for Kazuya Kamenashi |
<1.赤西 仁>
ピンチだ。 赤西仁18歳、けっこー凹んでます。 今日、愛しのマイハニーの誕生日なんだけど…だけどさぁ。 火遊びがバレてケンカしちゃったんだよね〜…昨日。 そりゃ悪いのは俺だろうけど。 アイツもそんな何ヶ月も前のことでそんなに目くじら立てることなくねぇ? たかが二、三回ばかり上田と寝たくらいで…って、やっぱ怒るか、普通。 でもでも! 元はと言えばアイツが中丸と仲良すぎるから、上田が悲しんで俺のトコ来たんじゃん。 だから悪いのは俺だけじゃないぞ〜。 きっと…多分…おそらく…。 ああっ、どうすればいいんだろ。 そうこうしているうちにレッスンの時間は迫ってきて。 俺の精神状態とは関係なくアイツに会わざるを得ない。 本来なら今頃アイツの家から仲良くご出勤♪状態だったのに。 …ケンカさえしていなければ。 そう思ってしまったが最後、頭の中はマイナス思考でいっぱい。 誕生日を一緒に迎えるって約束、果たせなかった。 アイツ、今日来るかな。 ケンカして、俺の頬に一発くらわせて走り去っていったアイツの顔。 いつも気丈なその瞳からこぼれ落ちた雫。 今でも脳裏に焼き付いて離れない。 思い出せば出すほどに、押し寄せる後悔。 ゴメンね、遊びで他のヤツ抱いちゃって。 楽しいはずの誕生日を涙で迎えさせて。 俺ってヤツは、お前に辛い思いをさせてばっかりで。 俺って、俺って…。 ……。 やっぱ、俺は悩むより行動した方が性に合ってるらしい。 気付いたら鞄掴んで勢いよく家を飛び出していた。 ふと気付いて、ケータイの短縮番号を押す。 いつもより長いコール音の後、繋がった相手に。 「俺だけど、これから行くから、まだ出かけんなよ」 一方的に話して切って、ケータイをジーンズのポケットにつっこむ。 目指すは、愛しい人のいる場所。
今からでも間に合うのなら。 最高の幸せを君に贈りたい。
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