一年の終わりを共に過ごせる幸せを


「今年ももうすぐ終わっちゃうんだねぇ…」

「だな、時間の流れってゆっくりなようで早いよな」

そんな会話を交わすのは中丸と上田。

今日は大晦日。

一年を振り返り締めくくる日。

そして、新しい年の始まりに心躍らせる日。

そんな日がもう終わろうとしている頃…中丸と上田は二人きりの部屋で過ごしていた。

場所は中丸の部屋。

家族は初詣に出かけたため誰もいない。

もちろん二人も誘われたのだがそれとなく断りを入れた。

人混みで忙しないところで新年を迎えるより、ゆったりと過ごしたい、と。

静かな、静かな二人だけの空間で、二人は今年の出来事を思い起こしていた。

「なんかさー、いろいろあった一年だったな」

「ミュージカルに、コンサートに、お台場に…」

「グアムも行ったしニューヨークも行った!」

「…ニューヨーク…よかったなぁ…」

「って!遠い目をしないの!」

ニューヨークの町並み、人、空気…全てに感銘を受けて帰ってきた上田はしばらくアメリカ人モードが抜けず。

それなりに上田の奇行に慣れているはずの中丸をも呆れさせるほどだった。

そしてそれは今もふとしたときに蘇るので、そのたびに中丸は現実に引き戻しているのだが。

「ニューヨークもよかったけどさ、俺的にはグアムが超よかったんだけど」

「オレも…なんか新婚旅行みたいで」

「お前、恥ずかし気もなくよく言うね。って、先に言ったのはオレだったけど」

「凄く楽しかった。皆も一緒なのに中丸、オレと一緒にいてくれたし」

「そりゃあんな良い環境で、お前と過ごさなくってどうすんだって話だよ」

しばし真夏の思い出話に花を咲かせる二人。

それからはお互いが二十歳を迎えたことや中丸がプロポーズをしたことなど、今年の話題を次から次へと持ち出す。

ちょっとしたことでも二人で喋っていると話題がつきなくて。

と、その時、上田の携帯が鳴った。

「?メール?」

「アラームだよ。今2分前。58分になったところ」

「セットしておいたんだ?」

「だって、まったりしすぎて知らないうちに年開けてたらヤだし」

「ははっ、それは言えてる」

中丸がそう笑ったきり、部屋には沈黙が訪れる。

その間も刻々と時は近づいていて、ついに新年まで1分を切った。

「ね、上田。カウントダウンしよっか」

「それなら、テレビでもつけようか?」

中丸の提案に、丁度事務所の先輩達が総出でやっているはずだ、とリモコンに手を伸ばす。

その手をやんわりと遮って首を横に振る。

「二人だけで、しよ」

優しい声音に上田はほんのり頬を染めて頷く。

幼い少女のような仕草に中丸は幸せを感じずにはいられなかった。

膝に乗っかる形で抱き締めていた上田を向かい合うようにさせるとぎゅっと抱き締めた。

少しでも隙間をなくすように、しっかり密着するように。

まるで身体を繋げたときの充足感が体中に駆けめぐっているような錯覚に陥って、上田は軽い眩暈を起こした。

そんなこととは露知らず、上田の携帯電話を片手に、中丸がカウントをし始める。

我に返った上田も遅れながら一緒に数え出す。

そして、カウントが残り少なくなったとき。

「ねぇ、中丸…?」

「ん?」

「来年も、よろしく…ね…?」

「こちらこそ、来年もヨロシク」

くすり、と微笑みあった二人はカウントをやめてお互いの顔を近づける。

年明けの瞬間、二人の唇が触れあった。











END











 今回も泣かさずにすみました(笑)まったり幸せモードの中上の年越し。現実がどうだとかそんなことは同人上軽く流しておいてくださいませ。何とか31日中に間に合った…!

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