023.天空の城 |
*幼稚園児パラレルにつき、苦手な方はお戻り下さい。*
今日は、お散歩で近くの公園に来ました。 和ちゃんと仁くんがブランコをびゅんびゅんこいで先生に注意されたり、聖ちゃんがどこからか大きな虫を見つけてきて淳之介くんに自慢したりとしている中、雄一くんと竜ちゃんは丘の上へと一気に駆け上がります。 「いっちばんたかいぞぉ〜」 普段、幼稚園の「おやま」では聖ちゃんに負けて一番高いところに上がれない雄一くん。 今日は念願叶っててっぺんで叫びます。 「…ぅわぁ…」 雄一くんと一緒に丘の頂上から下を見下ろした竜ちゃんも、叫びはしませんが満足そうです。 「みんなちっちゃ〜い」 普段見上げている先生も、今は二人の足下の方が高く、見下ろすことができます。 「たっちゃんとぼくだけのおやまだね」 「…うん」 おやおや、ラブラブですか。 竜ちゃんが物凄く嬉しそうです。よかったね。 その時。 ごおぉぉ…。 「あっ、ひこうきだ!」 竜ちゃんが雄一くんの指さす先を見上げると、二人の頭上遥か高くで飛行機が飛んでいきます。 ご丁寧に飛行機雲まで残して。 「おお〜」 飛行機が通過していくのを目で追う二人。 「あっ」 っと、その途中で雄一くん、急に目をキラキラさせました。 何を見つけたのかな? 「たっちゃんたっちゃん、あれ!」 雄一くんが指さしたのは、先程の飛行機が飛んでいった方角。 「みて!」 言われるままに見ると、そこには大きな雲が。 「うわぁ…おっきぃ…」 横に広がるのではなく、縦に大きく成長した雲。 もこもこと、一つの建物のようにふくらんだ雲。 「くものおしろだ」 発見者の雄一くん、とっても嬉しそうです。 「おしろ…ゆうちゃんのだいはっけんだぁ」 大好きな竜ちゃんに褒められて、雄一くんは更に得意気になります。 竜ちゃんの手をぎゅっと握りしめて、繋いだ手を空にかざしました。 「…とどかないねぇ…」 はっ、竜ちゃんの残念そうな声が! これには雄一くん、黙っていられません。 「おおきくなったらぼくがたっちゃんをつれてってあげる!」 連れてってあげるって、雲の上にですか? ロマンチックですね。夢があって良いですね。 「むりだよ。たつのぱぱおっきいけど、くももっとおっきいよ」 対する竜ちゃんは既に現実を見すぎです。 要するに、大人になっても手が届かないくらい、雲が空高くにあると言いたいのでしょう。 実は竜ちゃん、パパに肩車して貰って雲に触ろうとしたところ無理だった経験があるのです。 学習しました。 「じゃあ、たっちゃんのぱぱよりずっとずっとおおきくなる!ぜったいにたっちゃんをつれてったげる!」 雄一くんてば健気ですねぇ…。 「くものおしろのおうさまになるんだ!」 「おおさま…ゆうちゃんおおさま?」 おっと、「お城の王様」という言葉に竜ちゃんの心が揺れたようです。 「うん!たっちゃんはおひめさまね!」 「たつ、おひめさま」 あのぉ、竜ちゃんは一応男の子なんですが…いいんですか? 「おうさまとおひめさまはおしろでけっこんするんだよ」 「たつとゆうちゃん?」 「そう!」 自分たちが雲のお城で結婚する様子を想像した竜ちゃん、自然に笑顔がこぼれます。 それを見た雄一くんは竜ちゃんの可愛さにドキドキです。 「ぼくはたっちゃんと、あのおしろでけっこんするぞ!」 照れ隠しでしょうか、また叫んでます。 「たつもゆうちゃんとけっこんしまーす!」 あれあれ珍しい、竜ちゃんまで大声で宣言しちゃってます。 皆遊ぶのに一生懸命で、二人のことを気にする人はいません。 先生はちょっと気にしているようですが、二人がとんでもない約束をしていることは聞こえていません。 それでも良いのです。自分たちが満足ならば。 「やくそくだよ!」 「うん、やくそく!」 二人は指切りをして結婚の約束をしました。 仲良しって、いいですねぇ…。
いつだったか、車の運転中見た雲が凄くて。まるでラピ○タが入ってそうな雲だったの!それだけで充分威圧感があって。その時見た雲がモデルとなってます。 |