for Jin Akanishi


<2.上田 竜也>



…なんか怠い…。

起きて早々こんな事を思うなんて、我ながら間の抜けた目覚めだ。

体を動かそうとして初めて自分がその腕に抱き込まれていることに気付く。

この腰の痛みや、決して嫌ではない倦怠感の原因を作った人間。

これでもかと言わんばかりに自分の身体を思うが儘にした人間。

昨日、19歳の誕生日を迎えた人間。

そして今、こうしてオレを離そうとしない…。

背を向けていた身体を何とか動かして向き合う。

綺麗な寝顔。

逞しい身体。

急に昨夜の出来事が脳裏に蘇る。

まだ、起きないで…。

絶対今のオレ、真っ赤な顔してるよ…。

誕生日だからって良いようにされていた自分。

記念すべき日に一緒にいられることが嬉しくて。

求められれば素直に答えていた自分。

こいつは調子に乗っていつもはしないことまで要求してくるし。

それにすら答えた自分も自分だけど…。

ささやかな仕返しに、目の前で綺麗なラインを描く鎖骨をなぞる。

ぴくん、と動いてより強く抱きしめられた。

依然寝息を立てているから、無意識なのだろうけど。

ホントにココが敏感なんだな…。

身体を繋げているときですら嫌がってあまり触れさせてくれないもん。

ふふっ、ちょっと満足。

目の前の胸に顔を埋めた。

あったかい…。

あ〜、もう19になっちゃったんだね。

三ヶ月後にはオレもハタチになっちゃうんだよ。

なんか早いよね。

運転免許も取って、どんどん大人になっていく。

ねぇ来年も、こうしてオレと過ごしてくれる…?

ホントにオレで良いの…?

ちゃんとした、メンバーも公認の恋人なのにおかしいかなぁ?

いつも不安だなんて。

だけどこんな特別な日にオレを選んでくれたことで、少しは安心できたんだ。

こんな事言うと「俺を信用してないのかよ!」って怒るから。

何も考えてなさそうで、実は誰よりオレの事を考えてくれているのを知っているから。

声には出さないけど…。

包み込んでくれるこの身体が、今は自分のものなのだということが感じさせてくれる。

最近めっきり弱くなった涙腺が緩む。

…今は、この体温があればいいや。



ハッピーバースデー。

生まれてきてくれて、ありがとう。






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