for Toma Ikuta |
<山下 智久>
18歳。 おめでとう。 実はちょっと悔しいなんて言えないよな。 またアイツとの年の差が出来ちゃった。 昨日、プレゼント選びに付き合って貰ったとき仁に言われた。 「お前半年も同じ年でいられるんだからいいじゃん」って。 アイツは全然分かってない。 いくら半年も同じ年でいられたって、学年まで同じには出来ない。 特に、同じ学校だと嫌でも思い知らされるんだ。 いくら仲が良くたって。 名前を呼び捨てに出来たって。 同じ学校にいるのに、同じクラスになることはない。 あぁ、「先輩」なんだなって。 別に今に始まった訳じゃないのに。 気づくたび、思い知らされるたびに寂しいような。 それに今年は特別じゃん? 18ってさぁ、結婚できるんだよね。 親の承諾は必要だけど。 でも、本人がその気になれば出来るんだよね。 早いなぁ。 逆に俺が年上だったら。 アイツの18の誕生日にリングをプレゼントしてさ。 形だけでもプロポーズしたかったなぁ。 別に今日だっていいんだけど。 俺からプロポーズしておいて、自分には結婚する資格がないって悲しいじゃん? 悲しいっつーか、虚しい…。 んなカッコわりぃことしたくねぇし。 けど、気持ち的に縛り付けるモノが欲しかったから。 プレゼントは俺にしちゃぁ高価なブレスレット。 アイツを信用してない訳じゃないけど、独り占めしたいって俺の気持ち。 それ以前にアイツが欲しがってたモノなんだけど。 時計を見ると、約束の時間まであと少し。 ほら、アイツらしい慌てた足音が聞こえる。 カバンの中のプレゼントを再確認して、一安心だね。
早くおいで。 最高の笑顔で祝ってあげるよ。
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