for Junichi Okada |
<1.井ノ原 快彦>
今日は大事な大事な恋人の誕生日。 本来前日は、仕事をさっさと終わらせて。 二人でのんびりドライブしつつ俺んち帰って。 のんびりしながら時刻が変わった瞬間「おめでとう」って言って。 いつまでも変わらない愛を誓って抱きしめてやる…つもりだったのに。 だったのにさぁ。 今日俺は一人寂しく目を覚ましてしまったよ(涙) 何故かって? も〜聞けば涙の物語だって。 昨日から泊まりがけで地方に来ているのさ…。 それも元々日帰りの予定だったのに。 悪天候の所為でロケが出来なくて、土壇場になって泊まり決定だったの。 おかげで昨夜は電話で散々イヤミを言われてしまった…。 だって、俺の所為ではないとはいえ、折角の誕生日だったのに。 いわゆる、ドタキャンってやつだし。 言いにくいし、言いたくないし…ケド言わなきゃいけないし。 向こうも「仕事じゃしょうがない」ってわかってはいるんだろうけど。 精神的にはやっぱり腑に落ちないだろうな。 見た目や仕草は随分大人になったと思うけど。 まだまだあいつはお子ちゃまだからなぁ。 今頃絶対拗ねてる。 一応、今日朝一に電話したことはしたけどさ。 留守電になってたから。 きっと昨日は寂しくて泣いていたんだろう。 泣き疲れてそのまま眠ってしまったんだろう。 想像だけど、愛されてるねぇ俺ってば。 きっと…多分…そう思いたい(笑) だから今日は早く帰ってやらないと。 折角のオフなのに一人じゃ可哀想でしょ。 …これは今日のロケのパートナー、健ちゃんに言われたことだったり。 やっぱ恋人として、寂しい思いはさせたくない。 フェンスの向こうで、健ちゃんが俺を呼んでる。 どうやら撮影再開らしい。 あと少しでロケも終わりそうだな。 だから、東京に着いたら真っ直ぐアイツの元に向かおう。 うん、そうしよう。
そして真っ先に、「誕生日おめでとう」って、言いたい。
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