039.おままごと |
*幼稚園児パラレルにつき、苦手な方はお戻り下さい。*
「ねえねえ、おままごとしようよ!」 そう言ったのは、いつも元気いっぱい、明るく優しい皆の人気者、亀梨和也くん。皆には和ちゃんと呼ばれています。 「うん!やるやる!」 和ちゃんの提案に大乗り気なのは赤西仁くん。和ちゃんが提案する遊びはいつも楽しいので必ず参加しています。 それ以前に、色白で小さくて可愛い和ちゃんが大好きな仁くんは決して和ちゃんから離れようとはしないのですが。 「おれもやる〜!」 「ぼくも〜」 何人かの子どもたちが和ちゃん達の所に集まってきました。 肘膝絆創膏だらけのいかにも悪ガキ、といった感じの、でも実は幼稚園で一番可愛いと言われている聖ちゃん。 聖ちゃんとは正反対に、5歳児ながら妙な品格を漂わせている淳之介くん。 しっかりしていて先生から「頼もしいね!」と太鼓判を押されている雄一くん。 その雄一くんとぎゅっと手を繋いでいるちょっと引っ込み思案な竜ちゃん。 どうやらおままごとに参加するのは全部で六人の模様。 さて、ここからが大変です。 おままごとをするのは良いですが、そのために大事な決め事があります。 「はいは〜い!かずやおかあさんやりたぁい」 そう、配役。これは大事ですね〜。 提案者の和ちゃん、早速お母さん役に立候補です。 「じゃあおれおとうさんやる〜」 おっと、ここはゆずれないとばかりに仁くんも立候補。 というより、仁くんと和ちゃんは「おつきあい」をしているので当然の展開でしょう。 が。 「ええ〜、かずや、おとうさんはゆうちゃんがいいな」 「「え〜っ」」 和ちゃんの爆弾発言に、仁くんと雄一くんはびっくり。 いや、それだけではありません。 雄一くんと手を繋いでいた竜ちゃんが泣きそうになっています。 「なんでおれじゃだめなの」 仁くんから和ちゃんへの不服申し立てです。 「だってかずや、れんあいとけっこんはべつものだからぁ」 こらこらこらこら。5歳児のセリフじゃありません。 お母さん、気をつけてやって下さい。 「む〜、じゃあいいよ。おれ、たっちゃんにするもん」 仁くん、頬をぷくっとふくらませて、雄一くんと繋いでいない方の竜ちゃんの手を両手で握りしめます。 「ねぇたっちゃん、おれおとうさんやるからたっちゃんおかあさんやって?」 首を傾げて可愛くお願いをする仁くんですが、竜ちゃんはしばらく無言で考えたあと。 「たつ、ゆうちゃんのあいじんがいい」 と、とんでもない発言が出ました…。 竜ちゃんは雄一くんが大好きなんですが、奥さんの座を和ちゃんにとられて必死に妥協案を考えたようです。 「じゃあ、じんくんとけっこんして、ゆうちゃんのあいじんもやればいいんだよ」 淳之介くん、またいらぬ入れ知恵を…。 どうも最近、お母さん達の間でとあるドロドロの昼ドラがブームらしいのですが、子どもの前でその話は控えた方がよいようですよ。 「わかった。じんちゃんとけっこんする。ゆうちゃんのあいじんする」 ほらぁ、竜ちゃんこっくり頷いてしまったじゃないですか。 「なあなあ、おれは〜?」 「こうきはかずやとゆうちゃんのこどもね」 「じゃあぼくはじんくんとたっちゃんのこどもやる。おっきくなったらこうちゃんおよめさんになってね」 「…お、おう」 おっと淳之介くん、さり気なくプロポーズですか。 「まだだよぅ。こうきとじゅんちゃんはまだあかちゃんなんだからけっこんできないよ」 和ちゃんの設定では子どもはまだ赤ん坊らしいです。 「おっきくなったらだよ」 「いいよ。はやくやろうよ」 配役も決まり、ようやくおままごとが始められそうです。 が。 「みんな、お昼だよ〜。お片づけして手を洗いましょう〜」 先生のお言葉。どうやら時間切れのようです。 折角配役まで決めて、今まさに始めるところだったのに、残念。 「わあ〜、ごはんだごはんだ〜」 「あっ、じんくん、おかたづけしてないよ」 「きょうはかずやのすきなかれーらいすだって」 「おれもかれーすき!」 「たっちゃん、おひるごはんかれーだって。ばななもあるって!」 「…ばなな」 残念…でもないようですね。 さすが、食欲旺盛な幼稚園児。 もはやおままごとの事なんて忘れてカレーとバナナで頭がいっぱいです。 皆、いっぱい食べて大きくなろうね!
…私は楽しいのですが。ダメですか? |