for Hiroshi Nagano |
<坂本 昌行>
別にもう誕生日だ何だって祝う年でもねーよな。 でもアイツはなんだかんだ言ってイベント好きだ。 祝いの言葉一つで満足するとは思えない。 何にも用意しなかったら期待裏切ったとでもいわれるんだろう。 お詫びと言って笑顔でバカ高いモノ奢らされるのがオチだ。 そう思ってプレゼントになるような物なんて思いつかなくて。 健や剛相手だったらちょっと高めのアクセサリーでもやっときゃ納得すんだけど。 アイツはなぁ…。 ファッションに金かけてるわけじゃねーし。 ガキじゃねーんだから遊園地や映画館なんてバカみてーだろ。 美味い店なんて俺よりアイツの方が詳しいし。 おまけに酒も飲めないときた。 全く俺はなんで三十路越えてまで好きなヤツへの誕生日プレゼントで悩んでんだよ。 こういうことって10代や20代の悩みだろ〜? それも、相手も今日で三十路だってのに。 見えなかろーが、アイツもとうとう30だぜ? 今までずっと、三十路を迎えた俺をバカにし尽くしてきたヤツが。 今までさんざん小馬鹿にしてきた30になって、アイツがどう出るか。 こっちがからかっても、また新たな手を出してきそうで怖い。 何年経っても、アイツの毒舌にはかなわない…。 ま、俺はV6内でのアイツとの共通点が増えて嬉しいんだけど。 井ノ原が追いつくのはまだまだ先のことだしな。 カミセンなんて尚更。 まだまだ俺たちは、コドモタチを見守って行かなきゃなんねーんだ。 それはそうと、仕事の時間が刻一刻と迫ってる。 アイツが納得いくプレゼントって何だぁ? 俺の30の誕生日は確かアイツがレストラン予約してくれたんだったな…。 って、ああああ〜! あった!アイツが絶対満足するあのホテルのレストラン! 確かこの前アイツに貰った名刺があったはず。 …っと、あった!! これからで間に合うか…? いや、無理でも何とかやってみるしかない。
Tururururu… 「あ、すいません。今日の夜に予約入れたいんですけど…できますかね?」
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