Pink heart for you |
今日は2月13日。いくら鈍感な俺かて、明日が何の日かぐらいわかる。 そぉいえば光ちゃん甘いもん嫌いやないはずやなぁ〜。 ハートマークとピンク色で埋め尽くされた洋菓子店の前を通りかかった俺はそんなことを思っていた。 去年のクリスマス。俺がうっかり口滑らして伝えたマヌケな告白を光一は嬉しいって言ってくれた。俺も、嬉しさで気絶しそうやった。でもさすがにあの中に入ってく勇気はないなぁ〜・・・。 押し合いへしあいしている女の子たちを見て俺は思った。そのまま俺は車を走らせて仕事に向かった。
AM2:30 すげー今日はハードやった・・・。飯食ったのが7:00前やったから、少し腹も減ってきた。ちょうどコンビニの前を通りかかったし、何か買っていくことにした。やっぱ時間も時間やし当然やけど、みごとに商品がスッカラカン。それでも、かろうじて残っていたおにぎりを2個とスナック菓子の袋をかごに放りこんで俺はレジに向かおうとした。2・3人の女の子が、こっちをチラチラ見とった。俺は極力フツウに店内を見まわした。すると、ふと俺の目を引き付けたんは、ここ何週間かで見なれたピンクのハートやった。 やっぱ男の俺が買うんは変やろか・・・。チラッとレジを見ると、店員は若い女のコ。 でも・・・あげたら光ちゃん喜ぶかな・・・。 一瞬戸惑ったけど、俺は可愛らしくピンクの花とハート型に結ばれたリボンでラッピングされたチョコレートの箱をかごの中に丁寧に入れた。 明日、渡したら光ちゃん喜ぶかな・・・。ってゆーか何て言って渡したらええんやろう・・・。もし、貰ってくれへんかったら・・・。 俺は久しぶりに緊張を抱いたまま、睡魔の波に身を任せた。
2月14日。今日は朝から剛と一緒の仕事やったから、俺はいつもより早く目を覚ました。今日はバレンタインやから特別。いつもの倍の量のファンレターが届くから、早く行ってかたづけて、少しでも多く剛との時間をとりたいと思った。スタッフには、ファンレターなんか全部読まなくてもいいんじゃないかって言う人もおるけど、やっぱりファンの子の気持ちが込もった手紙は粗末にしたらあかんと思うんや。その点は剛もおんなじみたい。
仕事は8:00からやけど、俺は6:00には家を出た。 AM6:45 スタジオに着いて俺はすぐに楽屋に向かった。楽屋の方にまわされたファンレターの山を見て、俺はため息が出た。いや、本来は嬉しいものなんやけどな・・・。 取り合えず、手近な封筒から手にとって読み始めた。 剛が来るんは、だいたい7:30ぐらいやろな・・・と思いつつ。
AM7:00 俺はいつもより30分早く家を出た。頭ん中は勿論、光ちゃんとチョコレートでいっぱいや。すっごい緊張してチョコの箱を落っことしそうになった。何て言って渡そうか、さんざん考えたのにロクな台詞が出てこんかった。そんなこんなで楽屋入りしたんは7:00。光ちゃんはもう来ていてファンからの手紙を読んどった。 「おー 剛。どうしたん?早いやん。」 「あ・・・あんな・・光ちゃん・・・」 「ん?ナニ?」 「えー・・・っと・・・あんな・・・」 「なぁに?」 「え・・っと・・・これやるわ!!」 俺は箱を光一に押し付けて楽屋を飛び出した。 うわ―――!俺のあほ――――!!なんでおれは逃げてんねん―――!!・・・・・・今さら帰られへんしな・・・。ま〜ええわ。ギリギリまで時間潰してこよう・・。あ〜ホンマ俺あほや・・・。
「なんやねん・・・剛のやつ・・・。」 俺は、突如飛び出していった剛に戸惑った。ま〜あいつのこういう性格には慣れとるからすぐに落ち着きを取り戻しはしたけど。 今日は誕生日でもあらへんし、貸して欲しいと頼んだものがある覚えも無いし・・・。俺はピンクのリボンを解きながら考えた。 「・・・・・・!?」 チョコレート!?あの剛が!?うわー・・・どんな顔して買ったんやろ・・・。この時期に男がチョコ買うやなんて・・・。やばいわ・・・めっちゃ嬉い・・・。 っと嬉しさに浸ってる場合やない。俺はすぐに剛を追いかけた。こーゆー時、剛はギリギリにしか帰ってこーへん。
はぁ〜・・・。ホンマ俺ってサイテ―やなぁ・・・。押し付けやんか、ただの。光ちゃん怒ってへんかな〜・・・。 俺は自販機でコーヒーを買って、人気のない廊下のすみっこでちびちび飲みながら考えた。どんな顔して光一に会ったらええねん。考えたら、男がチョコあげるやなんて、もともと変やしな〜・・・。 「剛!!」 「へ?」 俺が振り向いた時、視界に飛び込んできたんは、汗だくになった光一やった。 俺は、次の瞬間もう光一に抱き締められていた。 「こ・光ちゃん?!怒ってへんの?!」 「なんで俺が怒るん?」 「え・・・?だってあんなもんムリヤリ押しつけたりして・・・。」 「アホ!俺めちゃめちゃ嬉かったんやで!」 「ほ・・・ホンマか?」 「嘘ついてどないすんねん。」 俺の視界が涙でぼやけていく。俺は夢中で光一を抱き返した。 「光ちゃん・・・光ちゃん・・・」 ゆっくりと俺を離して、顔を見た光一は言った。 「剛・・・ありがとう。」 俺は涙でくしゃくしゃの顔を左右に振って、また光一にしがみついた。 「ありがとう、剛。大好きや。」 もう一度、光一が言った言葉が嬉しくて、例えようのないくらい嬉しくて嬉しくて・・・。 静かに光一の方から求めてきた唇を俺はそっと受け入れた。
ピンク色のハートを君に・・・
THE−END
☆あとがき☆
わ〜いキンキだぁ♪しかもらぶらぶvいいですねー、お互いがお互いを想い合ってて。私もキンキのバレンタイン物は書いたのですが、剛くん視点オンリーだったので、二人分の心情がかかれているのがいいなぁと思います。いいんですよ、光一くんは白馬の王子様で☆時間を追った書き方、今度使わせて貰おうかなぁ…。 |