〜とか考えながら、頭をたたき起こすためにシャワーを浴びた。だがやっぱり俺の頭の中は白い霧がかかったようにもやもやしていた。坂本君と同じチームになってからなんかやりにくいな〜とおもいつつ出かける準備をして家を出た。剛と一緒のままで良かったのにな〜・・・。坂本君は妙にキッチリしてるし自分ばっかりで先に進んじゃうから正直やりにくい。今日も、遅れるとどうせ怒るんだろうな〜。たった2・3分のことでさ。と思い、少し足を速めた。電車を下りてロケ地に向かっていると交差点の向こう側に剛が居た。行ってしまいそうな剛の背中を見て、俺は急に不安な気持ちに襲われて、大声で剛を呼んだ。人ごみの中で。自分の正体など気にも止めず。 「剛!!」 車の音に掻き消された筈の声を剛はしっかり受けとめてくれて振り向いた。 零れてしまいそうな笑顔が俺だけに向けられた。それだけで俺はホッとして、ふわふわと体の力が抜けて、呆気なく意識を手放した。遠くで剛が俺のことを呼んでくれたような気がした・・・。
目が覚めた時、俺はベットに横たわっていた。その真上に、不安そうに俺の顔を除き込む3つの顔があった。剛、坂本君、岡田の・・・。 「気ぃついた?健君だいじょぶか?」 「ったく心配かけさせやがって・・・。」 「・・・よかった・・・。」 剛の心底安心したような声だけが俺の頭の中で大きく響いた。 「熱あったんやて?あかんで、そーゆー時は無理したら。」 俺はやっと状況を把握した。つまり俺は朝から熱があり、剛を呼んだ直後に倒れたわけだ。 「もー大丈夫だな。」坂本君が岡田の手を引く。 「えっ?でも・・・」岡田は多少戸惑いながらもしぶしぶ坂本君の後に続く。 「でも健君が・・・はぅ!!」坂本君が鈍感な岡田の脇腹を小突きながら気を利かせて出ていってくれた。部屋には俺と剛の二人きり。ラッキーと思いながら剛の顔をちらりと見ると明らかに不機嫌な顔がそこにあった。嫌な沈黙が流れる。俺は絶えきれなくなっていった。 「あ・・あの…剛?」 「・・・・・・の・・・・・・カ・・・・・・」 「え?」 「こんの大馬鹿やろ――――→!!」 突然怒鳴られて、俺はわけがわからなかった。 「バカバカバカバカバカ!!ほんっとの大バカヤローだ、てめーは!!!」 「な・なんでだよ!!?」 俺が少し起きあがって反抗的な口調で言うと同時に、剛の髪が俺の頬をさらりと撫でた。剛が俺を抱きしめていた。力の限り・・・。 「ご・ごお!?」 俺は慌てた。 「ばかやろ死んじまったかと・・・おもっ・・・。」 剛の掠れた、泣きそうな声が俺の胸を締め付けた。思い切り抱き返して俺は言った。 「ごめん・・・ごめんな・・剛・・・。」 「やだ・・・許さね―。なんか奢れ。」 俺はクスッと笑っていった。 「ハイハイ。メロンソーダフロート奢らせていただきますよ。」 俺たちはもう一度強く抱きしめ合った。
ごめんね、剛。不安にさせて・・・。
THE−END
☆★あとがき☆★
何も知らない准一くんが可愛らしいです。さり気なく酷いこと言われている坂本さんがちょっと可哀想です(笑)メインの二人はもちろんのこと、登場人物4人のキャラがよく出てるなぁと。二人して不安になっちゃってる剛健ちゃんの可愛らしいこと!何げにそーゆーところでもシンクロしてるのか、と思ってしまったり。メロンソーダフロート…クリームソーダですよね?アイスのってたほうがこの剛くんらしくていいなぁ。また新作よろしくねv |