for Ken Miyake |
<2.岡田 准一>
また剛くんと一緒か…。 昨日、メンバーだけでなくスタッフをも巻き込んでの小さな誕生パーティーがあった。 俺の想い人の誕生日。 あの人が生まれたことを感謝せずにはいられへん、大切な日。 この想いが伝わることはないと分かっていながらも、誰かに感謝したいと思う。 だけど、あの人には剛くんという、ちゃんとした恋人がおる。 それは俺を含めたメンバーとの接し方の差からもよく分かる。 剛くんにおめでとうを言って貰って、嬉しそうにこう言ったあの人。 「これでまた、剛と同じだねっ」 分かっていたけれど。 誰に言われたときよりも、ナチュラルな笑顔を見せたあの人。 自分と二人との間にある見えない壁の存在を再確認させられた感じ。 正直痛い。 けれどそんなこと、本人は知る由もない。 俺にも伝える気はない。 二人の間には何人たりとも入り込めないことは、近くにいる俺が一番よく知っている。 いのっちが無理矢理入り込もうとして、はじき返された過去もある。 二人かて、意識して邪険にしとるつもりはないんやろうけど。 結果的に、二人の絆の強さを思い知らされただけになったんは事実で。 横で黙って見ていた俺にも伝わってきた。 だから、想いを告げて恋を成就することは、もう無理なんやって諦めた。 なのに。 「誕生日おめでとう」 こう言っただけの俺にあの人は。 「ありがと〜☆岡田に言われると、何か照れちゃうな」 なんて。 錯覚してしまいそうになる。 もしかしたら自分のものになるかもしれないなんて。 淡い期待を持ちそうになる。 …そんなんありえへんのにな。
あの人の笑顔が何よりも好きだから。 笑ってくれるなら。 喜んでくれるなら。 何度でも言うよ。 『誕生日おめでとう』 届くはずのない想いを込めて。
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